吹きガラス 妙なるかたち、技の妙 [EXHIBITION]
先週神田明神へ行った後、観に行った展覧会。
場所はサントリー美術館。
どうしても観なければ!というわけではなかったのだけど
サントリー美術館メンバーズクラブの年会費のもとを取るために、
そして涼しげなガラスの名品を観て涼しげな気分に浸るため。
25日で会期終了というので、慌てて観に行った。
展覧会では、吹きガラスの歴史や技術の変遷が紹介される。
吹きガラスは紀元前1世紀中頃、地中海沿岸域から始まったとされ
《第 I 章:自然な曲線美 − 古代ローマの吹きガラス》では
その時代に製作されたものが並ぶ。
左:『把手付水注』 中:『長頸瓶』 右:『水注』
パッと見「これガラス?」と思われるようなものも多いのだけど
その理由は当時は石や金属が珍重されていたため
それらの質感に寄せて作られたかららしい。
《第 II 章:ホットワークの魔法 − ヨーロッパの吹きガラス》では
時代は一気に進んで16〜18世紀に。
ホットワークとは熔解炉で熔かした熱いガラスを成形・加工すること。
『船形水差』
6〜17世紀のイタリアで制作されたもの。
センスがいいかどうかは別として(小声)、様々な加工が施されていて面白い。
撮影不可だったので、ここには載せられないけれど
16〜19世紀にヴェネチア周辺で作られたレースガラスの器がもう!
とにかく超絶技巧の極み。
まるで糸のように細い白い筋状の繊細な模様がスゴイ(◎_◎)。
しかも「こんなでっかい器をいったいどうやって???」ってくらい
大振りな鉢やお皿まである。
解説を読むと「遠心力を使って大きくする」って書いてあるけど
それにしたってこんなでっかいお皿を振り回して大きくするの
物凄く重くて大変だと思うんだけど。
見た目は優美だけど、これはかなりの力技と推察する。
この章では日本の現代ガラス作家の作品も展示されている。
有永浩太『gaze 藍』
まるで極細のワイヤーか糸で編んだみたいに見える。
伊藤周作『ファイバーレースヴェロネーゼ 白龍』
優美すぎるレースガラス。
関野亮『Goblet(mezza stampatura)』
ステムがステキ。
下のフロアに降りて行くと、ビックリするほど更に大きなガラス作品が!。
《第 V 章:広がる可能性 − 現代アートとしての吹きガラス》というテーマで
若手作家4人の作品が展示されている。
横山翔平『Amorphous 22-5』
なんだかどこかの惑星みたいだ。
画像だとサイズ感が伝わらないけど、直径60〜70cmくらいかなぁ。
こ、これも吹いて膨らませたのだろうか???。
どんだけスゴイ肺活量なんだ?!とくらだないことを考えてしまうアタシ。
横山翔平『Amorphous 21-1』
こちらも同じ作家さんによるもの。ガラスと言うより飴細工のよう。
小林千紗『しろの くろの かたち 2022』
一体どうやって作ったの?!どうやってここまで運んできたの?!
と頭の中が「?」だらけ(^^;。
ちょっと油断したら細い部分がパキン!と行ってしまいそう(O_O)。
藤掛幸智『Vestige』
これがガラスで出来ているなんて!。
キャプションによれば、白いガラスの板を組み合わせた直方体を作ったあと、
それを吹き竿にとってカタチを変形させて作られているとのこと。
竹岡健輔『Transition』
こちらも球体部分はかなり大きく、
その球体を包み込むようなガラスの編み目は…もうどうかしてる!(^^;。
章の順序が前後するが、次の展示室は
《第 III 章:制約がもたらす情趣 − 東アジアの吹きガラス》
サントリー美術館と言えばこれ!
『藍色ちろり』
18世紀に日本で作られたものだけど、
初めて観た時、なんて綺麗な色なんだろう!とうっとりした。
ねじねじした把手も洒落てる。
あとは撮影不可だったけど、18〜19世紀頃に作られた
『藍色縁台付杯』も涼しげで綺麗だったな〜。藍色のガラスって好き。
展示としては最後になる
《第 IV 章:今に連なる手仕事 − 近代日本の吹きガラス》では…
出た!氷コップ!(幸ちゃんが好きそうなやつ)。
手前:『籠目文赤縁碗形氷コップ』
『めだか文ラッパ形氷コップ』
手前左:『吹雪文花縁碗形氷コップ』 手前右:『赤糸巻文なつめ形氷コップ』
『赤乳白花縁ラッパ形氷コップ』
どれもかわいいねぇ(*^^*)。特に『籠目文〜』がアタシは好きだな。
最後はお約束のミュージアムショップ。
《第 IV 章》で、田島硝子、松徳硝子と並び
現在も手吹きによる生産を続けている企業として紹介されていた
菅原工芸硝子の花形の箸置きが、かわいい上にお手頃価格だったので
買ってしまったりなんかして。
そして箸置きとしてではなく、ガラスペンのペンレストとして使う。
様々な吹きガラスを目にして、そういえば小学生の頃
吹きガラスの体験学習みたいなのがあったことをふと思い出した。
直径8mm程度のガラス管を熱して、それに息を吹き込んで
ミニミニフラスコみたいなのを作らされたんだけど
肺活量が全然ないアタシはなかなか膨らまず大苦戦。
数年前、近所に吹きガラスの工房が出来て
なにやら吹きガラス体験もさせてくれるみたいで
物凄く興味があるんだけど、そんな幼少期の苦い思い出があるので
遠巻きにその工房を眺めるに留まっているのであった…。
場所はサントリー美術館。
どうしても観なければ!というわけではなかったのだけど
サントリー美術館メンバーズクラブの年会費のもとを取るために、
そして涼しげなガラスの名品を観て涼しげな気分に浸るため。
25日で会期終了というので、慌てて観に行った。
展覧会では、吹きガラスの歴史や技術の変遷が紹介される。
吹きガラスは紀元前1世紀中頃、地中海沿岸域から始まったとされ
《第 I 章:自然な曲線美 − 古代ローマの吹きガラス》では
その時代に製作されたものが並ぶ。
左:『把手付水注』 中:『長頸瓶』 右:『水注』
パッと見「これガラス?」と思われるようなものも多いのだけど
その理由は当時は石や金属が珍重されていたため
それらの質感に寄せて作られたかららしい。
《第 II 章:ホットワークの魔法 − ヨーロッパの吹きガラス》では
時代は一気に進んで16〜18世紀に。
ホットワークとは熔解炉で熔かした熱いガラスを成形・加工すること。
『船形水差』
6〜17世紀のイタリアで制作されたもの。
センスがいいかどうかは別として(小声)、様々な加工が施されていて面白い。
撮影不可だったので、ここには載せられないけれど
16〜19世紀にヴェネチア周辺で作られたレースガラスの器がもう!
とにかく超絶技巧の極み。
まるで糸のように細い白い筋状の繊細な模様がスゴイ(◎_◎)。
しかも「こんなでっかい器をいったいどうやって???」ってくらい
大振りな鉢やお皿まである。
解説を読むと「遠心力を使って大きくする」って書いてあるけど
それにしたってこんなでっかいお皿を振り回して大きくするの
物凄く重くて大変だと思うんだけど。
見た目は優美だけど、これはかなりの力技と推察する。
この章では日本の現代ガラス作家の作品も展示されている。
有永浩太『gaze 藍』
まるで極細のワイヤーか糸で編んだみたいに見える。
伊藤周作『ファイバーレースヴェロネーゼ 白龍』
優美すぎるレースガラス。
関野亮『Goblet(mezza stampatura)』
ステムがステキ。
下のフロアに降りて行くと、ビックリするほど更に大きなガラス作品が!。
《第 V 章:広がる可能性 − 現代アートとしての吹きガラス》というテーマで
若手作家4人の作品が展示されている。
横山翔平『Amorphous 22-5』
なんだかどこかの惑星みたいだ。
画像だとサイズ感が伝わらないけど、直径60〜70cmくらいかなぁ。
こ、これも吹いて膨らませたのだろうか???。
どんだけスゴイ肺活量なんだ?!とくらだないことを考えてしまうアタシ。
横山翔平『Amorphous 21-1』
こちらも同じ作家さんによるもの。ガラスと言うより飴細工のよう。
小林千紗『しろの くろの かたち 2022』
一体どうやって作ったの?!どうやってここまで運んできたの?!
と頭の中が「?」だらけ(^^;。
ちょっと油断したら細い部分がパキン!と行ってしまいそう(O_O)。
藤掛幸智『Vestige』
これがガラスで出来ているなんて!。
キャプションによれば、白いガラスの板を組み合わせた直方体を作ったあと、
それを吹き竿にとってカタチを変形させて作られているとのこと。
竹岡健輔『Transition』
こちらも球体部分はかなり大きく、
その球体を包み込むようなガラスの編み目は…もうどうかしてる!(^^;。
章の順序が前後するが、次の展示室は
《第 III 章:制約がもたらす情趣 − 東アジアの吹きガラス》
サントリー美術館と言えばこれ!
『藍色ちろり』
18世紀に日本で作られたものだけど、
初めて観た時、なんて綺麗な色なんだろう!とうっとりした。
ねじねじした把手も洒落てる。
あとは撮影不可だったけど、18〜19世紀頃に作られた
『藍色縁台付杯』も涼しげで綺麗だったな〜。藍色のガラスって好き。
展示としては最後になる
《第 IV 章:今に連なる手仕事 − 近代日本の吹きガラス》では…
出た!氷コップ!(幸ちゃんが好きそうなやつ)。
手前:『籠目文赤縁碗形氷コップ』
『めだか文ラッパ形氷コップ』
手前左:『吹雪文花縁碗形氷コップ』 手前右:『赤糸巻文なつめ形氷コップ』
『赤乳白花縁ラッパ形氷コップ』
どれもかわいいねぇ(*^^*)。特に『籠目文〜』がアタシは好きだな。
最後はお約束のミュージアムショップ。
《第 IV 章》で、田島硝子、松徳硝子と並び
現在も手吹きによる生産を続けている企業として紹介されていた
菅原工芸硝子の花形の箸置きが、かわいい上にお手頃価格だったので
買ってしまったりなんかして。
そして箸置きとしてではなく、ガラスペンのペンレストとして使う。
様々な吹きガラスを目にして、そういえば小学生の頃
吹きガラスの体験学習みたいなのがあったことをふと思い出した。
直径8mm程度のガラス管を熱して、それに息を吹き込んで
ミニミニフラスコみたいなのを作らされたんだけど
肺活量が全然ないアタシはなかなか膨らまず大苦戦。
数年前、近所に吹きガラスの工房が出来て
なにやら吹きガラス体験もさせてくれるみたいで
物凄く興味があるんだけど、そんな幼少期の苦い思い出があるので
遠巻きにその工房を眺めるに留まっているのであった…。
2023-06-29 02:07
コメント(7)
ガラスでどうやったらこんな複雑な造形にできるのか、見ててため息が出ます。
花形の箸置き、可愛いですね。
この展示会は私も行きたかったのですが、交通事情を考えずに出掛けた為に時間切れで行けませんでした。
会期もよく確認してなかったし。
事前確認は大事だなと改めて思いました。
by YAYOI (2023-06-29 07:55)
感性研ぎ澄ましてますねぇ~。
ガラスって私は坂崎さんの影響で江戸切子を多少する位です。
本当にガラスって色々な顔を持ってますよね。
種類もそうだしカットの工程でも違う顔が出てきますし。
光にかざしても綺麗ですね。
江戸切子もだいぶ自分でカットした作品が増えてきたので
自分の年表みたいで面白いです。
by ポチヒコ (2023-06-29 10:00)
>YAYOIさん
キャプションを読んで理屈がわかっても
「どうしたらこんな風になるの?」とやっぱり「?」マークばかりです。
昨日ブログをアップしたあと、吹きガラスの動画をいくつか観てみましたが
大皿はやはりかなり力が入るようで、男性が鬼の形相で作業をしてました(^^;。
展覧会って油断してるとあっという間に会期終了間際になってしまいますよね。
昨日は早々に「ガウディとサグラダ・ファミリア展」を観てきました。
次は「生誕100年 山下清展」に行く予定です(でも8月かな〜)。
>ポチヒコさん
ガラスと一口に言っても本当に様々で面白いですね。
製作過程も様々、高級品もあれば日用品もあるし
実用的なものもあれば殆どアート感覚のものも。
ポチヒコさんのように自分でやってみると
ガラスに対する思いがより深まるでしょうね。
by 梅屋千年堂 (2023-06-29 21:33)
>梅屋さん
>ガラスに対する思いがより深まるでしょうね。
そうですねぇ~。
本当は軽くカットするつもりが今では色ガラスまで
挑戦してカットします。
作業する時はもはや自分との戦いになってます。
最初のひとカットで全てが決まる位の緊張感。
納得出来る作品が仕上がった時は感無量です。
それで帰宅しての1杯は格別な思いになります。
by ポチヒコ (2023-06-29 22:00)
>ポチヒコさん
失敗したらやり直しがきかないですものね。
うわ〜考えただけでも緊張で手が震えそうです(^^;。
by 梅屋千年堂 (2023-06-29 23:06)
今回も素敵な記事をありがとうございます。
ガラス達のおかげで少し涼しくなった気がします。
>ガラスの編み目は…もうどうかしてる!
ホントにそう思います!
吹きガラスやったこと無いです。いつか体験できるかな?!
by おかん (2023-07-01 00:22)
>おかんさん
綺麗なガラスは観ているだけで涼しくなりますね。
(そもそも美術館はかなり涼しいですが笑)。
吹きガラス、絶対うまくできないだろうなぁと分かっていても
子供の頃のリベンジとして、やってみたい気持ちはあります。
検索すると吹きガラス体験のできる工房がいくつか出てきますが…
夏はちょっとヤだなぁ(^o^;。
by 梅屋千年堂 (2023-07-01 22:06)