第8回 横浜トリエンナーレ【1】 [EXHIBITION]
実は約1ヶ月前に行ったんだけど
なかなかまとめられなかったヨコトリの話。
(いや、実は決して上手くまとまってはいないのだけど^^;)。
横浜で3年に一度開催される現代アートの祭典・横浜トリエンナーレ。
前回が2020年。本来は昨年12月に開催予定だったのだけど
半導体不足で横浜美術館の改修工事に遅れが出たため
2024年3月からの開催となった。
久々の横浜美術館。
平日朝イチなので空いてる。
今回の会場は5ヶ所。
・横浜美術館
・旧第一銀行横浜支店
・BankART KAIKO
・クイーンズスクエア横浜(2階)
・元町・中華街駅連絡通路
上記会場の他にも、新高島駅、象の鼻テラス、馬車道駅、黄金町などにも
ヨコトリに関連した展示が行われている。
横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKOが有料で
チケットを必要とするエリアなので、今日は一気にこの3ヶ所を回る予定。
入口入ってすぐのところに立っているのがこの作品。
ピッパ・ガーナー『ヒトの原型』
性別、人種、年齢といった既成概念にとらわれない多様性のあり方を問いかける。
上を見上げると、まるで怪獣のような大きな物体。
同じフロアの奥にもいた。
サンドラ・ムジンガ『出土した葉』
チケットを提示して、エスカレーターで2階へ。
回廊の壁に横に長く貼り出されていているのが
志賀理江子
『霧の中の対話:火 −宮城県男鹿半島三中にて、食猟師の小野寺望さんが話したこと』
かなり長大で、これは全部読んでいたら大変だ…と
サラッと流し見するつもりだったのだけど
猟師の小野寺さんが語る自然との共存や害獣についての見解が興味深く
結局殆ど全部ちゃんと見てしまった。
今回のヨコトリのテーマは『野草:いま、ここで生きてる』。
魯迅の著作『野草』から引用しているという。
戦争・紛争・自然災害…世界中で様々な問題が起きているからか
今回のヨコトリはいつになくヘヴィなテーマの作品が多いように感じる。
ということで最初の章のテーマは《密林の火》。
飛び散る火や火花は、紛争や対立、衝突や事件のたとえ。
そうした歴史的な出来事やこんにちの課題に向き合う作品を一緒に展示している。
上の映像作品:トマス・ラファ『Video V65:極右主義者の難民反対デモ』
下の立体作品:ジョシュ・クライン『長年の勤務に感謝(ジョアン/弁護士)』
ジョシュ・クライン『総仕上げ(トム/管理職)』
コソボ共和国出身の作家、アルタン・ハイルラウの作品。
一見かわいらしく見える作品だけど
「包装紙、色鉛筆、ボール紙というありあわせの材料を用いた表現からは
生活がいつ崩れ去るかわからない不安と危機感が伝わってくる」
とキャプションにあった。
またまたビニール袋に入れられた人たち。
ジョシュ・クライン『営業終了(マウラ/中小企業経営者)』
ジョシュ・クライン『生産性の向上(ブランドン/会計士)』
これらの作品は3Dプリンタを使って制作されたとのこと。
一生懸命働いても使い捨てされてる感が怖い。
様々な作品が並ぶ展示室内はまるでカオス。
マシュー・ハリス『忘却の彼方へ』
描かれた箱の中には、アボリジニの人々の遺骨や遺品が収められているという設定。
18世紀末から何万もの遺骨が研究や収集目的で持ち去られ、
今もそのまま箱に入って収蔵されたままであることを伝える。
勅使河原蒼風『たち 古事記連作』
「たち」とは太刀のこと?(英語のキャプションも「Tachi」だった)。
ハァ…さっきも書いたけどなにやら重いテーマの展示が多くて
なんだか早くも疲れてきた気がする(x。x)。
《わたしの開放》と題された円形の展示室で富山妙子の作品(ここは撮影不可)
を観たあとは、向かいの展示室へ。
ここのテーマは《流れと岩》。
「進む力とはばむ力がぶるかるところに生命力がほとばしるさまを紹介する」とのこと。
まぁ難しいことは考えず、ピンと来た作品に目を向けよう。
香港のアーティスト、エクスパー・エクサー
『テールウィップ』より(信じるものを失って、横浜、2024)。
『#6 バック・トゥ・ザ・フューチャー時計 2006』
表示はずーっとゼロのまま。
この後なにかが起きるのか?としばらく待ってみたが何も起きなかった(・_・)。
左:『#13 カウンター・テーブルトップ 1982-83』
右:『#14 刺繍された忘れ形見 2001』
上:ノーム・クレイセンが1983年から88年までに撮影した写真。
アメリカのタバコ「マルボロ」の広告ために撮影したカウボーイたち。
谷中安規『「少年画集」4 運動会』
谷中は1930年代の版画家。
風船のように放浪しながら生涯を過ごし「風船画伯」と呼ばれたそう。
谷中安規『「少年画集」2 桜』
これ、昔の浅草かなぁ。高い塔は浅草十二階(凌雲閣)、
観覧車は浅草花屋敷だろうか。右上のUFOは一体…?。
リタ・ジークフリート『交差するところ』
絵が掛けられたプラスチックのトタンの向こう側に
海が広がってるような錯覚を覚える。
こちらはまた別の展示室。テーマは《苦悶の象徴》。
またなかなかにカオス(^^;。
「苦悶の象徴」は、20世紀初頭の文筆家・厨川白村の著作から取ったとのことだけど
これまたよくわからないんで、展示されている作品との関連については
あまり深く考えないようにしようヘ( ;^^)ノ。
上の2つは土肥美穂の立体作品。
ピッパ・ガーナー『Un(tit)led(人と車人間)』
美術館入ってすぐ目に入る『ヒトの原型』と同じ作者による作品。
香港のアーティスト、サウス・ホーの作品。
「この人の写真の静かな雰囲気、好きだなぁ」などと、のほほんと眺めていたが
キャプションを読むと、これらの写真は革命や民主化運動の様子を収めたもの。
高速道路のバリケード、ヘルメットやマスクが散乱した道路、
スローガンが上塗りされた壁など、もみ合いの後に残された静けさが
写し出されていたのだった。
あぁ、やはりなかなかヘヴィだ、今回のヨコトリ。
《TO BE CONTINUED...長くなるのでつづく》
なかなかまとめられなかったヨコトリの話。
(いや、実は決して上手くまとまってはいないのだけど^^;)。
横浜で3年に一度開催される現代アートの祭典・横浜トリエンナーレ。
前回が2020年。本来は昨年12月に開催予定だったのだけど
半導体不足で横浜美術館の改修工事に遅れが出たため
2024年3月からの開催となった。
久々の横浜美術館。
平日朝イチなので空いてる。
今回の会場は5ヶ所。
・横浜美術館
・旧第一銀行横浜支店
・BankART KAIKO
・クイーンズスクエア横浜(2階)
・元町・中華街駅連絡通路
上記会場の他にも、新高島駅、象の鼻テラス、馬車道駅、黄金町などにも
ヨコトリに関連した展示が行われている。
横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKOが有料で
チケットを必要とするエリアなので、今日は一気にこの3ヶ所を回る予定。
入口入ってすぐのところに立っているのがこの作品。
ピッパ・ガーナー『ヒトの原型』
性別、人種、年齢といった既成概念にとらわれない多様性のあり方を問いかける。
上を見上げると、まるで怪獣のような大きな物体。
同じフロアの奥にもいた。
サンドラ・ムジンガ『出土した葉』
チケットを提示して、エスカレーターで2階へ。
回廊の壁に横に長く貼り出されていているのが
志賀理江子
『霧の中の対話:火 −宮城県男鹿半島三中にて、食猟師の小野寺望さんが話したこと』
かなり長大で、これは全部読んでいたら大変だ…と
サラッと流し見するつもりだったのだけど
猟師の小野寺さんが語る自然との共存や害獣についての見解が興味深く
結局殆ど全部ちゃんと見てしまった。
今回のヨコトリのテーマは『野草:いま、ここで生きてる』。
魯迅の著作『野草』から引用しているという。
戦争・紛争・自然災害…世界中で様々な問題が起きているからか
今回のヨコトリはいつになくヘヴィなテーマの作品が多いように感じる。
ということで最初の章のテーマは《密林の火》。
飛び散る火や火花は、紛争や対立、衝突や事件のたとえ。
そうした歴史的な出来事やこんにちの課題に向き合う作品を一緒に展示している。
上の映像作品:トマス・ラファ『Video V65:極右主義者の難民反対デモ』
下の立体作品:ジョシュ・クライン『長年の勤務に感謝(ジョアン/弁護士)』
ジョシュ・クライン『総仕上げ(トム/管理職)』
コソボ共和国出身の作家、アルタン・ハイルラウの作品。
一見かわいらしく見える作品だけど
「包装紙、色鉛筆、ボール紙というありあわせの材料を用いた表現からは
生活がいつ崩れ去るかわからない不安と危機感が伝わってくる」
とキャプションにあった。
またまたビニール袋に入れられた人たち。
ジョシュ・クライン『営業終了(マウラ/中小企業経営者)』
ジョシュ・クライン『生産性の向上(ブランドン/会計士)』
これらの作品は3Dプリンタを使って制作されたとのこと。
一生懸命働いても使い捨てされてる感が怖い。
様々な作品が並ぶ展示室内はまるでカオス。
マシュー・ハリス『忘却の彼方へ』
描かれた箱の中には、アボリジニの人々の遺骨や遺品が収められているという設定。
18世紀末から何万もの遺骨が研究や収集目的で持ち去られ、
今もそのまま箱に入って収蔵されたままであることを伝える。
勅使河原蒼風『たち 古事記連作』
「たち」とは太刀のこと?(英語のキャプションも「Tachi」だった)。
ハァ…さっきも書いたけどなにやら重いテーマの展示が多くて
なんだか早くも疲れてきた気がする(x。x)。
《わたしの開放》と題された円形の展示室で富山妙子の作品(ここは撮影不可)
を観たあとは、向かいの展示室へ。
ここのテーマは《流れと岩》。
「進む力とはばむ力がぶるかるところに生命力がほとばしるさまを紹介する」とのこと。
まぁ難しいことは考えず、ピンと来た作品に目を向けよう。
香港のアーティスト、エクスパー・エクサー
『テールウィップ』より(信じるものを失って、横浜、2024)。
『#6 バック・トゥ・ザ・フューチャー時計 2006』
表示はずーっとゼロのまま。
この後なにかが起きるのか?としばらく待ってみたが何も起きなかった(・_・)。
左:『#13 カウンター・テーブルトップ 1982-83』
右:『#14 刺繍された忘れ形見 2001』
上:ノーム・クレイセンが1983年から88年までに撮影した写真。
アメリカのタバコ「マルボロ」の広告ために撮影したカウボーイたち。
谷中安規『「少年画集」4 運動会』
谷中は1930年代の版画家。
風船のように放浪しながら生涯を過ごし「風船画伯」と呼ばれたそう。
谷中安規『「少年画集」2 桜』
これ、昔の浅草かなぁ。高い塔は浅草十二階(凌雲閣)、
観覧車は浅草花屋敷だろうか。右上のUFOは一体…?。
リタ・ジークフリート『交差するところ』
絵が掛けられたプラスチックのトタンの向こう側に
海が広がってるような錯覚を覚える。
こちらはまた別の展示室。テーマは《苦悶の象徴》。
またなかなかにカオス(^^;。
「苦悶の象徴」は、20世紀初頭の文筆家・厨川白村の著作から取ったとのことだけど
これまたよくわからないんで、展示されている作品との関連については
あまり深く考えないようにしようヘ( ;^^)ノ。
上の2つは土肥美穂の立体作品。
ピッパ・ガーナー『Un(tit)led(人と車人間)』
美術館入ってすぐ目に入る『ヒトの原型』と同じ作者による作品。
香港のアーティスト、サウス・ホーの作品。
「この人の写真の静かな雰囲気、好きだなぁ」などと、のほほんと眺めていたが
キャプションを読むと、これらの写真は革命や民主化運動の様子を収めたもの。
高速道路のバリケード、ヘルメットやマスクが散乱した道路、
スローガンが上塗りされた壁など、もみ合いの後に残された静けさが
写し出されていたのだった。
あぁ、やはりなかなかヘヴィだ、今回のヨコトリ。
《TO BE CONTINUED...長くなるのでつづく》
2024-04-26 21:19
コメント(2)
勅使河原蒼風『たち 古事記連作』は十拳剣をイメージしているのでしょうか?
by 溺愛猫的女人 (2024-04-27 14:11)
>溺愛猫的女人さん
十拳剣という言葉を知らなかったのでググってみました。
日本書紀や古事記には様々な太刀が登場するのですね!。
勉強になります(*^^*)。
そう言われてみれば、なんとなく草薙剣をイメージさせる形です。
by 梅屋千年堂 (2024-04-28 00:06)