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プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光 [EXHIBITION]

またまたやってきたプラド美術館展。

しょっちゅうやってる印象の《ボストン美術館展》と《プラド美術館展》。
前回の《プラド美術館展》は2015年の秋だったか。
しかし、しょっちゅう来ているとはいえ
2002年『プラド美術館 スペイン王室コレクションの美と栄光』
2006年『スペインの誇り 巨匠たちの殿堂』
2011年『プラド美術館所蔵 ゴヤ - 光と影 - 展』
2015年『プラド美術館展 スペイン宮廷 美への情熱』
と、毎回趣向を凝らして様々な視点から作品を送り込んでくるので
内容に関して「またか」という印象は全くないのがスゴイ。

今回は『ベラスケスと絵画の栄光』というサブタイトルの通り
7点のベラスケス作品を軸に、彼が仕えたスペイン王・フェリペ4世の
治世に描かれた西洋絵画のコレクション約60点を紹介する展覧会。
ベラスケスが一挙に7点も来ちゃうところがこの展覧会の目玉。


というわけで、雨上がりの国立西洋美術館。
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地下の展示室入り口に降りて行くと、このようなフォトスポット(多分)が。
02_photospot.jpg
今回来日したベラスケス作品7点のクローズアップがずらっと。
…なんかすっごい「見られてる感」(^^;。

及川光博さんがプレゼンターを務める音声ガイドを借りて、いざ中へ。
混雑具合は思ったほどではなく、かといってガラガラでもなく
展示されている作品の多くは宮廷に飾られていただけに
大型のものが多いので、殆どストレスを感じることなく鑑賞できそう。

展示構成は8章からなり、
「1章 芸術」「2章 知識」「3章 神話」「4章 宮廷」
「5章 風景」「6章 静物」「7章 宗教」となっている。
各章の初めに掲げられているキャプションが結構難解でクラクラしてくるが
構成自体はとってもわかりやすく分類されていた。


で、ここから先はいつものように、各章ごとに自分の印象に残った作品を羅列(^^;ゞ。

【1章 芸術】
・ディエゴ・ベラスケス『ファン・マルティネス・モタニェースの肖像』
 同僚の彫刻家の肖像。

・エル・グレコ『聖顔』
 えっ?エル・グレコってあのエル・グレコ?ってくらい、エル・グレコっぽくない。


【2章 知識】
・ディエゴ・ベラスケス『メニッポス』
 古代ギリシャの哲学者を「そこらのおじさん風」に描く斬新さ。
 なんとなくレンブラントを彷彿とさせるのは気のせい?…(だな)。

・ペーテル・パウル・ルーベンス『泣く哲学者ヘラクレイトス』
 ルーベンスらしく、ドラマチックで感情的。


【3章 神話】
・ディエゴ・ベラスケス『マルス』
 軍神マルスも「そこらのおじさん風」。裸なのに兜だけかぶってる。

・ティツィアーノ・ヴェッチェリオ『音楽にくつろぐヴィーナス』
 パッと見はそうでもないけど、細部を見ていくといろいろヘンテコ。

・ペーテル・パウル・ルーベンス『アンドロメダを救うペルセウス』
 あ、これルーベンスだな、と遠くからでもすぐ判る。
 ルーベンスの絶筆だそう。助けにきたペルセウスの表情がなんとも素敵。

・ルカ・ジョルダーノ『メドゥーサの首を持ち勝利を収めるペルセウス』
 メドゥーサの首を掲げ、自分はそこから目を逸らせるペルセウスだが
 周りの「わーっ!やめろーっ!」って感じの慌てぶりがちょっとおもろい(^m^)。

・グレゴリオ・マルティネス『鎖につながれたティテュオス』
 申し訳ないけど他の作品の引き立て役になっちゃってる(^^;。

・ビセンテ・カルドゥーチョ『巨大な男性頭部』
 なんでこんなに大きく描く必要が?!。
 作者もスルバランであるという説もあり、謎の多い作品。
 まるで現代アートのように斬新で一度観たら忘れられない。


【4章 宮廷】
・ディエゴ・ベラスケス『狩猟服姿のフェリペ4世』
 経年変化によって浮き出た描き直しの跡が興味深い。

・ファン・カレーニョ・デ・ミランダ『甲冑姿のカルロス2世』
 どう見てもフェリペ4世の息子。顔そっくり(笑)。

・アンソニー・ヴァン・ダイク『レガネース侯爵ディエゴ・フェリペ・グスマン』
 さすがアンソニー・ヴァン・ダイク。肖像画がめちゃくちゃ巧い。

・ディエゴ・ベラスケス『バリェーカスの少年』
 近くに『王女イザベル・クララ・エウヘニアとマグダレーナ・ルイス』と
 『矮人の肖像』という、矮人を描いた作品が並んでいて
 これら2作品は「なんかヤな感じ」を受けるのに対し
 ベラスケスが描いた矮人の少年は画家の目線の温かさを感じる。

・フェリクス・カスティーヨ『西ゴート王テオドリック』
 同じ展示室に飾られている肖像画に比較してあまりに異質すぎるので
 目にした瞬間「なんだこれ( ̄m ̄)ぷっ」と思ってしまった。


【5章 風景】
・ディエゴ・ベラスケス『王太子バルタサール・カルロス騎馬像』
 この展覧会のヴィジュアルとして使われている少年の騎馬像。
 肖像画なんだけど、背景の山岳風景に着目して【風景】のカテゴリーになっている。
 馬が太りすぎだろー(^^;と思っていたら、
 高いところに飾られることを考慮して、故意にこんな風に描かれているらしい。
 ちなみに、この賢そうなカルロスちゃんは16歳で早世してしまったそうだ。

・フランシスコ・コリャンテス『羊飼いの礼拝のある冬景色』
 雪景色の中で展開する新約聖書の物語というのが斬新。

・デニス・ファン・アルスロート
 『ブリュッセルのオメガングもしくは鸚鵡の祝祭:職業組合の行列』
 タイトルも長いが、描かれている行列も長い(笑)。
 「洛中洛外図屏風」や「豊国祭礼図屏風」など、
 俯瞰で描かれた日本の屏風画を彷彿とさせる。
 じーっと観ているといろんな発見がありそう。


【6章 静物】
・トマス・イエベス『卓上の二つの果物皿』
 テーブルクロスの折り目とレースの描写が超絶!。

・ヤン・ブリューゲル(父)『花卉』
 出たっ!花のブリューゲル!。

・パウル・デ・フォス『犬と肉の寓話』
 有名なイソップ童話を題材にした作品。
 妙に広大な背景にいい意味での違和感を覚える。


【7章 宗教】
・ディエゴ・ベラスケス『東方三博士の礼拝』
 ベラスケス二十歳頃の作品。自分の家族を聖家族に見立てて描いている。
 そのためか、絵の中にものすごく温かさを感じる。
 庶民から宮廷画家に成り上がったベラスケス。
 今回の展覧会を観てみて「ベラスケスっていいヤツかも」と思った。

・ジュゼペ・デ・リベーラ『聖ペテロの解放』
 天使が美しい。

・アンソニー・ヴァン・ダイク『聖フランチェスコの法悦』
 肖像画とはまた違うタッチが印象的。

・ペーテル・パウル・ルーベンス『聖アンナのいる聖家族』
 マリアの表情がとてもかわいい。
 この作品に限らず、今回の展覧会に出展されているルーベンスの作品は
 描かれている人物の表情がとてもいい…と思う。

・バルトロメ・エステバン・ムリーリョ『小鳥のいる聖家族』
 描かれている聖家族には頭の光輪もなく、
 タイトルを見なければ幸せそうな家族の一場面としか考えられない。
 でも実際、イエス、マリア、ヨセフの生活ってこんな感じだったんじゃない?と
 ほっこりさせてくれる。


てな感じで、印象に残る作品も多く非常に見応えのある展覧会だった。
この時代のこのテの西洋絵画はやっぱり観ていて面白い。

ベラスケスの後期の作風は
後年マネに影響を及ぼし、そのまま印象派に繋がっていく。
意外な繋がりに「へぇ〜!」でもあった。


そして、今回の自分土産はこちら。
03_souvenir.jpg
とっても嬉しい「ミニ図録」。
図版は小さいながらも、全作品が網羅されているミニ図録は
値段も大きさもお手頃でホンットに有り難い(*^^*)。

ちなみに隣に写ってるパンダ手ぬぐいは展覧会とはまったく関係なく、
上野駅構内の「遊 中川(中川政一商店)」でついつい衝動買いしてしまったもの。
またブックカバーにでもしようかと…(^^;ゞ。
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