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ポンピドゥーセンター傑作展 [EXHIBITION]

観に行ってから既に1週間が経過してしまったけど…(^^;ゞ。

THE ALFEEの夏フェス前で何かと物入りだし
行こうかどうしようか迷っていたところ、
タイミング良く招待券をいただいたので「ワーイ!ヽ(^。^)丿」と
喜び勇んで観に行った。

場所は、ちょっと前に『若冲展』で大いにフィーバーした東京都美術館。
いつもの写真。
pompi_1.jpg


ポンピドゥーセンターとは、
1977年にパリの中心部に開館した国立の総合文化施設で、
国立近代美術館や産業創造センター、
公共情報図書館、音響音楽研究所などで構成されている。

その国立近代美術館が所蔵する、近現代美術の傑作を紹介するのがこの展覧会。
20世紀に制作された作品を、時系列に展示しているのだけど、
展示の仕方が凝っていて面白い。

時系列と書いたけど、
1906年から1年ごとに1作家・1作品を展示するという方法を取っていて
例えば、1906年はラウル・デュフィの『旗で飾られた通り』、
1907年はジョルジュ・ブラックの『レック湾』、
1908年はオーギュスト・ジャボーの『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』…
と、その年に制作された作品が1点だけ選ばれて展示されている。

展示室のレイアウトも面白くて、
例えば最初のセクション(1906〜1934)では
四角い展示室の対角線に沿って、異なる長さの3枚の壁が平行に並べられていて
鑑賞者はひたすら平行移動し、その壁の展示を観終わったら
壁の裏側に回り、またひたすら平行移動。
その壁の展示を観終えたら、今度は振り返って反対側の壁の展示へ…と、
絶対になおかつごく自然に、時系列から外れない導線になっている。

作品の横には、キャプションの他、
作家の写真とその作家が残した名言も記されていて、
作家の人となりの断片が読み取れるのも興味深い。

選ばれている作品は、必ずしもその作家を代表する作品とは限らず
例えばジョルジュ・ブラックの「レック湾」のように
えっ?これがこの人の作品?という意外なものもあったりする。
そして日本ではあまり馴染みのない(というかアタシが知らないだけ?^o^;)
作家の作品もいろいろ展示されている。

1906〜1934年の作品で印象に残ったのは
マルク・シャガール『ワイングラスを掲げる二人の肖像』
ジャン・ブーニー『赤いヴァイオリン』
アンリ・ローランス『女性の頭部』
セラフィーヌ・ルイ『楽園の樹』
アンリ・カルティエ=ブレッソン『サン=ラザール駅裏』

セラフィーヌ・ルイは、正式な絵の勉強をしたことのない女流画家なのだけど
その作風はどこか草間彌生に通じるところもあり、
異次元に連れて行かれそうな感じが結構自分好み。

カメラの連写機能もない時代に、
なにげない「決定的瞬間」を捉えたブレッソンの写真もカッコイイ。

そういえば、先頃世界遺産に指定された
国立西洋美術館を設計したル・コルビュジェの絵画作品もあったっけ。




次のセクション(1935〜1959)では、作品を展示する壁はジグザグ状。
カクカクと折れ曲がっていて、角を曲がった瞬間に作品と対峙するので
作品と向かい合った時の第一印象が強烈に迫ってくる。

いきなり登場するのが巨匠中の巨匠、パブロ・ピカソの『ミューズ』。
このセクションでは誰もが知っているようなビッグネームが続々登場。
ヴァシリー・カンディンスキー『30』
アンリ・マティス『大きな赤い室内』
フェルナン・レジェ『自由』
アルベルト・ジャコメッティ『ヴェネツィアの女 V』

カンディンスキーの『30』は、
なんだかこのまま包装紙にしたら素敵な感じ(どーゆー感想だ^^;)。

フェルナン・レジェの『自由』は、角を曲がって作品が見えた瞬間に
「あっ!これ凄く好き!」とビリビリ来た作品だ。
横長のカンヴァスに、1942年に発表されたポール・エリュアールの
「自由」という詩が書かれていて
その周りをカラフルな文字やテープみたいな長方形が飾っている。
凄くメッセージ色の濃い作品だけど、
これはちょっと部屋に飾ったたら素敵かも、と思った。

あとは、
ジャック・ヴィルグレ『針金 - サン=マロ、ショセ・レ・コルセール』
ベルナール・ビュフェ『室内』
エドゥアール・ブーハ『リュクサンブール公園、初雪』
このあたりも面白かった。

ちなみに終戦の年である1945年には、作品は展示されておらず
その空間ではエディット・ピアフの“バラ色の人生”が繰り返し流れているだけ。





最後のセクションは1960〜1977年。
この展示室のカタチは円形。ほぼ180度ぐるっと作品に取り囲まれている。

やっぱり気になるのは自分の生まれ年(1967年)の作品は何か、ということ。
素敵な作品、好きなタイプの作品だといいなぁ〜
なんて思いながら1960年から辿っていくと…

1967年 ビクトル・ヴァザルリ『アーニー(影)』

一辺2mを越す大きな画面が格子状に区切られて、そのマス目の中には円が描かれている。
マス目と円はグラデーション状に彩色されて、
観ているとだんだん不思議な気分になってくる、オプ・アート。
わぁ〜こういうの、好きだ〜(ヨカッタ^o^;)。

あとは1969年のアガム『ダブル・メタモルフォーゼ III』も
ちょっと部屋に飾ってみたくなる作品だった。

それと、ここにはジャン・デュビュッフェの『騒がしい風景』という作品も展示されている。
デュビュッフェと言えば、アール・ブリュットの提唱者。
そしてアール・ブリュットと言えば…忘れもしない一昨年の美術検定で
アタシが一言も回答できなかった、あの用語…(^^;(^^;(^^;。
こいつかー!くそぉ〜!などと、
まるで意味のわからない逆恨みの感情が湧き起こってきて
なんだか自分で自分のことが可笑しくなってしまった(笑)。


20世紀アートの多様性と自由さが感じられる、
なんだか観ていて楽しい展覧会だった。

自分土産は定番のポストカード。
これはないだろうなぁと思っていた作品のカードもあったりして嬉しかった〜。
   (↑レジェの『自由』とか)
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dezire

こんにちは。
私もポンピドゥー・センター傑作展を見てきましたので、ご説明とご感想を読ませていただき、20世紀アートの各々が個性的な作品の面白さを改めて体験させていだきました。カンディンスキーの『30』は思いついたモティーフを並べただけで作品になるカンディンスキーの才能を感じました。マティスの『大きな赤い室内』は赤を主体に全体の絵画空間が見事に表現されているのに魅力を感じました。ジャコメッティの『ヴェネツィアの女Ⅴ』は極限まで削ぎ落とされた女性の存在の儚さと力強さを感じました。セラフィーヌ・ルイ『楽園の樹』、デュビュッフェの『騒がしい風景』など作品はそれぞれ個性的で、そのうえ傑作ぞろいで、この枠の中でその感動を表現するのは無理でなので、ポンピドゥー・センター傑作展の心に残った作品の魅力と、20世紀美術の多様な表現の意味とその芸術の本質について考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。






by dezire (2016-08-10 00:15) 

梅屋千年堂

>dezireさん
アタシのダメダメ感想文と違って、dezireさんのブログは大変ためになり
いつも勉強させて頂いております。
思っていた以上に、素晴らしい展覧会でしたね。

by 梅屋千年堂 (2016-08-11 00:25) 

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