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生誕170周年 エミール・ガレ展 [EXHIBITION]

サントリー美術館で開催中の
『オルセー美術館特別協力 生誕170周年 エミール・ガレ』。

エミール・ガレ(1846-1904)は、19世紀後半から20世紀初頭に
ヨーロッパを中心に起こった毛術運動:アール・ヌーヴォーの代表的作家。
特にガラス工芸、陶器、家具デザインなどで独自の表現世界を確立した。

この展覧会では、サントリー美術館のコレクションや、国内未発表作品20件、
オルセー美術館が所蔵する日本初出品の作品やデッサン類など
貴重な作品と資料が展示されている。

場所は、サントリー美術館。

チケット売り場で、この展覧会のチケットと、
9月から始まる『鈴木其一展』の前売り券も購入。
まだまだ先だと思っていた鈴木其一の展覧会も
ふと気が付けば開幕まで2ヶ月足らず…。
途中、展示替えもあるというので2枚買っておこうかとも思ったが
まぁ今日の時点では1枚にしておいた(^^;ゞ。
詳しい展示替えのスケジュールが発表になったら、再度検討しよう。


入口ではいつものように音声ガイドを借りる…のだけど
今回は、予めiPhoneにインストールしておいた
ART & PARTの音声ガイドアプリを使ってみることにした。

料金を払って、専用アプリを起動し、その場でQRコードを読み込んで
音声ガイドをダウンロードする。
ダウンロードに要する時間は1分もかからなかったんじゃないかと思う。
思っていたよりもずっと速かった気がする。
その先は普通の音声ガイドと同様に、ガイド番号を入力して再生ボタンを押すか
リスト一覧から聴きたいガイドを選んでタップすればよい。

このサービスの良いところは、
帰宅してからも音声ガイドを聴きなおすことができること。
別の展覧会の音声ガイドをダウンロードすると
上書きされて消えてしまうそうなのだけど、
それがなければ展覧会の会期中何度も聴くことができるらしい。

逆に不便な点は
美術館貸出のガイド機器はネックストラップが付いているので
首からぶらさげておけるけれども
自分のスマホだと、ずっと手に持っていなければならず、
メモを取りたいときなどはちょっと不便だ。
それと、リスト一覧からガイドを選択する場合
ちょっと触れただけで再生が始まってしまうので困ってしまう。
ダブルタップで再生が始まるようにしてくれたらいいのに、と思った。

でも、これはなかなか良いかも。
いつも自分が使っているイヤホン(BOSEのノイズキャンセリングのもの)
が使えるので、外界の雑音が殆ど気にならない。
画面の背景も黒基調なので、薄暗い館内で液晶が皓々と光って
周りの方々の迷惑になることもない。
そしてガイドが始まるまでの反応も速い。

今後、このシステムを導入している展覧会へ行った時には
積極的に利用してみようと思う。



前置きが長くなったけど、本題のガレ。

全体を通して、なんというか…どの作品にもどことなく陰があってダークな印象。
ただ明るくて華やかで綺麗、というのではなく、
ちょっと萎れかけた花であったり、どこかグロテスクな意匠であったり、
作品それぞれに、メッセージや思想みたいなものが込められている感じがする。

・花器「アザミ」
・水差「昆虫」
・瓢形植込鉢「鯉」
・皿「草花」
・模玉ガラス花器
・花器「蜻蛉」
・花器「かわせみ」
・昼顔形花器「蛾」
・花器「海底」
・大杯「くらげ」
・花器「おたまじゃくし」

ガラス作品ではこのあたりがお気に入り。

特に大杯「くらげ」は、個人的に「おぉっ!これはスゴイ!」と感動した。
まず、くらげという題材が普通じゃない(笑)。
器の外側から観ると、青黒いガラスに足の長いクラゲの群れが貼り付いている。
クラゲはプラチナ箔によってところどころオレンジ色に鈍く光っている。
なんだか暗い夜の海という感じなのだけど
展示ケースの反対側に回って、今度は器の内側から観てみると
器の向こう側から当てられた光によって、クラゲが金色に光って見えるのだ。

あまりにも美しいんで、展示ケースの周りを何度も何度もぐるぐる回ってしまった(^o^;。


不勉強ゆえ、アタシは「ガレといえばガラス」のイメージしかなかったのだけど
実は木工の家具も手掛けていた。
展示されている木工家具の殆どに寄せ木細工の技法が用いられているのが面白い。
ガラス工芸作品と比べると、寄せ木細工による表現は見た目には地味だけど、
ジッと観ているとその匠の技にタメイキが出る。
中でも「パネル『枝垂海棠』」は、
元々は何かの家具の一部だったのかも?とも言われているが
ちょっと日本の掛け軸風で、日本家屋の床の間にも似合いそう。


こうした工芸品を制作するにあたり、
ガレが描いた習作や植物のデッサンなども展示されている。
あたりまえなんだけど、これがまた巧い!。
ガレの視点は、日本画の花鳥図にも通ずるところがあって
なにやら日本人の心に響く。
ガレの旧蔵品として、宮川香山の鉢も展示されているのが面白かった。


それぞれのキャプションには「サントリー美術館蔵」とか
「オルセー美術館蔵」などと所蔵先も記されているのだけど、
その中に「ダルビッシュギャラリーコレクション」というのがあり
「ダルビッシュ…って、あのダルビッシュと何か関係が?」と思っていたら
やはりあのダルビッシュ有のお父上のコレクションらしい。


見応えもあって、素敵な展覧会だったのだけど
いかんせん、展示室内の空調(冷房)がキツ過ぎて寒いのなんの{{ (>_<) }}。
往々にして美術館というのは室温を低めに設定しているものなので
ちゃんとストールも持っていって羽織っていたりしたのだけどそれでも寒い!。
あまりの寒さに、展示の終盤はなんだかもう逃げるようにして出てきてしまった(^o^;。
(これからこの展覧会に出掛けようという形は、そのあたりの対策をお忘れなく…)。


自分土産はポストカード5枚。其一のチラシも!!!(≧▽≦)。
galle.jpg
しかし残念ながら、
一番のお気に入りだった「大杯『くらげ』」のカードはなかったのだった。




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《オマケ》
美術館のご近所なので、どんな感じのところなのか入口まで行ってみた。
…まだ閉まっていたけれども(^^;。
bbltokyo.jpg
ちなみに、本日の公演は稲垣(潤一)さん。


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コメント 6

えの

ビルボード、ラリー・グラハムが来ると毎度行ってます。今年も王子の翌週来るんですよ。
ラリーおじさんのチケットは今も絶賛発売中だというのに…。
by えの (2016-07-14 08:33) 

梅屋千年堂

>えのさん
ラリー・グラハム…渋いですねぇ。
えのさんの守備(趣味?)範囲の広さに脱帽です。
アタシ、ちっとも知らなかったんですが
ビルボードって、結構スゴイ人達が来てますよね(^^;ゞ。

by 梅屋千年堂 (2016-07-14 19:44) 

えの

ラリー・グラハムは、ダンナの趣味なのです。ブルーノートより、私はビルボードの方が好きです
by えの (2016-07-14 23:46) 

梅屋千年堂

>えのさん
話が逸れますが、ベーシストおよびビルボード繋がりで…

先程、先日行った小田さんのコンサートのパンフレットを
パラパラと眺めていたら、2014年にネイザン・イーストが
ビルボードでライブを行った時に、小田さんがゲスト出演したという記事があり
「ちっとも知らなかった…_| ̄|◯」と、項垂れたアタシです。

by 梅屋千年堂 (2016-07-14 23:59) 

こたろう

ガレ・・・、ステキですよね。
小さい頃、北澤美術館でみて、なんてステキな花瓶なんだろう(幼かったので知識はほとんどありませんでした(^^;;))思って以来、
好きな作家のひとりです。
なぜ、そのテーマをガラスの花器にする?と思うことが多々あるし、
どうやって作ったの?と想像力がかきたてられます。

ダルビッシュギャラリーコレクション?
しかし、さすが梅屋さん、やはり目の付け所が違いますね。
言われなければ、そんなこと絶対気がつきませんよ、私。
他にどんなのがあるんだろう。
あとで、ググってみようと思います。
by こたろう (2016-07-28 23:49) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
アタシなんてガレのことを知ったのは、かなり大人になってからですよ。
いやもう、つい最近と言ってもいいくらいです(^o^;。
でも、子供の頃や20代の頃に観いてても、
もしかしたらその良さや素晴らしさは理解出来なかったかも知れません。
なかなか「深い」ですからね〜。

ダルビッシュ父のコレクションを観ていると
なんだかクラクラしてきます…(笑)。

by 梅屋千年堂 (2016-07-29 21:20) 

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