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美の祝典 III.江戸絵画の華やぎ [EXHIBITION]

ついに最終章。

出光美術館開館50周年を記念して、4月から開催されていた『美の祝典』。
最終章のテーマは、アタシが最も楽しみにしていた《江戸絵画の華やぎ》。
歌麿・北斎の他、宗達・光琳・抱一・其一といった、
アタシの大好きな琳派の作品も多数展示。

そして、国宝『伴大納言絵巻』も下巻が展示されて、物語が完結する。
前回の中巻では、伴大納言に使える出納に、自分の子供が酷い目に遭わされたため
「応天門を放火したのは伴大納言である!」と舎人が暴露してしまい
危うし、伴大納言!というところで「TO BE CONTINUED」。

下巻では、舎人が連行されるところから始まり、
判官の取り調べを受けて、事の真相をすべて語ってしまう。
そして伴大納言を逮捕すべく伴邸に向かう検非違使、
主が逮捕され、泣き崩れる伴大納言の夫人と女官、
最後は連行される伴大納言…というシーンで幕を閉じる。

下巻では「伴大納言を逮捕しに向かう検非違使」の緊張感と
「逮捕した伴大納言を連行する検非違使」に漂う安堵感の対比が面白い。

また、感情を露わにして号泣する夫人と女官たちに対して、
逮捕・連行のシーンでは一切姿を見せない
(↑八葉車に乗った体の一部分が見えているだけ)
伴大納言その人の表情は観て取ることができず
絵巻を観ている者の想像に委ねられているところも
サスペンスドラマの終わり方としてもなかなか今風、なのである。

こんな風に、「次回展示に続く…」みたいな展示の仕方が
実にうまいなぁ〜(^o^;と思った。
長い絵巻物だからいっぺんに展示することが難しいというのもあるのだろうけど
どうしたって続きを観に行きたくなってしまう展示方法になっている。

第一章を観に来た人に、次回に使える割引券をサービスするのもナイスだった。



と、それはさておき
『伴大納言絵巻』が自分の中で完結してスッキリしたところで
次のセクションではいよいよ宗達・光琳・抱一・其一のお出まし。

まずは尾形光琳の『禊図屏風』。
「伊勢物語」の第六十五段「在原なりける男」の一場面を描いたもの。
光琳らしい大胆な構図。

そして俵屋宗達は
『伊勢物語 武蔵野図色紙』と『伊勢物語 若草図色紙』。

あとから出てくる酒井抱一の『八ツ橋図屏風』も
「伊勢物語」から取材したものとして有名だけど
帰宅してから「伊勢物語」の当該部分を改めて読んでみると
「あ〜、こういう場面を切り取った作品なのか」とか
「なるほど、こういう感情を表しているのか」などと
理解が深まって面白い。


宗達×光悦コラボものとしては『蓮下絵百人一首和歌巻断簡』を展示。
これは1月の展覧会《書の流儀》でも展示されていたけど、
やはり素敵なものは何度観ても素敵だ(*^^*)。

目に新しかったのは酒井抱一の『紅白梅図屏風』。
銀箔を敷き詰めた六曲一双の屏風の、右隻に紅梅、左隻に白梅が描かれている。
かの有名な『夏秋草図屏風』や『波図屏風』のように
抱一には銀箔を使用した特徴的な作品があるが、これもその一つ。
なんと言ったらいいのか、銀箔って夜とか月明かりとか曇天とか、
そんなものをイメージさせる。
金箔の華やかさとは違って、ちょっと物悲しい、暗い感じがする。

そしてなんと言っても一番素敵だったのが『十二ヶ月花鳥図貼付屏風』。
それぞれ独立して描かれた月次の花鳥図12枚を、六曲一双の屏風に仕立てたもの。
これがもう…酒井抱一の真骨頂。美しいのなんのって。
植物と一緒に描かれている鳥や虫たちも、愛情たっぷりに描かれている。

鈴木其一は『四季花木図屏風』と『秋草図』。
個人的には、小さな『秋草図』の方が好み。
岡田美術館で観た『秋の七草図』と同じ画題だけれども
そちらよりも空間が埋め尽くされて、野趣がある。

絵画以外では、デザインがモダンな原羊遊斎の『草花蒔絵四方盆』や
野々村仁清の『色絵鶏香合』『色絵鶉香合』
『色絵扇面散文茶碗』が素敵だった。


というわけで、自分土産は抱一の『十二ヶ月花鳥図貼付屏風』の
ポストカード12枚セットと、宗達の『伊勢物語武蔵野図色紙』、
宗達×光悦の『蓮下絵百人一首和歌巻断簡』、仁清の『色絵鶉香合』のポストカード。
hoitsu12month.jpg

idemitsu.jpg

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さぁ、次はどこから攻めるか…?!

『ポンピドゥーセンター傑作展』@東京都美術館
『ミケランジェロ展』@パナソニック汐留ミュージアム
『エミール・ガレ』@サントリー美術館
『ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち』@国立新美術館
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えすにっく

こんばんは。
不躾に申し訳ありませんm(__)m
夏イベのチケットって、そろそろお手元に届いていますでしょうか?

私宛には、まだ届いておらず、新幹線の早割切符が、今週土曜までとなっていて、少々焦っておりまして…。
申し訳ありませんが、ご回答よろしくお願いいたしますm(__)m
by えすにっく (2016-07-13 20:25) 

梅屋千年堂

>えすにっくさん
マニア会員である友人に便乗して申し込んでいるので
直接自分の所には届かないのですが、
まだ「届いたよ」という連絡はありません。
確かチケット発送は公演の約2週間前というようなことを
聞いたような気がするので(^^;、今週末くらいかな?と思っていますよ。
まともな回答になってなくて申し訳ありません。

by 梅屋千年堂 (2016-07-13 20:58) 

えすにっく

早速のご回答、感謝致します!m(__)m

まだ届いていないとの事、安心しました。アル友の中で参加する人がおらず、こちらでお伺いさせて頂こうと思いまして…。ありがとうございました!

10年ぶりに参加の予定です。
ついでと言っては何ですが、初めて(恥)東京の地に足を踏み入れてみようかと計画中であります!少々、緊張ぎみです(;^_^A

by えすにっく (2016-07-13 21:25) 

梅屋千年堂

>えすにっくさん
夏イベ10年ぶりですか!。
でも10年前というと、2006年のYOKOHAMA STAR-SHIPですよね。
10年前と言っても、なんだかすっごく最近という気がしてならないのは
アタシだけでしょうか…(^^;。

ついでの観光(?)もいろいろ楽しんでくださいねー。

by 梅屋千年堂 (2016-07-14 00:05) 

おーちゃん

美の祝典、Ⅲになってようやく行って参りました。
伴大納言っておもしろいんですね~。たくさんの登場人物がそれぞれ表情豊かだし、こことここは同じ人を描いてるのかな~とか。

抱一の十二ヵ月花鳥図貼付屏風は、私が抱一ファンになったきっかけの作品なんです(^^)再会できて大満足でした~!
by おーちゃん (2016-07-19 22:22) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
伴大納言絵巻は「国宝だし観ておくべ〜」くらいの気持ちで
観に行ったのですが、ストーリーも絵も面白くて
すっかりハマってしまいました(^^;ゞ。観ておいてヨカッタです。

抱一の花鳥図は本当に素敵ですよね。
「十二ヶ月花鳥図」シリーズもいろんな作品が存在しますが
アタシが抱一にハマったのはファインバーグ・コレクションの
「十二ヶ月花鳥図」がきっかけでした。
その他の「十二ヶ月花鳥図」もいつかこの目で観てみたいですね(*^^*)。

by 梅屋千年堂 (2016-07-19 22:59) 

おーちゃん

ファインバーグの花鳥図も素敵ですよね。こういうのを見ると、いつも「1枚だけもらうとしたら、どの月にしよう・・・」と勝手に品定めして悩んでます(^^;)

其一っちゃんも待ち遠しいですね。
by おーちゃん (2016-07-21 00:19) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
アタシは自分の生まれ月のにまず注目してしまいます。
(まぁ大体モチーフは同じなのですが^^;ゞ)。
いやぁ〜、こいうのを月替わりで床の間に飾ってみたいものですね。

まだまだ先と思っていた鈴木其一展も、
あと一月半ちょっとで始まってしまいますね。
前売り券も購入して準備は万端です。
早く「朝顔図屏風」に会いたーーーい!。

by 梅屋千年堂 (2016-07-21 00:57) 

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