SSブログ

カラヴァッジョ展 [EXHIBITION]

行ってから既に4日も経ってしまったカラヴァッジョ展。

場所は上野、国立西洋美術館。
caravaggio.jpg
ここに来る前に、日本橋で映画を観ていたので
まずは美術館内にあるカフェ・すいれんでランチタイム。

企画展に合わせた限定メニューが出ていることが多いので
今回もカラヴァッジョ展に合わせたものがあるかも?と
ちょっとワクワクしながら入ったのだけど
カラヴァッジョ展の限定メニューは
パルマ産(だったかな?)の生ハムだけだった…_| ̄|◯。

てなわけで、自家製カニクリームコロッケを注文。
kanicream.jpg
サラダとスープとパン2つ付き。
ま、フツーに美味しいカニクリームコロッケであった。
(ころもが焦げ気味なのが気になるが…^^;)。



満腹になったところで、鑑賞開始。

カラヴァッジョの絵を初めて見たのは
おそらく今から25年以上前『西洋絵画の主題物語』という本でだったかと思う。
その中の作品がどれも特徴的で、印象に残るものだった。
その数年後、当時の職場の先輩からのイタリア旅行土産として
カラヴァッジョの『果物籠』のレターセットをいただき
カラヴァッジョって、こんな静物画も描くんだ?!と
ちょっと驚いたことも憶えている。

カラヴァッジョ(1571-1610)のフルネームは
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。
ルネッサンスの巨匠と同じにして、大天使ミカエルに由来する名前の割に
不品行で喧嘩っ早く、挙げ句の果てに殺人まで侵して指名手配され
ローマからナポリに逃げ出して、そこでも数々のトラブルを引き起こし
最後はやっと恩赦が受けられることになりローマに戻ることになったが
その旅の途中で熱病にかかり、死んだらしい…というかなり壮絶な人生。

でも、画家の素行と作品の良し悪しはたいていの場合は関係なく
むしろそういう破天荒な人物が描いた絵の方が面白い、ということは少なくない。


カラヴァッジョの作品の大きな特徴は、画面の一方向から当てられた強い光。
それが作品に舞台芸術のようなドラマチックな効果を与え、
非常に強い印象を与えるものとなる。
そして感情表現が豊かで、描かれる人物がなまめかしく、
どこかエロチックでいかがわしい(^o^;。

個人的には、カラヴァッジョは好きな画家の一人で
ベルリンの絵画館で観た『アモルの勝利』が強烈に印象に残っている。
これも『西洋絵画の主題物語』で観たこのとある絵だったので
実物に出会えた感激はヒトシオだった。



カラヴァッジョの作品はこれまでもちょぼちょぼと日本に来たことはあるようだが
11点を一挙に公開するこの展覧会は、
日本では過去最高、世界的にも有数の規模、とのこと。

11展のうち、特に印象に残った作品は、

『果物籠を持つ少年』『バッカス』
トロンとした人物の表情、だまし絵のようにリアルに描かれた果物。


『ナルキッソス』
これも芝居の一場面を見ているよう
水面に映る自分の姿にくちづけをしようとする姿がせつない。


『トカゲに噛まれる少年』
タイトルを観るまで、なぜこの少年がこのような
「何かに怯えるような表情」なのかわからなかったのだが、
実は右手の中指を突然トカゲに噛まれて慌ててるところ…なのだ(^^;。
「イタタタタ!」とびっくりして慌てて手を引っ込めた瞬間なのはわかるが
何故か色っぽく片方の肩をはだけさせて、
しかもカメラ目線(カメラじゃないけど)なのが笑える。
そしておばさんパーマのような髪型が、
痛さの余り(?)逆立っているのもオカシイ( ̄m ̄)。
(こんなふざけた鑑賞の仕方でよいのだろうか…)。


『エマオの晩餐』
イケメンなイエスがパンに祝福を与える場面は
まるで芝居の一場面を観ているよう。


『メドゥーサ』
丸く盛り上がった盾に描かれた怪物メドゥーサ。
まるで盾に本物のメドゥーサの顔が貼り付けてあるように立体的に見えるので
思わず作品の横に回って、2Dであることを確認してしまった。
見ていると本当に石にされそうな恐ろしさ。


『洗礼者聖ヨハネ』
今回の一番のお気に入り。
寝起きで拗ねたようなヨハネの表情が他の作品とは異なる雰囲気を醸し出す。
2010年のボルゲーゼ美術館展でも、『洗礼者ヨハネ』が来ていて
おそらくこちらの作品の方が有名なのだろうけど、アタシは断然今回のヨハネが好き。


『法悦のマグダラのマリア』
長らく行方不明になっていたが2014年に発見され、なんとこのたび世界初公開!。
カラヴァッジョが亡くなったときに、その荷物に含まれていたものと言われている。
まるで死んでいるんじゃないかと思うような真っ白い肌に、下半身を覆う赤い布。
それらが限りなく黒に近い焦げ茶の背景の中に浮かび上がる。
恍惚とした表情はやっぱりなまめかしくていかがわしい。


展覧会では、カラヴァッジョの作品のみならず
資料として生前のカラヴァッジョの言動にまつわる文書も展示されていて
刀剣の不法所持や、バリオーネ裁判、食堂でウェイターにキレたエピソードなど
画家の素行の悪さがよくわかる(^^;。
というか、そういうところを抜粋して展示しているのだろうけど。

しかしその生涯は映画化されるほどのものなので
強ち偏見とも言えないだろう。

カラヴァッジョ~天才画家の光と影~【完全版】 [DVD]

カラヴァッジョ~天才画家の光と影~【完全版】 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2010/11/02
  • メディア: DVD


(つっても、この映画見逃しちゃったんだけど^^;ゞ)。



カラヴァッジョ11点の他は、
カラヴァッジョに影響を受けたとされる《カラヴァジェスキ》の作品が並ぶ。

やっぱりどれもカラヴァッジョの凄さには及ばないのだけれども、
印象に残る作品もあった。

オラツィオ・ジェンティレスキ(1563-1639)
『スピネットを弾く聖カエキリア』
他のカラヴァジェスキと比べると、光りも色合いも柔らかい。
横で譜面を見せている天使がうっとりとカエキリアを見つめていて
差し出してる譜面…それじゃ全然見えないと思うんだけど(^^;。


マッシモ・スタンツィオーネ(1586-1656)
『アレクサンドリアの聖カタリナの頭部』
斬首された首を描いた恐ろしい絵なのに、怖さよりも美しさが際立つ。


タンツィオ・ダ・ヴァラッロ(アントニオ・デンリーコ)(1580頃-1633)
『長崎におけるフランシスコ会福者たちの殉教』
なんだかこの絵、日本人が描いた洋画っぽいな、と思ったら舞台が長崎だった。
1597年、豊臣秀吉の命によって26人の信者が
長崎で磔にされたエピソードを描いたもの。
(長崎の西坂公園にある舟越保武作のブロンズ像が有名)。


バルトロメオ・カヴァロッツィ(1586-1625)『アミンタの嘆き』
画面左下に描かれた葡萄の房のリアリティがスゴイ。
人物よりも葡萄を描くことの方に気合いが入ってないか?と思ったら
ここだけ別の人が描いた…という説も。



ここのところ、ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、カラヴァッジョと
15世紀から16世紀のイタリアの巨匠の作品を立て続けに観てきたけれど、
時代を追う毎に、感情表現がどんどん豊かになっていくのがわかる。
そしてカラヴァッジョによって確立された、光と影の劇的な表現方法は
国は違えどレンブラントやフェルメールへと繋がって行くのだなぁ…と
最近観てきた展覧会が時系列で繋がって行くのを感じた。



最後は、お約束の「ショップでお買い物」

ポストカード4枚。
cards.jpg


それと展覧会オリジナルパッケージ入りの「ARAREnoRE」のアラレ3袋セット。
okaki.jpg
『女占い師』のパッケージに、素焼き、チーズペッパー、カマンベールの3種類。
素焼きはホンットーに〈素焼き〉で、塩味すらもついていない
まさに〈素焼き〉で、素材の味そのままという感じで…
味のないアラレはある意味新鮮な驚きあった(・o・)。
nice!(1)  コメント(6)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 6

こたろう

カラヴァッジョ、行かれたのですね!
強い光かぁ。面白そうだなぁ。
マグダラのマリア、観たいです!
下旬から始まる、博物館でお花見の時か、若冲展の時に、絶対ハシゴしようと思います。
その前に図書館にいる友達に勧められた、カラヴァッジョの本を借りなければ!
睡蓮、私もよく行きますよー。あそこのオムライスが好きで、いつも食べて幸せを感じてます。

もう一カ月前になりますが、山種美術館とワイン展に行ってきました。
いろいろな目の保養ができて、心の栄養が満タンになりましたぁ!
お江戸はいいなぁ。地方はこうはいかないもんなぁ。と改めて思った私です。
by こたろう (2016-03-05 23:44) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
春ツアーが始まる前に〜と行ってきました。
元々好きな画家なこともあり、見応えのある展覧会でした。
欲を言えば、もっといろんなグッズが欲しかった。
(って絵を観に行ってるんじゃないのか?)。

山種の「ゆかいな若冲〜」は結局行かずじまいでした。
(明日までなので無理すれば行かれないこともないけれども)。

今後、行きたい展覧会としてマークしているのは

『ガレの庭』@東京都庭園美術館
『俺たちの国芳 わたしの国貞』@Bunkamura ザ・ミュージアム
『PARIS オートクチュール』@三菱一号館美術館
『没後100年 宮山香山』@サントリー美術館
『国宝 燕子花図屏風』@根津美術館
『近代百貨店の誕生 三越呉服店』@江戸東京博物館
『ピクサー展』@東京都現代美術館

…であります。全部は無理だと思いますが…。
by 梅屋千年堂 (2016-03-06 00:18) 

こたろう

行きたい展覧会、情報をありがとうございます。
オートクチュールに呉服、ステキですねぇ。
自分は着られないけど、見ているだけで、その時代にタイムスリップできるんですよね。
あと、「メディチ家の至宝-ルネサンスのジュエリーと名画」
も惹かれています。
パールをつけていけば割引になるそうなので、ネックレスをつけていっちゃおっかな♪なんて思ってます。

根津美術館は季節を象徴しているので、今年こそは絶対行きたいんです。
そして、生家の根津記念館は、私と犬との散歩コースでもあります(^^)


by こたろう (2016-03-10 00:03) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
こちらこそ情報ありがとうございます。
「メディチ家の至宝-ルネサンスのジュエリーと名画」はノーマークでした。
アタシ、庭園美術館のカフェにも行ってみたいんですよ〜。
行くときには絶対にお腹空かせていきます(笑)。

根津記念館、なんだかとても雰囲気がいいですね。
こういった古い建築物も結構好きです。

by 梅屋千年堂 (2016-03-10 00:37) 

こたろう

カフェ!(o^^o)
THE ALFEEのLIVE等遠出をするときは、いつも、そこの美味しいものをチェックしていくんですが、美術館も美味しいお店が多いんですよね〜。
さっそく、予定を組もうと思います!

根津記念館は塀越しに見るだけですが、建物とお庭が素敵です。 …それしか見所がないんですけどね。
庭の高い木には、(たぶん)鷺の巣があって、犬と一緒に見上げてます。
そんな田舎の記念館です(^-^)

by こたろう (2016-03-12 12:53) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
初めての美術館を訪れる際には
必ずと言っていいほど「そこに素敵なカフェ・レストランはあるのか?」を
調査してから出掛けております(^^;ゞ。
いつも入りたいなぁと思いながら、敷居が高くてなかなか入れない
国立新美術館のブラッスリー・ポール・ボキューズ・ミュゼで
食事をするのが、ささやかな夢だったりします。

by 梅屋千年堂 (2016-03-13 02:00) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0