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箱根で琳派 大公開 第二部 [EXHIBITION]

去年の12月19日から始まった後期展示。

前期は「京都編」として、宗達・光悦・光琳の作品をメインに展示していたが
後期は「江戸・大阪編」として、抱一・其一・芳中らの作品がメイン。

抱一・其一の江戸琳派ファンとしては、
たとえ少しくらい遠くとも、そして少しくらい寒くとも
やはりここは押さえておきたい。
(無料招待券もあることだし←一番の理由はここ^^;)。

4月3日までやっているのだから、
なにもわざわざこんな寒い時期に行かなくても…という話もあるのだけど
2月に入るとジワジワとスギ花粉も飛び始めるので
花粉が飛び始める前に行っておこう、という考え。

前記事にも書いたように「もしかして客ってアタシだけ?!」と
ちょっと期待したのだけど、中に入ってみたら
自分よりも少し年配の夫婦連れの先客があった。

その方々もまだ来たばかりらしく、
1階の中国陶磁・青銅器、韓国陶磁の展示を見ているところだった。
アタシは前回来た時にそのへんはじっくり鑑賞しているので今回はスルー。
展示室を斜めにつっきって、エレベーターホールへ移動し2階へ。

2階は日本陶磁・ガラスの展示室なのだけど
ここの大きなガラスケースの中に
酒井抱一(1761-1829)の『月に秋草図屏風』と
鈴木其一(1796-1858)の『月次扇面図屏風』が展示されている。

ムフフ( ̄m ̄)、やっぱりここにはまだ誰もいない。貸切状態〜♪。

『月に秋草図屏風』は1年前に日本橋三越で開催された
《RIMPA 岡田美術館所蔵 琳派名品展》で観たけれど
『月次扇面図屏風』はおそらく初めて観たんじゃないかと思う。
1年12ヶ月の風物を扇面に描いたものを屏風に貼り付けたものなのだけど
これが嘘みたいに状態が良く色鮮やか。
どの扇面を取っても綺麗なのだけど、
個人的には10月の波と千鳥を描いた扇面がお気に入り。

このフロアでは、この2作品だけを(しかしかなりじっくりと時間をかけて)観て
今度は4階へ移動。ここが《箱根で琳派》後期展示のメイン会場。

わーいヽ(^。^)丿ここにも誰もいない。THE 貸切!。

「中村芳中と大阪琳派」から始まり
「江戸琳派と酒井抱一」「鈴木其一」「抱一・其一の後継者たち」
「乾山のやきもの」「近現代の琳派憧憬」という順序で進んで行く。

当然ながら三越での名品展で観たものが多く
酒井抱一『檜に啄木鳥・紅梅に鴛鴦図』
鈴木其一『木蓮小禽図』『名月に秋草図』
尾形乾山(1663-1743)『色絵卯花杜鵑図香合』『色絵春草文茶碗』
このあたりは「やっぱり好きだぁ〜(*^^*)」と目に留まる。

逆に三越で展示されている時にはほとんどスルーしていたのに
今回「あれ?これイイじゃないの!」と思ったのが
鈴木守一(1823-1889)『富士図屏風』。
抱一編纂の『光琳百図』の中に、これと同図の六曲の屏風が載っているので
それに倣ったものであろうということなのだけど
波、富士山の前にある緑の山の形、そこに生える松、など
琳派らしいデザイン性に富んでいて、なにやらとても今風。
富士山の左側にふりかけられた金砂子も効いている。

あとは神坂雪佳(1866-1942)の『兜に菖蒲図』。
これは「描表装」がスゴイ(◎_◎)。
描表装がスゴすぎて、主役の兜と菖蒲が目立たない(^^;。

描表装といえば、其一・守一の親子合作『月に秋草図』も素敵だった。
今回は描表装に限らず、掛け軸の表装も作品の一部なのだなぁと
感じさせられるものが多く、鈴木其一『秋の七草図』の本紙を取り囲む
うさぎ模様の裂地がかわいかった。


そして今回の展示で初めて観た作品の中で印象に残ったのは
中村芳中(生年不詳-1819)『扇面貼付屏風』。
芳中の絵はいつも長閑で楽しげだけど
この扇面の1つに描かれた鹿に寄りかかる寿老人なんて、もう殆ど漫画。
この時代にこのタッチ?!と驚いてしまう。


最後の「近現代の琳派憧憬」のコーナーに展示されていた
木村武山(1876-1942)『葦に鳥図屏風』。
六曲一双の巨大な屏風絵で、至近距離で観ていた時は
「うーん、この絵の良さがちっともわからん…(^^;」と思ったのだけど
そこから離れて、他の作品を観ている途中にフと振り返って
この作品に目を留めたら「あれっ?!すごくイイ!」。
近くで観るのと離れて観るのとでこれだけ印象が違う作品も珍しいと思う。



こんな感じで「ほぼ貸切状態」で、名品堪能。
このまま帰っても良かったのだけど、一応3階に降りて
その他の日本絵画の展示もダーッと流し見。
11月に行った時と、8割方同じ展示だったけれども
いくつか展示替えされている作品もあったので
あー観ておいてヨカッタ…などと思いながら、外に出た。


まぁ2時間くらいの鑑賞時間をみておけば十分だろうと
12時02分のバスに乗って小田原に戻ろうと思っていたのに
気が付いたらとっくに正午を回っていて
次のバスまでちょいと時間があったので、
ミュージアムショップを覗いて、敷地内をぶらぶら。
買い物はポストカードを数枚。
10_postcards.jpg
(注:木蓮図は其一ではなく速水御舟)。


寒いけど、天気が良いので日向は暖かい。
05_okadamuseun.jpg


なんだこれ?と近寄ってみた物体。
06_warabokko.jpg
「わらぼっこ」と言って、牡丹の苗木を寒さから守るものらしい。


庭園へ続く階段はこんな感じ。
07_okadamuseun.jpg


そんなこんなで小田原行きのバスに乗ったのは12時32分。
いやー、ヨカッタヨカッタ眼福眼福。
小田原から東海道線に乗って、
おとなしく帰途につ…かないのが梅屋千年堂なのだった(^^;ゞ。



《TO BE CONTINUED…続く》
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かりりん

冬の岡田美術館、雪の中の情景も風情がありましたね。
確かに風神様雷神様も、そこはかとなく寒そうです(笑)上着をお召しになってないからでしょうか?

ほぼ展示を独り占めできてよかったですね。しかしおとなしく帰途につかない梅屋さん…どちらに行かれたのでしょうか?気になります〜(*^^*)

先日岡田美術館に収蔵されたという若冲の「孔雀鳳凰図」、今年の展示にはどうやらご縁がなさそうですが、そのうち見てみたいものです。Webの写真だけでもすこぶる保存状態の良さが見て取れますので、実物をぜひこの目で見てみたいものです。

来月のINNOVATION CLASSICSの時に何か美術館に行きたいなぁ、と調べていたところ、梅屋さんも春ツアーまでに行きたい!と挙げておられた東京都庭園美術館の「ガレの庭」と、山種美術館の「ゆかいな若冲 めでたい大観」の二本立てで行こうかな、と画策しております(^_^;)

果たしてコンサートまでに間に合うのか、ちょっと自信がないのですが、いつも通り朝早くから移動して見に行きたいと思っています。
無謀でしょうか…f^_^;)
by かりりん (2016-01-23 21:21) 

梅屋千年堂

>かりりんさん
冬の箱根もなかなかよかったです。
2日前に(適度に?)雪が降ったせいで、このような風景が見られたのは
考え方によってはラッキーだったのかも知れません。

東京都美術館の若冲展、チャンスがないですか?
NHKホールのついでとか〜?と、日程を見てみましたが
ホントだ、NHKホールの前に終わっちゃってる(>_<)。
9月から岡田美術館で展示するそうですから、
じゃー秋ツアーでこっちにいらしたついでに
また足を伸ばしてみてはどうでしょうか(悪魔のササヤキ)。

INNOVATION CLASSICS&美術展2本立てですか!。
なにやら高尚で素敵な1日になりそうですね。
どちらもそれなりに駅から歩きますから、
疲れすぎないように気を付ければ大丈夫じゃないでしょうか。
アタシは…クラシックを聴いて睡魔に襲われないでいられる自信がないので
その日はたっぷり睡眠をとって体力温存した上で臨みたいと思います(^^;。

by 梅屋千年堂 (2016-01-23 23:14) 

かりりん

こんばんは。
あう〜、久々に梅屋さんの悪魔のササヤキが〜・°°・(>_<)・°°・。

そうなんです、5月は倉敷に参加した後はじっとガマンの月なのです。ここでガマンしておかないと、7〜8月に夏イベや高見沢さんソロがあった場合に行けなくなってしまいます…

9月も…おとなしく潜伏して秋ツアーに備える月なのですが、去年のように幸ちゃんがギター漫談なんてやっちゃったりすると、ガマンしきれず飛んで行ってしまう意志の弱い私。。。今年も何かあれば行っちゃうカモ…その時に小田原まで足を伸ばして…ハッ、いけませんいけません!悪魔のササヤキに耳を傾けては…(@_@)

コホン。
今日は私の家の周辺では雪はなかったのですが、外は冷凍庫の中にいるような寒さでした(~_~;)
普段は日中暖房しなくても大丈夫なのですが、今日は一日中ファンヒーターつけっぱなしで、それでも寒く感じるくらいでした。
明日の朝はもう電車が遅れるのは確実のようですから、早めに家を出て会社に向かいます。
ということでもう寝ますです。おやすみなさいませ…(-_-)zzz
by かりりん (2016-01-25 01:20) 

梅屋千年堂

>かりりんさん
朝の通勤、大丈夫でしたか?。
こちらはよく晴れましたがめちゃくちゃ寒かったです{{ (>_<) }}。
今も、いつもより1度高めの温度設定でエアコン入れ続けてますが
なかなか部屋が暖まりません(T^T)。

そして、他人様にササヤいている場合ではない事態発生(@o@)。
小田さんが春から夏をまたいで秋まで、全国ツアーをおっぱじめるらしいです!。
時期的にアルフィーのツアーや、あるかも知れない夏イベや王子ソロと丸被り。
いろんな意味でチケット取りに頭を悩ませることになりそうです(・_・;)。

by 梅屋千年堂 (2016-01-26 01:01) 

こたろう

梅屋さん、今頃コメントすみません。
岡田美術館、一度はやっぱり行くべきですよね〜。
貸切に近いなんて羨ましすぎます。
梅屋さんのレポをみて、ますます行きたくなりました。
今月は雪予報で、他県へ出るコトが出来なかったので、暖かくなる3月頃に箱根へのドライブ、計画しようと思ってまぁす。
by こたろう (2016-01-31 07:43) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
はい、「一度は」行ってみるとよろしいかと思います。
足湯、お庭、やたらと高いおうどんとチョコレート…
美術品以外でもいろいろ楽しめると思います(^^;。
ついでに向かいの小涌園でひとっ風呂、なんてのも良いのではないでしょうか。

アタシは花粉症が酷いので、暖かくなる前に行ってきましたが
桜の季節などもいいかも知れませんね。


by 梅屋千年堂 (2016-02-02 22:53) 

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