SSブログ

琳派と秋の彩り [EXHIBITION]

9月1日から山種美術館で始まった
『特別展 琳派400年記念 琳派と秋の彩り』。

《琳派》と聞けば、これは行かないわけにはいかない。
山種美術館のサイトで、展示概要を見てみると
宗達・光悦、(光琳はないのだけども^^;)乾山、抱一・其一と
アタシのツボにハマりそうな作品多数。
その他、琳派に学んだという近代以降の画家の作品や
秋にちなんだ作品も展示するということで、なんだかワクワク。
なにしろ、秋は1年の中でアタシが最も好きな季節だし( ̄▽ ̄)。


というわけで、約10ヶ月ぶりの山種美術館。
rimpa_aki.jpg
割とつい最近来たような気がしていたけど、去年の11月以来だった。

展示は3つのカテゴリーで構成されている。

第1章は《琳派の四季》。
俵屋宗達(生没年不詳)、本阿弥光悦(1558-1637)、
尾形乾山(1663-1748)、酒井抱一(1761-1828)、
鈴木其一(1798-1858)、などの作品がメイン。
ここで展示されている作品は、もうどれもこれも自分好みで
「スキ!」とか「イイ!」と思った作品を挙げていったら
殆ど全部を羅列することになってしまう(^^;。

そんな中でも「特に印象に残った作品」を挙げるならば…

・俵屋宗達・絵 本阿弥光悦・書『四季草花下絵和歌短冊帖』
 宗達が描いた四季折々の風物の上に、光悦が新古今集から選んだ和歌を書いた
 アタシが愛して止まない宗達×光悦コラボもの。
 去年の「輝ける金と銀」展でも観ているが、何度観てもやっぱり素敵(*^^*)。
 巻物や掛け軸ではなく、短冊という非常に限られた面積にもかかわらず
 宗達による下絵の大胆な構図や、光悦による絶妙な文字の配置が美しい。

・酒井抱一『飛雪白鷺図』
 枯れた芒の表現が素敵。鷺もカワイイ。

・尾形乾山『定家詠十二ヶ月和歌花鳥図』(二月)
 絵も文字も、乾山らしい素朴な筆遣い。

・酒井抱一『秋草鶉図』
 これも去年「輝ける金と銀」展に出ていた。
 鶉の羽根の描写が超絶!。
 写実的に描かれた鶉に対して、月や芒はシンプルに
 デザイン化されているところが琳派らしい。

・酒井抱一『月梅図』
 紅白梅の花びらの濃淡の付け方がとっても綺麗。

・酒井抱一『寿老・春秋七草図』
 三幅一対の掛け軸で、中央に寿老、右に春七草、左に秋七草。
 「秋七草図」の中の、朝顔の群青色があまりにも綺麗なので
 じーーーっと見つめていたら…あれ?!なんかキラキラ光っている。
 観る角度を変えるたびに、キラキラッ…キラキラッ。
 単眼鏡で拡大して観てみると、絵の具の顔料の中に
 何かラメ状のキラキラ光る物質(雲母かなぁ?)が混ぜてあるらしく
 それが輝いて見えるのだった。よーく観てみると、葉の部分にも使われている。
 これがホンットに綺麗で、もう絵の前を右へ左へ
 何度も行ったり来たりしてしまった(^^;ゞ。

・田中抱二(1812-1885)『萩兎図』
 田中抱二は酒井抱一の弟子の一人。
 日本画に出てくるウサギって、あんまり可愛くないのが多いんだけど(^^;
 この絵に登場する萩の花と戯れる2羽のウサギはとっても愛らしい。
 抱一の弟子の中でも、抱一の画風を最も忠実に継承した人物だけあって
 なんというか…すごく…抱一っぽい。
 添えられた和歌も良くて、これがあるとないとじゃ全然違う気がする。



第2章は《琳派に学ぶ》。
時代はビューン!とジャンプして、19世紀末〜20世紀の作品。
琳派の技法を継承しつつ、新しい表現にチャレンジしていった画家たちによる
秋を感じさせる作品を展示。

ここで「いいな」と思ったのは

・小林古径(1883-1957)『夜鴨』
 鴨の羽根に使われた青紫と黄色が効いている。
 夜の静寂の中、鴨が水面に降りてきて、
 次の瞬間には水面に映る月の影が壊される…って場面が想像できる。
 
・加山又造(1927-2004)『濤と鶴(小下絵)』
 宗達風の鶴軍団に目が回る。

・川﨑小虎(1886-1977)『晨』
 葦の葉に用いられた「たらしこみ」がイイ味。


第3章は『秋の彩り』。
ここまで来ると、もう琳派とかは関係ない(笑)。
山種美術館所蔵の「秋らしい作品」のオンパレード。

ここで「ヒャー!素敵!」だったのは

・東山魁夷(1908-1999)『秋彩』
 もう遠くから観て「あれ、東山魁夷じゃないか?」とわかるほどに東山魁夷。
 1枚1枚丁寧に描かれたと思われる、朱色と黄色の紅葉が美しすぎる。

・山口蓬春(1893-1971)『錦秋』
 『錦秋』という同じタイトルを持つ作品が2点展示されている。
 どちらも紅葉と小禽を題材にしていて、とても美しいのだけど
 アタシが特に惹かれたのは2羽のキセキレイ(かな?)が描かれている方。
 折り重なる紅葉の葉が、同じものはひとつとしてないくらいに
 一枚一枚描き分けられていて感動的。


いやー、眼福眼福(*^^*)。
大満足で全ての展示を観終わって、あとはミュージアムショップでお買い物。
rimpa_aki_2.jpg
ハガキサイズの素敵なクリアファイルが欲しかったので『秋草鶉図』のそれと、
山種美術館特有の、お手軽図録(と勝手に名付けている^o^;)(¥1,080)。
これホントに助かる〜。
他の美術展でもこういうお手軽図録を作って欲しいのだ。心底ホントに。

図録を買ってしまえば、ポストカードはそんなにはいらないので
宗達×光悦の『四季草花下絵和歌短冊帖』、
抱一の『秋草鶉図』『飛雪白鷺図』の合計3枚を購入。
宗達×光悦の『鹿下絵新古今和歌巻断簡』のポストカードは
確か持ってたよな〜と買わなかったんだけど
帰宅して整理してみたら『鹿下絵〜』は持っておらず、
『秋草鶉図』は前に買ってあった…。アホだ…アホ過ぎる…_| ̄|◯。


来月10日から京都国立博物館で始まる『琳派 京を彩る』の
チラシがあったので嬉々としてもらってきた。
そろそろいつ頃行くか、日程を真剣に考え始めねば。
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 2

こたろう

もー、梅屋さん、大感謝です。
今日の昼休み、私も山種美術館チェックしたばかりなんですよ〜。
こんなステキな数々の絵を一同に見られるなんて、素晴らしいですね。
魁夷や小虎もあるなんて、きゃー\(//∇//)\

来月に上京して、私も琳派の秋を堪能してこようと思います。
by こたろう (2015-09-19 00:41) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
なぜか光琳が1点もないという、若干不可思議な琳派展ではありますが(笑)
宗達×光悦コラボおよび抱一好きには眼福な展覧会であります。
近代の作家による作品も素敵なものばかりです。

山種は展示の数がちょうどよく、観終わった後にグッタリこないのがいいです(^^;
もぉーちょっと駅から近かったらなぁ…(散歩しながら…ってもオツですが)。

by 梅屋千年堂 (2015-09-20 00:34) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0