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特別展 栄西と建仁寺 [EXHIBITION]

『風神雷神図屏風』ハットトリック!。

東京国立博物館で開催中の『特別展 栄西と建仁寺』。
日本に禅宗を広め、京都最古の禅寺を開創した栄西の800年忌を記念して
栄西や建仁寺ゆかりの宝物を集めた展覧会。

正直なところ、栄西のことも建仁寺のこともあまりよく知らないのだが(^^;
俵屋宗達の『風神雷神図屏風』と海北友松の『雲龍図』
この2点が直に観られるというので「これは行かねば」なのである。
しかもだ、『雲龍図』の方は4月22日から5月6日の間のみ
左4幅・右4幅の両方をいっぺんに観ることが出来るのだ。

そんなわけで、東京国立博物館(トーハク)。
01_yosai&kenninji.jpg
写真には写ってないけど、入口右側にあるチケット売り場が
綺麗にリニューアルされていてビックリした。


トーハクと言えば、現在本館にて『特別展 キトラ古墳壁画』も開催中。
時間的に余裕があればこっちも観ていきたいな、と思ったんだけど…
うわっ、スゴイ行列!。
02_yosai&kenninji.jpg
正午現在の待ち時間は30分だって!(◎_◎)。
更に『栄西と建仁寺』を観終わって出てきた14時頃は50分待ちになっていた。
今日は絶対ムリ!!!_| ̄|◯。
でも5月18日までだからなぁ…1ヶ月もないんだよなぁ。
観に行ってる時間が取れるかどうか、ビミョー…。


もとい、『栄西と建仁寺』はお馴染み平成館。
03_yosai&kenninji.jpg
こちらはほどほどな混み具合。
ちなみに、この展覧会では「栄西」は「えいさい」ではなく「ようさい」と読む。


展示の前半は「禅院の茶」「栄西の足跡」「建仁寺ゆかりの僧たち」がテーマで
それはそれは膨大な展示点数なのだけど、
それをひとつひとつじっくり観ていくと、肝心なところで疲れ果ててしまうので
このあたりは軽くスルー。

「近世の建仁寺」という展示コーナーあたりからじっくり鑑賞。
まず、この「近世の建仁寺」コーナーに、海北友松の『雲龍図』がある。
展示室の横一面にバーン!と展示された阿吽の龍は、さすがにド迫力。
やっぱりこれは、いっぺんに両方観なくちゃダメだ。
どちらの龍も背びれのうねり具合が妙にリアルで
暗雲を纏った体をよじらせながら、今にも画面から飛びだしてきそうだ。
架空の生き物、しかも墨一色で描かれているのに、
角や鱗の質感も凄いリアリティ。
そしてその表情は、恐ろしげでもあるけどよーく見ると結構コミカル。
何がおかしいって、龍の鼻の穴から鼻毛が伸びてるとこがもう!(^o^;。


次なる目的はいよいよ俵屋宗達『風神雷神図屏風』なんだけど
これがなかなか出てこない…。さては一番最後だな?。
『雲龍図』と『風神雷神図屏風』の他は
さして観るべきものはないかな〜と思っていたのだけど
その間に展示されていた
・毘沙門天像
・長谷川等伯『松に童子図屏風』
・伊藤若冲『雪梅雄鶏図』
このあたりの作品はとても印象に残った。

そして、やっぱり最後の最後に登場した国宝『風神雷神図屏風』。
見得を切っているような雷神のポーズ、
たった今「ハイどーも」と現れたような風神のユーモラスな顔と動き。
「たらしこみ」という手法で、墨と銀を使って描かれた黒雲。
そして二神の間の空間。ずっと観ていても飽きない。


で、このたびこの展覧会を訪れたら、その足で是非観ておきたいのが
同じトーハクの本館2階に展示されている、尾形光琳の『風神雷神図屏風』である。
『栄西と建仁寺』の特設ショップで買い物をした後、
宗達の『風神雷神図屏風』のイメージがまだ色濃く頭の中に残っている内に
早足で本館2階のギャラリー7へ。

お〜、あったあった。
ふーん…製作年代が新しいせいもあるだろうけど
光琳の方は全体的に色鮮やかな感じ。その差は特に風神の体の色で顕著。
宗達の風神の色の方が個人的には好きだけど
でもきっと宗達の風神も元はこれくらい鮮やかな緑色だったのかも知れないな。

おもむろに、さっき買ってきた宗達のポストカードを取り出して
二つの風神雷神を見比べてみる。

絵が画面からはみ出しちゃってるところや雲の躍動感からすると
宗達の方が迫力はある。光琳のはいい意味でこぢんまりとまとまってる感じ。

二作品の、風神雷神の目線が異なるというのは割と有名な話で
宗達の二神は違う方向を観ているのだけど
光琳の二神はお互いを見つめ合っている。



光琳の『風神雷神図屏風』を観た後、トーハクの常設ショップで
これまたポストカードを購入し、お次は東京丸の内の出光美術館へ。

実は出光美術館でも、現在開催中の『日本絵画の魅惑』という展覧会で
『風神雷神図屏風』が展示されている。

こちらは琳派の流れを汲む酒井抱一の作品。
Wikiによれば、酒井抱一の『風神雷神図屏風』は、
尾形光琳のそれを模写したもので、
抱一は宗達の『風神雷神図屏風』の存在を知らずに、これを描いたらしい。
なので、当然のことながら宗達のものよりも光琳のものに酷似している。

アタシは酒井抱一の作品は基本的に好きなのだけど
この『風神雷神図屏風』はアタシの好きな抱一とはちよっと違うなぁという印象。
まぁ模写だからね〜ってこともあるけど
当時、光琳の描いたものをじっくり観察する環境がなかったらしく
それならばこんなものかも知れないなぁと、勝手に納得するのだった(笑)。

ここでもポストカードを買って、帰宅後じっくり眺めてみる…。
いずれも部分的だけども、

俵屋宗達
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尾形光琳
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酒井抱一
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全部並べてみる。
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本当はもう一つ、琳派の流れを汲む『風神雷神図』を、
今、東京で観ることが出来る。
酒井抱一の弟子・鈴木其一の『風神雷神図襖』。
なんだけども、東京と言っても八王子の東京富士美術館。
さすがに八王子までは行ってられないので、今日のところはこれにて終了。
でもいっぺんにこれだけの風神雷神図を観られる機会ってのも
あんまりないんじゃないかなと思う。

出光美術館の『日本絵画の魅惑』では
5月9日からの後期展示で、酒井抱一の『八つ橋図屏風』が展示されるのだけど
一方根津美術館では、尾形光琳の『燕子花図屏風』も5月18日まで展示中。
美しいカキツバタを描いたこの2作品も、
是非とも2館をハシゴして鑑賞したいものである。


最後に、風神雷神ポストカードシリーズ以外の本日のお土産。
08_souvenir.jpg
抱一の『八ツ橋図屏風』ポストカードと、友松の『雲龍図』ポストカード、
それと『雷神図屏風』のLED付きルーペ、
『雲龍図』と『風神雷神図屏風』のチケットファイル。
ちなみにチケットファイルは、THE ALFEEのメモリアルチケットも
サクッとおさまってイイ感じ(笑)。
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かりりん

こんばんは。

今頃なのですが、先月箱根の岡田美術館へ行った際のレポを書かせて頂いた中で、一点お話ししていなかったことがありました。

例の厳重なセキュリティチェックの後展示室へ向かう途中に、中庭に面した壁が総ガラス張りの長い回廊に出ます。
そこは天井も高く、中庭と反対側の壁には何やら金色に光るパネルが壁全体を覆っているのですが、なんせ回廊自体が細く長いのと、天井が高いので最初何が書かれているのかまったく「?」でした。
でもよく見ると・・・「ん・・・?風神様?」

そうなんです、そこには俵屋宗達の「風神雷神図屏風」を縦12メートル、横30メートルのスケールで再現した福井江太郎氏の「風・刻(かぜ・とき)」と名付けられた巨大な壁画がありました。

とにかく大きくてその回廊で見ていても首が痛くなるばかりなので、どうやって鑑賞するのかと思ってましたら、実際は美術館の外に出てガラス越しに鑑賞する作品のようです。中庭を挟んで美術館の対面が高くなっていて足湯場が設けられており、そこから見るのが正しい見方とのことでした。

後で外に回って見てみましたところ、確かに迫力はすごくあるのですが、やっぱり遠目なのといかんせんガラス越しなので、私としては直接目に触れるところで鑑賞したかったなぁ、という印象を受けました。
全体はよく見えるのですが、足湯場だと離れ過ぎかなぁ、と。せっかくの風神様・雷神様をもう少し近くでも見てみたい。。。とワガママな感想を述べてみたり。

でもこれだけ大きな「風神雷神図屏風」はなかなかないと思いますので、「深川の雪」を見るついでに一度ご覧になってはいかがでしょうか?(悪魔のササヤキ)

「深川の雪」、もうすぐ展示期間、終わってしまいますしねぇ。。。ほんとに色鮮やかでキレイでしたよ。。。(ダメ押しのササヤキ)

by かりりん (2014-05-21 00:49) 

梅屋千年堂

>かりりんさん
以前、岡田美術館のサイトを観たときに
なにやら巨大な『風神雷神図』の画像があって
なぜここにこれが?と不思議に思っていたのですが
なるほど、そういう「作品」なのですね。

う〜ん、『深川の雪』、観に行かなくてはーーーと思ってはいるのですが
じゃぁいつ行くの?今でしょ!ってワケにもなかなかいかず…
でも今を逃すと次に観られるのはいつだかわからないし…
せっかく箱根へ行ったら他も観てきたいし…
と、ウダウダ言ってるうちに時間はどんどん過ぎていってしまいますね(^^;。
行くとしたら6月の上旬かなー。

by 梅屋千年堂 (2014-05-21 22:00) 

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