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ラファエロ展 [EXHIBITION]

昨日行ってきた展覧会。

とにかく美しい!。

3月2日から国立西洋美術館で始まったばかりのラファエロ展。
日本にいながらにして、27点ものラファエロ作品が観られるなんて
ちょっと夢のようである。
これは絶対に行かねばと、前売り券も購入して準備万端。
6月2日までという、比較的長い会期の中、いつ頃行こうかと考えていたけれど
4月以降はまたいろいろと忙しくなるので(笑)
早めに行っておくことにした。

とはいえ、始まって1週目。
きっとかなり混んでいるのだろうなぁ…。
傾向としてこの手の展覧会は11時〜13時くらいが混雑するようなので
その時間帯は避けて、15時過ぎにくらいに上野到着。
raffaello.jpg
中に入ってみると、思っていたよりもずっと空いていた。
もちろんガラガラというワケではないけれども。

入って一番最初に観客を迎えるのは若き日のラファエロの自画像。
美術番組や美術誌などでお馴染みの自画像なのだけど
今から500年近く前に描かれた絵が、
しかもウフィツィ美術館からやってきたということが
なんだかにわかには信じがたく、「本物だよねぇ?(^^;」なんて思ってしまった。

展示は4つのセクションに分かれている。
I. 画家への一歩
II. フィレンツェのラファエロ
III. ローマのラファエロ
IV. ラファエロの継承者たち

目玉はなんと言っても、
フィレンツェのパラティーナ美術館からやってきた『大公の聖母』。
その美しさときたらもう感涙もの。
場内が混雑していたらこの絵には近づけない(遠巻きに観るだけ)かな〜と
思っていたのだけど、ちょっと待っただけで至近距離で観ることができて感激。

『大公の聖母』の背景は真っ黒なのだけれども
近年のX線調査によれば、元々は窓のある室内空間が描かれていたのだそうで、
背景の黒は後世に塗りつぶされたものだとのこと。
こういう場合、大抵は「余計なことをしやがって(-_-;」となるところだが、
この作品に関して言えば、黒に塗りつぶして正解に思える。
(ラファエロさんには申し訳ないけども^^;ゞ)
背景に何も描かれていないことで、
作品の中になんとも言えない静けさが流れていると思うのだ。

マリアにもキリストにもちゃんと光輪が描かれているけど
その表情は優しくて親しみやすく、それでいて神々しくて
心から美しくて素敵な絵だなと思う。

この作品の持ち主であったトスカーナ大公フェルナンド3世は
自身の亡命中も肌身離さず、生涯にわたって寝室に飾っていたそうだけど
実物を観て、その気持ちがものすごく理解出来た。


『大公の聖母』に次いで印象に残ったのは
ラファエロがまだ10代の頃に描いたという天使の絵。
タイトルもまんま『天使』。
天使の顔のアップだが、これも元々は大きな祭壇画の一部。
画風にはまだラファエロらしさがそれほどないけれど
天使の表情は、微笑んでいるけど少し憂いを帯びている。
でも若さがあってどこかかわいらしい。

それと『ムーサの頭部』という素描。
ササッと描いたように見えるけれども、よーく観ると物凄く緻密。
大きな作品のための部分的な習作のようだけど
これだけでも立派な名作。
モデルになった人物がいるのかどうか分からないけど
とても美しい人物なので、ずっと観ていたい気分にさせられた。

作品の意外な小ささに驚いたのが
『聖ゲオルギウスと竜』、そして『エゼキエルの幻視』の2点。
特に『エゼキエルの幻視』は、これまでいくつかの画集などで観てきたが
その画題の壮大な感じからしてきっと大きな作品に違いないと思っていた。
縦1mくらいはある作品なのではないかと。

ところが実物は40.7×29.5cm。ちっさ!。
失礼ながら、これも観た瞬間に
「ホ、ホンモノだよねぇ?レプリカじゃないよねぇ?(^^;」。
こういうことがあるから、やっぱり芸術品は実物を観る必要があるんだよね。


最後のセクションでは、《ラファエロの継承者たち》と題して
ラファエロの弟子や、影響を受けた画家の作品や
ラファエロの作品をモチーフにして作られた工芸品などが展示されているが、
それらはラファエロの素晴らしさを際立たせるばかりで、
ちょっと気の毒な感じすらした。

ラファエロ、37歳という若さで亡くなってしまったけれど
もしもっと長生きしていたら、いったいどんな作品を残していたんだろう。
このままの作風で突き進んだか、あるいは全く異なる展開を見せたのか。

先週観に行ったエル・グレコとラファエロとは
数十年の隔たりがあるが、その作風にはそれ以上の開きがあるように感じられた。
同時代の画家の作風と比べてみても、エル・グレコがいかに斬新だったかが分かる。

エル・グレコとラファエロ、どちらも好きだけど
どちらがより好きかと訊かれたら、ラファエロかな。


グッズはポストカードに各種クリアファイル、一筆箋、ストラップ、
ミラー、マグネットなど定番商品ばかりだけど
ポストカードのクオリティが高かったので、思わず数枚購入。
raffaello_goods1.jpg
右上のマッチ箱みたいなのはチョコレート。

《天使》のマグネットがあったら絶対買おう!と思っていたのに
残念ながらマグネットのラインナップの中に《天使》はナシ。残念。

それと、これはイイ!と思ったのが「ミニ図録」。
通常の図録が¥2,800なのに対して、こちらは¥1,200。
サイズもポストカードより一回り大きい程度。
出品全作品の画像と、主要4作品の解説付き。
「どんな作品が来てたっけな〜」と思い出すにはこれで十分。
こういった手軽なミニ図録を、今後もいろんな展覧会で出してくれたらと思う。


更にラファエロ×ロディのコラボグッズ。
raffaello_goods2.jpg
こちらもいろいろあったけど、
購入したのは切手付きポストカード3枚組と、チケットホルダー。
このチケットケースがねぇ〜、もうあと1mm横幅があれば
THE ALFEEのメモリアルチケットが入るんだけどねぇ〜(笑)。
ま、それが入らなくとも旅先で入った美術館・博物館・神社仏閣などの
チケットを入れるには丁度良いサイズなので、いろいろ活用できそうだ。


それにしても今年はこのあとルーベンス展もあるし
レオナルド・ダ・ヴィンチ展もあるし、
秋にはミケランジェロ展もあるんだってね〜。
巨匠大挙だな、こりゃ(@o@;)。



美術館の外に出ると、夕暮れの中いつものようにこの人が考えていた。
thinker.jpg
(PhotoShopで少々いじくっております)。
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dezire

こんにちは。
私もラファエロ展に行ってきました。
いろいろ勉強させてもらいながら楽しく読ませていただきました。
日本で初めてラファエロ展ということで期待していきましたが、
初期から中期の作品までこれぞラファエロという美しい作品が来ていましたね
「大公の聖母」は初めて見ましたが、その瀬疎な美しさに心を奪われました。

私はラファエロの美術の変遷を整理しながら
ラファエロ展の名品について書いてみました。
よろしかったら、ぜひ一読してみてください。
ご感想、ご意見などどんなことでも結構ですから、
ブログにコメントなどをいただけると感謝致します。


by dezire (2013-04-02 16:21) 

梅屋千年堂

>dezireさん
初めまして、ようこそいらっしゃいました♪。
『大公の聖母』を筆頭に、美しい作品がたくさん来ていましたね。
先程dezireさんのブログも拝見させていただきました。
読み応えのある記事に感服いたしました。

by 梅屋千年堂 (2013-04-02 22:28) 

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