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エスターハージー王子の冒険 [READING]

それはウィーンの貴族出身のウサギ王子の嫁探しの物語。

エスターハージー王子の冒険 (児童図書館・文学の部屋)

エスターハージー王子の冒険 (児童図書館・文学の部屋)

  • 作者: イレーネ ディーシェ
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 1999/10
  • メディア: 単行本


由緒あるエスターハージー伯爵家。
繁栄に繁栄を重ねていたが、それゆえ食べ物が贅沢になり
野菜を摂らずにチョコレートやケーキばかり食べていた。
それが原因で、いつのまにかエスターハージー家のウサギは
揃いも揃って小柄なウサギばかりになってしまった・・・。
これではいかん、みんなよその国へ行って
体の大きなお嫁さんを見つけてくるんじゃっ!という
エスターハージー家の当主の命により、
当主の孫達はこぞって嫁探しの旅に出る。

このお話は、エスターハージー家で一番年少の
ミヒャエル・パウル・アントン・マリア・エスターハージー殿下・
サラダの王子12792世・ニンジン河の王・エンダイブ岩の王・
パセリ山の王・・・(以下略&以下エスターハージー王子と呼ぶ)
が、その嫁探しで訪れたベルリンでの出来事を描いたものである。

舞台がベルリン?!と聞いただけで、なんだかちょっと心が躍る。
更にエスターハージー王子が、ベルリンに旅立ったのが
1989年の春だというから「むむむ???」なのである。

明け方にツォー駅に到着し、クアーフュルステンダム通りを歩き、
カイザー・ヴィルヘルム教会の横を通り過ぎるエスターハージー王子。
あぁ、あそこを小さなウサギが歩いているワケね、と
自分も歩いたことのある道なだけに、実にイメージが湧きやすい。

ちょうどイースターの時期だったために、掴まってペットショップで売り飛ばされて、
(でもこのペットショップで、お嫁さん候補のミミと出会う)
ちょっと意地悪な女の子のいる家で暮らしたり、
そこから逃げ出してK・・・デパートで、イースターのウサギのアルバイトをしたり、
(ベルリンのKデパートと言えば・・・あそこか?)
気のいいパン屋の家族にお世話になったり・・・。
冒険と呼ぶには地味なエピソードばかりだが
世間知らずのウサギの王子様にとっては立派な冒険なのだろう(^^;。

伯爵であるおじいさんウサギから、
「ベルリンのウサギは壁の向こうにたくさんいる」
と訊かされていたので、
最終的にベルリンの壁へ向かうエスターハージー王子。
そこにはホントにたくさんのウサギが暮らしていて、
晴れてそこでミミとも再会。

なんで、ベルリンの壁のそばに
そんなにたくさんウサギがいるのさ???と怪訝に思ったのだけど
実際のところ、壁崩壊前の東側の壁の周りは警備が厳重で
人間はもちろんのことオオカミもネコも通さない
まさに小動物のパラダイスだったのだそうだ。
その上、見通しを良くするために草地にしてあったため
そうした小動物の天敵が姿を隠す場所もなかったらしい。

で、その草地でしばし平和に暮らしていたエスターハージーとミミ。
ところが、秋も深まったある真夜中、
ウサギたちの住む洞穴が崩れるのではないかと思われるほどの騒ぎが起こる。

そう、あの、ベルリンの壁・崩壊の瞬間だ。

住まいを追われたスターハージー王子は腹を立てて言う。

「じょうだんじゃないよな。
 人間たちってなんて自分勝手なんだろう。
 壊すなら、最初から壁なんて作らなきゃいいのにさ」


・・・挿絵目当てに買った本が、
実はベルリンの壁・崩壊を目の当たりしたウサギの王子の話だったとは。
とはいえ、エスターハージー王子は政治的なことなどサッパリなので
彼にとっての壁は「なんじゃこりゃっ(怒)」という存在でしかない。
でも、この「なにこの壁、意味ワカンネ」的な
エスターハージー王子の思いが、
実は壁の本質を物語っていたりなんかして?。



ベルリン郊外の野原に逃れたエスターハージー王子とミミは
そこで子宝にも恵まれてしあわせに暮らしましたとさ、
というところでお話はオシマイ。

ただカワイイだけのウサギのお話だとばかり思って買ったので
物語の中でいきなりベルリンの壁・崩壊の場面に出くわすとは
ちょっと意外な展開であった。


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豹柄のパンツ(人間用)を穿いて
鏡の前で「ふふんふんふん」とポーズをとる場面が最高(^▽^)。
esterhazy.jpg
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コメント 2

はぴまる

ヒョウ柄のパンツで鏡の前でポーズ♡
ozyはヒョウ柄がお好き?な所は似ていて、ちょっぴり笑っちゃいました。エスタ—ハ—ジー王子に、フライングvを持たせてところも想像してみました。



by はぴまる (2009-09-21 07:10) 

梅屋千年堂

>はぴまるさん
エスターハージーがご厄介になったおうちのパパが
新しい豹柄のパンツを穿いているのを目撃し、
「(野性的で)かっこいいなぁ」とすっかり魅了されてしまった
エスターハージー王子なのでした(笑)。
エスターハージー王子が、ステージ上でギターを弾く高見沢王子を見たら
やはり「かっこいいなぁ」と魅了されてしまうことでしょう。
そしてこっそり楽屋に忍び込み「ふふんふんふん♪」と
鏡の前でゴージャスな衣装を羽織っているかも知れません。
(・・・それじゃまるで桜井さんだ笑)。

by 梅屋千年堂 (2009-09-22 00:58) 

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