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超絶技巧、未来へ!【2】 [EXHIBITION]

(前記事のつづき)

再び茶室の前を通り、次の展示室へ。
細長い展示室のガラスケースには花瓶や小箱、茶器などの工芸品が
明治、現代取り混ぜて展示されている。

ここで「いいなぁ!」と思ったのは樋渡賢の2つの棗。
ひとつは『蒔絵細棗「月下蝙蝠」』、もうひとつは『羽根蒔絵大棗』。
『蒔絵細棗「月下蝙蝠」』の方は、蝙蝠と三日月の構図が物凄くカッコイイ。
『羽根蒔絵大棗』は蒔絵筆の筆先に出た1本の毛先で描いたという
羽毛の細い線!これぞ真の超絶技巧!そんな感じだ。

明治工芸では濤川惣助の七宝細工。
『梅月図小箱』や『菖蒲図大皿』は、
あえて輪郭をはっきりと描かない絵柄から
やわらかな空気感が伝わってくるようだった。

その工芸品の向かいに展示されているのが
青木美歌『あなたに続く森』。
吹きガラスとバーナーワークを駆使して制作された妖しくも美しい作品。
キャプションを見ると青木美歌(1981-2022)とある。
昨年41歳の若さで亡くなっているのだ。
少し気になって調べてみたところ、昨年6月にご病気で無くなられたようだ。

その青木美歌の作品が、独立した小さな展示室に飾られている。
21_between.jpg
『あなたと私の間に』。

照明の当て方もかなり工夫されていて、もはやここだけ異世界。
22_between.jpg


23_between.jpg
美しいなぁ…と見惚れつつ、
「こんな繊細なのどうやって運んできたんだろう」とまた考えてしまう。


最後の展示室は、明治工芸がメイン。

漆工のコーナーには「柴田是真」の名が。
えっ?!柴田是真って日本画家だと思っていたけど、漆工家でもあったんだ。
柴田是真/池田泰真/庄司竹真による『月秋草虫蒔絵菓子器』は
黒塗りの漆に描かれた満月と芒とキリギリスがとても風流。


木工で印象的だったのは、米原雲海『月』。
おじいさんが月を見上げているという主題なのだけど
面で削り取られたおじいさんの顔を観ていたら、
夏に『ガウディとサグラダ・ファミリア展』で観た
ジュゼップ・マリア・スビラクスによる〈受難の正面〉の
キリストの彫刻を思い出した。
単なる偶然かも知れないけれど、ガウディと米原は同時代を生きた作家だった。


これは泉亮之の『蛇纏髑髏』。
24_hebimatoi.jpg
河鍋暁斎にこんな感じの絵があったような…。
元ネタはあれなのか?と思い、帰宅後に調べてみたら
河鍋暁斎は『髑髏と蜥蜴(トカゲ)』だった(^o^;。


元ネタといえば「これは面白い!」と思ったのが
現代作家の彦十蒔絵 若宮隆志による『草花研ぎ出し蒔絵 渡辺省亭図引用』。
渡辺省亭の『牡丹に蝶図』を黒漆の水注に描いたものなのだけど
絵の中の蝶は、二次元の世界から飛び出して
水注の蓋に留まっているという、クスッとなる仕掛け。


最後は『鳩の親子』でほっこり。
25_dove.jpg
無銘、つまり作者不詳。


26_dove.jpg
かわいいね。床の間に飾ったら平穏な気持ちになれそうだ。


いや〜、見応えあったねぇ〜!。
単眼鏡を忘れたのは失敗だったけど、単眼鏡持ってきてたら
いちいちじっくり観察しすぎて全部観るのに2時間以上かかってしまったかも。

ミュージアムショップで少しだけ買い物をして
さてそろそろ退散するべ〜と思ったら、
エントランスに展示されていたのに入る前にすっかり見落としていた作品発見。
28_visible01.jpg
本郷真也『Visible 01 境界』

本郷の作品は展示室内に『円相』という2頭の「自在」の龍があったけど
これは実物大の烏を鉄鍛金という技法を用いて作ったもの。
29_visible01.jpg
なんと、外からは見えない内部の構造つまり骨や筋肉から作り、
その上に羽を1枚1枚重ね付けしていったとのこと。
背後に設置されたモニターでは、作品をCTスキャンした映像を観ることができる。
…これ、軽やかに羽ばたいているように見えるけど
実際はとてつもなく重いに違いない(^^;。


ミュージアムショップで買ったのは、展示とはまったく関係のない
起こし文はがきと3Dペーパーパズル。
27_souvenir.jpg
「起こし文はがき」についてはコチラをご覧下さい。
ペーパーパズルは組み立てたらお正月に玄関に飾ろう。

別に美術館じゃなくても買えるんだけどね(^^;ゞ。


あ、そうそう。これは覚え書き。
入館料を払う際に、メインて使ってるクレジットカードで支払おうとしたら
なぜか機械が反応せず…(-_-;。
仕方がないから「じゃぁこっちのカードで」とエムアイカードを提示したら
「あ、エムアイカードでしたら300円の割引きになります」ですって!。
よく考えたらそらそうだ、三井一族だもんね(笑)。
…憶えておこう。




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《おまけ》
三井記念美術館のあとは、
お天気もいいので散歩がてら徒歩で神田明神へ。
kandamyojin.jpg
御礼参りの用件を果たすため。

久々に神馬のあかりちゃんに会っていこうと思ったら、残念!お散歩中でお留守。
ただ、境内を散歩する後ろ姿をチラッと見掛けることはできた。

お詣りのあとは、Cafe masumasuで遅い昼御飯。
porkginger.jpg
ポークジンジャー(神社)。
すなわち豚の生姜焼き。やわらかくて美味しかった(*^^*)。
コメント(3) 

コメント 3

溺愛猫的女人

青木美歌さんの作品展が開催されたら、ぜひ行ってみたいなと思います。
by 溺愛猫的女人 (2023-11-05 11:55) 

YAYOI

>「あ、エムアイカードでしたら300円の割引きになります」ですって!。

マジですか!
軽くショック…_| ̄|○
今度三井と名の付いた所ではエムアイカードを使うよう、心のメモに刻んでおきます。
by YAYOI (2023-11-05 14:01) 

梅屋千年堂

>溺愛猫的女人さん
青木美歌さんの作品は、他の超絶とは完全に趣を異にしていましたね。
アタシもいつか、青木さんの作品をまとめて観てみたいです。




>YAYOIさん
チケットカウンターに掲示されているわけでもなく
美術館の公式サイトにも載っておらず…
(後で見たらエムアイカードのサイトには載っていましたが)
たまたま出したら「割引きになります」って。
美術館の公式サイトにも掲載しておいて欲しいですよね(^^;。
ちなみに割引額は展覧会によって異なるようです。

いつか行きたいと思っているアートアクアリウム美術館GINZAも
エムアイカードの割引きがあるのかな?と
調べてみましたが、こちらの割引きはないようです(ちぇっ)。

by 梅屋千年堂 (2023-11-05 21:10) 

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