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虫めづる日本の人々 [EXHIBITION]

8月9日に観てきた展覧会・其の二。

国立新美術館から程近い東京ミッドタウン内にあるサントリー美術館へ。
今ここで開催中なのが『虫めづる日本の人々』。
昔から日本では小さな虫(蜘蛛・蛙・蛇なども含む)というものが
和歌や物語、美術作品で取り上げられてきた。
そうした日本美術で扱われてきた「虫」に着目した展覧会。

と、展示を観始めるその前に…

テート美術館展で1時間半歩き回って疲れたので
美術館併設の不室屋カフェでひと休み。
展覧会オリジナルスイーツ《花麩の園〜あずき寄せとえんめい茶》をいただく。
02_hanafu.jpg
あずきの寒天寄せの上に
生クリームと甘味のついた花麩をトッピング。
上品な甘さが美味しい(*^^*)。
えんめい茶は5種類の山野草をブレンドしたもので、和スイーツとよくあう。



さて、本題。

展示のド頭に出てくるのが17世紀に描かれた『きりぎりす絵巻』。
もう「いきなりこれ?!(^m^)」という絵巻。
きりぎりすを始めトンボや蝉などに着物を着せて擬人化し
物語を紡いだ絵巻。着物や背景などは
物凄く精緻に描き込まれているのにその顔がみんな昆虫。
そのギャップが面白くて、マスクの下で思わずフッと笑ってしまう。
鳥獣戯画などもそうだけど、日本人って動物を擬人化するのが
昔から好きなんだね。


生活の中で使う身近な日用品の装飾にも
虫たちは取り入れられている。
香合だったり簪や櫛、お皿や硯箱、打掛、鞍など
蝶や蜘蛛などは縁起物としても取り入れられていたようだ。


アタシが好きなのは草花と一緒に描かれた虫たちの日本画。
それらは花鳥画ならぬ「草虫図」と呼ばれるらしい。
第五章の「展開する江戸時代の草虫図」には気になる作品がいっぱい。

森春溪『肘下選蠕(ちゅうかせんぜん)』
月岡芳年『志ん板む志づくし』
土佐光則『雑画帖 下』
三熊花顛『群蝶図巻』
松本交山『百蝶図』
伊藤若冲『菜蟲譜(さいちゅうふ)』
松本奉時『蝦蟇図』
葛飾北斎『南瓜花群虫図』
酒井抱一『四季花鳥図巻 上巻』
谷文晁『檜蔭鳴蟬図』
鈴木其一『蝶に芍薬図』『雨中菜花楓図』
などなど…

中でも特に印象的だったのは
とうもろこしにたかるカミキリムシや蜘蛛がカッコイイ『肘下選蠕』
極彩色の(おそらく架空の)蝶が描かれた『百蝶図』
まんまるお腹の『蝦蟇図』
檜にとまる蝉が渋いタッチで描かれた『檜蔭鳴蟬図』

そしてなんと言っても大好きな酒井抱一の『四季花鳥図巻 上巻』!。
所蔵は東京国立博物館(トーハク)。たまに総合文化展にも登場する。
大体この図巻が展示される際には下巻の秋の場面が多いのだけど
今回は上巻の…これはいつの季節なんだろう?
藤の花が描かれているから初夏ってところか。
そこにアシナガバチが描かれている。
ちょっと地味目な絵柄なのであまり展示されないのかも知れないけど
個人的にこの場面は初めて観たのでなんだか嬉しかったなぁ(*^^*)。


最終章では明治〜令和といった新しい時代における虫たちの表現。
上村松園『むしの音』は、虫が直接描かれてはいないけれど
すだれの隙間から虫の声を楽しむ女性が描かれた素敵な美人画。
川端龍子は『螢図』で民家の周りを飛び交う螢を、大胆なタッチで表現。
これがすごくカッコイイ!。
そして最後は現代の自在置物作家、満田晴穂氏の作品3点
『自在大蟷螂』『自在精霊蝗虫』『自在鬼蜻蜓』
これが、ホンットに、素晴らしい!。
5年前に三井記念美術館の『驚異の超絶技巧!』展で
『自在蛇骨格』がとぐろを巻いてるのを観て舌を巻いたけれど(笑)
今回の昆虫たちも思わず溜め息が出るほどカッコイイ。
(興味のある方は「満田晴穂 自在置物」で画像検索されたし。
 ただし節足動物などキモチワルイのもあるので苦手な方は注意)。


ちなみにこの展覧会は全作品撮影不可(今どきむしろ珍しい???)。
で、こちらが入口に設けられた唯一のフォトスポット。
01_photospot.jpg

気になった作品が多かった割に、
それらがサントリー美術館蔵のものではないので
ショップにはそうした〈お気に入り〉のポストカードもなく、
アタシにしては珍しく何も買わずに帰ってきた。


日本人にとって、虫は四季を感じるものとして
昔から身近な存在であったのだと改めて気付かされた。
都会ではそうした虫の存在は少なくなってきているけれど
うちの近所であっても
蝶、蟬、トンボ、蜂、コオロギ、ダンゴムシ、トカゲ、ウシガエル、
ちょっとヤだけど蚊や蝿、蜘蛛、ムカデ(それとゴキブリも^^;)など
様々な虫との遭遇で季節の変化を感じとれる。

そういえば昨日夜中にトイレに入ったら
外から「チッチッチッチッ…」という謎の虫の声が聞こえてきた。
あれはいったい何だったんだろう。
コメント(2) 

コメント 2

おかん

虫を愛でる!ですね〜。
夏らしいスイーツもめっちゃ美味しそう〜!
ところで、梅屋さんがチチチチと聞こえたのは秋の虫ですかね、、
暦の上では立秋になってますものね。
by おかん (2023-08-16 23:26) 

梅屋千年堂

>おかんさん
ちょっと調べてみましたが
チッチッチッ…と鳴いていたのはカネタタキかな?という気がします。
昨日は仕事帰りに地下鉄の駅から地上に上がったら
そこにある学校のキャンパスからコオロギの大合唱が聞こえてきました。
秋近し…
チケットや〜い、どこでもいいから早くアタシの元にきておくれ(笑)。

by 梅屋千年堂 (2023-08-17 01:38) 

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