ヴァロットン −黒と白 [EXHIBITION]
グッズがカッコイイ!
そんな理由で観に行くことにした展覧会。
曜変天目のぬいぐるみの他、
様々なミュージアムグッズをプロデュースしている
Eastという会社のTwitterで紹介されていた
『ヴァロットン −黒と白』展のグッズが
なんだかとてもお洒落でカッコ良く、作品も観てみたい!
そんな動機で三菱一号館美術館。
朝一番10時からの日時指定券を購入し、開館と同時に入場。
音声ガイドを借りなくちゃ〜と思ったら
専用アプリをダウンロードして、そこから購入とのこと。
あー…家でダウンロードしてくれば良かった…(-_-;。
しかも800円。
高っ!と思ったけど、配信期間内であれば自宅で何度でも聴けるらしい。
それはイイ!。
ところでイヤホン持ってきてたっけ?とカバンをガサゴソ。
あったあった。
この音声ガイドがちょっとスゴイ。
コンテンツの一部に「Re:Sense」という空間音響技術が使われていて
まるで自分の後ろで人が歩きながら喋っているみたいな、
映画館でいうところのドルビーアトモスみたいな感じ。
慣れないうちはなんだか気持ち悪くて落ち着かなかった(^^;。
フェリックス・ヴァロットンは1865年にスイスはローザンヌ生まれの画家。
16歳でパリに出てアカデミー・ジュリアンで学ぶ。
1891年から師匠の薦めで木版画を始める。
ヴァロットンの版画と言えば、パリの街と人々を描写したものが代表的。
こうしたパリの群衆を題材にした作品を紹介する
CHAPER IIの展示室のみ撮影OK。これは嬉しい。
展示の仕方も洒落ている。
『〈息づく街パリ〉口論』
『学生達のデモ行進(息づく街パリ VI)』
デモ行進する人々は黒、傍観者や野次馬は白で描き分け。
『にわか雨(息づく街パリ VII)』
当時のパリではジャポニスムというちょっとした日本ブームが起こっていて
日本の浮世絵や工芸品が人気を博し、芸術家の間でも日本趣味が広がった。
この『にわか雨』を観ていたら、突然の雨に慌てて走り出す人々や
線で表現された雨が、歌川広重の『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』や
『東海道五十三次之内 庄野 白雨』を思い起こさせた。
ヴァロットンもまた日本の山水画をコレクションしていたというから
きっと浮世絵にも影響を受けていたいに違いない、と勝手に想像。
『街頭デモ』
…というタイトルなのだけど、描かれているのはデモそのものではなく
警察が来たことに慌てふためいて逃げる群衆。
黒い服の男たちではなく、左上に描かれたベビーカーを押す女性に目が行く。
展示室内の柱には、ヴァロットンの版画に台詞をつけて
スライドショーで見せる演出も。
『可愛い天使たち』
二人の大人に群がる子供達。
なになに?お菓子屋さんとか?大道芸人?…と思いきや
子供達が取り囲んでいるのは警官に連行される男。
天使は時に残酷なのだ。
『埋葬虫(シデムシ)』
シデムシとは、動物の死体に集まるってそれをエサにする虫のこと。
野次馬=シデムシ、ということなんだろうか。
『暗殺』
ベッドに横になっていた人物に、刃物を持って襲いかかる黒い服の男。
なんだか物凄く想像を掻き立てられる。
1803年に、若い前衛芸術家のグループ〈ナビ派〉に加わったヴァロットン。
ボナールやドニが多色刷りのリトグラフを手掛けたのに対して
ヴァロットンはあくまで単色の木版画にこだわりつづける。
ここがカッコイイ。
もしヴァロットンの版画が多色刷りになったら
つまらないものになってしまっていたかも。
CHAPTER IVの展示室は
『連作〈楽器〉』や『連作〈アンティミテ〉』、『怠惰』など
傑作が勢揃い。
特に『怠惰』はベッドの上のクッションやベッドカバーの描写が凄い。
ベットに横たわる裸の女性と猫のだら〜んとした感じもイイ。
今回観た中で、これが一番好きかも。
不穏な空気が漂う男女の関係を描いた『連作〈アンティミテ〉』は
描かれている二人の関係性や会話がいろいろ想像できて面白い。
そしてどれを観ても「女の方が一枚も二枚も上手だな…(^^;」と感じる。
CHAPTER IVでは1900年のパリ万博の様子を描いた連作が面白い。
『宝飾店にて(万国博覧会 I)』では、
そこに展示されたルネ・ラリックの作品を…ではなく
それに群がる人々が描かれている(笑)。
この頃既にヴァロットンは
「私は絵画だけ制作する。それは最も大きな喜びだ」と宣言して
版画制作をやめていたらしいのだけど
これはアメリカの雑誌からの依頼だったので、
さらなる世界での活躍を見据えて引き受けたらしい。
なかなかの野心家なのだ。
そんなヴァロットンの版画以外の作品ってどんなのだろう?
全然知らないなぁ…とググってみたところ
上がってきたのが『ボール』という作品。
あっ、これかぁ!。これヴァロットンだったんだ。
あとは『貞節なシュザンヌ』、これも知ってる。
いや、油彩も不穏だわ(^^;。
最後は1914年に勃発した第一次世界大戦
ドイツ軍の残忍さに怒りを覚えたヴァロットンは義勇兵に志願するも
48歳という年齢のため入隊叶わず、落胆のあまり絵画制作も
やめてしまったこともあったのだけど、
ほどなく気力を取り戻し、10年以上も遠ざかっていた木版画に着手する。
それが『これが戦争だ!』という連作。
ポートフォリオ(作品を収める箱)に施された、血のような赤いシミ。
これはヴァロットンが自ら提案したものだそう。
いい展覧会だった。
今更なんだけど、2014年にここ三菱一号館美術館で開催された
『ヴァロットン展』も観に行けばよかったなぁ。
タイムマシンがあったら、そこに戻って観てみたい展覧会のひとつである。
最後はショップ。
魅力的なグッズが多くてヤバさ満載。
ポストカードと、Tシャツ(半袖と長袖1枚ずつ)買っちゃった(^^;ゞ。
そんな理由で観に行くことにした展覧会。
曜変天目のぬいぐるみの他、
様々なミュージアムグッズをプロデュースしている
Eastという会社のTwitterで紹介されていた
『ヴァロットン −黒と白』展のグッズが
なんだかとてもお洒落でカッコ良く、作品も観てみたい!
そんな動機で三菱一号館美術館。
朝一番10時からの日時指定券を購入し、開館と同時に入場。
音声ガイドを借りなくちゃ〜と思ったら
専用アプリをダウンロードして、そこから購入とのこと。
あー…家でダウンロードしてくれば良かった…(-_-;。
しかも800円。
高っ!と思ったけど、配信期間内であれば自宅で何度でも聴けるらしい。
それはイイ!。
ところでイヤホン持ってきてたっけ?とカバンをガサゴソ。
あったあった。
この音声ガイドがちょっとスゴイ。
コンテンツの一部に「Re:Sense」という空間音響技術が使われていて
まるで自分の後ろで人が歩きながら喋っているみたいな、
映画館でいうところのドルビーアトモスみたいな感じ。
慣れないうちはなんだか気持ち悪くて落ち着かなかった(^^;。
フェリックス・ヴァロットンは1865年にスイスはローザンヌ生まれの画家。
16歳でパリに出てアカデミー・ジュリアンで学ぶ。
1891年から師匠の薦めで木版画を始める。
ヴァロットンの版画と言えば、パリの街と人々を描写したものが代表的。
こうしたパリの群衆を題材にした作品を紹介する
CHAPER IIの展示室のみ撮影OK。これは嬉しい。
展示の仕方も洒落ている。
『〈息づく街パリ〉口論』
『学生達のデモ行進(息づく街パリ VI)』
デモ行進する人々は黒、傍観者や野次馬は白で描き分け。
『にわか雨(息づく街パリ VII)』
当時のパリではジャポニスムというちょっとした日本ブームが起こっていて
日本の浮世絵や工芸品が人気を博し、芸術家の間でも日本趣味が広がった。
この『にわか雨』を観ていたら、突然の雨に慌てて走り出す人々や
線で表現された雨が、歌川広重の『名所江戸百景 大はしあたけの夕立』や
『東海道五十三次之内 庄野 白雨』を思い起こさせた。
ヴァロットンもまた日本の山水画をコレクションしていたというから
きっと浮世絵にも影響を受けていたいに違いない、と勝手に想像。
『街頭デモ』
…というタイトルなのだけど、描かれているのはデモそのものではなく
警察が来たことに慌てふためいて逃げる群衆。
黒い服の男たちではなく、左上に描かれたベビーカーを押す女性に目が行く。
展示室内の柱には、ヴァロットンの版画に台詞をつけて
スライドショーで見せる演出も。
『可愛い天使たち』
二人の大人に群がる子供達。
なになに?お菓子屋さんとか?大道芸人?…と思いきや
子供達が取り囲んでいるのは警官に連行される男。
天使は時に残酷なのだ。
『埋葬虫(シデムシ)』
シデムシとは、動物の死体に集まるってそれをエサにする虫のこと。
野次馬=シデムシ、ということなんだろうか。
『暗殺』
ベッドに横になっていた人物に、刃物を持って襲いかかる黒い服の男。
なんだか物凄く想像を掻き立てられる。
1803年に、若い前衛芸術家のグループ〈ナビ派〉に加わったヴァロットン。
ボナールやドニが多色刷りのリトグラフを手掛けたのに対して
ヴァロットンはあくまで単色の木版画にこだわりつづける。
ここがカッコイイ。
もしヴァロットンの版画が多色刷りになったら
つまらないものになってしまっていたかも。
CHAPTER IVの展示室は
『連作〈楽器〉』や『連作〈アンティミテ〉』、『怠惰』など
傑作が勢揃い。
特に『怠惰』はベッドの上のクッションやベッドカバーの描写が凄い。
ベットに横たわる裸の女性と猫のだら〜んとした感じもイイ。
今回観た中で、これが一番好きかも。
不穏な空気が漂う男女の関係を描いた『連作〈アンティミテ〉』は
描かれている二人の関係性や会話がいろいろ想像できて面白い。
そしてどれを観ても「女の方が一枚も二枚も上手だな…(^^;」と感じる。
CHAPTER IVでは1900年のパリ万博の様子を描いた連作が面白い。
『宝飾店にて(万国博覧会 I)』では、
そこに展示されたルネ・ラリックの作品を…ではなく
それに群がる人々が描かれている(笑)。
この頃既にヴァロットンは
「私は絵画だけ制作する。それは最も大きな喜びだ」と宣言して
版画制作をやめていたらしいのだけど
これはアメリカの雑誌からの依頼だったので、
さらなる世界での活躍を見据えて引き受けたらしい。
なかなかの野心家なのだ。
そんなヴァロットンの版画以外の作品ってどんなのだろう?
全然知らないなぁ…とググってみたところ
上がってきたのが『ボール』という作品。
あっ、これかぁ!。これヴァロットンだったんだ。
あとは『貞節なシュザンヌ』、これも知ってる。
いや、油彩も不穏だわ(^^;。
最後は1914年に勃発した第一次世界大戦
ドイツ軍の残忍さに怒りを覚えたヴァロットンは義勇兵に志願するも
48歳という年齢のため入隊叶わず、落胆のあまり絵画制作も
やめてしまったこともあったのだけど、
ほどなく気力を取り戻し、10年以上も遠ざかっていた木版画に着手する。
それが『これが戦争だ!』という連作。
ポートフォリオ(作品を収める箱)に施された、血のような赤いシミ。
これはヴァロットンが自ら提案したものだそう。
いい展覧会だった。
今更なんだけど、2014年にここ三菱一号館美術館で開催された
『ヴァロットン展』も観に行けばよかったなぁ。
タイムマシンがあったら、そこに戻って観てみたい展覧会のひとつである。
最後はショップ。
魅力的なグッズが多くてヤバさ満載。
ポストカードと、Tシャツ(半袖と長袖1枚ずつ)買っちゃった(^^;ゞ。
2022-12-22 22:30
コメント(2)
モノクロの単純な構成ゆえに奥深さを感じる作品達ですね。
先日ご紹介されたサントリー美術館といい、素敵な展示会がたくさんあり過ぎて、どれも行きたくなって困ります(笑)
by YAYOI (2022-12-23 11:58)
>YAYOIさん
まるでコミックの1コマのようなのですが、白と黒の使い方が巧みで
惹きつけられる作品ばかりでした。
2023年も魅力的な展覧会が目白押しでアタシも困ってます(笑)。
by 梅屋千年堂 (2023-01-01 12:00)