特別展 きもの KIMONO【1】 [EXHIBITION]
行ってから既に1週間が経過してしまったけれど…
先週の水曜日(5日)に東京国立博物館で開催中の
『特別展 きもの KIMONO』を観にいってきた。
当初の予定では4月14日から6月7日までの会期だったけれども
新型コロナウイルス感染症の影響で6月30日から8月23日までに変更。
中止になるかも…と思っていたので会期変更は嬉しかった。
入場は事前予約制。
前売券を買ってあったので日時指定券のみを手配。
9時半から30分ごとの時間指定になっているので
早すぎず遅すぎずの11時入館の予約を取った。
ナツーーーっっっ!!!って感じの空。
暑い!めちゃ暑い!!!。
トーハク敷地内を歩く人影もまばら。
ちょっと早く着きすぎたので、本館のミュージアムショップで
グッズを見ながらクールダウン。
今回出展されている尾形光琳筆『小袖 白綾地秋草模様』の図柄を
モチーフにした素敵なカップがあったので鑑賞後に買って帰ろう。
11時になったので平成館へ。
スマホに表示させた入場券と日時指定券を提示して2階へ進む。
案内係の方が
「ただいま第1会場は混み合ってまいりましたので第2会場の方からご観覧下さい」
と言っているので「そうなのか…」と思いながら、まずトイレ。
でもトイレから出てきたら混雑は緩和されたようで
そのようなアナウンスはなされていなかったので、第1会場からスタート。
会場入口には「90分以内を目安にご観覧下さいますよう…云々」という
協力を求める立て札が。…ハイ、ガンバリマス。
入ってすぐの《序章》の部分で『小袿 黄地窠霞模様二陪織物』という
鎌倉の鶴岡八幡宮所蔵の着物が登場。国宝なんだそうだ。
ここでは知っているようで実はぼんやりとしか知らない着物の定義
つまり、小袖とはなんぞや?、帷子とは?打掛とは?単衣とは?
そんなことが分かり易く説明されていて
アタシみたいな人間にとって、この先の鑑賞のよき助けとなる。
《第1章 モードの誕生》
ここでは安土桃山・慶長期から、元和・寛永期までのモードを紹介。
いわゆる「小袖」と呼ばれる着物の袖の部分がとっても小さいことに驚き。
淀殿が着ていたとされる小袖の裂(きれ=断片)が展示されているのだけど
退色・劣化が激しく、なんだかよくわからないなぁ…と思っていると
その隣にはそれを復元して着物に仕立てたものが1領。
紅色と萌黄色の鮮やかな着物に蘇っていた。
元和・寛永期のところでは、根津美術館蔵の『誰が袖図屏風』が。
前に他の展覧会でも何度か観たけれど、『誰が袖…』は
人が居ないのに人が居た気配が感じられるところが好き。
着物のデザインもここからいきなりモダンになって
『小袖 黒紅綸子地若松小花鹿紅葉模様』は大胆なナナメ柄に
花や鹿、紅葉の細かい意匠を凝らしたもの。
ちなみに着物のタイトルが漢字ばかりな上にやたらと長いけれども
ひとつひとつ分解すると、その着物がどんなものだったか
なんとなく思い出すことができるのは助かる(^^;。
《第2章 京モード 江戸モード》
寛文期のモードの代表格は『小袖 黒綸子地波鴛鴦模様』。
目の前にした瞬間思わず「スゴイ…」と溜息が漏れる。
なんだかちょっと筍みたいに見える波の間につがいの鴛鴦(おしどり)。
大胆なデザインと手の込んだ細工に見入ってしまった。
大胆といえば、元禄期の『振り袖 白絖地若紫紅葉竹矢来模様』。
「源氏物語」の「若紫」をモチーフにした柄なのだけど
背中に大きく配された「若」と「紫」の文字が斬新。
こうした斬新なデザインで、当時の女性達は「伊達」を競ったのだとか。
それにしても何百年も前の着物にもかかわらず、
いずれの着物も状態の良さに驚かされる。
そしてここでは菱川師宣の『見返り美人図』も展示。
ここに描かれた美人と同じ着物を纏ったリラックマのぬいぐるみが
グッズとして販売されていてめちゃめちゃカワイイ(^(エ)^)。
ショップで無意識に手に取ってしまったが
ハッと我に返り「いかんいかん!」とまた戻した(^o^;。
こんな感じで17〜18世紀は豪華で派手な着物が流行するのだけど
天和3(1683)年になると「天和の禁令」が幕府から発せられて
金紗、縫(刺繍)、惣鹿子(絞り)の着物の販売が禁止される。
そこで台頭するのが友禅を代表する染め物。
浮世絵なんかでも、天保の改革で画題が制限された時に
浮世絵師たちはそれに対抗するように(網の目をくぐり抜けるように)
新たなものを生み出して行くけれども
「あれはダメ」「これもダメ」と言われると、
逆に「じゃぁこれならいいだろ!」と燃えるのが人情なのだろう。
手間と費用のかかる鹿子絞りなんかも「染め」で表現しちゃうのだ。
『帷子 白麻地格子梅菊萩模様』は華やかでゴージャス。
それまでの豪華な刺繍や絞りを施したものにまったく見劣りしない。
このコーナーのちょっと先に、「光琳ブランドの流行」として
尾形光琳筆『小袖 白綾地秋草模様』が展示されている。
この展覧会で個人的に一番楽しみにしていた着物だ。
だけど…あれれ???
照明が暗くて生地の白さもブルーの秋草模様も
なんだかいまひとつよくわからない…(-_-;。
作品保護の観点から明るい照明を当てられないので
致し方ないことではあるが少々残念ではあった。
江戸時代後期になると、派手で華やかなものよりも
藍や鼠・茶といった落ち着いた色味のものが流行するようになる。
一番上に着るものはシックな色合いにして
襦袢や襟元などチラッと見えるところにこだわるという、
いわゆる「粋」ってヤツである。
勝川春章が下絵を描いたとされる
『小袖 紺縮緬地曳舟模様』は地の淡い紺色が素敵。
また『鼠壁縮緬地波に千鳥模様』という振袖は
一見地味めな鼠色の生地の裾に北斎みたいな大きな波が描かれている。
裏地は鮮やかな朱色で、ここにも高波と千鳥模様が施されていて
これ、着ちゃったら殆ど見えないでしょ(^^;という
裏地の美学はまさに「粋」。こういうこだわり、スキ!。
こんな風に贅沢が禁止された世の中でも
そんなことに左右されずに豪華な着物を着ていたのが
豪商の娘や花魁・太夫といった女性達。
粋で洒脱な装いを観た後に改めて豪華な着物を観ても
逆につまらないものに思えてしまうけれども
京都・輪違屋の傘の間を再現した一角に展示された
『太夫打掛・丸帯』は迫力満点だった!(◎_◎)。
第1会場はここまで。
《TO BE CONTINUED...第2会場へつづく》
先週の水曜日(5日)に東京国立博物館で開催中の
『特別展 きもの KIMONO』を観にいってきた。
当初の予定では4月14日から6月7日までの会期だったけれども
新型コロナウイルス感染症の影響で6月30日から8月23日までに変更。
中止になるかも…と思っていたので会期変更は嬉しかった。
入場は事前予約制。
前売券を買ってあったので日時指定券のみを手配。
9時半から30分ごとの時間指定になっているので
早すぎず遅すぎずの11時入館の予約を取った。
ナツーーーっっっ!!!って感じの空。
暑い!めちゃ暑い!!!。
トーハク敷地内を歩く人影もまばら。
ちょっと早く着きすぎたので、本館のミュージアムショップで
グッズを見ながらクールダウン。
今回出展されている尾形光琳筆『小袖 白綾地秋草模様』の図柄を
モチーフにした素敵なカップがあったので鑑賞後に買って帰ろう。
11時になったので平成館へ。
スマホに表示させた入場券と日時指定券を提示して2階へ進む。
案内係の方が
「ただいま第1会場は混み合ってまいりましたので第2会場の方からご観覧下さい」
と言っているので「そうなのか…」と思いながら、まずトイレ。
でもトイレから出てきたら混雑は緩和されたようで
そのようなアナウンスはなされていなかったので、第1会場からスタート。
会場入口には「90分以内を目安にご観覧下さいますよう…云々」という
協力を求める立て札が。…ハイ、ガンバリマス。
入ってすぐの《序章》の部分で『小袿 黄地窠霞模様二陪織物』という
鎌倉の鶴岡八幡宮所蔵の着物が登場。国宝なんだそうだ。
ここでは知っているようで実はぼんやりとしか知らない着物の定義
つまり、小袖とはなんぞや?、帷子とは?打掛とは?単衣とは?
そんなことが分かり易く説明されていて
アタシみたいな人間にとって、この先の鑑賞のよき助けとなる。
《第1章 モードの誕生》
ここでは安土桃山・慶長期から、元和・寛永期までのモードを紹介。
いわゆる「小袖」と呼ばれる着物の袖の部分がとっても小さいことに驚き。
淀殿が着ていたとされる小袖の裂(きれ=断片)が展示されているのだけど
退色・劣化が激しく、なんだかよくわからないなぁ…と思っていると
その隣にはそれを復元して着物に仕立てたものが1領。
紅色と萌黄色の鮮やかな着物に蘇っていた。
元和・寛永期のところでは、根津美術館蔵の『誰が袖図屏風』が。
前に他の展覧会でも何度か観たけれど、『誰が袖…』は
人が居ないのに人が居た気配が感じられるところが好き。
着物のデザインもここからいきなりモダンになって
『小袖 黒紅綸子地若松小花鹿紅葉模様』は大胆なナナメ柄に
花や鹿、紅葉の細かい意匠を凝らしたもの。
ちなみに着物のタイトルが漢字ばかりな上にやたらと長いけれども
ひとつひとつ分解すると、その着物がどんなものだったか
なんとなく思い出すことができるのは助かる(^^;。
《第2章 京モード 江戸モード》
寛文期のモードの代表格は『小袖 黒綸子地波鴛鴦模様』。
目の前にした瞬間思わず「スゴイ…」と溜息が漏れる。
なんだかちょっと筍みたいに見える波の間につがいの鴛鴦(おしどり)。
大胆なデザインと手の込んだ細工に見入ってしまった。
大胆といえば、元禄期の『振り袖 白絖地若紫紅葉竹矢来模様』。
「源氏物語」の「若紫」をモチーフにした柄なのだけど
背中に大きく配された「若」と「紫」の文字が斬新。
こうした斬新なデザインで、当時の女性達は「伊達」を競ったのだとか。
それにしても何百年も前の着物にもかかわらず、
いずれの着物も状態の良さに驚かされる。
そしてここでは菱川師宣の『見返り美人図』も展示。
ここに描かれた美人と同じ着物を纏ったリラックマのぬいぐるみが
グッズとして販売されていてめちゃめちゃカワイイ(^(エ)^)。
ショップで無意識に手に取ってしまったが
ハッと我に返り「いかんいかん!」とまた戻した(^o^;。
こんな感じで17〜18世紀は豪華で派手な着物が流行するのだけど
天和3(1683)年になると「天和の禁令」が幕府から発せられて
金紗、縫(刺繍)、惣鹿子(絞り)の着物の販売が禁止される。
そこで台頭するのが友禅を代表する染め物。
浮世絵なんかでも、天保の改革で画題が制限された時に
浮世絵師たちはそれに対抗するように(網の目をくぐり抜けるように)
新たなものを生み出して行くけれども
「あれはダメ」「これもダメ」と言われると、
逆に「じゃぁこれならいいだろ!」と燃えるのが人情なのだろう。
手間と費用のかかる鹿子絞りなんかも「染め」で表現しちゃうのだ。
『帷子 白麻地格子梅菊萩模様』は華やかでゴージャス。
それまでの豪華な刺繍や絞りを施したものにまったく見劣りしない。
このコーナーのちょっと先に、「光琳ブランドの流行」として
尾形光琳筆『小袖 白綾地秋草模様』が展示されている。
この展覧会で個人的に一番楽しみにしていた着物だ。
だけど…あれれ???
照明が暗くて生地の白さもブルーの秋草模様も
なんだかいまひとつよくわからない…(-_-;。
作品保護の観点から明るい照明を当てられないので
致し方ないことではあるが少々残念ではあった。
江戸時代後期になると、派手で華やかなものよりも
藍や鼠・茶といった落ち着いた色味のものが流行するようになる。
一番上に着るものはシックな色合いにして
襦袢や襟元などチラッと見えるところにこだわるという、
いわゆる「粋」ってヤツである。
勝川春章が下絵を描いたとされる
『小袖 紺縮緬地曳舟模様』は地の淡い紺色が素敵。
また『鼠壁縮緬地波に千鳥模様』という振袖は
一見地味めな鼠色の生地の裾に北斎みたいな大きな波が描かれている。
裏地は鮮やかな朱色で、ここにも高波と千鳥模様が施されていて
これ、着ちゃったら殆ど見えないでしょ(^^;という
裏地の美学はまさに「粋」。こういうこだわり、スキ!。
こんな風に贅沢が禁止された世の中でも
そんなことに左右されずに豪華な着物を着ていたのが
豪商の娘や花魁・太夫といった女性達。
粋で洒脱な装いを観た後に改めて豪華な着物を観ても
逆につまらないものに思えてしまうけれども
京都・輪違屋の傘の間を再現した一角に展示された
『太夫打掛・丸帯』は迫力満点だった!(◎_◎)。
第1会場はここまで。
《TO BE CONTINUED...第2会場へつづく》
2020-08-12 00:47
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