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特別展 出雲と大和 [EXHIBITION]

古代史は得意ではない。
得意ではないけれど、とても惹かれる。
なので、行く。

(1週間前に行ってきた展覧会の話)

場所は東京国立博物館の平成館。

が、その前に…
ホテルオークラレストラン ゆりの木でちょっと早めの昼ごはん。

出雲と大和 期間限定特別メニューの『飛鳥鍋 −うどん仕立て− 小鉢付き』。
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飛鳥時代に唐から伝わったとされる飛鳥鍋をうどん仕立てにアレンジしたのだそうで
鶏肉と野菜を煮込んだ味噌ベースのスープに牛乳を加えたもの。
思ったよりも薄味で、非常にヘルシー。

具材は鶏肉、人参、白菜、しめじ、里芋、こんにゃく。
薬味として七味唐辛子とネギとわさび。

わさび…?。
こういうのは普通七味唐辛子じゃないの?と
唐辛子をパラパラとかけてみたけど、うーん…なんかイマイチ(-"-?。
やっぱりわさびなのか?。
半信半疑で、スープにわさびを溶かしてみると…
うまーーーーい!!!( ̄▽ ̄)。
へぇ〜、味噌ベースのスープにわさびが合うとはちょっと意外だった。

食べ終わって窓の外を見ると、紅梅が満開。
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さて本題。

今年は『日本書紀』が編纂されてから1300年にあたるのだそうで
その『日本書紀』の中の国譲りの神話によれば
出雲大社に鎮座するオオクニヌシは人間の能力を超えた
神々の世界である「幽」を司り、
大和の天皇は目に見える現実世界である「顕」を司るとされている。

それぞれ「幽」と「顕」とを象徴する出雲と大和の名品から
古代日本の成立と特質に迫る、というのがこの展覧会。


第1章は【巨大神殿 出雲大社】。
いきなり現れる『心御柱(しんのみはしら)』と『宇豆柱(うづばしら)』。
『宇豆柱』は7年前の2013年に出雲を訪れた際に
古代出雲歴史博物館で見てその大きさに驚かされたけれど、
今日は何故だかその時よりも更に大きく感じる。
隣に『心御柱』があり、展示ケースの上に柱の大きさを想像させるような
円柱が3本束になってそびえているせいだろうか。

更に奥に進んでいくと、高さ48mあったとされる平安時代の本殿模型。
これも古代出雲歴史博物館で見たっけ。
実際の1/10のスケールだが、それでも十分に大きい。
頭の中でこの模型を10倍にしてイメージする…
100mを超える引き橋の先にある巨大な神殿。
当時の人は絶対にここに神様が住んでいると信じて疑わないだろう。

模型と言えば江戸時代、1664年頃に作られたという『出雲大社本殿木形』も凄い。
非常に精巧に作られた模型なのに、なんと解体・組立が可能だという。

絵画作品では八雲についての解説が描かれている
『出雲国杵築大社御神殿天井八雲之図』と
狩野安成筆の『舞楽図屏風』が美しい。
そういえば俵屋宗達にも『舞楽図屏風』があったな…と
手を繋いで輪になって踊る4人組を見て思いだした。

工芸品では『秋野鹿蒔絵手箱』。
あっ!これ3年前にサントリー美術館で観たやつだ!。
音声ガイドで「小鳥やキリギリスが…」というのを聴いて思いだした。
サントリー美術館で観たときはキリギリスが見つけられなかった。
…今日も見つけられなかった_| ̄|◯。
というか、展示位置が高すぎてフタ部分が背伸びをしてもよく見えない(-_-;。
も〜ちょっと低い位置に展示してくれればいいのに…


…なんて思いながら第2章【出雲 古代祭祀の源流】。
ここでは荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡、西谷3号墓など
出雲周辺から出土した銅鐸・銅剣・銅矛などを展示。

加茂岩倉遺跡から入れ子状態で発見された
銅鐸の様子を再現したコーナーは写真撮影OK。
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埋納当初は銅鐸も輝いていて、こんな感じだったんじゃないかという復元。
とても分かり易いけれど、背景のカキワリ風の絵がなんかツボ(^m^)。

圧巻なのは荒神谷遺跡出土の銅剣。
出土した358本のうち168本がダーーーーーーッッッッ!と展示されている。
実際は裸のままの銅剣が刃を立てた状態で
整然と4列に並んで出土したという。
いきなり土の中から夥しい数の剣がズラッと並んで出てきたら
それはもうさぞかし興奮することだろう。

余談だが、この銅剣が納められている台座(?)もスゴイ。
銅剣1本につき1台の木製台座が用意されているのだけど
朽ちた刃の形に合わせて削り掘られているのだ(◎_◎)。
多分もともとの所蔵先(古代出雲歴史博物館)で誂えたものなのだろうけど
それぞれの剣に専用の入れ物を作ったのがスゴイ。
妙なところに感動してしまった(^o^;。

しかし、一見どれも同じような銅剣がズラーッと並んでいるのを
じっくり1本1本見る人は殆どおらず、
この展示ケースの前だけはいつも大体空いているのだった(^^;。

荒神谷遺跡からは銅剣の他、銅鐸や銅矛も出土していて
山陰地方で銅矛と銅剣が一緒に出土することは前例がなく
荒神谷遺跡がこの地にとって特別な存在であることを示しているのだそうだ。
…埋葬されたのどんだけスゴイ有力者だったんだ?!。

銅鐸では加茂岩倉遺跡から出土したものがヨイ。
特に展覧会のポスターにもなっているあの銅鐸。
袈裟襷文で仕切られた四角の中に
鹿だったり四足獣だったりトンボだったり
蕨みたいなぐるぐる模様だったりが描かれていて
見ているだけで楽しい。鰭の部分の三角形のデザインも洒落ている。

隣で見ていた知らない奥様が「これは素敵…すっごく素敵」と
呟いていたのを聞いて、心の中で
「うんうん!すっごく素敵ですよねー(*^^*)」と
大きく頷いたアタシなのだった。

このセクションの最後の方に、西谷三号墓という古墳から出土した
勾玉や管玉が展示してあるのだけど、
この西谷三号墓は「四隅突出型墳丘墓」といって
台形に盛られた方形墓の四隅が足のように伸びた形をしている。
(↑こたつ布団の四隅を引っぱったようなカタチ)。
単にアタシが無知なだけだけど、こんな形の古墳があるとは知らなかった。


【第3章 大和 王権誕生の地】で展示の内容は出雲から奈良へ…
と、思いきやここで展示されている『埴輪 見返りの鹿』は島根県松江市平所遺跡出土。
鹿といえば奈良(大和)!と思っていたので意外だった。
隣には奈良県橿原市の四条1号墳から出土した『埴輪 見返りの鹿』も展示されていて
その外観は大分異なるけれど、同じように後ろを振り返った鹿の埴輪が存在することに
出雲と大和の不思議な繋がりを感じた。

あと「なんじゃこりゃ!」と思ったのが
島根県松江市団原古墳から出土した『須恵器 出雲型子持壺』。
大きな壺の頭部に小さな壺が4〜5個くっついた、
なんとも宇宙的なデザイン。


最後の【第4章 仏と政(まつりごと)】では
日本画仏教を取り入れた飛鳥時代〜平安時代の仏像を紹介。

印象に残ったのは…
●奈良當麻寺『持国天立像』
 顔が中国的。兵馬俑にいそうな感じ。
 興福寺の阿修羅像と同じ脱活乾漆法で作られている。
 そういえば八部衆の畢婆迦羅(ひばから)にちょっと似てる…かも?。

●奈良大安寺『多聞天立像』
 パッと見すごくカッコイイのだが、
 よく見ると…どういうわけか…
 三叉戟を握っていたと思われる右手だけ…ヘタ(^o^;。

●奈良大安寺『楊柳観音菩薩立像』
 明王や天部のような憤怒の表情をした珍しい菩薩。
 後ろ姿はまるで普通の観音菩薩のように穏やかなのに
 正面に回ってくるといきなり物凄い顔で怒っているのでビックリする。
 なんでこんなことになってしまったんだろう?と疑問は尽きない。

●島根萬福寺(大寺薬師)『四天王立像』
 出雲には古刹も多く、こうした優れた仏像も実は多いのだそう。
 四天王4躯揃い踏み。囲まれるとかなりの迫力。


で、最後にもう一つ撮影OKだったのがこちら。
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法隆寺金堂壁画 複製陶板(第一号壁)。
来月13日から始まる『法隆寺金堂壁画と百済観音』の予告展示…
の意味合いもあったよう。



いやー…知らず知らずのうちに相当じっくり観ていたようで
気が付いたら3時間が経過していた。
この手の展覧会は展示物から発せられるエネルギーがハンパないので
真剣に観てるともうグッタリ(x。x)。

ちなみに今回の自分土産は、特にこの展覧会限定でもなんでもない品物(^^;。
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「くりっ墳(くりっぷん)」と出雲鏡石の勾玉。


「くりっ墳(くりっぷん)」使用の図。
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出雲鏡石の勾玉。
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出雲市にある鏡山から産出される石。
深い碧色の中には7つの鉱物が混ざっているのだそうだ。
石の持つ意味は「生命力を高める」「心に安らぎを与える」
「人間関係を良好にする」だそうで
へぇ〜なんかいいね、と思ってなんとなーく購入。
根付紐を別に買って、常備薬入れにしているちっちゃいがま口に取り付けた。


この展覧会を観ていたら
なんだか無性に奈良と出雲に行きたくなってきた。
また久々にサンライズにも乗りたいし、出来れば年内に行きたいな。


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本館の脇に咲いてた紅梅。
コメント(14) 

コメント 14

ナッキー

とってもタイムリー!今出雲に旅行に来ています。明日境港に行ってから横浜に帰ります(^.^)
今回は往復飛行機なのですが、次回はサンライズ出雲に乗りたいと思ってます☆
by ナッキー (2020-02-20 17:52) 

梅屋千年堂

>ナッキーさん
羨ましいですー!物凄く羨ましいですー!。

この展覧会で買った出雲鏡石の勾玉があんまり素敵だったので
この勾玉を販売しているお店(元々は島根の会社)の最寄り支店に
改めてお買い物に行ってしまいました(^^;ゞ。
そしたら接客してくださった店員さんも出雲出身の方で、
「出雲大好きなんです」と話したら、その方のスマホに入っている
素晴らしい出雲の夕焼けの写真まで見せてくださって
店頭でちょっと盛り上がってしまいました。

残りの旅程を楽しんで、気を付けて帰ってきてくださいね。
そして機会があったらこの展覧会にも是非。

by 梅屋千年堂 (2020-02-20 20:11) 

こたろう

すみません、飛鳥鍋に惹かれてきました(笑)
出雲は私も大好きですが、ここ20年近くいってないなぁ…。前行ったときの一番のお目当てが、砂の器のキーワードとなった「亀嵩」の駅だったもので。
でも出雲大社近くの海からの夕陽は私も見ました。日本海に沈む夕日を初めて見たのでものすごく感動しました。
あと古墳も好きなのですが、自分の住んでいる周りにありすぎるので、いまいちその神秘性がわからなかったのですが、梅屋さんのレポを読ませいていただき、奈良の古墳を観に行きたくなりました。GWの予定、ちょっといろいろと検討しようかしら。
by こたろう (2020-02-23 22:18) 

ナッキー

初めて出雲大社に行ってきました。
卒業旅行の時期だから混んでるかなぁ?と思ったのですが、全然(^^)
お天気が良かったのですが、松の参道を歩いていたら急に風が強くなり曇ってきたんです。
‘天候が変わるのは神さまが歓迎している証拠’と何かで読んだので、その事に感謝しつつお参りしました。でも寒すぎてお昼は釜揚げそばとぜんざいのセットを食べました(^^)
穏やかな気持ちになれたので、一年に一度は訪れたいなぁと思いました。
by ナッキー (2020-02-23 23:34) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
「砂の器」、大昔に読みました。
そうか!「カメダ」の亀崇は出雲地方の地名でしたね。
すっかり忘れていました(^^;ゞ。
アタシは宍道湖の夕陽しか見ていませんが
次に行く時には是非とも日本海に沈む夕陽を見たいと思っています。
あー、旅に出たいなー旅に!!!。
なにはともあれGWまでに…いや、春ツアー開幕までに
新型肺炎が収束することを願うばかりです。




>ナッキーさん
この時期に日本海側でお天気が良かったなんてラッキーでしたね(*^^*)。
一畑電車や鬼太郎列車には乗られましたか?。
境港はいかがでしたか?。
水木しげるロードや記念館などにも行かれたのでしょうか。
(なんだか質問ばかりでスミマセン^^;ゞ)。

アタシは今度あちら方面に行くことがあったら
(島根じゃなくて鳥取ですが)植田正治写真美術館に行きたいと思っています。

by 梅屋千年堂 (2020-02-26 03:03) 

ナッキー

行く前日くらいまで雪が降っていたので飛行機が飛ぶか心配していたんですが、神門通りのお店の方も今年はあったかいと仰ってました。

二日目に出雲から松江に移動したのですが、その時に一畑電車に乗りました(^^)
ホテルがJR松江駅の傍だったのですが、地方に行くと地元の電車とかバスに乗りたい人なので、宍道湖を見ながらノンビリ移動しました。

水木しげるロードも記念館も行きましたよ(^▽^)/
記念館では鬼太郎が看板の所でお出迎えをしてくれてました(^^)
今度は少し足を延ばして足立美術館に行きたいと思っています。
by ナッキー (2020-02-26 23:34) 

こたろう

宍道湖の夕陽、見てみたいですー。
後はあこがれの足立美術館。あそこなら1日いられる自信があります(^^)
この特別展、コロナの関係でもう観られないですね。地方巡回しないかなぁ。

あと、今日ツイに流れてきたのですが、二子玉川の静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリー、再来年に東京駅近くにお引越しになるのですね。あのお山を登っていく感じと木々に囲まれた道、エントランス、高台からの風景が初めていったのにとても好きになった施設です。そして自然光に照らされた曜変天目茶碗他では見られない器の光、とてもステキでした。もう一度行ってみようかと思ってます。
by こたろう (2020-02-26 23:38) 

梅屋千年堂

>ナッキーさん
楽しい旅になったようでなによりです。
足立美術館、いいですよ〜。特に庭園は本当に良く出来ていて素敵です。
ただ…もうちょっと行きやすい場所にあればいいのに、と思います。
が、あの(辺鄙な)場所にあるからこそのあの庭園とも言えます。
ものすごくまた行きたい!とは思いませんが(笑)
前に行った時には喫茶室には入らなかったので
次に行く機会があったらランチは喫茶室で笹巻きおこわかビーフシチュー!と
決めています(なにしに行くんだ?!)。




>こたろうさん
>>特別展、コロナの関係でもう観られないですね
昨日の夜中、サイトを観てびっくりしました( ̄口 ̄;)。
他にも当初の会期終了を待たずに閉幕する展覧会が出てきています。
これから更に増えそうですが、仕方がないですね。

静嘉堂文庫の展示室移転、
こたろうさんのツイッターを拝見して知りました(笑)。
三菱1号館美術館や出光美術館とハシゴできるほど
行きやすい場所になるのは有り難いですが
今の場所の閑静な雰囲気もいいなと思っていたので
少し残念な気もします。

次に曜変天目が展示されるのは来年1月からの
「岩崎家のお雛さま」の時でしょうか。
アタシも行っておこうかな。

by 梅屋千年堂 (2020-02-27 15:54) 

きゅう

ぶら美でみて「やっぱり3月に入っていこうか」などと考えていたら翌日に電撃的に終わってしまいましたね。
3月に入ったら京都御所の高御座も行こうと思っているのですがビミョーな雰囲気ですね。
次の「法隆寺金堂壁画と〜」はフィギュア付き前売り券を買ってあるのですが…。
by きゅう (2020-02-27 22:32) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
京都御所の高御座も延期になってしまったようですね。
「法隆寺金堂壁画と百済観音」も開始日が延期に。

「ハマスホイとデンマーク絵画展」
「ブダペスト ヨーロッパとハンガリー絵画展」
時間があったら行こうと思っていましたが
どうやら行かれそうにありません…。

ちなみに自分の仕事は通常通りです。

by 梅屋千年堂 (2020-02-28 22:37) 

おかん

亡くなった母が発掘のパートをしていたので、トーハク興味ありましたが行けなかったな~。
ゴッホも行く気満々なのですが・・。
by おかん (2020-03-03 17:55) 

梅屋千年堂

>おかんさん
そうそう、お母様が発掘のパートをされていたっておっしゃってましたよね。
この展覧会に限っては前売券も買っていたので
行っておいてヨカッタ…と心から思いました。

ゴッホって兵庫でやってるゴッホ展ですか?。
アタシも時間とお金が許せば(日帰りでも)行くつもりでしたが
コロナとは関係なく諸般の事情により断念しました。

早く「普通の日常」に戻りたい。
9年前の3月にも毎日そんなことを願っていたような気がします。

by 梅屋千年堂 (2020-03-04 01:13) 

かりりん

残念ながら兵庫県立美術館も今日から15日まで休館が決まってしまい、ゴッホ展も休館となってしまいました(ToT)

友人が29日の土曜に、休館になりそうなので、と駆け込みで見に行ったそうですが、同じことを考えたひとたちで混雑していたそうです。

再開したとしても会期が今月29日までですから…どうなってしまうのでしょうね。

早くウィルス禍が下火になることを祈るのみです…
by かりりん (2020-03-04 13:17) 

梅屋千年堂

>かりりんさん
兵庫のゴッホ展も休館になってしまいましたね。
今となっては開けている美術館の方が珍しいくらいです。
早くみんなが安心して外出できるようになってほしいものです。
仕方がないから自分の部屋で幸ちゃんの書写真展して癒されます。
(つっても4点だけだけど笑)。

by 梅屋千年堂 (2020-03-04 17:55) 

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