〈対〉で見る絵画 [EXHIBITION]
久々の根津美術館。
どれくらい久々かというと、
去年は一度も訪れず、一昨年の3月が最後だったので約2年ぶり。
今やっているのは『〈対〉で見る絵画』という展覧会。
掛け軸の二幅対や三幅対、屏風の右隻・左隻で一双となる作品など
〈対〉で成り立つ絵画(といくつかの工芸品)を紹介する展覧会。
チラシやポスターのメインビジュアルになっている
紅葉と桜の絵がとても素敵で「これを観たい!」と思ってやってきた。
実際に行ってみると、思いの外自分好みの作品が盛り沢山(*^^*)。
まずは《二幅対》の掛け軸から。
●狩野山雪『梟鶏図』
とぼけた顔のフクロウと、強面のニワトリというユーモラスな組み合わせ。
それはそうとこのとぼけたフクロウ…以前どこかで観たような気が(-"-?。
帰宅後、もしかしたら?と昨年府中市美術館で行われた
「へそまがり日本美術」の図録を見てみたら…あった!。
同じく狩野山雪『松に小禽・梟図』。
実はこの展覧会には行っておらず
面白そうだから図録だけ買ってパラパラと見ただけ。
それでも記憶に残ってるんだから、よほどのインパクトなのだろう(^^;。
●松村景文『柳下双鴨・雪中山茶花図』
左隻の山茶花と尉鶲(ジョウビタキ)がとっても素敵。
特に一筆で描いた山茶花の葉と、そこに積もった雪がイイ。
次は《一双の屏風》
●雪村周継『龍虎図屏風』
六曲の屏風それぞれの中央に虎と龍が描かれていて、一見よくある龍虎図。
でも右隻側から見ると左隻の虎の姿は見えず、川の流れしか見えない。
左隻側から見ると、今度は右隻の龍は見えず、稲妻や雲しか見えない。
しかし見えなくてもそれぞれ「そこになにかいる気配」は感じる。
右から左、左から右へと移動しながら観ると「おおお〜!」となる屏風。
●『吉野龍田図屏風』
これがアタシが観たかったヤツだ。
こんなにスゴイ屏風なのに、誰が描いたのかわからない。
大きな屏風いっぱいに描かれた吉野の桜と竜田川の紅葉。
胡粉で描かれた桜の花びらは1枚1枚が立体的に盛り上がっている。
下に描かれた川の群青色もいい色。
それぞれの枝には短冊が吊されていて、桜・紅葉を詠んだ和歌が書かれている。
短冊は風にたなびいたり、葉や枝に隠れて部分的にしか見えないものもある。
一部分が見えなくても、きっと当時の教養人なら
誰が詠んだ歌なのか即座にわかるのだろう。
そんな楽しみ方をしたのかな、などと勝手に想像。
●尾形光琳『夏草図屏風』
〈対〉の絵画は、単独で観たり左右を入れ替えて観ても
作品として成立するものも多いけれど、
この尾形光琳の屏風はこの並びで2枚並んでいないと絶対ダメ!な作品。
音声ガイドでは同じく光琳の『紅白梅図屏風』も同様、と説明していた。
冒頭でも書いたように、絵画だけではなく〈対〉の工芸品も紹介されている。
個人的に興味深かったのは、刀剣に用いられる鐔や縁頭、目貫といった
小さな装飾パーツ。精緻な細工は超絶技巧。
松尾月山の『日月図目貫』はすっごくカッコ良かった。
続いて今度は《三幅対》。
中央に人物、左右に山水図や花鳥図を配したものが多いが
中央の軸を単独で飾ったり、左右を二幅対ごして飾るのもアリ。
●土佐光起『三夕図』
新古今集の「…秋の夕暮れ」で終わる3つの和歌を題材に描いた三幅対。
和歌は寂蓮・西行・藤原定家が詠んだもの。
●森狙仙『龍鹿図』
龍と鹿の組み合わせが珍しい。
動物を描くのが得意な狙仙らしく、鹿がとっても可愛くて巧い。
さらに《四幅対》《五幅対》。
●池大雅『寿老・四季山水図』
中央に寿老人、左右に春夏秋冬の山水図という合計5幅の掛け軸。
これも中央の寿老人を単独で飾ったり、
寿老人+2つの季節の三幅対にしたり、2つの季節だけで二幅対にしたりと
いろんな楽しみ方が出来るセット。
《分割と再生》というセクションでは
もとは屏風や画帖の一部だったものや掛け軸にしたもの、
あるいは四幅対だったものが分割されて二幅対となっているものなど
時を経て分割されてしまった作品を紹介。
海北友松の『呂洞賓・鷺・鶴図』もそのひとつで
元々は六曲一双の屏風だったそうだ。
今は中央に配されている呂洞賓だが、屏風の時は左隻の一番左だったとか。
う〜ん、屏風だった頃を観てみたいな、と純粋に思った。
メイン展示の『〈対〉で見る絵画』は以上で終わり。
同時開催のテーマ展示『百椿図』と『初月の茶会』も
なにやら良さげなのでちょっと覗いてみることに。
『百椿図』は江戸初期の椿ブームを背景に成立した椿の図鑑のような巻物。
現代には存在しないような品種を含め、様々な椿が色鮮やかに描かれている。
ただ椿の花だけを画くのではなく、扇子やちりとりの上に載せてみたり
籠の中に詰め込んでみたり〈映え〉を狙ったカタログのようでもある。
それぞれの椿図には当時の文化人49人が賛を寄せていて
(まぁ何が書いてあるのかはわからんけども^o^;)
大勢で楽しみながら作ったんだろうなというのが伝わってくる。
まぁもうとにかく状態が良くて美しい!。それに尽きる。
『初月の茶会』で個人的に目を引いたのは、やっぱり大好きな美濃の織部焼。
「織部嶋文筒向付」は、縦長の直方体の器。
側面のひとつには「III」、他の側面には「V」みたいな文様が描かれている。
作者にはそんなつもりは毛頭なかったと思うけど
現代人が見るとこの文様がまるでローマ数字のようで
ものすごくモダンに感じられた。
展示を観終わって時計を見ると、ちょうど昼時。
よ〜し、せっかく根津美術館に来たのだからNEZU CAFEでランチしよう。
《TO BE CONTINUED...長くなりそうなのでつづく》
どれくらい久々かというと、
去年は一度も訪れず、一昨年の3月が最後だったので約2年ぶり。
今やっているのは『〈対〉で見る絵画』という展覧会。
掛け軸の二幅対や三幅対、屏風の右隻・左隻で一双となる作品など
〈対〉で成り立つ絵画(といくつかの工芸品)を紹介する展覧会。
チラシやポスターのメインビジュアルになっている
紅葉と桜の絵がとても素敵で「これを観たい!」と思ってやってきた。
実際に行ってみると、思いの外自分好みの作品が盛り沢山(*^^*)。
まずは《二幅対》の掛け軸から。
●狩野山雪『梟鶏図』
とぼけた顔のフクロウと、強面のニワトリというユーモラスな組み合わせ。
それはそうとこのとぼけたフクロウ…以前どこかで観たような気が(-"-?。
帰宅後、もしかしたら?と昨年府中市美術館で行われた
「へそまがり日本美術」の図録を見てみたら…あった!。
同じく狩野山雪『松に小禽・梟図』。
実はこの展覧会には行っておらず
面白そうだから図録だけ買ってパラパラと見ただけ。
それでも記憶に残ってるんだから、よほどのインパクトなのだろう(^^;。
●松村景文『柳下双鴨・雪中山茶花図』
左隻の山茶花と尉鶲(ジョウビタキ)がとっても素敵。
特に一筆で描いた山茶花の葉と、そこに積もった雪がイイ。
次は《一双の屏風》
●雪村周継『龍虎図屏風』
六曲の屏風それぞれの中央に虎と龍が描かれていて、一見よくある龍虎図。
でも右隻側から見ると左隻の虎の姿は見えず、川の流れしか見えない。
左隻側から見ると、今度は右隻の龍は見えず、稲妻や雲しか見えない。
しかし見えなくてもそれぞれ「そこになにかいる気配」は感じる。
右から左、左から右へと移動しながら観ると「おおお〜!」となる屏風。
●『吉野龍田図屏風』
これがアタシが観たかったヤツだ。
こんなにスゴイ屏風なのに、誰が描いたのかわからない。
大きな屏風いっぱいに描かれた吉野の桜と竜田川の紅葉。
胡粉で描かれた桜の花びらは1枚1枚が立体的に盛り上がっている。
下に描かれた川の群青色もいい色。
それぞれの枝には短冊が吊されていて、桜・紅葉を詠んだ和歌が書かれている。
短冊は風にたなびいたり、葉や枝に隠れて部分的にしか見えないものもある。
一部分が見えなくても、きっと当時の教養人なら
誰が詠んだ歌なのか即座にわかるのだろう。
そんな楽しみ方をしたのかな、などと勝手に想像。
●尾形光琳『夏草図屏風』
〈対〉の絵画は、単独で観たり左右を入れ替えて観ても
作品として成立するものも多いけれど、
この尾形光琳の屏風はこの並びで2枚並んでいないと絶対ダメ!な作品。
音声ガイドでは同じく光琳の『紅白梅図屏風』も同様、と説明していた。
冒頭でも書いたように、絵画だけではなく〈対〉の工芸品も紹介されている。
個人的に興味深かったのは、刀剣に用いられる鐔や縁頭、目貫といった
小さな装飾パーツ。精緻な細工は超絶技巧。
松尾月山の『日月図目貫』はすっごくカッコ良かった。
続いて今度は《三幅対》。
中央に人物、左右に山水図や花鳥図を配したものが多いが
中央の軸を単独で飾ったり、左右を二幅対ごして飾るのもアリ。
●土佐光起『三夕図』
新古今集の「…秋の夕暮れ」で終わる3つの和歌を題材に描いた三幅対。
和歌は寂蓮・西行・藤原定家が詠んだもの。
●森狙仙『龍鹿図』
龍と鹿の組み合わせが珍しい。
動物を描くのが得意な狙仙らしく、鹿がとっても可愛くて巧い。
さらに《四幅対》《五幅対》。
●池大雅『寿老・四季山水図』
中央に寿老人、左右に春夏秋冬の山水図という合計5幅の掛け軸。
これも中央の寿老人を単独で飾ったり、
寿老人+2つの季節の三幅対にしたり、2つの季節だけで二幅対にしたりと
いろんな楽しみ方が出来るセット。
《分割と再生》というセクションでは
もとは屏風や画帖の一部だったものや掛け軸にしたもの、
あるいは四幅対だったものが分割されて二幅対となっているものなど
時を経て分割されてしまった作品を紹介。
海北友松の『呂洞賓・鷺・鶴図』もそのひとつで
元々は六曲一双の屏風だったそうだ。
今は中央に配されている呂洞賓だが、屏風の時は左隻の一番左だったとか。
う〜ん、屏風だった頃を観てみたいな、と純粋に思った。
メイン展示の『〈対〉で見る絵画』は以上で終わり。
同時開催のテーマ展示『百椿図』と『初月の茶会』も
なにやら良さげなのでちょっと覗いてみることに。
『百椿図』は江戸初期の椿ブームを背景に成立した椿の図鑑のような巻物。
現代には存在しないような品種を含め、様々な椿が色鮮やかに描かれている。
ただ椿の花だけを画くのではなく、扇子やちりとりの上に載せてみたり
籠の中に詰め込んでみたり〈映え〉を狙ったカタログのようでもある。
それぞれの椿図には当時の文化人49人が賛を寄せていて
(まぁ何が書いてあるのかはわからんけども^o^;)
大勢で楽しみながら作ったんだろうなというのが伝わってくる。
まぁもうとにかく状態が良くて美しい!。それに尽きる。
『初月の茶会』で個人的に目を引いたのは、やっぱり大好きな美濃の織部焼。
「織部嶋文筒向付」は、縦長の直方体の器。
側面のひとつには「III」、他の側面には「V」みたいな文様が描かれている。
作者にはそんなつもりは毛頭なかったと思うけど
現代人が見るとこの文様がまるでローマ数字のようで
ものすごくモダンに感じられた。
展示を観終わって時計を見ると、ちょうど昼時。
よ〜し、せっかく根津美術館に来たのだからNEZU CAFEでランチしよう。
《TO BE CONTINUED...長くなりそうなのでつづく》
2020-02-06 20:57
コメント(4)
久々のコメお許しください。寒いので動きが緩慢でした(^◇^;)
根津美術館、実は行ったことのないアタシなのですが、これ面白そうー!『吉野龍田図屏風』みたいー!と思ったら、日程が合わず( ̄◇ ̄;)
今年はオリンピックに合わせて、浮世絵等いろいろあり、今から楽しみです。ただ問題はいけるのか?ですが。
今年も楽しく私にはとても為になるレポ、楽しみにしています。今年もよろしくお願いしますm(_ _)m
PSメタルなバレンタイン参加されますか?私は土曜日のみですが行けます。初の王子ソロ楽しみです(*^^*)
by こたろう (2020-02-07 06:05)
>こたろうさん
そうなんです…この展示は11日で終わってしまうのです。
それでもう「今日しかない!」と水曜日に行ってきたのでした。
来週はトーハクの『出雲と大和』へ行く予定です(あくまで予定)。
王子ソロ、二日とも参加します。
そろそろグッズが発表になる頃かな?とワクワクしています。
(↑別にダジャレではありません笑)。
予習、全然出来ていませんが(^^;ゞ。
紅騎士ラベルの原画展示も楽しみです(*^^*)。
by 梅屋千年堂 (2020-02-07 21:06)
美術館スケジュールの把握は必須だなぁ。と改めて地団駄踏んでます
私も土曜日のみですが王子ソロ初参加です(^O^)ワォ!のお席が来てくれたのですが作法がわからない(笑)ヘドバンもせずただボーッと見てたらそれが私です。
原画もライブも今から楽しみでーす。お互い体調管理に気をつけて…ステキなLiveになりますように
by こたろう (2020-02-08 11:27)
>こたろうさん
Yahooのカレンダーアプリを展覧会スケジュール専用として使っていて
行きたい展覧会のスケジュールを入れまくり
見逃さないように気を付けているのですが、
それでもどうしたって見逃しは出てしまいますね。
今も3月までに行っておきたい展覧会が5〜6展あって
果たして全て観に行けるのか?!というところです。
別にヘドバンしなくてもダイジョブですよ(^^;。
アタシなんてポンポンすら持ってません。
ちなみに今日は予習として久々に“薔薇と月と太陽”と
そのカップリングを聴きまくりまして
全部(特に“太陽はもう輝かない”)ライブで聴きたい!と思いました。
…やんないか(^o^;。
by 梅屋千年堂 (2020-02-09 00:30)