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興福寺中金堂債権記念特別展『運慶』 [EXHIBITION]

先週の水曜日に観てきた展覧会。
せっかく行ってきたので、覚え書き程度の記録。

この時期、魅力的な展覧会が目白押し。
『運慶』もその一つではあるのだけれど
他にも観たいものがあり過ぎて、
もしかしたら観に行かれないかも知れないなぁ…と
前売券は買わないでいた。

ところが、そんなある日…、上司からまたまた招待券をいただいた。
10月22日までの期間限定招待券。
アルフィーの秋ツアーが始まると忙しくなるから(笑)
その前に行っておかねば!。

というわけで、東京国立博物館平成館。
01_unkei.jpg

この日は、このあと出光美術館へも行く予定にしていたので
午前11時頃トーハクに到着したのだけど…

うわぁ〜…並んどる_| ̄|◯。

でも見た目に反して、入場までも待ち時間は10分程度だという。
なら、まぁいっか。
そのまま並んで、ホントに約10分後には中に入ることが出来た。

中もさぞかし混雑しているのだろうなぁ…と恐れをなしていたけれど
展示物が比較的大きいこと、
そして高めの台座に載っているものが多いこともあり
いずれの展示も、ほとんどストレスを感じることなく観ることが出来た。

展示は
第1章 運慶を生んだ系譜 −康慶から運慶へ
第2章 運慶の彫刻 −その独創性
第3章 運慶風の展開 −運慶の息子と周辺の仏師
という三部構成。

第1章で印象に残ったのは
運慶の父・康慶作『四天王立像』(奈良・興福寺)。
トーハクでの仏像系の展覧会の時にいつも思うのだけど
照明の当て方が物凄くカッコイイ。
壁に映る仏像のシルエットが、その仏像が持つパワーを倍増させてくれる。
そのシルエットは仏像の背後だけでなく
思いも寄らぬところにも映っていたりして、ドキッとするのだ。


メインの第2章では運慶の手になる仏像が「どうだ!」とばかりに登場する。
ここで印象に残ったのは(まぁ非常にベタなんだけども^^;ゞ)
『毘沙門天立像』(静岡・願成就院)
『八大童子立像』(和歌山・金剛峯寺)
『聖観音菩薩立像』(愛知・瀧山寺)
『無著菩薩立像 世親菩薩立像』(奈良・興福寺)
『四天王立像』(奈良・興福寺)
(まぁ非常にベタなんだけども^^;ゞ)。

興福寺の『四天王立像』は、身に付けている甲冑とポーズがカッコイイ。
個人的に、特に「これカッコイイなぁ」と思ったのは多聞天。
この手の仏像は、睨みつけるように目線を下に向けているものが多い中、
この多聞天は左手に置いた宝塔をを自分の頭よりも高く掲げ、
顔もそちらを見上げているというポーズがなんだかとても新鮮なのだ。
大きく開けた口は、何かを称賛しているようにも見える。

甲冑のデザインでは持国天。
左右の胸の部分に何かの顔がくっついていて
「あ、なんか今年の夏イベの王子の衣装みたい…」
なんて思ってしまった(そこ?^^;)。

そして何よりも、
この展覧会で最もゾワゾワッと来たのが『無著菩薩立像』。
運慶展のメインビジュアルとしてチラシなどにも使われている、
一見普通のお坊さんの像のように見えるあれである。

ポスターやチラシで観るたびに
「リアル過ぎてなんか怖い…」と思っていたのだけど
実物を目の当たりにすると、その怖さはリアルさからというよりも
なんかこう、心の中を見透かされているような気持ちになるところから来る。

こんな仏像を作ってしまう運慶…凄いとしか言いようがない。
運慶の作る仏像の多くは、
とにかくその目ヂカラが凄い(安っぽい表現でスンマセン)。
それらの多くは玉眼という水晶が埋め込まれているのだけど
その輝きに圧倒される。
無著さんなどは、あまり目を見開いていないのにもかかわらず
その細い目から発せられる輝きに思わず見入ってしまう。

西洋の大理石彫刻にはない活き活きとした感じがするのは
この玉眼の成せる技なのかも。
ミケランジェロよりも約300年も早く、
運慶が生まれていたということが驚きであり、日本人として誇らしくもあった。

ちなみに、常日頃から「玉眼ってどうやって作る(入れる)んだろう?」と
不思議に思っていたのだけど、今回の展覧会で
玉眼の仕組みが詳しく解説されたパネルがあったのが嬉しかった。

ところで…
アタシ、以前この無著さんと世親さんにお目にかかったことがあるような…(^^;
そう思って過去の記事を調べてみたら、2011年の秋に興福寺を訪れた際
無著・世親像が安置されている北円堂が特別公開されていて
やっぱりそこでご尊顔を拝していた。
その時は、小さな扉から薄暗い内部を覗き込むような感じで
あまりよく見えなかったらしく、
今回のようなゾワゾワ感は皆無だった模様(^o^;。
…今思うと、なんだか勿体ないことをした。


第3章では、まずは京都・海住山寺の『四天王立像』。
小振りだが精彩かつ精彩で、まるでフィギュアのよう。

それとトーハクと静嘉堂文庫が所蔵している『十二神将立像』。
12軀が一堂に会するのは42年ぶりとのこと。
この12軀がどれもこれも個性的。
特に「申神」…他の十一神がおっかない形相なのに対して
何故かこの「申神」だけは…プッ( ̄m ̄)。

コミカルと言えば奈良・興福寺の『天燈鬼立像 龍燈鬼立像』も。
興福寺での展示よりも特別扱いされていて良かったね〜なんて(笑)。

あとは2014年および2015年の鳥獣戯画展の時に観た
京都・高山寺の『神鹿』と『子犬』。
これらの愛らしい動物彫刻は、湛慶作と伝えられているのだそうだ。


そして最後は恐怖の(笑)特設ショップ。
とはいえ、まぁ仏像グッズ買ってもしゃーないし(^^;
龍燈鬼のポストカードくらいでいいやと思っていたら…
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なにやらカワイイ子が…。
展覧会の公式グッズではないのだけど
高山寺の子犬の、高さ3cmほどのミニチュア。
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おそらく何らかの合金製。ちょっとしたペーパーウェイトとしても使えそう。


そういえば、出入り口付近にこんな撮影コーナーも(^m^)。
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ちなみに10月15日放送のNHK『日曜美術館』に
みうらじゅん氏が登場するらしい。
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omachi

運慶展を観た方にWEB小説「北円堂の秘密」をお薦めします。
グーグルで検索すれば無料で読めます。
少し難解ですが面白いです。
by omachi (2017-10-15 21:45) 

梅屋千年堂

>omachiさん
情報ありがとうございます。早速ググってみました。
想像以上にボリュームがありそうでしたので
時間がある時にじっくり拝読させていただこうと思います。

by 梅屋千年堂 (2017-10-16 02:16) 

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