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ボストン美術館の至宝展 [EXHIBITION]

先週、大相撲の前にターッと観てきた展覧会。

『ボストン美術館の至宝展 −東西の名品、珠玉のコレクション』、
場所は東京都美術館。いつもの写真。
boston_1.jpg
ホンットにこの日はいいお天気だった。

それにしても…ボストン美術館関連の美術展って
なんだかしょっちゅうやってる気がする。
今も千葉市立美術館で『ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信』をやってるし
近年自分が行った展覧会だけでも
2016年『ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞』
2015年『ボストン美術館×東京藝術大学 ダブル・インパクト 明治ニッポンの美』
2014年『ボストン美術館浮世絵名品展 北斎』
    『ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展』
2012年『ボストン美術館 日本美術の至宝展』
…こんなにある(^^;。
(プラド美術館展もしょっちゅうやってる印象だけど^^;)

それくらいボストン美術館のコレクションが膨大だということなんだろうけど
今回も結構スゴイのがやってきているらしい。

展示は7つのカテゴリーに分かれていて、
第1章は《古代エジプト美術》。
大抵の展覧会がそうであるように、入口付近というのは大体混雑している。
エジプトものにさほど興味はないし、じっくり観ている時間もないので
ここはサラッと遠巻きに観て次の展示室へ。

第2章《中国美術》。
ここでの目玉は『九龍図巻』。
本当はガラスケースに貼り付いてじっくり観たいところだったのだけど
平置き型のケースにはズラーーーッとほぼ隙間なく人が群がっていて近づけない。
仕方がないので人と人と間からチラ見だけして、またまた次の展示へ。

第3章は《日本美術》。
このあたりになると人もばらけてきて、
割とどの作品もゆっくり観られる混み具合になってくる。
ここでの目玉は曽我蕭白の『風仙図屏風』や、
このたび約170年ぶりの修復を終えて、日本への里帰りを果たした英一蝶の『涅槃図』。
確かにこれらの作品も素晴らしかったのだけど、
個人的に「好きだなぁ(*^^*)」と思ったのは
野々村仁清『銹絵鳰形香合』、酒井抱一『花魁図』、
それと松村景文、岡本豊彦、東東洋『松に鹿蝙蝠図屏風』。
野々村仁清の鳥の形の香合は、ホントにどれを観ても可愛らしい。

第4章は《フランス絵画》。
通常アタシは印象派はあまり好きではないのだけど
ここで観たクロード・モネの『ルーアン大聖堂、正面』と『睡蓮』はとっても良かった。
あと印象に残ったのは写実が凄いアンリ・ファンタン=ラトゥール『卓上の花と果物』。

このコーナーにこの展覧会の目玉中の目玉である
フィンセント・ファン・ゴッホの『郵便配達人 ジョセフ・ルーラン』と
『子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人』がある。
ゴッホはこの夫妻の肖像を何枚か描いているのだけど
夫婦並んで展示されることは珍しいらしい。

夫婦揃ってはいるけれど、この2枚の趣が異なるのは
それぞれがゴッホの耳切前・耳切後だから。
それゆえ夫人の背景なんかは、ちょっと「イッちゃってる」感じなのである。

第5章《アメリカ絵画》では展示数が少ない割に
「これ好きカモ」という作品が多かった。
ワシントン・オールストン『月光』
ウィンスロー・ホーマー『たそがれ時のリーズ村、ニューヨーク州』
ジョン・シンガー・サージェント
 『フィスク・ウォレン夫人(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル』
ジョージア・オキーフ『グレーの上のカラー・リリー』
チャールズ・シーラー『ニューイングランドに不釣り合いなもの』
などなど。

チャールズ・シーラーは、次の第6章《版画・写真》でも作品が展示されていたんだけど
個人的には絵画作品の方がヨカッタ。
この《版画・写真》のカテゴリーでは
アンセル・アダムスの『白い枝、モノ湖』が好みだった。
モノクロ写真なのだけど、ダリとかマグリット、エルンストあたりの
シュールレアリスム絵画のようだった。

最後は第7章《現代美術》。
ここで印象に残ったのが、強烈な色彩のデイヴィッド・ホックニー『ギャロービー・ヒル』。
それと映像作品のサム・テイラー=ジョンソンの『静物』。
これは籠の上に置いた果物が腐って朽ちていく様を
ずーっと同じ場所から撮影しつづけて、それを早送りで見せるというもの。
一体何ヶ月カメラを回していたのかわからないけど
最初は瑞々しかった果物が、黒ずんで腐敗してカビが生えて
最終的に原形を留めないほどに変化していく、かなり生々しい映像。
籠の前に置かれたプラスチックのボールペンにだけは変化が起こらず
朽ちていく果物との対比になっている。

最初は何が起こるのかわからずに観始めるのだけど
音もなく時間の経過とともにひたすら朽ちていく果物の映像に
惹きつけられてどうしても目が離せない…そんな雰囲気だった。


展示室を出ると、こんな撮影コーナーが。
boston_2.jpg
ルーラン夫妻とともに記念撮影(笑)。


そして最後はお約束の特設ショップ。
このあと相撲を観に行くんだし、荷物になるものは買わないぞー!
ポストカードくらいにしておくんだー!と思っていたのにもかかわらず…
boston_3.jpg
アメリカのぬいぐるみブランド、ダグラス社とのコラボ商品である
ボストンテリアのぬいぐるみ(小)を買ってしまった(^o^;(^o^;(^o^;。
見ての通り、ゴッホの『郵便配達人 ジョセフ・ルーラン』をモチーフにしたワンちゃん。
形が崩れてブサイクなのが多い中、キリッとしたこのコと目が合ってしまい
そのままレジに連れてってしまったのだった…。
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おかん

郵便配達ワンちゃん、これはやられちゃいますね。
可愛いし賢そう!(^^)!
by おかん (2017-10-01 05:09) 

梅屋千年堂

>おかんさん
もうこういったぬいぐるみ系を買うのはやめよう…と
心の中ではいつも思っているのに、
子供の頃からのぬいぐるみ好きが大人になっても抜けきらず
「ちっちゃいし、まいっか(^o^;」とついつい買ってしまう
ダメなアタシなのでした…_| ̄|◯。
いくらちっちゃいぬいぐるみでも塵も積もれば山となるのに(-_-;。

by 梅屋千年堂 (2017-10-02 01:23) 

こたろう

ボストン美術館展、じっくり3時間観てきました。人が多過ぎた九龍図巻ですが、ガラスケースにへばりついて、感動しながら龍さん達を堪能してきましたぁ。
市民の募金で購入された作品もあると聞いて、ステキな美術館だなぁ。と感心しました。
九龍図巻のマスキングテープは連れて帰ってきましたが、郵便配達犬にもつぶらな瞳で誘惑されました。しかし、これから武道館に行くからゴメンね。とお断りした私です。でもちょっと後悔…
by こたろう (2017-10-04 19:21) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
行ってらしたのですねー。
九龍図も十二分に堪能できたようで良かったですね(*^^*)。
ボストン美術館のコレクションは量・質ともにオソルベシ!ですよね。
そしてこうして日本にいながらにして、貴重かつ状態の良い作品を鑑賞出来るのも
ボストン美術館の太っ腹さゆえ???。

こたろうさんは郵便配達犬の誘惑に打ち勝ったのですね。
アタシは今日トーハクの「運慶展」と出光の「江戸の琳派芸術」を観てきましたが
「運慶展」でまた小犬の誘惑に負けました…_| ̄|◯。

by 梅屋千年堂 (2017-10-04 21:51) 

おーちゃん

毎年律儀に出張してきてくれる、ボストンの所蔵品たち(笑)
日本美術の里帰り展も多いですけど、今回はコレクターや寄贈者にも注目していた点と、写真や現代美術がおもしろかった。
私も白い枝に惹かれました。一瞬、版画にも見えて。

自分のコレクションを、美術館に寄付できるようなお金持ちになりたいです~(^^;
坂崎さんの和ガラスやカメラコレクションは寄贈できそうですよね(*^^*)
by おーちゃん (2017-10-04 22:47) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
当初、この手の美術展はいろんなものを盛り込みすぎて
そして展示点数が無駄に多すぎて(^^;
まとまりがなく観ていて疲れるだけなんじゃないか?と
心配していたのですが、とてもわかりやすくまとまっていたと思います。
おーちゃんさんのおっしゃる通り
コレクターやスポンサーに着目した点もユニークで印象に残りました。

幸ちゃんや王子のコレクションは、それだけで博物館が出来そうですよね。
できたらいいな、アルフィー博物館。
桜井さんは…焼酎のコレクション(?)を出展ってことで(^^;ゞ。

by 梅屋千年堂 (2017-10-05 00:27) 

こたろう

運慶展で小犬?すごく気になります。
誘惑に勝てるのは、リアルわんこ、甲斐犬もどきがいるからなんですー。
運慶展、行く予定はなかったのですが、お犬さま目当てで行ってしまいそうな気がします。
by こたろう (2017-10-08 08:48) 

うさぼん

こんばんは。本日行ってきました。ボストン美術館の収蔵量はものすごいですね。展覧会が頻繁に行われる訳がわかりました。睡蓮のカードを手にしていたら、「あの睡蓮はあまり良くなかったわね」と話しているオバサマがいらして、心の中で「お黙り!」と反論して買いました。(笑)
by うさぼん (2017-10-08 22:26) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
運慶展の記事、上げてみました。
子犬の誘惑の謎が解けると思います(^^;ゞ。
甲斐犬ってどんなワンちゃん?とググってみました。
凛々しいルックスなんですね(*^^*)。




>うさぼんさん
本文にも書きましたが、
アタシも今回展示されていたモネの『睡蓮』、いいと思うんですよ〜。
オバサマ達が「あまり良くない」と思ったのは
ちょっと暗い感じだからでしょうか。
好みは人それぞれですから、何をどう思おうと自由なのですが
自分が「いい」と思ったものを声高に否定されるのは
ちょっと残念な気持ちになってしまいますね(^^;。

by 梅屋千年堂 (2017-10-11 01:34) 

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