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絵巻マニア列伝 [EXHIBITION]

@サントリー美術館。

それと、ミッドタウン・ガーデンでプチ花見。

前々から「今日はサントリー美術館の『絵巻マニア列伝』を観よう」と決めていた。
せっかく外出するので、ついでにあの辺で桜が見られる場所がないかと調べたら
灯台もと暗し、ミッドタウン・ガーデンは立派にお花見スポットだった(^o^;。


プチ花見の話はちょいと置いといて、まずは展覧会『絵巻マニア列伝』の話から。

そのタイトル通り、この展覧会は「絵巻」を紹介するものなのだけど
ただそれだけではなく、「絵巻マニア」とも呼ぶべき歴代の絵巻好きを通して
「絵巻」を観ていきましょうという趣向らしい。

登場する「絵巻マニア」は、
後白河院
花園院(花園天皇)
後崇光院・後花園院
三条西実隆
足利将軍家
松平定信
…という顔ぶれ。


「梁塵秘抄」を編纂したことで知られる後白河院は
蓮華王院(三十三間堂)の宝蔵に様々な宝物を蒐集・秘蔵していたが
そのコレクションの中でも特に絵巻物が多かったらしい。
国宝『法然上人絵巻』や、『病草紙』の断簡が面白い。
特に『病草紙』は、病気に苦しむ人の様子が描かれていて
今は「不眠の女」とか「頭のあがらない乞食法師」
「居眠りの男」が展示されているのだけど
実は4/26以降の後期展示の中に、
ものすごく気になるタイトルの『病草紙』があるのだ。

それは…「尻の穴のない男」!!!(爆)。

なにそれ〜〜〜!!!(≧▽≦)。どういう病気よ?!。
絵巻でどんな風に表現されてるのよ?!。
気になって仕方ないではないか!。
…こりゃ後期展示も観に行くしかないか(笑)。

ここでは更に「伴大納言絵巻」も展示されていて
「えっ?!マジ?!」と思ったら、これは複製だった(・_・)。



花園天皇は、子供の頃から絵が見るのも描くのも大好きで、
「万事を投げ打ちて観る」ほど絵巻鑑賞にハマっていたらしく
父・伏見院から貸し与えられた蓮華王院宝蔵の絵巻を
興奮気味に鑑賞していたそうな…(^^;。

伏見院と花園天皇の周辺で、絵巻を製作していたのが絵所預・高階隆兼。
高階隆兼は、かの「春日権現験記絵」を描いた人。
今年の1月に観た『春日大社 千年の至宝』で、これでもか!というくらい
展示されていた「春日権現験記絵」がここにも(^^;。

他には「石山寺縁起絵巻」「矢田地蔵縁起絵巻」などがあって
いずれも驚くほど色鮮やかで状態が良い。
春日大社や石山寺など、自分も訪れたことがある場所は
当時の人々にはあの風景がこんな風に見えていたんだな…なんて
想像しながら鑑賞することも出来て、ちょっと楽しい。



後崇光院と後花園院の父子は、絵巻好き親子で
親子していろんなところから絵巻を借りてきては
お互いに貸し借りしていたそうで、
国宝「玄奘三蔵絵」も、後花園天皇から後崇光院へ又貸ししたりしている。
それだけでなく、この親子は気に入った絵巻を自ら写したり
新しい絵巻を制作していくほど絵巻大好きだったそうだ。
ここで展示されているの「玄奘三蔵絵」は第四巻で
釈迦の聖地であるインドを訪れる場面。
玉虫厨子でお馴染みの「捨身飼虎」の崖を訪れて
崖の下にいる虎を指差して見ているという
とてもわかりやすいシーンが紹介されている。

そんな《絵巻大好き親子》が愛した絵巻は、堅苦しいものだけでなく
結構やわらかい内容のものや、ふざけたものも多かったようで
観ているだけで臭ってきそうな「福富草紙」「放屁合戦絵巻」…
かなり強烈な内容であった(^o^;。
そうそう、とんちの効いた小噺集の「法師物語絵巻」も面白かった。

上皇・天皇の親子でこんな絵巻を貸し借りしてたのかと思うと
なんだかちょっと微笑ましい。



三条西実隆の絵巻好き古典・名作の鑑賞にとどまらず
自ら多くの新作絵巻の制作に関わり
「桑実寺縁記絵巻」では縁起の草案の執筆、詞書を清書する人の手配、
絵師との調整など、チーフプロデューサー的な役割も果たしたという。

このセクションで紹介されている「地蔵堂草紙絵巻」。
このお話がなんだかマヌケでおもろい(^m^)。
お寺で写経をしていた僧のところに、美しい女が現れる。
僧はその女に恋心を抱いてしまい、写経を終えると女の元へ。
僧は女と共にしばし夢のような生活を送っていたが
ある日、女の裾から蛇の尾っぽのようなものが出てるのを見て
今自分がいる場所が龍宮であることに気付く。
ふるさとに帰りたいと女に別れを告げる僧。
そんな僧に女が差し出したのは、僧が寺で書いていた写経。
そこにはなんとお経ではなく
「早く写経を終えて女と寝たい」と繰り返し書かれていたそうな(^^;。
僧は写経をやり直すために、ショボ〜ンと寺に帰るのだった…というお話。

後期はこの絵巻の場面替えがあるそうで、
これもこの先が気になるのでやっぱりもう1回行かなくちゃ、である(^^;ゞ。



更に展示は、武家でありながら公家層の絵巻マニアたちと
時に競い合い、時に強調しながら足利将軍家の絵巻愛を紹介し
最後は時代がビューン!と飛んで江戸時代。
江戸幕府八代将軍吉宗の孫・松平定信。

松平定信の場合は、これまでの「絵巻好き好き大好き♥」の人たちとは
一味違って、文化財保護的な意味合いも大きかったようだ。
個人的に面白かったのは「古画類聚」。
いにしえの時代に描かれた絵の中から
肖像、人物、服、兵器などに分類して模写した、いわば図巻のようなもの。
物語性はないけれど、北斎漫画のように眺めているだけでも楽しい。


ひとつひとつの絵巻を、
文字までじっくり読んでいると(いや、ホントはあんまり読めないけども^^;)
日が暮れてしまいそうな展覧会。
展示替えされた後のも観に行きたいけどなぁ〜
他にも行きたい展覧会がありすぎるんだよなぁ〜
春フェスタも始まるし、時間があるかどうか…(^^;。





てなわけで、
順番が逆になったけどミッドタウンの桜。
01_midtown.jpg


02_midtown.jpg
こんなに見事に咲いているなら、
ちゃんとしたカメラを持ってくれば良かったとちょっと後悔。


03_midtown.jpg


04_midtown.jpg


05_midtown.jpg


06_midtown.jpg
高層ビルと桜、意外と合うかも。


展覧会を観終わって、もう少しだけ桜を見て帰ろう〜と思ったら
残念ながら曇り空に変わってしまっていた(-_-;。
09_midtown.jpg


ミッドタウンに突如富士山登場!。
07_fuji.jpg


富士山、低っ。
08_fuji.jpg
夜間には、この富士山にプロジェクションマッピングが映し出されるし
桜もライトアップされるらしい。綺麗だろうね〜。
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