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これぞ暁斎! [EXHIBITION]

Bunkamura ザ・ミュージアムで1月23日から始まった
『ゴールドマン コレクション これぞ暁斎!』。

近年、人気が高まっている河鍋暁斎(1831-1889)。
自分もご多分に漏れず、暁斎の存在を知ったのはここ数年の話(^^;ゞ。
一昨年5月の『ダブル・インパクト展』、
そして同じく一昨年8月の『画鬼 暁斎 幕末のスター絵師と弟子コンドル』という
2つの展覧会でかなり大々的に紹介された。
特に8月の『画鬼 暁斎〜』ではその画力に圧倒されて
「アタシ…結構好きかもしんない暁斎…」となったワケである。

エスカレーターを降りて、ザ・ミュージアムへ向かう。
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生憎の雨模様だからか、あるいは単に運が良かったのか
館内は意外なほどに空いていて、ストレスを感じることなく鑑賞できた。

この度、貴重なコレクションを提供してくださった
イスラエル・ゴールドマン氏が暁斎の作品を集める理由はいたってシンプル。
「なぜなら暁斎は面白いから」なのだそうで、
その言葉通り、暁斎の中でも特に「面白い」暁斎が多い気がする。

展覧会の一番最初《序章》に出てくるのは、
ゴールドマン氏と暁斎の出会いのきっかけをつくった『象とたぬき』。
象がたぬきに向かって鼻を伸ばして遊んでいる、小さな作品。
画商であるゴールドマン氏は、この作品を手に入れてすぐに転売してしまったが
翌日そのことを激しく後悔し、後日その人から買い戻したというもの。
他の作品は普段大英博物館に寄託しているが、
この『象とたぬき』だけは、自身の寝室に飾っているのだとか。

ここでの個人的なお気に入りは『帰るの学校』と『カマキリを捉える子犬』。
愛らしい子犬がカマキリを地面に押さえつけて嬉しそうにしてるという
見た目とやってることのギャップがなんとも…(^^;。


《第1章 万国飛 世界を飛び回った鴉たち 》は、様々な鴉(からす)の掛け軸が並ぶ。
暁斎といえば鴉、鴉といえば暁斎。
第2回内国勧業博覧会に出品した『枯木寒鴉図』に
当時としては破格の100円という値段を付け、
それを榮太樓本舗の主人が買い上げた、という話は割とよく知られているが
その『枯木寒鴉図』シリーズが他にもこんなにあったとは!。
鴉が1羽のものもあれば、2羽〜3羽描かれているものもある。
どの鴉も活き活きしていて、暁斎の鴉愛(笑)が感じられる。
博覧会に出品したのをきっかけに、暁斎の鴉は外国のコレクターの
注目を集めるようになる。


《第2章 躍動するいのち 動物たちの世界》。
ゴールドマン氏の暁斎コレクションがこんなに観ていて楽しいのは
動物が描かれた作品が多いからだろう。
徹底的に動物たちを写生して腕を磨いただけあって、物凄く巧い。
実物を写生して、浮世絵・狩野派・四条派・琳派・土佐派…と
ありとあらゆる技法を独学で学んだという暁斎。
『雨中の蓮池に降り立つ白鷺』は、宙を舞う白鷺を
高速スピードシャッターで捉えたように描かれて
鈴木其一の『柳に白鷺図屏風』を思い起こさせる。

同じ鷺を描いたものでもモノクロの錦絵『雨中さぎ』は恐ろしくシンプルでモダン。
こんなのも描くんだ〜と、幅の広さに驚かされる。


《第3章 幕末明治 転換期のざわめきとにぎわい》
ここはもう、サササッと早筆で描いたような楽しげな作品が満載。
こんな風に、サササッと巧い絵が描けたら楽しいだろうなぁ…。
・『各国人物図』
・『上野の教育博物館と第二回内国勧業博覧会』
・『野菜づくし、魚介づくし』
・十字架に懸けられたキリストと釈迦・老子・孔子・神武天皇が
 楽器を持って盛り上がってる『五聖奏楽図』
・『大仏と助六』
・電柱と電線が描かれた『街の蛙たち』
・『雀の書画会』
・ゲゲゲの鬼太郎の「おばけの学校」か?!『〈暁斎楽画〉第三号 化々学校』
どれもこれも愛敬があって楽しい。

中でも「好きだなぁ〜」と思うのが、暁斎が自らの日常を綴った『暁斎絵日記』。
畳の上に寝そべってる弟子のジョサイア・コンドル(本展ではコンダーと記載)の
異様なデカさが可笑しい( ̄m ̄)。
暁斎は、絵日記を自分の手元に残しておくことはせずに
欲しい人がいればその人にあげていたそうなのだけど
他人の日記にもかかわらず、確かにこれ、欲しいカモ(^^;。


《第4章 戯れる 福と笑いをもたらす守り神》
鍾馗様や七福神が、それまでにはなかった視点で面白おかしく描かれる。
まるで「ウォーリーをさがせ」のような『蓬莱七福神図』や
アイドル(弁財天)のポスター(掛け軸)を眺めながら、男性陣(男性神)が
「やっぱいいよな〜弁ちゃん♥」などと
ワイワイ盛り上がってるように見える『弁財天の絵を見る六福神』が面白い。


隔離された一角には「春画コーナー」も。
ここでは扇の裏表の絵が、襖のあちら側とこちら側という感じで繋がっている
『障子の穴』というやらしい作品に思わず笑ってしまう(^m^)。


《第5章 百鬼繚乱 異界への誘い》
ここには有名な『幽霊図』がある。
主役の幽霊もかなりおどろおどろしいが、掛け軸の表装がまたコワイ。
一文字もない丸表装…斜めに入ったたくさんの筋が恐ろしさを倍増させる。

暁斎の代表作のひとつである『地獄太夫と一休』もここにある。
一休と地獄太夫の周りで骸骨が踊るものが有名だが
もう一つの、衝立に蓮の花が描かれているものもヨイ。
どちらも地獄太夫の髪にウェーブがかかっていて、なんだかオシャレだ。

『三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪』はなにやらロックを感じさせる。


最後の《第6章 祈る 仏と神仙、先人への尊崇》は「真面目な暁斎」。
さっきまでの面白おかしい絵を描いていた人が
本当にこれらの絵を描いたの?と疑いたくなる。
更にその中でも、例えば3つ並んで展示されている
『李白観瀑図』『中国山水図』『雨中山水図』は
それぞれ筆遣いやタッチが全く異なっていて、
どれも同じ人物が描いたとは思えない。改めて振り幅の広さを思い知らされる。

3つの達磨の絵は、どれも瞳の輝きが活き活きしていて
思わずジッッッッ…と見つめてしまう。

最後の方に展示されている『祈る女と鴉』は構図がとても個性的で
現代社会では悪者のイメージが強い鴉が
画中の女性を見守る神様の使いのようにも思えてきた。


音声ガイドの春風亭昇太さんの落語風トークも面白く(でも時々ちょっとやかましい^^;)
見応えのある楽しい展覧会だった。
図録、欲しいな…と思ったけど、
あまりにも分厚くて重そうだったのでやっぱりやめた(笑)。

グッズもなかなか充実していて
マスキングテープや、枡、ぐい呑み、iPhoneケース、てぬぐい…と
魅力的なものがいろいろあったけれども
今日もグッと堪えてポストカードと榮太樓の飴ちゃんにとどめておいた。
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榮太樓の飴なんて何十年ぶりだろうと思いながら食べてみたら
あら!美味しい〜〜〜〜!(☆▽☆)。
こんなに美味しかったっけ!と、ちょっと感動してしまった(^^;ゞ。


ちなみにこの展覧会、Bunkamuraが終わると
高知、京都、石川と巡回するんだって!。
傷みやすい日本画をそんなに…!!!
ゴールドマン氏、太っ腹!。






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2005年に読んだこの本…
引っ張り出してもう一度読み返してみたくなった。

ムッシュ!

ムッシュ!

  • 作者: ムッシュかまやつ
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 単行本



どうぞ、安らかに。


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コメント 2

かりりん

こんにちは。

あう〜、暁斎〜!行きたい〜!(T_T)とポスター画像を眺めてジタジタしておりました。なかなかこの時期の遠征は春ツアーを控えているため難しいのです。。。

やっぱり良かったんですねぇ、いいなぁいいなぁ・・・と最後まで記事を読んだところ、なんと京都にも来て下さると!!
わ〜い\(^o^)/私が以前サイトで調べたときは巡回については書かれていなかったので、その後に決まったのでしょうか。でもうれしい〜!

しかし美術館「えき」KYOTOは私の印象では小さい美術館の印象が・・・そんなにたくさん作品が展示できるスペースがない気がしております。大丈夫かな?(^^;)

かまやつさんの訃報はとても驚き、ショックでした。
私のへなちょこ記憶にはALFEEと一緒にセッションした番組の記憶はほぼないのですが、ALFEEの恩人であるエピソードはよく伺ってましたし、何よりカンレキーズの活動でかまやつさんの偉大さを感じていた矢先の知らせは本当に残念で仕方ありません。

私達がALFEEを見つけることができたのは、不遇時代のALFEEを支えて下さったかまやつさんのおかげと言っても過言ではないでしょうね。

かまやつさん、ありがとうございました。どうぞ安らかに。。。
by かりりん (2017-03-05 12:53) 

梅屋千年堂

>かりりんさん
暁斎展、良いですよ〜。
ゴールドマン氏のコレクションは動物を描いたものが多く
かわいくて、時々ちょっと怖くて、ほっこりします。
「えき」KYOTOには行ったことがないのでわかりませんが
小さめの作品が多いので、ぎゅっと詰め込めばいけるかも???。
あるいは、展示点数は東京よりも少し少ないのかも知れませんね。

2000年代初頭のテレビ番組での
かまやつさんとアルフィーのセッションは
それはそれはカッコ良かったですよ〜。
今ナニゲに調べてみたら、「夢・音楽館」はチャンネル銀河で
当時のものをオンエアしている模様…。
ムッシュとアルフィーの回はこれからなのか、終わってしまったのか…
わかりませんが、ちょっと気を付けてチェックしていきたいと思います。

The KanLeKeeZとの共演で、「生マチャアキさん」に続いて
いつかきっと「生ムッシュ」を観られるのではないかと期待していたのですが…。
寂しいですね。

by 梅屋千年堂 (2017-03-05 22:37) 

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