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ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち [EXHIBITION]

今、国立新美術館で観られる展覧会 其の一。

『日伊国交樹立150周年特別展
 アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち』

10月15日から国立西洋美術館で始まる『クラーナハ展』との
お得なセット前売り券を買ってあったのだけど
会期長いしまだまだ余裕〜なんて思っていたらヤバイヤバイ
10月10日で終わっちゃうじゃん!ってんで行ってきた。
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ヴェネツィアのアカデミア美術館が有する15〜17世紀の
ヴェネツィア・ルネサンス絵画を約60点展示する展覧会。
ベッリーニ、カルパッチョ、ティツィアーノ、
ティントレット、ヴェロネーゼなど、巨匠たちの作品が並ぶ。
(フィレンツェの巨匠に比べると、ちょっと地味な印象の巨匠たちだけれども^^;)。

そのヴェネツィア・ルネサンスの黎明期・黄金期・終焉までを辿っていく。

ルネサンス絵画の殆どがそうであるように、
今回の展覧会も聖書や神話を主題にした作品が多くを占める。

それらの中で個人的に印象的だったのは以下の作品。

●アントニオ・デ・サリバ『受胎告知の聖母』
 画面に描かれているのは、聖母マリアの胸から上だけ。天使の姿はない。
 音声ガイドの解説によれば、我々が天使目線でマリアを見ているのだとか。
 そう言われれば、なるほどと頷ける。

 この作品に限らず、この時代の受胎告知の聖母マリアを観ていていつも思うのは
 どのマリアも冷静な表情で描かれているなぁということ。
 普通に考えたら、いきなり天使が目の前に現れて
 「あなたは神の子を宿しました」なんて言われたら
 腰を抜かすほど吃驚しててもいいんじゃないかと思うが
 そこはもう常人ならざる聖母マリア、自分の運命を薄々感じていて
 敬虔な気持ちで受け入れる準備が出来ていたのか、
 伏し目がちにちょっと困ってる…?くらいの顔付き。

 もしかしたら天使という存在も、この時代の人々にとっては意外と身近な存在で、
 突然目の前に現れたとしても「さもありなん」くらいのものだったりして?(^^;。

 ちなみに14〜18世紀のヴェネツィア絵画に
 「受胎告知」を主題にしたものが多いのには理由がある。
 ヴェネツィアの建国記念日が3月25日で、
 これがマリアが天使から受胎告知を告げられたのと同じ日。
 受胎告知の日は、ヴェネツィアにとって特別な日なのだそうだ。


●ヴィットーレ・カルパッチョ『聖母マリアのエリサベト訪問』
 このカルパッチョは、料理のカルパッチョの語源になっている画家。
 マリアとエリサベト、そしてそれを取り囲む人々の描写が面白い。

●アンドレア・プレヴィターリ『キリストの降誕』
 生まれたばかりのキリストに鼻息(?)を吹きかけている牛とロバがツボ(^^;。

このカルパッチョとプレヴィターリのニ作品は
な〜んか絵の感じが子供っぽくてかわいらしくて思わずほっこり。


●ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『聖母子(アルベルティーニの聖母)』
 あまり聞いたことのない画家の作品は、どうもビミョーなものがおおい。
 (ヘタウマみたいな…^^;)。
 だが!!巨匠と呼ばれる人はやはり違う!と、思わず唸ってしまう作品。


●ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『受胎告知』
 これはアカデミア美術館ではなく、
 サン・サルヴァドール聖堂から特別に持ち出されたとても大きな祭壇画。
 この作品のために、展示室がまるまる1部屋設けられている。
 展示室に足を踏み入れた瞬間に、思わずハッ!と息を飲む。
 こんな立派な祭壇画、ホントに持ち出しちゃって良かったの?。

 この絵に描かれているマリアは、
 一見、右手を挙げて「エッ?!」と驚いているように見える。
 が、実は右手を挙げているのは、ベールをたくし上げ
 天使の言うことを「はい?」と、よく聴こうとしているから。
 やっぱり意外と冷静なのだ(^^;。

 なんかこう…エル・グレコの受胎告知との繋がりを感じるなぁと思ったら
 エル・グレコは1567年頃にヴェネツィアに渡り、
 実際ここで様々な技法を学んでいたらしい。…納得。


●ヤコボ・ティントレット『アベルを殺害するカイン』
 アベルの頭を押さえつけて、とどめを差そうとしているカイン。
 すごく生々しくて怖い。


●アンドレア・ヴィチェンティーノ『天国』
 …こんなに混雑した天国はイヤだ(笑)。


●パルマ・イル・ジョーヴァネ『放蕩息子の享楽』
 聖書に出てくる「放蕩息子のたとえ話」は絵画の主題としてよく描かれるが、
 それは大抵ラストシーンの「放蕩息子の帰還」の場面であることが多い。
 それ以前の、放蕩息子が贅の限りを尽くして金をばらまいて遊びまくる
 享楽の場面を描いたこの作品はちょっと珍しい気がする。


●パドヴァニーノ『オルフェウスとエウリディケ』
 一度死んだ妻を連れ戻すために冥界へ行ったオルフェウス。
 死神のプルートを音楽で説き伏せて、地上に戻る許しを得たが
 地上に着くまで絶対に振り返ってはいかんと言われていたのに
 もうちょっとのところで、思わず妻を振り返ってしまったオルフェウス…という場面。
 そんな悲劇的な場面を描いているが、絵が美しくて、なんだかロマンチック。
 ちなみにオルフェウスが背負ってる楽器が竪琴ではなく何故かバイオリン。



このような宗教画や神話画の他、
ヴェネツィアの画家たちは肖像画も得意としていたそうで
それまでの堅苦しい枠を超えた自由な様式は
その後の肖像画制作のモデルとなっているとのこと。

中でも「あ、いいな」と思ったのが
●ジョヴァンニ・カリアーニ『男の肖像』
 描かれている男性の表情がすごく自然で、人柄が滲み出てくるよう。
 ふとした瞬間を捉えたスナップ写真のようでもある。
 カリアーニさんに自分の肖像画も描いてもらいたいな〜なんて思った(^o^;。



展示を観終わった後は、誘惑のショップコーナー。
だがしかし、今回はそれほどそそられるものはなく
そして、この後観るダリ展で散財する可能性(危険性)も考慮して
大人しくポストカード3枚だけ買って出てきた。
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《オマケ》
祝★初優勝&全勝優勝!豪栄道!!。
豪栄道、好きなんだ〜(*^^*)(あと勢と遠藤も好き)。

どうでもいい話なんだけど、
iPhoneで「ごうえいどう」と入力したら
「豪栄道豪太郎」とフルネームで予測変換の候補が出てくるではないか。
あれ?アタシそんな辞書登録したっけか?と思って
ユーザ辞書を確認したけど、もちろんそんなの登録してない。
調べてみたら、どうやらこれアタシだけじゃないらしい(^^;。
ちなみに「ことしょうぎく」とか「はくほう」も打ってみたけど
フルネームの候補は出てこなかった(笑)。
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こたろう

レポありがとうございます!
あぁ、私も行きたかった。
でも無理そうなので、日伊記念切手を買ってガマンしたいと思います。

で、まさかのお相撲ネタ!
私も勢好きです〜(o^^o)
推しは日馬富士と、引退したけど旭天鵬でした!
by こたろう (2016-09-27 23:43) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
相撲、面白いですよね。ルールも分かり易いし(^^;。
自分の中での第一次相撲ブームは小学校3〜4年生の時で
若乃花(花田兄弟のではなく、若三杉改め、の方)贔屓
第二次相撲ブームは高校生の時で、逆鉾、寺尾贔屓…
今は第三次…てほどのマイブームではありませんが
豪栄道、勢、遠藤贔屓で毎場所注目して観ています。

たまには両国国技館に観に行きたいのですがなかなか…。
(焼き鳥食べながら相撲観戦したい…笑)。

by 梅屋千年堂 (2016-09-28 03:47) 

ナッキー

梅屋さん、レポありがとうございます。
最近美術館巡りが疎かになっていたので、また行かねば行かねばです(^-^;

梅屋さんもこたろうさんも相撲がお好きなんですね。
私も子供の頃から父と一緒に見ていました。
輪島が好きでした。若三杉、懐かしい響きです(^^♪
今は特に贔屓力士はいないのですが、同じ青森出身の力士は応援してしまいますね(^^)
余談ですが、千代丸タンこと千代丸関は高見沢さんと同じお誕生日ですよ(^^)
by ナッキー (2016-09-28 20:47) 

梅屋千年堂

>ナッキーさん
もうレポというよりも、だらだらと感想を書いてるだけの記事で
スミマセン(^^;ゞという感じです。

名古屋へ向かう新幹線で、力士と同じ車両になったことがあり
若手の力士たちがでっかい手で小さなスマホを操作しているのを見て
なんとなくほっこりしたことがあります。
最近は力士のツイッターなんかもあって時代だなぁ〜と感じますね。
特に、千代丸とも仲良し(?)の大砂嵐のツイッターはナイス過ぎます(笑)。

by 梅屋千年堂 (2016-09-29 01:18) 

ナッキー

>梅屋さん
以前、東武線に乗っていてドア付近に立っていたら、何処かの駅から若手力士3人乗ってきて、ドンドンドンと3人に囲まれたことがありました(^-^;

相撲好きのアル友さんの家では、「翔クン」と言えば櫻井翔ではなく白鵬翔の方だそうです(^^♪
by ナッキー (2016-10-02 16:40) 

梅屋千年堂

>ナッキーさん
京急線も力士遭遇率の高い路線のようで、たまに見掛けます。
鬢付け油の香りが漂ってくるので
「あ、半径10m位内に相撲取りがいるな…( ̄ー ̄)」って
わかっちゃうんですよね(笑)。

>>翔くん
…も、ツイッターやってますね。
大横綱の、微妙にアヤシゲな日本語にクスッ(^m^)となります。

by 梅屋千年堂 (2016-10-03 02:05) 

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