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物語をえがく -王朝文学からお伽草子まで- [EXHIBITION]

根津美術館のコレクション展。

これまで根津美術館には尾形光琳の『燕子花図屏風』を観に行ったことしか
なかったのだけど、今やっている展覧会が結構面白そうなので
(本当は年末でいろいろやらなきゃいけないことも多いんだけど^^;)
ちょっと出掛けてみることにした。

nezu_monogatari.jpg

『燕子花図屏風』の時にしか行ったことがなかったので
当然混雑した根津美術館しか知らなかったんだけど
行ってみたら、わっ、空いてるーーー(*^^*)。
(と言ってももちろんガラガラではない)。
気に入った作品の前で立ち止まっても迷惑がられない空き具合。

タイトルの通り、「物語絵」だけをピックアップして展示した展覧会。
伊勢物語、源氏物語と言った王道の他、
曾我物語、西行物語、平家物語、酒呑童子、
蛙草紙、玉藻前物語、賢覚草紙など、耳にしたことのあるお話もあれば
初めて聞くようなお話の物語絵も展示されている。

展示の仕方がとても親切なのが嬉しい。
例えば絵巻物の主要場面ごとに、その場面を解説する簡単なキャプションが
付いているし、物語の場面を散らして描いた屏風絵には
その縮小版を用いて、どこにどこの場面が描かれているのかが
分かるように解説されている。
更に、物語絵に添えられた和歌や本文にも(全てではないが)
キャプションが添えられているので、
達筆すぎて何が書いてあるのかわからなくても大丈夫(笑)。
音声ガイドを借りて聴くと更に理解が深まる。

そんな親切な展示方法と、適度な混み具合のお陰で
一点一点をかーなーりじっくり鑑賞してしまい、
展示数は決して多くはない(むしろ16点と少なめ)なのに
全てを観終わるのに1時間くらいかかってしまった。

物語絵として「美しいなぁ〜」「面白い」「よく出来てるなぁ」と思ったのは
『源氏物語画帖』伝土佐光元筆
『源氏物語図屏風』住吉具慶筆
『曾我物語図屏風』
『平家物語画帖』
いずれも17世紀(江戸時代)のものだが、状態が良くて美しい。
特に『平家物語画帖』と『源氏物語画帖』は
その細密さと煌びやかさに目が眩むようだった。


物語として面白いと感じたのは
『蛙草紙絵巻』伝土佐光信筆
『賢覚草紙絵巻』。

『蛙草紙』は、たまたま牛が布を食べるのを見ていた貧しい男が
「自分はものを嗅ぎ出す能力がある」と吹聴し
牛が布を食べたと言い当てた(ホントは予め知ってたんだけど)ところ
その村の長者から娘の病の原因を探ってくれと頼まれてしまい
困っていたところに蛙の化身が現れて
「長者の家の床下に閉じ込められているガマガエルを助けるように」とアドバイス。
それに従ったところ、娘の病は治り、貧しい男は長者の娘の婿になる…
という立身出世の物語。
ウソついて出世するなんてダメじゃん、と思うのだけど
この主人公の男が実は清水寺の熱心な信者で、
その信心の御利益として、こんなラッキーに恵まれました〜!って教えになっている。

『賢覚草紙』は、三井寺の僧侶・賢覚が、
ある日見た夢の中で長者の娘と結ばれるというお告げを受けたが
煩悩を断ちきるために、まだ幼いその娘の胸を刺して殺したつもりでいたが
実は娘は一命を取り留めており、成長して賢覚と再会し恋愛関係に。
そうとは知らない賢覚は、娘の胸の刺し傷を見て
それが殺したはずの長者の娘と知り驚愕。
慌てて逃げ出すが、蛇に姿を変えて海の中までも追ってくる娘。
最後はお寺の鐘の中に逃げ込んだ賢覚を見つけ出し
賢覚を締め付けたままどこかに消えていった…という怖い話。

あとは、物語としてというのではないけれど
『西行物語』の冒頭で、出家のことで頭がいっぱいの佐藤義清(のちの西行)が
まとわりつく幼い娘を縁側から蹴り飛ばすシーンが描かれていて
頭を下にして縁側から転げ落ちる娘の描写がなんか面白くて
せつない場面なのにちょっと笑ってしまった( ̄m ̄)。



他の展示室では、別のコレクション展
『仏教美術の魅力』
『古代中国の青銅器』
『扇面歌意画巻』
『炉開きの茶会』
が展開。

時間があまりないので『仏教〜』と『〜青銅器』は、スルー(^^;。
『扇面歌意画巻』と『炉開きの茶会』だけ観てきたのだけど
この『扇面歌意画巻』が思いの外スバラシイ!。
和歌とその内容を絵画化した小ぶりな扇面がたくさん散りばめられた絵巻物。
これがあんまり素敵だったんで、
思わずこの絵巻の全てを掲載した図録を買ってしまった(^o^;。
(¥1,200とお手頃価格だったこともあり)。

同じ展示室に、本阿弥光悦筆の『古今和歌色紙』や
『和漢朗詠詩歌巻』もあったりして、眼福眼福(* ̄▽ ̄*)。

珍しい(?)ところでは、尾形光琳&乾山のお父ちゃん・尾形宗謙筆の
『新古今和歌巻』などもかなり興味深く鑑賞した。



時間があまったらNEZU Cafeでお茶でもしてから
渋谷まで移動してNHKスタジオパークの
『サンダーバード ARE GO』展も観てこようと思っていたんだけど
そんな計画とんでもなかった(^o^;。



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《お知らせ》
年賀状製作のため、しばらく(と言っても多分1週間くらい)休刊します。
(コメントは毎日チェックさせていただいています)。

それではしばしの間、ごきげんよう。
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梅屋千年堂

>さかとこ。さん
こちらに頂いていたコメントですが、
現行ツアー(ホールツアーは一応終わりはしましたが^^;ゞ)の
ネタバレが含まれておりましたので、
誠に勝手ながら念のため『THE ALFEE@横浜《アンコール編》』の方に
移動させて頂きました。ご了承下さいませ。

コメントへのお返事は、明日以降させていただきますね。

by 梅屋千年堂 (2015-12-15 01:47) 

さかとこ。

ありがとうございます。
お忙しいのにお手間を取らせてしまい申し訳ありませんでした。m(__)m
by さかとこ。 (2015-12-15 22:23) 

梅屋千年堂

>さかとこ。さん
いえいえこちらこそ勝手にスミマセン。

ちなみに1週間も更新をサボった割に、
年賀状はまったく捗っておりません_| ̄|◯。

by 梅屋千年堂 (2015-12-16 00:40) 

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