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トーベ・ヤンソン展 〜ムーミンと生きる〜 [EXHIBITION]

新潟で観てきた展覧会。

先週新潟へ行った折、特に観光する場所も思いつかなかった
(というか、事前にリサーチしている時間が殆どなかった)ので
どこか近場の美術館へ行こうと思って出発の2日前に調べてみたところ
ホテルからも程近い新潟県立万代島美術館で
『トーベ・ヤンソン展 〜ムーミンと生きる〜』という展覧会をやっていたので
ここに行ってみることにした。

ホント言うと、この展覧会は去年の秋頃に横浜のそごう美術館でも開催されていた。
開催されていることはうっすら知ってはいたが、
別にそれほどムーミンに興味があるわけじゃないし〜忙しいし〜
ってな感じでスルーしていた展覧会だった。

改めて、展覧会の特設サイトを観てみると…あら?なにやら良さそう。
更に図録・グッズ情報のところを観て、その充実ぶりに驚嘆!。
これは行くしかない、行くべきだ!と思った。

場所は朱鷺メッセ、万代島ビルの5階。
11_tovejanson.jpg
見た目あまりにもフツーのビルなので
ホントにこの中に美術館があるの?という感じだ。
(でもそれを言っちゃぁ六本木の森美術館もそうか)。


チケット買って、音声ガイドを借りる。
どういうわけかこの展覧会、作品リストがないという。
鑑賞してから既に1週間が経ってしまっているし
印象に残った作品のタイトルをメモるということもしなかったので
「◯◯という作品が良かった」みたいな細かいことはもはや書けないけど
まぁとにかくトーベ・ヤンソンの画力の凄さに驚いた。

フィンランド生まれのトーベ・ヤンソン(1914-2001)は
「ムーミン」シリーズの作者として有名だが
トーベは児童文学の作家だったわけではなく、
芸術大学や美術学校で絵画を学んだ《画家》だった。
20代の時の油絵作品は、自画像や家族を描いたものの他
現実の風景や架空の想像の世界を描いたものなど様々なのだけど
なんだろう、作品によっては、ちょっとムンクっぽい色味やタッチが感じられて
同じ北欧出身の画家としての共通点のようなものがあるのか
あるいは少なからずトーベがムンクの影響を受けているのだろうか???
などと思ったり思わなかったり。

第二次世界大戦を経て、『ムーミン』シリーズを手掛け始めたのは1945年頃から。
1945年の『小さなトロールと大きな洪水』から始まって
1970年の『ムーミン谷の十一月』まで9作品。
それぞれの挿絵の原画が展示されているのだけど
もぉ〜その挿絵の細密なこと、そして美しいこと。
色彩が施されたものはもちろんのこと、インクだけで描かれたものも
独特の雰囲気が漂っていて、アタシはむしろこういうモノクロ作品が好き。

その世界は、子供の頃にテレビで観ていた
アニメーションのイメージとは随分とかけ離れた印象だ。
アタシが観ていたのは1972年にフジテレビで日曜19時半から放送されていたシリーズで
もちろんそんな大昔に観ていたアニメの内容なんて憶えちゃいないが、
確かに子供向けの内容だった気がするのだ。

が、トーベ・ヤンソンのムーミンは全体にダークな世界観で覆われている。
これまで原作を読んだことはなかったけど、
なんだか大人でも楽しめそうな、いや大人にしかわからない雰囲気を漂わせているので
今度是非とも原作をちゃんと読んでみたいと思った。

『ムーミン』シリーズ以外のトーベの仕事で、個人的に興味を惹いたのは
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』や
J.R.R.トールキンの『ホビットの冒険』の挿絵なども手掛けていたことだ。
『〜アリス』も『ホビット〜』も、既存の挿絵があり
それが世界中に知れ渡っていて、読者のイメージもそのオリジナルの挿絵で
完成されてしまっているそうした作品の挿絵を描くのは
さぞかし楽しくも悩ましい、そして勇気のいる仕事だったんじゃないだろうか
…と勝手な想像。
トーベが70年代の日本のムーミンに対し「これは私のムーミンじゃない」と
クレームをつけたのと同様に「これはアリスじゃない」とか
そんな非難を受けたことはなかったんだろうか…と思ってみたり。


思った以上に見応えのある展覧会で、大満足。
これは、展示室内で唯一撮影が許されていた《夏の家》のレプリカ。
12_tovejanson.jpg
ペッリンゲ群島沖のクルーヴ島というところに建てた小屋なのだけど、
トーベは1965年から1991年まで、毎年夏になるとこの小屋で過ごしていたそうだ。


最後はショップでお買い物。
冒頭でも書いたように、とにかくグッズが充実している。

ポストカードもなかなかクオリティが高い。
16_tovejanson.jpg

ホラ、こんな風に線の部分が盛り上がった印刷なのだ。
17_tovejanson.jpg


そして99%容れ物欲しさで買った(^o^;、
紅茶キャンディ、ラズベリージャム、かりんとう。
13_tovejanson.jpg
かりんとうは、シナモン、黒糖、ミルク、りんご味の4種類があって
このゴールドの缶に入っているのはシナモン味。
ホントはりんご味も欲しかったのだけど、売ってなかった(・o・)。


あまりの重さにどうしようかと悩んだけど、結局買っちゃったのがラズベリージャム。
14_tovejanson.jpg

だってもう、ボトル(ジャー)が素敵過ぎて〜。
15_tovejanson.jpg
側面のイラストはプリントなのだ。
これが紙が貼ってあるだけのものだったら、買ったりはしない。
中のジャムを使い切ったら、クリップ入れたり、飴玉入れたり…
いろんなことに使えそうだ(早く食べよう笑)。


とりあえず、このあたりから読んでみようかな。

小さなトロールと大きな洪水 (講談社文庫)

小さなトロールと大きな洪水 (講談社文庫)

  • 作者: トーベ・ヤンソン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/15
  • メディア: 文庫



新装版 ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)

新装版 ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)

  • 作者: トーベ・ヤンソン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/04/15
  • メディア: 文庫



新装版 ムーミン谷の十一月 (講談社文庫)

新装版 ムーミン谷の十一月 (講談社文庫)

  • 作者: トーベ・ヤンソン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/15
  • メディア: 文庫





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《オマケ》
先月11日に水戸芸術館に行った時に予約しておいた
『山口晃展』の図録が届いた。
12_zuroku.jpg

4月19日のサイン会のその場にいなくても
ホントに入れてくれるのかな?と実は半信半疑だったのだけど…
13_zuroku.jpg
ワーイ、ちゃんと直筆サインが入ってる〜〜〜(*^^*)。
大事にしよ〜。
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コメント 8

マベパール

こんばんは。

「ムーミン」、なつかしいです。そうそう、日曜夜の放送でしたね。
本業というか、画家なんですね、初めて知りました。児童文学者で挿絵も自作かと、何となく思っていました。勉強になります。

ライブ前のひととき、充実した時間を過ごされたようで良かったですね。

ムーミンのイラストがプリントされているジャムの瓶にと~~っても心惹かれたマベパールでした。イラストは他の絵柄もあったのでしょうか?(あったらきっと購入して、みせてくださっているかと.....(^_^;))
by マベパール (2015-04-23 20:37) 

梅屋千年堂

>マベパールさん
充実していたかどうかは微妙ですが(^^;ゞ
なかなか見応えのある展覧会だったので、観ておいて良かったです。

ちなみにジャムの瓶はこの柄だけなのです(味もラズベリーのみ)。
お土産に複数個買って帰りたいところでしたが
1個がズッシリ重いので断念しました。
ジャムの瓶は1種類だったのですが、ジャムよりも大きな瓶に
ビスケットが詰まった「ボトルビスケット」という商品もあり
こちらの瓶もとっても可愛かったので買って帰りたかったのですが
持ってみたら「重っっっ」。こちらも持ち替えること叶いませんでした。

ちなみにトーベ・ヤンソン展グッズはこちらに出ています。
http://www.asahi.com/event/tove100/goods.html
旅先じゃなかったらもっといろいろ買ってしまって
相当ヤバかったと思います(笑)。

by 梅屋千年堂 (2015-04-23 20:53) 

マベパール

こんにちは。

トーベ・ヤンソン展グッズのサイト、教えてくださってありがとうございます。
さっそく見てきました。いろいろありますね、カラフル過ぎないところも良いなと思います。
ボトルビスケットの容器もいいですねぇ、できることならポチりたいものばっかりです。
イラストが本体にプリントされていること自体珍しいし、そのイラストが子供っぽくなて、たぶん本来のムーミンの姿なのかなと思います。
いつかどこかで彼らに出会えることを祈りつつ、そっと(一旦)ページを閉じたのでした。

by マベパール (2015-04-24 10:06) 

梅屋千年堂

>マベパールさん
もしあのサイトから通販できたら…危険すぎますね。
ジャムからビスケットからかりんとうから…大人買いしてしまいそうです。
新潟の後は北九州、その後は大阪を巡回するようです。
北九州はともかく、大阪(あべのハルカス)なら
行こうと思えば行けるかも???。

by 梅屋千年堂 (2015-04-24 21:17) 

きゅう

こどもの頃にみていたのですが、作者の方は2001年まで存命だったことは驚きですね。←別に15年近い期間が短く感じるのが加齢ではないと…。

友人から「今度の休みにムーミン展にいこう」と言われて「はて?巡回展は名古屋とばしなのに?」と思っていたら、現在名古屋の松坂屋美術館でも「トーべ・ヤンソン生誕100年ムーミン展」を開催していました。
規模は違えど日本で同じ趣旨の企画が行われているとは。


by きゅう (2015-04-28 01:52) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
男の子でも「ムーミン」を観ていらしたのですね。
ちなみにワタクシ、ムーミンがカバではないと知ったのは
だいぶ大人になってからでした…(^^;ゞ。
(スニフは絶対にカンガルーだと思っていました)。

名古屋松坂屋美術館でのムーミン展も良さそうですね。
(こっちではちょうど1年前に松屋銀座てやっていたようですが
 これもやはりスルーでした^o^;)。
なにやらこちらのグッズも充実していそうではありませんか。
とはいえ、アタシじゃあるまいし、きゅうさんが誘惑に負けることは
ないかと思いますが(笑)。

こちらではいよいよ『鳥獣戯画展』が始まりました。
幸運なことに、職場の上司から招待券を頂きましたヽ(^。^)丿。
とりあえず京都で観られなかった前期展示を
早めに観に行こうと目論んでおります。
(この展覧会もグッズがかなりヤバそうです…)。

by 梅屋千年堂 (2015-04-28 23:12) 

きゅう

日曜日の6時から8時までの2時間は小学生にとってはチャンネルを変えずに一気にテレビをみるアニメ時間でしたね。
サザエさんはもちろん、ムーミン、カルピス名作劇場、てんとう虫の歌、一発寛太くん…さまざまなものを見たと思います。

私もムーミンが種族の名前と知ったのはかなり後になってです。種族がムーミンで、名前がムーミン(トロール)でお父さんがムーミンパパで…なんだか天才バカボンみたいと思ったことを覚えています。

昨晩書いておきながら、今日名古屋ボストンの「華麗なるジャポニスム」の後にムーミン展に行ってきました。
梅屋さんの行かれた展覧会の方が展示も多いようでヤンソンのムーミン以外の作品にもフォーカスされているようですが、ムーミン展はまさに「ほぼすべてムーミン」でした。

スケッチと習作数点、挿絵と揃えて展示してあるのがたまに抜けているのは別会場に行っているからなのかな…と納得。
当たり前ですが「夏の家」は無いかわりに、ムーミン谷のジオラマ(180センチ四方)が写真撮影可でした。

グッズも超危険地帯と言うほどの充実で、先に行ったジャポニスム展のグッズに心揺さぶられなかった反動もあって…(笑)。
買った物は図録、ファイル、ポストカードの黄金の組合せでしたが。
ジャムは2種類有りました。蓋のラベルで白黒2種有って梅屋さんのお求めのラズベリーが黒、ブルーベリーが白でした。イラストも異なっていて私は白を買いました。

ところで現在東京藝大で開催のダブルインパクトは行かれましたか?
6月から名古屋ボストンにくるようですが、最近「ボストン美術館(アメリカ)」ときくと心がひかれるので。
by きゅう (2015-04-29 01:39) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
日曜夜6時〜8時…あー、そうだったっけと思い
当時のテレビ番組表を検索してみましたところ、
6時〜「いなかっぺ大将」、6時半〜「サザエさん」
7時〜「ミラーマン」、7時半〜「ムーミン」という、
確かに子供にはたまらないラインナップになっていました。
ただ我が家では、4つ上の兄が中学生になると(1977年以降)
アニメやヒーローものを観なくなって「アップダウンクイズ」や
「レッツゴーヤング」に移行していたような気がします。

「ムーミン展」にはそんな大きなジオラマがあったのですね。
「トーベ・ヤンソン展」にもジオラマがありまして、
こちらはトーベのパートナーだったトゥーリッキ・ビエティラが製作した
手作り感満載ながら非常によくできた小さめのジオラマが何点か展示されていて、
ミニチュア好き・ジオラマ好きにはたまりませんでした(^^;ゞ。

「ダブルインパクト」…行ってません。
というか、本当のことを言うとそのような展覧会が開催されていることすら
知りませんでした(^o^;(^o^;(^o^;。
ボストンと藝大…岡倉天心繋がりでしょうか。
面白そうではありますが、残念ながら行ってる時間はないだろうなぁ…
という、気が、します。

by 梅屋千年堂 (2015-04-29 22:06) 

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