明日の神話 [EXHIBITION]
今から1週間も前の話だが、
現在汐留の日テレプラザに展示されている
岡本太郎の『明日の神話』を観に行ってきた。
『明日の神話』は縦5.5m×横30.0mに及ぶ巨大壁画である。
1967年当時建築中だったメキシコのとある超高層ホテルのオーナーから
そのホテルのロビーを飾る壁画制作を依頼され、
岡本太郎はこの作品に着手した。
1969年に壁画はほぼ完成し、ロビーに仮設置されることに。
けれどもオーナーの経営状況が悪化し、結局ホテルは未完成。
ホテルは人手に渡り、壁画は取り壊され各地転々とするうちに行方不明に・・・。
2003年、メキシコシティ郊外の資材置き場に保管されていたのを
岡本敏子(太郎の養女=元々は秘書)が見つけ出し
2005年についに日本に持ち帰った。
損傷が激しかったために、その後約1年を掛けて修復し
今回の一般公開に至った、というわけだ。
観に行った時はデジカメを持っていなかったので
携帯電話のカメラで撮影。
壁画の持つ迫力は全然伝わらないけど、とにかくスゴイ。
こんな巨大な壁画を、メキシコと日本を行ったり来たりしながら
大阪万博の『太陽の塔』と同時制作していたというのだから驚かされる。
『明日の神話』は、原爆の炸裂する瞬間を描いた作品である。
かの有名なピカソの『ゲルニカ』と同様の戦慄を覚える。
しかし岡本敏子曰く、そこに描かれているのは
「ただ惨めな、酷い、被害者の絵ではない」。
破壊の力が炸裂した瞬間、それと同時に湧き上がる
“人間の誇り”、“純粋な憤り”を表しているのだという。
構図も色づかいもとにかく激しい壁画である。
岡本太郎のエネルギーとメッセージは
そこから間違いなく発散されている。
その前に立つと、圧倒されて言葉もない。
・・・などと、今日はちょっと堅苦しい感じで書いてみた(笑)。
夏休み中ということもあってか、思ったよりたくさんの人が訪れていて
岡本太郎の人気を物語っていた。
この壁画が飾られているスペースの前は
オープンカフェみたいになっているので
椅子に腰掛けてお茶を飲みながら、じっくりと鑑賞することも可能だ。
(雨だとシャッターを閉められてしまい観られないこともあるらしい)。
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岡本太郎 『明日の神話』
東京・汐留 日本テレビ 日テレプラザ ゼロスタ広場にて
8月31日まで公開中。
http://www.1101.com/asunoshinwa/
私もこの絵をテレビで見たとき、すごい!!と思いました。
生で目の前で見たら、もっとその凄さが実感できるのでしょうね。
「ゲルニカ」の時も、一瞬、怖くて目をそむけそうになるのだけれど、でも、隅々まで一つ一つ見ないといけない・・そんな気にさせられました。
この絵からもそんな力を感じます。
そして、岡本太郎さんは、やっぱり天才だったんだなぁ・・と、改めて思ったのでした。
日本に戻ってきて、人の目に触れられる機会が出来て、良かったですよね。
by ありんこ (2006-08-16 11:12)
>ありんこさん
ホントに“すごい!!”という形容がピッタリくる絵ですよね。
想像していたよりも数段大きくて、迫力満点でした。
こんな大作が37年もメキシコに埋もれていたとはねぇ。
よくぞ探し出して日本に運んできてくださいました、敏子さん。
(敏子さんは修復の完了を目にすることなく亡くなってしまいましたが…)。
この絵を観て岡本太郎という人にますます興味が湧いてきたよ。
今度川崎の岡本太郎美術館、行ってみようかなぁ。
by 梅屋千年堂 (2006-08-16 14:59)