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水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 [EXHIBITION]

そごう美術館で開催中の展覧会。

正式タイトルは
『水木しげる生誕100周年
 水木しげるの妖怪 百鬼夜行展〜お化けたちはこうして生まれた〜』。

入口のフォトスポット。
08_entrance.jpg
各地巡回して横浜へ。

水木しげると言えば『ゲゲゲの鬼太郎』。
これまでも2010年の「ゲゲゲ展」、
2017年の「追悼 水木しげる ゲゲゲの人生展」
2019年の「水木しげる 魂の漫画展」と観てきて
そのたびに水木先生の画業や生き様に驚かされてきた。
そして今回の展覧会も驚きと発見の連続であった。

《第1章 水木しげるの妖怪人生》
ここでは水木先生の少年時代に、近所の「のんのんばあ」から聞かされた
妖怪の話などを、主にパネル展示で紹介。
最初のうち、あまりにパネル展示ばかりなので
「えっ?この展覧会ってこういう展示?(これで定価¥1600?)」
なんてちょっと不安になってしまったけれど
そんな風に思っていたところに『ゲゲゲの鬼太郎』や
『のんのんばあとオレ』の原画が登場して、ホッとした(笑)。

そしてこの後の展示も、きっとこうした妖怪漫画の
原画のオンパレードなのだろうと思っていたが、そうではなかった。


《第2章 古書店妖怪探訪》
水木先生が妖怪を描くにあたり、古書店を巡り集めに集めた
古書、書籍、資料を紹介・展示するコーナー。
その資料の多さ、調査の奥深さを知ると
水木先生は漫画家というだけでなく、妖怪学者でもあったと思えてくる。

殊のほか水木先生に影響を与えたのは
鳥山石燕という江戸中期の絵師による『画図百鬼夜行』。
古めかしい和綴じの本は、それだけでかなり価値が高そう。
図版はないが柳田國男の『妖怪談義』などもかなり参考にしたそうだ。


《第3章 水木しげるの妖怪工房》
ここでは第2章で触れた膨大な資料をもとに水木先生が描いた妖怪画を紹介。
先述の鳥山石燕や、かの葛飾北斎の絵をもとに描いたもの。
こうして描かれた妖怪画を見て「なんだ、元ネタがあったのか」などと
批判する向きもあったそうだけど、こうした過去の図版を参考にするのは
「いにしえの時代から伝えられてきたイメージを変えずにそのまま伝えたい」
「僕は妖怪を作りたくない」
という水木先生の思いから。

それはとても大事なことかも知れない。
例えばディズニーアニメなどは、そのイメージが強すぎて
もはや原作に添えられた挿絵のイメージなどはもはや皆無。
(ヘタしたらストーリーそのものも全く違うものになってたりして^^;)。
世の中の子供たちの多くは、ディズニーの方がオリジナルと
思っているのではないだろうか。
でも、それってどうなんだ?。なんか違う気がする(個人の意見です)。

むか〜しから人から人へと伝えられてきたイメージを大事にするという
水木先生の姿勢は素晴らしいと思う。
水木先生は、昔から伝えられてきた妖怪のイメージはそのまま残して
そこに妖怪を見て驚く大人や子供を描き加えることで
よりリアルな感じを出そうと考えていたそうだ。
ちなみに柳田國男の著書などは挿絵がないため、
文字情報を頼りに作画したとのこと。



第3章と第4章の間に、ちょっと一息つけるコーナー。
ここでは水木先生が出した妖怪の本の数々を紹介。
1975年から2000年代に出版されたものまで
「こんなにあるのか!」と驚いた。
やっぱり水木先生は紛れもなく妖怪学者だ。
妖怪に詳しくて、絵も巧い…。
なんだか昨年のNHKの朝ドラ『らんまん』のモデルだった
牧野富太郎さん(=植物学者で絵も巧い)と通ずるものを感じた。

その他、水木先生の妖怪本が外国語に翻訳されたものも多数。
フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語などなど…。
意外と英語版がなかった気が…。
たまたま展示されていなかっただけなのか
はたまた妖怪はアメリカよりもヨーロッパで人気なのか???。


《第4章 水木しげるの百鬼夜行》
ここでは水木先生が描いてきた妖怪画を
「山」「里」「水」「家」に分類して展示。

この展示が実に圧巻!。
墨で描いたモノクロの作品、それをコピーして彩色した作品など
様々なのだけど、その精緻さたるや!(◎0◎)。
水木先生の作品の背景の緻密さは有名だけど
なんというか、これはもう漫画ではなく芸術。アートである。

どれもこれも素晴らしいのだけど、特に印象に残ったのは
『しらみゆうれん』と『ガラッパ』。

『しらみゆうれん』は、これのどこが妖怪画?というくらい
普通に風景画として美しい。
『ガラッパ』は河童のような姿の妖怪なのだけど
その背景に描かれた鬱蒼とした森の木々の様子は
アンリ・ルソーが描いた熱帯林を彷彿とさせる。

ただひとつ残念なのは、展示室が暗すぎること。
作品保護のために照明を暗くしているのは理解出来るが
あまりにも暗すぎて、よく見たいところが見えなかったり
一番困ったのはタイトルが書かれている札がとても見づらかったこと。
あまりにも見づらいので、入口でもらった作品リストを手に
ひとつひとつ確認しながら鑑賞した。



最後は《妖怪カメラARコーナー》。
これを楽しむには「ストリートミュージアム」という
観光体験アプリをダウンロードしなければならず
なんかちょっと面倒臭いな…と思ったのだけど
せっかくなのでダウンロードして遊んでみた。

何もないところ〈妖怪カメラAR〉を向けると…
01_gasha.jpg
こんな風に草むらからどぉ〜っとがしゃどくろが現れたり…

02_neko.jpg
すねこすりが現れたりする。


なんだか静止画像だと全然わからないけど、
要するに最初はこんな風↓なんだけど
03_amabie.jpg

ここにカメラを向けると…
04_amabie.jpg
水の中からアマビエが顔を出す…という仕掛け。


水木先生の自画像にカメラを向ければ…
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06_mizuki.jpg
先生の周りに愛すべき妖怪たちが現れる。


こちらはARではなく、立体展示のぬりかべ。
07_nurikabe.jpg

展示室内の要所要所に、こうした立体物の「べとべとさん」「おおかむろ」
「児啼爺(こなきじじい)」「砂かけ婆」「川獺(かわうそ)」が
展示されていたのだけど、これらはすべて撮影不可。
すっごくよく出来ていて映えるのに残念。


ミュージアムショップでは、魅力的なグッズが満載で
毎度のことながら誘惑を振り切るのに苦労したけど
お気に入りの「しらみゆうれん」と「ガラッパ」
その他2〜3枚のポストカードのみに留めた。

…でもやっぱり図録も買えば良かったかなぁ…と少し後悔している。
う〜ん、もしかしたら後日図録だけ買いに行ってしまうかも???。

これでもいいけどね。

妖怪ビジュアル大図鑑 (講談社ポケット百科シリーズ)

妖怪ビジュアル大図鑑 (講談社ポケット百科シリーズ)

  • 作者: 水木 しげる
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/07/15
  • メディア: ハードカバー




《補足情報》
横浜そごう10階のレストラン「イー・エー・グラン」では
展覧会コラボメニューを提供中とのこと。
https://www.instagram.com/p/C2TfQCBv_GX/
目玉おやじにかぶりつきたーーーい!(笑)。
コメント(6) 

コメント 6

溺愛猫的女人

ぬりかべ!!!可愛い♡ぜひ会いに行きたいです(*^^*)
by 溺愛猫的女人 (2024-02-26 10:44) 

YAYOI

やっぱり面白そう!
目玉おやじもいいですね♪
やはり週末に行こうかな…うん、行こう!
by YAYOI (2024-02-26 20:50) 

梅屋千年堂

>溺愛猫的女人さん
是非ぬりかべとのツーショを撮ってきてください(*^^*)。




>YAYOIさん
目玉おやじプレートは土日は1日50食限定ですのでお早めに(^m^)。
自分が観に行った時はそごう内のレストランで
こんなコラボを展開しているなんて知らなくて
(そしてBELTZのチーズケーキを早く買いに行かなくちゃと思っていて)
すっかり食べそびれてしまいました。
やっぱり今度図録買いに行きがてら食べてこようかな(笑)。

by 梅屋千年堂 (2024-02-26 22:06) 

YAYOI

>そしてBELTZのチーズケーキを早く買いに行かなくちゃと思っていて

なぜこんなにツボったコラボメニューを食べてないのかしら?と思ってましたが、納得です。
そしてBELTZのチーズケーキは先日の実家の断捨離真っ最中に食べましたが、私の人生で一番美味しいチーズケーキでした。
by YAYOI (2024-02-28 12:36) 

YAYOI

今日カナケン当選メールが届きました。
まさか当選するとは思わず、画面を二度見しました。
by YAYOI (2024-02-28 21:42) 

梅屋千年堂

>YAYOIさん
人生で一番美味しいチーズケーキ!
母同様、YAYOIさんもそのような感想だったのですね!。
ブログ拝見しましたが、半解凍もイケるんですね。
今度は敢えて通販で買ってみようかな。

ヨコケン当選おめでとうございます。
アタシは…またしてもご用意されませんでした_(:3 」∠)_。

by 梅屋千年堂 (2024-02-29 00:06) 

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