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特別展 琳派 −俵屋宗達から田中一光へ− [EXHIBITION]

やっぱり琳派はいいなぁ〜(*^^*)@山種美術館。

全然知らなかったし考えたこともなかったが
今年2018年は酒井抱一の没後190年、鈴木其一の没後160年にあたるのだそうで
この展覧会はそれを記念しての展示、ということになっている。

俵屋宗達に始まり、尾形光琳、酒井抱一という琳派の基本的系譜に加え、
琳派に影響を受けたとされる近現代の作家の作品も紹介されている。

展示は大きく3つに分かれていて、まず第1章は《琳派の流れ》。
いきなり宗達、光悦、光琳、抱一、其一といった
琳派を代表する作家の作品が並ぶ。

以前から幾度となく観たことのある作品や
個人的には(多分)初めて観る作品、
おそらく以前観ていると思われるがすっかり忘れてる作品(^^;など
いろいろだが、ここに展示されている作品はどれも自分好みで
面白いものばかり(*^^*)。

特に酒井抱一は充実していて
『秋草鶉図』(何度観ても素敵)
『月梅図』(一気に一筆でえいっ!と描いた梅の枝がカッコイイ)
『糸桜図』(しっとりとした春の空気が伝わってきそう)
『飛雪白鷺図』(抱一の白鷺図はどれも良い)
などは、じ〜っと眺めているだけで癒される。

鈴木其一では『牡丹図』、『四季花鳥図』が印象的。
『牡丹図』の緻密さは、琳派というよりもどこか伊藤若冲を彷彿とさせる。
絵の前を行ったり来たりしていると、
絵の具に雲母を混ぜてあるのか、ところどころ葉っぱがキラキラ光っている。
こういうのを観ると、美術館で実物を目の当たりにする醍醐味を感じる。

『四季花鳥図』は、草花の描き方が面白くて
菊や水仙などはきっちりと輪郭線で囲まれているのに対し
萩、朝顔、女郎花などは、写実的に面で描かれていて
その一貫性のなさが逆に個性というか味になっている気がする。


作品は原則撮影禁止だが、今回唯一撮影OKとされているのがこちら。

伝 俵屋宗達『槇楓図』(山種美術館所蔵)。
06_makikaede.jpg
近年本格的な修復終え、修復後初公開とのこと。
(たまたま絵の前に誰もいない瞬間に撮影できたのはラッキーだった^_^)。

元々は六曲一双の左隻だったと言われている。
ふーん、そうなると対のかたわれがどんな図像の屏風だったのか
いろいろと想像力を掻き立てられる。

宗達では『烏図』という掛け軸も展示されているのだけど
こちらは『槇楓図』とは打って変わってユル〜イ感じの一羽の烏。
一見ユルいんだけど、よく見ると足の描写はリアルだし
たらし込みも浸かってるし、顔の周りの羽毛も繊細でさすが。


琳派の流れを汲む近代の作家の中で面白かったのが
神坂雪佳『蓬莱山・竹梅図』。
三幅対の掛け軸で、中央が蓬莱山、向かって左に梅図、右に竹図なんだけど
簡略化された蓬莱山はなんだかかわいらしいし、
両脇の竹梅図の構図がモダンすぎる!。
特に竹図!。画面の下1/3あたりからニョキッと生えて
上部はバツン!と切れている。
この大胆なトリミングも琳派の傾向ではあるけれど
斬新すぎてビックリした(^o^;。

そうそう、神坂雪佳といえば
「参考出品」として展示されていた『百々世草』。
この中の「狗児」ってのがめちゃめちゃかわいい(*^^*)。
蝸牛をじっと見つめる白い子犬もさることながら
その背後からひょっこり顔を覗かせている茶のぶち犬の表情に
なんとも和まされてしまうのだ。

同じ『百々世草』の中に「八橋」という燕子花を描いたものもあって
こちらは残念ながら前期展示のため実物は観られなかったのだが
この「八橋」を表紙に使用した2001年のエルメスの広報誌
『LE MONDE D’HERMES(エルメスの世界)No.38』が展示されていて
横文字と燕子花の組み合わせがなんともカッコ良かった。



第2章の展示は《琳派へのまなざし》。
明治から昭和初期の作品の中で、
特に琳派の造形との関連が見られるものを紹介している。

中には「えぇ〜?そぉ?これ琳派の影響受けてる???」
ってのもあった(個人の意見です^^;ゞ)けど、
菱田春草『月四題』には思わずウットリ。
だがこの作品が完成した翌年、腎臓の病気のため
37歳の誕生日を目前に夭折したことを知りつつ観ると、なんだかせつない。

あとは尾形光琳の『飛鴨図』をオマージュしていると思われる
小林古径の『鴨図』、これも鴨の色合い(群青や黄色)が素敵だった〜。



最後の第3章は《20世紀の琳派・田中一光》。
と言っても、田中一光は日本画家ではなく、グラフィックデザイナー。
琳派のデザイン性をモチーフにした仕事を数多く残している。

今回ポスターを中心に6作品が展示されているのだけど
いずれも3年前に京都国立近代美術館の『琳派イメージ展』で出会ったもの。
どの作品も「あ、これ観た」「これもあった」「これも…これも…」と
過去に観たことをすぐに思い出すことが出来るのは、
やっぱり相当にインパクトが強いからかも。


展示を観終わったら、ミュージアムショップでお買い物。
山種美術館名物(?)のハンディサイズの図録を買ったので
ポストカードは控えめに2枚だけ。
07_souvenir.jpg
神坂雪佳の『狗児』と、
今の季節にピッタリな速水御舟の『翠苔緑芝』の左隻(部分)。



展覧会を観終わって感じたこと…

やっぱり琳派はいいなぁ〜(*^^*)
やっぱり酒井抱一好きだなぁ〜( ̄▽ ̄)



さて、この後もう一館ハシゴする予定だったのだが…



《TO BE CONTINUED…続く》
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コメント 2

きゅう

この展覧会のチラシが手元にあるのですが「はて?どこでもらったのだろう」と悩んでいます(仁和寺展の時かもしれませんが)。
琳派は先の京博以降は結構気になるようになりました。
関東はいろいろな催しがあっていいなぁと感じる毎日です。

2月の仁和寺展以降展覧会に飢えていた私は5月末に奈良博の「春日大社のすべて」に行きました。東博でも春日大社展を見ているにも関わらずまた行ってしまったのですが、さすが所蔵品がたくさんあるのでかぶっているものも少なく見応えはありました。そのあとはお約束の新薬師寺、春日大社、興福寺の黄金ルート(笑)。
なら仏像館にあった金剛寺の降三世明王坐像が国宝になってお寺に帰ってしまったのでちょっと残念です。
by きゅう (2018-06-17 02:09) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
「春日大社のすべて」という展覧会タイトルを見て
「えっ?!また?」と思ってしまったアタシですが
さすがは春日大社。まだまだ秘蔵のお宝があるのですね。
ということは「すべて」といいつつ、実はまだ何分の1かも知れませんね。
(でもタイトルがバカ正直に「春日大社の1/10」とかじゃ
 あまり行く気がおきませんよね笑)。

>>関東はいろいろな催しがあっていいなぁ
いいんですけどね、行きたい展覧会が多すぎるのも悩みの種です。
結果行きそびれることもしばしば。
今年は既に「つながる日本美術」「ジョルジュ・ブラック展」を逃しました。

2018年下半期、絶対に見逃せない展覧会は
「縄文」「ルーベンス」「ムンク」「フェルメール」。
「縄文」と「ムンク」はグッズもかなり楽しみです(^m^)。

by 梅屋千年堂 (2018-06-18 02:08) 

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