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色絵 Japan CUTE! [EXHIBITION]

《色絵》と呼ばれるカラフルな焼き物を集めた展覧会。

場所は出光美術館。
アタシの中では出光美術館=硬派というイメージが勝手に出来上がっていて
こんな感じのちょっと軽くて親しみやすいタイトルの展覧会が
行われることはちょっと意外だった。
(こういう展覧会ってサントリー美術館とか山種美術館が好きそうだな、なんて^^;ゞ)。

チラシやポスターのデザインの可愛らしさに惹かれたのと
元々こういった陶磁器モノの展覧会が好きなこともあり
これは行っておくべきだろうと足を運んだ。


展示は5部構成。

第一章は「季節を祝う、慶びを贈る」。
ここでは主に江戸時代中期〜後期にかけての鍋島が展示されている。
お正月、ひな祭り、端午、七夕、重陽といった節句の宴に使われたり
将軍家や御三家への贈り物として用いられた、
カラフルかつ繊細な絵柄の鍋島。
このあたりはCUTE(かわいらしい)というよりも、
BEAUTIFUL(美しい)という感じか。

鍋島以外で印象に残ったのは
『秋草蔬菜蒔絵懐石椀・膳』という明治時代の漆器セット。
作者は川之邊一朝。
いや〜こんな素敵なお椀で懐石料理をいただいたら
料理の美味しさが倍増するだろうな、というそんな器だった。


第二章は「ファッションと文学」。
焼き物のデザインにファッションや文学が関係あるのだろうか?と
ちょっと不思議な感じがしてしまうのだけど、
江戸時代前期の古九谷は、当時流行した小袖のデザインを取り入れたものも多く
当時の小袖デザイン本『新撰 御ひいながた』に、
同じような絵柄の小袖が掲載されていたりする。
また、この頃の古九谷の地文様(背景になっている細かい模様)が
よ〜く観察してみるととっても面白いのだ。
渦巻きだったり、子供が描いたお日様みたいなカタチだったり。
古九谷って一体どこがいいんだろう?と、正直今までそう思っていたんだけど
この展覧会で古九谷のちょっと楽しい見方を発見できた気がする。

印象に残ったのは江戸時代中期の古清水『色絵松竹梅文硯屏』。
一辺15cm程度のミニ衝立で、何に使うのかというと
硯にゴミが入らないようにする埃よけ。
…小さすぎてあんまり役には立たないような気がするんだけど(小声^o^;)。

あとはなんと言っても文学と焼き物の繋がりということで取り上げられていた
尾形乾山の『色絵百人一首和歌角皿』と『色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿』。
まるで角皿を色紙に見立てたかのように、和歌の世界が描かれている。
どの絵もとっても素敵で、あ〜アタシやっぱり好きだな乾山(*^^*)。


そして第三章はちょっと笑ってしまう「Japan CUTE、世界を駆ける」。
江戸時代前期〜中期に焼かれた柿右衛門、および古伊万里。
その多くはヨーロッパへ輸出され、王侯貴族に愛されたと言う。
さらにドイツのマイセン窯、オランダのデルフト窯、
イギリスのウースター窯などが、
こうした柿右衛門や古伊万里のデザインを模倣した作品を製作するようになる。
ここでは、オリジナルの焼き物と、
それを元に製作した欧州の窯が焼いた器が隣り合って展示されている。
「これは良く出来てるなぁ〜」というものもあれば
「ちょっ、これ、大分解釈が変わっちゃってないかい?(^^;」というものまで様々。

特に面白かったのが
柿右衛門『色絵栗鶉文八角鉢』
→景徳鎮窯(中国)『五彩栗鶉文皿』
→デルフト窯(オランダ)『色絵栗鶉文大皿』
という変遷。
中国の景徳鎮まではまだ良いのだが、
デルフト窯は「なんでこーなるの?!(^o^;」
というデザインに変わってしまっている。
しかしこれは単なる模倣ではなく、柿右衛門の文様を吸収・消化して
デルフト風に仕上げたもの…と言えるのかも知れない。


第四章は「かたち・色 百花繚乱」。
ここはもうアタシ好みの焼き物がまさに百花繚乱。
柿右衛門『色絵狛犬』、
仁阿弥道八『色絵乙御前人形』といったフィギュアものや
尾形乾山の『色絵芦雁文透彫反八』『色絵紅葉文壺』『色絵阿蘭陀写花卉文角皿』、
そしてなんと言っても野々村仁清の香合!。
これぞ《キング・オブ・Japan CUTE!》。
『色絵鶉香合』『色絵鶏香合』『色絵尺八香合』『色絵梅花文四方香炉』…
あまりの可愛さにおもわずほっこり…なのである(*^^*)。

そして今まであんまり知らなかった
明治〜昭和にかけて活躍した陶芸家・板谷波山。
しっとりヌメヌメした、思わず手にとってみたくなる独特の質感に釘付け。
特に3つ並んで展示されていた
『彩磁玉葱形花瓶』『彩磁蕪小花瓶』『蝶貝名刺皿』
は面白い上に素敵だった。


最後の第五章は「色彩茶会(カラフル・ティーパーティー)」。
カラフルな色絵の茶陶が並ぶが、日本の茶道に使うものだけでなく、
西洋のティータイムで使うカップ&ソーサーも。
日本風の絵柄が描かれたカップ&ソーサーに
西洋の人達は異国情緒を感じながらお茶を飲んでいたんだろうなぁなどと
妄想を膨らませる。

最後の最後に展示されていた古伊万里の『色絵山水文手付猪口』は
ままごとセットかと見紛うほどのミニミニサイズ。
いくらお猪口でも、これじゃ容量少なすぎでは?なんて思ってしまった。


思っていた以上に見応えのある展覧会で
1時間くらいで観終えるつもりが、気づいたら2時間近く入り浸っていた(^^;ゞ。

自分土産は仁清や乾山、富本憲吉のポストカード。
iroecute.jpg
図録も欲しかったけど、先々週ラリック展の図録買っちゃったし
今回はグッと堪えたのであった…。
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