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北斎とジャポニスム [EXHIBITION]

11月16日に観に行った展覧会の、鮮度が落ちまくってる記事(^o^;。
(途中まで書いて、しばらく放置したままだった…)。

今年は北斎イヤーなようで、
北斎がらみの展覧会がいろんなところで開催されたり
それに伴うテレビ番組が多数オンエアされたりしている。

大阪・あべのハルカス美術館での『北斎 −富士を越えて−』は
連日大行列で大変なことになっているらしい。
ホントはこの展覧会も観に行きたいところなのだけど
無茶苦茶混んでいておそらくろくすっぽ作品を観られないと分かっていながら
何万という交通費をかけて行く気にもなれず、
観たい作品はあるけれども…まぁこっちはいっか、と(^^;ゞ。
(そして12/7現在、大阪の『北斎』はとっくに終了)。

というわけで、こちらでやってる
『北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃』@国立西洋美術館。
01_kanban.jpg
どピーカン!。青空が、青すぎる。

空いているってことは間違ってもないと思うけど
そこまで混んではいないだろう…と、たかをくくっていたのだけど
う、うーん…なんだか思っていたよりも混んでるぞ(^^;。

到着したのが昼時だったので、まずは館内のカフェ「すいれん」で腹拵え。
『北斎とジャポニスム』特別メニュー《赤富士の衝撃 北斎 特別限定コース》
という1日20食限定のもあったのだけど、2,880円…( ̄口 ̄;)。
これは無理だ(^o^;。

なので、11/7〜11/19のモネ・ウィークの期間限定メニューである
《印象派プレート〜モネをイメージして》を注文。
02_monet_plate.jpg
モネの名作『印象・日の出』をイメージしたプレート。
(注:展覧会に『印象・日の出』が来ているわけではない^^;)。

鶏肉のソテー、ベーコン、温泉卵、スナップエンドウ、エリンギ、ポテト…
なんだかアタシの好物しか載ってないじゃん(≧▽≦)。
鶏肉の皮はパリパリ。
プレートに敷き詰められたソースも美味しくて
パンに塗ったくって一滴残らず…というのはウソだけど、ペロッと完食。
あー、美味しかった。
(注:現在は「Xmasデザートプレートセット」に変わっています)。



さて、本題の展覧会。

入口にはこのようなフォトスポット。
03_photospot.jpg

音声ガイドを借りて、中に入っていくと…うわっ!物凄く混んでる( ̄口 ̄;)。
どの展覧会も、入口付近の展示が一番混んでいることが多い。
けれども、人集りの隙間から覗き見た感じでは
ここではそれほど本気になって観るべきものはなさそうだ。

少し先に進んで行くと、人集りは若干分散して
まぁまぁさほどストレスを感じずに観られる状態に(ホッ)。


19世紀中頃から、日本の文化や美術工芸品が海外に紹介され始めたことにより
ジャポニスム=日本趣味がヨーロッパで大流行。
中でも浮世絵版画は大人気で、
多くの作品が海を渡ってヨーロッパのコレクターの手に渡った。
その中で特に注目されたのが葛飾北斎の作品であり、
モネ、マネ、ドガ、ゴーギャン、ゴッホなど、
名だたる巨匠達が北斎の影響を受けたという。

そうした「北斎の影響を受けた作家たちの作品」と、
「オリジナルの北斎の作品」を並べて展示することで
北斎が、いかに西洋美術に影響と衝撃を与えたのか、
…を読み解くのがこの展覧会。

2週間前に東京都美術館で観た『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』や
2014年に世田谷美術館で観た『ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展』、
これらも19世紀中頃〜後半にかけて、
いかに日本美術が西洋美術に影響を与えたかを見ていく展覧会なのだけど
この手の展覧会を観ていていつも思うのが
「確かに!まさしく!」と膝を打ちたくなるようなものもあれば
「これが?…そうかぁ?…ちょっと無理矢理じゃね?(^^;」と思えるようなものも
少なくないということだ。

単にアタシがひねくれものの天の邪鬼ってだけのことかも知れないんだけど
今回の展覧会でもご多分に漏れず
「え〜?、この作品と北斎の浮世絵を結びつけるのはちょっと無理があるんじゃ?」
というものも多々あった(^o^;。
(たとえば、入口のフォトスポットにもなっている
 ドガの《踊り子たち、ピンクと緑》の腰に手を当てた踊り子のポーズと
 北斎漫画の相撲取りのポーズは確かに同じようなポーズだけど
 影響云々以前に、どちらも人間が取るポーズとしてフツーによくある
 カタチじゃないの?という気が…。←意見には個人差があります)。

アルベルト・エーデルフェルト『夕暮れのカウコラの尾根』の高い位置に描かれた地平線、
フィンセント・ファン・ゴッホ『雨中の畑で種を蒔く人』の線で描かれた雨、
サンティアゴ・ルシニョール『丘』の木の間越しの風景、
このあたりは確かに北斎(あるいは浮世絵全般)の影響を受けている!と
アタシみたいな凡人でも一目で理解出来る。
そしてそんな日本的なところが、
なにやら日本人である自分の心の琴線に触れる気がする。

北斎へのオマージュとして面白かったのは、
アンリ・リヴィエール『エッフェル塔三十六景』というリトグラフ作品。
展示されていたのは6作品だけだったけど
他の30景分も観てみたい!と思った。

一方、以下に挙げる作品は
「そ〜ぉ?。これ影響受けてる〜?」と思ってしまうけど(^^;ゞ
個人的に、作品として「あぁ、これはいいな」と感じたもの。
メアリー・カサット『青い肘掛け椅子に座る少女』
ピエール・ボナール『下校する子どもたち』
ピエール・ボナール『洗濯屋の少女』
ボール・ゴーガン『三匹の子犬のいる静物』
ギュスターヴ・モロー『ヘラクレスとレルネのヒュドラ』
…などなど。


この展覧会では、絵画作品のみならず
ガラス・陶器・磁器などの工芸品も数多く展示されているのだけど
こちらはもう、影響を受けているというよりも
「北斎の絵、まんま転用してるじゃん(^^;」てのが多い。
もし現代だったら著作権の問題で大変なことになってるところ(笑)。

そんな中でも特に秀逸なのはエミール・ガレ。
『壺:ペリカンとドラゴン』
『双耳鉢:鯉』
北斎が描いたまんまやないかーっ(^o^;と
突っ込みを入れたくなる一方で、それを見事にガレ独自のものとして
仕上げているところはさすが、という感じ。

そうそう、ガレと言えば
昨年サントリー美術館での『生誕170周年 エミール・ガレ展』で観た
『花器:トンボ』
『ティー・テーブル:水仙』
『パネル:枝垂海棠』
など、サントリー美術館が所蔵するこれらの作品と
再会できたのが嬉しかった。

その他、ガレ以外の工芸品では
ルイス・コンフォート・ティファニー『ランプ:トンボ』
アーノル・クローウ『花器:梅』
バカラ社『花器:竹林』
ドーム兄弟『花器:雪景』
このあたりがとっても素敵(*^^*)。


こんな感じで
「へぇ〜、北斎(および日本の浮世絵)って凄いな〜」と改めて感嘆したり
ある時は「まんまじゃん!(^o^;」と思わず笑っちゃったり、
またある時は「これ…影響受けてるかぁ?」と疑いの眼差しで見つめたり…と
いろんな視点で楽しめる展覧会だった。



最後は恒例の展覧会限定ショップ。

まずはメリー製「富士山ミニチュアクランチチョコレート」。
04_fujichoco.jpg

約18万分の1サイズの富士山チョコ。
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ミルクと抹茶の2種類入り。
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これを18万倍すると実物の富士山になる…と想像してもピンと来ない。


そして、ミニ図録と、マイクロファイバークロス。
07_goods.jpg
値段もサイズもお手頃なミニ図録はホントに嬉しい。
もっと多くの展覧会で導入して欲しいと切に願う。

マイクロファイバークロスはリバーシブル仕様で
片面は北斎の『鷽 垂桜』、もう片面はガレの『パネル:枝垂海棠』。
08_goods.jpg
このテのクロスもいっぱいあるけど…プリントが綺麗だったんでつい…(^^;ゞ。




2017年も、まもなく終わる。
あと年内に観ておきたいのは
『フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年』@サントリー美術館
『レアンドロ・エルリッヒ 見ることのリアル』@森美術館
…ってとこだろうか。
まぁどっちも年明けまでやってるから、来年でもいいんだけど(^^;ゞ。

あ、そうそう!。これは必須!。
『坂崎幸之助 書写真展 街は超天然色』@Island Gallery。
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きゅう

今年は本屋に行っても「運慶」「国宝」「北斎」ばかりでなんとかハルカスの「北斎」に行きたかったのですが力尽きてしまいました(体力&財力)。
「限定」の声に負けて「国宝」の4枚セット券を買ったので4期全て行きましたが、それでも1週間しか展示しないものなどあって3〜4点は逃しました。中には午前は「国宝」、午後は「正倉院」といったスケジュールもあり「運慶」から数えて2ヶ月で新幹線5往復といった狂気となった芸術の秋でした。

そして明日からは名古屋2Days。運良く両日とも1階の真ん中より前の中心あたりといった席なのでワクワクです。


by きゅう (2017-12-09 01:15) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
昨夜、1時半くらいに一旦床に就き、
3時に起きてTOUR FINAL RADIOを聴きながら、
いただいたコメントにお返事しようと思っていたのですが…
あまりの寒さにベッドから出られませんでした(^o^;。
(ラジオは布団にもぐって聴いていました)。
名古屋2days、さぞかし盛り上がったのでしょうね〜(遠い目)。

す、凄いです!。国宝展4期制覇したのですね。
さすがは国宝ハンター?!。お疲れ様でした。

そういえば、北斎ってこんなに凄いのにその作品に国宝ってないんですよね。
いつか北斎の作品が国宝に指定される日が来ることを
密かに願っているアタシです。

by 梅屋千年堂 (2017-12-10 21:44) 

こたろう

北斎、行かれましたか。
マネ・ゴッホ・ドガにあまり惹かれない私は足踏みしてましたが、エミール・ガレに反応してしまいました。(余談ですが、梅屋さんのレポを読ませていただくことで、私は器やガラスも好きなんだと再認識しました。)
うわぁ、みたいー。行きたーい。

でもでも、今回の坂崎さんの書写真展には行きたいし、他三井記念、サントリー美術館、たばこと塩の博物館、三の丸尚蔵館…行きたいところはいっぱいあるのに、時間と先立つものがありません。
はぁ、迷うところです。

ところで、梅屋さんにお聞きしたことがあります。
単眼鏡を買おうといろいろみているのですが、何かお勧めはありますか?
(ピクセンにしようか検討中)教えていただければ嬉しいです
by こたろう (2017-12-10 21:57) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
アタシも印象派はあまり興味がないのですが
この展覧会では、ガレその他の工芸品がとっても素敵でしたよ。

>>単眼鏡
アタシはVixenの6×16を愛用しています。
Vixenの単眼鏡はAmazonでも評価が高いようです。
お値段も高いですが、NikonのモノキュラーHGってのも評価が高いようです。
単眼鏡は慣れないと使いづらいかも知れません。
双眼鏡タイプではPENTAXのPAPILIOってのが人気があるようです。

倍率、明るさ、大きさ、重さ…お好みもあるかと思いますので
家電量販店で実際にお手に取ってご覧になるといいと思いますよー。

by 梅屋千年堂 (2017-12-10 22:26) 

こたろう

アドバイス、早速いただきありがとうございます。
双眼鏡も考えたのですが、ライブや鑑賞の際にはその時だけメガネをかけるので、二枚重ねだとクラクラしそうなのでやめときます。
ネットで見るより、一度実物を見た方がいいのですねー。いろいろみてみたいと思います。ありがとうございました!
by こたろう (2017-12-10 23:53) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
たいしたアドバイスになっていなくてスミマセン(^^;ゞ。
最近は、美術館のミュージアムショップでも単眼鏡を販売しているのを見掛けます。
(Vixenが多いようですが…)。
アタシはVixenを使っている、と昨日のコメントに書きましたが
片手で持ったままピント合わせができるところが重宝しています。
(もう片方の手に鉛筆と目録を持ってたりするので)。
ちなみにストラップは’09年の夏イベグッズを付けて
’12年のFlowersツアーのミニ巾着に入れています。
(そしてレンズが汚れたら、この巾着でゴシゴシと…)。

by 梅屋千年堂 (2017-12-12 00:31) 

こたろう

ミュージアムショップにもあるのですか⁈やったぁ。しかもピクセン。教えていただき、ありがとうございます。
ネットでも納期が1ヶ月とあったので躊躇していたんですよ。
でも、私にとってココは散財する場所なのであまり長居しないようにしているのですが、じっくり探してみようと思います。
by こたろう (2017-12-12 02:52) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
お気に入りが見つかるといいですね。
単眼鏡を使い始めるとアート鑑賞の世界が広がりますよ。
ただし、夢中になって一生懸命観すぎると、時間もかかって
かなり疲れますのでほどほどがよろしいかと(笑)。

by 梅屋千年堂 (2017-12-13 00:45) 

おーちゃん

確かにこういう展覧会は無理矢理感を覚えるものもありますが(笑)、今回はガレとか挿し絵とか、北斎に興味津々だったんだな~と、微笑ましく思いました。
北斎の上手さは、他の浮世絵師と比べても(当時の日本の絵描きの誰よりも)群を抜いてますからね。

それにしてもここ数年の北斎ブーム、特に今年はすごかったですね。
応為のドラマまでやっちゃうんですから…。
それだけ深く広いってことでしょうか。
by おーちゃん (2017-12-16 20:47) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
昨今の北斎ブームは、LIFE誌が選んだ
「この千年で最も重要な功績を残した100人」で
葛飾北斎が日本人で唯一選ばれたことによるところが大きいのでしょうか。
でもそのお陰で、今まで知らなかった北斎のあんなことやこんなことが
勉強できてそれはそれで良かったな、と思います。
そしてやはりそれまであまり知られていなかった
娘の応為さんにもスポットが当てられたことも意義深いことだと感じました。

次は何ブームが来るんでしょうね。来年も楽しみです。

by 梅屋千年堂 (2017-12-17 01:48) 

まんぷく

こんにちは!コメント久しぶりにさせていただきました(^o^ゞ
明けましておめでとうございます!今年もブログ読ませていただきます!よろしくお願いします!

私もジャポニスム行ってきました!!西洋美術館は世界遺産になったってこともあり、わくわくしながら行きましたが、建物は、正直、え?世界遺産?って感じでした、、(^_^;)
中の展示の方は名前の通り、和と洋がまざった感じでとても良かったです!どこか美術館行ってから梅屋さんのブログ開くとその美術館のことについてほとんど書かれてて梅屋さんも行ったんだ!!ってなり、嬉しく思います!
あと、私はもうすぐ、大学4年生になります。大学では福祉を学んでいます。そろそろ卒業論文を書かなくてはいけなくて、心理学を授業でとっているので、人の心理について書こうと思っています。私が美術館に行く中で、作品を見ながらメモをとる人、さらーっと歩きながら見る人、作品の目の前を陣取ってじっくり見てる人、などなどいろんな人がいます。みなさんは作品をどのような気持ちで見ているのだろう?と思い、それをテーマにすることにしました。
そのためにいろんな美術館にまだまだ行きたいなと思っているのですが、おすすめの美術館や展示会は何かありますか??
長文ですみません!(^_^;)
by まんぷく (2018-01-19 22:41) 

梅屋千年堂

>まんぷくさん
こちらこそ本音もよろしくお願いいたします。

大学生さんですか〜…(一体自分は何十年前の話だ…と、遠い目)。
福祉を勉強していらっしゃるのですね。
大学での勉強は社会に出てからすぐに役に立つとは限りませんが
いつか絶対に「あの時一生懸命やっておいて良かったな」と思うときがきますから
力一杯頑張ってくださいね。

>>おすすめの美術館や展示会
http://humezawa.blog.so-net.ne.jp/2018-01-08
↑こちらの記事の文末に「今年行きたい展覧会」をまとめてあります。
よかったらご参考までに…(^^;ゞ。

by 梅屋千年堂 (2018-01-20 00:13) 

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