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特別展 春日大社 千年の至宝 [EXHIBITION]

東京国立博物館・平成館で17日から始まった展覧会。
(昨日=18日に行ってきた)。

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始まってまだ2日目だし、目玉展示の国宝・赤糸威大鎧(竹虎雀飾)や
同じく国宝・蒔絵箏の展示が2月中旬からということもあってか
それほど混雑しておらず、自分のペースで鑑賞することができそうだ。


春日大社は、今から1300年前の奈良時代の初めに
国家の平安と国民の繁栄を祈願するために創建された。
春日大社の第一殿の祭神である武甕槌命(たけみかづちのみこと)が
常陸国鹿島から、鹿に乗って御蓋山に降臨したと伝えられ
その後、経津主命(ふつぬしのみこと)、天児屋根命(あまのこやねのみこと)、
比売神(ひめがみ)を迎え、768年に称徳天皇の勅命により
現在の地に4つの社殿を造営したことが始まりとされる。

昨年、60回目の式年造替(20年に一度の社殿の建替・修繕)を迎えたことを機に
社外では滅多に拝観できない古神宝や、祈りを込めて奉納された名品の数々を
紹介するのがこの展覧会。

第1章のテーマは『神鹿の杜』。
現在春日大社周辺にいる鹿たちは、武甕槌命が乗ってきた鹿の子孫と言われている。
その神鹿にまつわる美術品が展示されている。

武甕槌命が鹿に乗って春日の地に降り立った瞬間を描いた
「鹿島立神影図」の掛け軸や、続日本記、国宝「延喜式」の他、
素朴な感じがちょっとカワイイ木彫りの「白鹿」(森川杜園作)がある。

江戸時代に描かれた六曲一双の「鹿図屏風」は宗達派系によるもの。
そう言われていると、なるほど宗達の描く鹿と似たところがあるかも。


第2章は『平安の正倉院』。
神々の調度品として、数々の古神宝が伝わる春日大社は
「平成の正倉院」とも呼ばれている。
本宮、若宮それぞれに奉納された品々を紹介するこの章は
まさに国宝&重文のオンパレード!。

ここに展示されているのが、今回の目玉展示の一つ「金地螺鈿毛抜形太刀」。
もちろん国宝。
柄や鍔は金無垢、刀の鞘には雀を追う猫の姿が螺鈿細工で表現されている。
展示ケースの上にはモニタでは
近年復元された「金地螺鈿毛抜形太刀」の煌びやかな映像も観ることができる。
今でも輝きを失わない「金地螺鈿毛抜形太刀」だが
作られた当初は、目も眩むほどのまばゆさだったことが感じ取れる。


記憶が定かではないのだけど、
普段は参拝することができない本殿(第二殿)の実物大再現模型が
展示されていたのは第3章『春日信仰をめぐる美的世界』だっただろうか?
         (↑第1章の終わりの方でしたm(_ _)m)
その少し手前の展示で、本殿を飾る「瑠璃灯籠」があったのだけど
展示ケースの中では、青黒い小さな石がビーズのように連なった灯籠が観られるだけ。
ここに灯りが灯された状態を観てみたいんだよ〜!と思っていたら
その少し先に、第二殿を再現したコーナーが展開していて
そこに灯りの灯った瑠璃灯籠が提げられていた。
その瑠璃色の美しいこと!。
再現模型にもかかわらず、神殿を観ていたら粛然とした気持ちが湧いてきた。

ここには春日宮曼荼羅も数多く展示されている。
春日大社に来ることができない人のために用意されたもので
春日大社の俯瞰図と春日の神の本地仏が描かれている。

神様というのは、本来姿かたちを持たないものなのだけど
祈りの対称として、かたちを求めてしまうのが人情…
と言うことで本地垂迹の考えから
第一殿=不空羂索観音、第二殿=薬師如来
第三殿=地蔵菩薩、第四殿=十一面観音、若宮=文殊菩薩…
というように、春日の神様たちの本地として
様々な仏・菩薩が充てられたのだとか。

こうした展示を観ていると
藤原氏を通じて、春日大社と興福寺が深い繋がりにあったことも分かる。
(単なるご近所さんということではなかったのだ^o^;)。

先にも書いたように、春日宮曼荼羅は、
春日大社の俯瞰図のかたちをとるものが多いのだけど
つい先日(去年の暮れ)、春日大社を訪れたこともあって
そこに描かれた景観をイメージしやすかった。
(本当はもうちょっとゆっくり参拝してきたかったのだけど…
 殆ど「行って帰ってきただけ」だったんだよなぁ^^;ゞ)。


あとは要所要所で紹介されている「春日権現験記絵」が面白かった。
すべてがまとまって1ヶ所に展示されているのではなく
その各章のテーマごとに、それに合った場面を開いて展示している。
状態も良く色も綺麗だし、キャプションも親切でわかりやすく
近くに展示されている品々への理解も深まる。
うまい展示だな、と思った。


反対側の第2展示室に移動すると
第4章『奉納された武具』ということで
鎌倉〜南北朝時代に武家・公家が奉納した壮麗な甲冑や太刀などが紹介されている。
国宝「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」の細工が美しかった〜(◎_◎)。
今はまだこれと「黒韋威伊予札胴丸」しか展示されていないけれど、
2月14日から19日の間は「赤糸威大鎧(竹虎雀飾)」と「黒韋威胴丸」も加わって
国宝甲冑4領が揃い踏みするとのこと。


唯一撮影OKのコーナーがあったのもここだったかな?。
春日大社の灯籠を背景に、記念撮影が出来るコーナーが設置されていた。
02_tourou.jpg


第5章『神々に捧げる芸能』では
御神楽に使用する面や装束が数多く紹介されている。
その中の一つ、崑崙八仙(ころばせ)の被り物と、
それを身に付けて輪になって踊る4人組…
ハテ(-“-?、これ、どこかで観た気が…。
あっ!俵屋宗達の「舞楽図屏風」だ。
おぉ〜…装束の実物、初めて観た!。

そして最後の方に飾られていた、4組の獅子・狛犬。
第一殿のペアの顔は愛敬があって可愛かったね〜(笑)。




いやはや、思った以上に見応えのある展覧会だった。
音声ガイドの、市川猿之助さんの仰々しいナレーションも良かったな(笑)。
音声ガイドにはゲストとして、
春日大社宮司の花山院弘匡さんやさだまさしさんも登場。

さださんはガイドの中で

春日大社の萬葉植物園でぬばたまのそばに添えられていた
「居明かして君をば待たむぬばたまのわが黒髪に霜はふるとも」という
磐姫皇后の歌を観て、“まほろば”という歌を作った

という話や

神様が人間に愛想を尽かすと
春日山の木々を枯らして天に帰ってしまう(山木枯槁=さんぼくここう)、
その神様になんとかして戻ってきていただくために
御神楽を行うと枯れ木が元通りになると伝えられている。
つまり音楽は神様の言語である…

そんなエピソードを話してくれていた。
来月には花山院宮司とさださんのトークイベントがあるそうで
これが木曜日開催だったので、ダメ元で応募してみた(^^;ゞ。




『春日大社〜』の展示を観終わった後、そうだ、今本館では
長谷川等伯の「松林図屏風」が観られるのでは?と、本館国宝室に行ってみた。
が…そこに展示されていたのは池大雅の「楼閣山水図屏風」。
「松林図屏風」は15日で展示が終了していた_| ̄|◯。

余裕があったら科博でやってる『ラスコー展』も
観ちゃおうかと思っていたんだけど、
もう時間も体力も『春日大社展』で使い果たしくたびれたので『ラスコー』却下。

ほんの少し項垂れつつ本館の外に出ると、あらなんだかイイ感じ。
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ちょっと茶でもしてから帰るか…と、向かう先は法隆寺宝物館なのだった。
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おかん

東博ゆっくり見られて良かったですね。
前回の〝平安の・・〟が延長してたのに最終日、混んでると思い全然違うところ(岩合さん)に行ってしまいました。今回の春日大社は早めに行きたいと思います。まったくの白紙ですが一人旅で奈良に行きたいんです、桜の時期が良さそうですが・・夏か秋に実行できるかな~?。
by おかん (2017-01-19 21:43) 

梅屋千年堂

>おかんさん
目玉展示がなくても空いてる時を狙って行くか
それとも混雑覚悟で目玉展示が勢揃いの時期に行くか
これは常に悩むところです。
でも、昨日マリー・アントワネット展に行って
「やっぱりアタシ人混み苦手…(-_-;」と痛感しました。

桜の時期の奈良はいいでしょうね〜吉野とか…(*^^*)。
(でもやっぱり混んでいそう笑)。
修学旅行生や外国人観光客のいなさそうな古刹なんかもいいですね。

by 梅屋千年堂 (2017-01-20 18:49) 

こたろう

梅屋さんのレポに導かれ、今年はいろいろ見に行きたいと思っていた矢先に、
ステキすぎます!春日大社!
いつも桜見物に上野にいくので、花が咲く頃には終わってしまうのが残念です。
行きたいなぁ。

私は京都より奈良の方がゆったりしていて好きなのです。春日大社ももちろんですが、東大寺も好きだし、飛鳥方面も大好きなんです。
今年は大坂城ホール(に行けたら)、その翌日に足を伸ばそうかしら。なんて、ひとりで旅行妄想中です。
by こたろう (2017-01-20 23:13) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
春日大社展、よかったですよ!。
なんだかもう一度改めて《ちゃんと》春日大社を訪れたくなりました。
(行かないけど笑)。

京都と奈良、どちらもまだまだ行ったことのないところがたくさんあるし
両方とも好きだけれど、どちらがより好きかと訊かれたらアタシも奈良です。
大概年末の大阪のついでに行くので、なかなか遠出ができませんが
子供の頃の家族旅行で行ったっきりの飛鳥方面にも
いずれ行ってみたいと思っています。

by 梅屋千年堂 (2017-01-21 23:05) 

うさぼん

こんにちは。26日に行ってきました。ド平日のトーハクは良いです。じっくり鑑賞しました。さださんの「まほろば」が出来た由縁がわかり、さらに春日大社に行きたくなりました。
by うさぼん (2017-01-29 10:07) 

梅屋千年堂

>うさぼんさん
やはり平日がじっくり鑑賞出来て良いですよね。
とはいえ、2月14〜19日は混雑するかも知れませんね(^^;。
音声ガイドのさださんのお話、面白かったですね。
ちなみにさださんと春日大社宮司さんとのトークイベントはハズレました。
(春ツアー前に、ここで運を使わなくて良かったと思うことにします笑)。

by 梅屋千年堂 (2017-01-29 18:50) 

きゅう

音声ガイド付き前売りもゲットしてトークイベントが当たれば2月9日にと思っていたのですが私も今日「落選」のハガキが届きました。今回の出展リストと秋に春日大社の国宝殿でみたものを見比べたところ前期はかぶるものが多いので後期に行くことにしました。そのためラスコーも見送りです(九州に行くことはないと思いますが)。

梅屋さんは年末に時間の都合で国宝殿を諦めたようですがあまり広くなく短時間でも見てまわれる感じでした。東寺の宝物館に近いかもしれません。

2月末〜3月初めに行くつもりですが無類の並び好きとしては「寒い中で並びたくない」というワガママも…。
by きゅう (2017-01-31 01:21) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
きゅうさんもトークイベント落選してしまったのですね。
やはり、さださんの人気に対して380人は狭き門でした…。
しかしワタクシ、とある懸賞で
この展覧会のペアチケットが当たってしまいました(^o^;。
というわけで、国宝鎧4領揃い踏み期間中、あるいは後期展示期間中に
激混み覚悟でもう一度行ってこようと思っています。
(でもそ〜んなに並ばないのではないかな?と思いますよ。
 ↑並び好きのきゅうさんにとっては残念?笑)

春日大社はいつも何故かゆっくり参拝する時間がないので
次に訪れるときは時間に余裕を持っていきたいと思います。

by 梅屋千年堂 (2017-02-01 19:27) 

きゅう

「もう終わってしまう」とギリギリの10日に行ってきした。当初は3月頭に行く予定だったのですが珍しく仕事に追われて(笑)。
「そんなに混んでいないだろう」と思い今回は10時過ぎに現地着の行程だったのですが、列はないが中は混んでいました。「まぁせっかく来たんだしじっくりと」と単眼鏡と音声ガイドを首に下げてじっくり見すぎて外へ出たら3時半でした(笑)。
(確かに音声ガイドも3、4回聞いたし)

最初は終わったらどこかへ行こうと思っていたのですが、科博で売っているハコスコが欲しくて行ってみたらショップに入るには入場料620円。仕方ないから中の展示もじっくりと見てしまいそれで時間もいっぱい。
「上野(トーハク)に行ったら科博」は「奈良に行ったら国宝館」のようなお決まりコースとなっている気が(笑)。

帰りに都庁まで行っていらない携帯電話を回収箱に入れて都知事のメッセージカードをもらって展望台に上がったらすでに日が暮れていました。
(帰りに寄る方向ではないですね)

by きゅう (2017-03-12 00:48) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
おぉ〜、ホントにギリギリでしたね。
アタシも2月の半ばに2回目を観てきましたが
さすがに国宝鎧4領揃い踏みとあって混雑してました。

>>ハコスコ
すみません、なんだか分からずググってしまいました(^^;ゞ。
ほぉ〜、こんなのあるんですね。…アタシも欲しいカモ。
7月から始まる「深海」には行こうと思っているので
その時に見てみようと思います。

今回もなかなかの弾丸旅だったようですね。
アタシも今日は大阪日帰りしてきましたが、
40年来の花粉症なので、ずっとデイユースのホテルに引き籠もってました(^o^;。
(藤田美術館に曜変天目を観に行きたい気持ちはあったのですが)。

by 梅屋千年堂 (2017-03-12 23:13) 

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