SSブログ

岩佐又兵衛と源氏絵 [EXHIBITION]

『岩佐又兵衛と源氏絵 〈古典〉への挑戦』@出光美術館。

岩佐又兵衛は1578年に有岡城主・荒木村重の子(一説には孫)として生まれた。
2014年のNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』でも描かれていたが
織田信長の家臣であった荒木村重は、
1578年、信長に対して謀反を企てるも失敗。
信長は荒木一族を皆殺しにするが、又兵衛は乳母に救い出され
辛くも難を逃れて生き延びる。(村重本人も生き延びて、後に茶人となる)。
その後、又兵衛は京都→福井→江戸と移り住み、絵師として生計を立てていく。


岩佐又兵衛といえば、国宝『洛中洛外図屏風(舟木本)』。
正直、他の作品が思い浮かばないくらい、
アタシの中では岩佐又兵衛=『洛中洛外図屏風(舟木本)』。
だから今回の出光美術館での『岩佐又兵衛と源氏絵』という
展覧会のタイトルを見て「え?、そうなの?(^^;」であった。
岩佐又兵衛が「源氏物語」を主題にした作品を数多く描いていたとはつゆ知らず…
まだまだ全然修行が足りん。

というわけで、岩佐又兵衛および同時代の絵師たちによる源氏絵を
中心とした展覧会、である。

この展覧会がクローズアップしているのは
古典中の古典である「源氏物語」という素材を
江戸時代の絵師たちが、いかに自由に表現していったか、ということ。
特に又兵衛は、一つの画面に、特徴的な一つの場面を描いたところや
それまでに描かれてこなかった場面を描いたことなどが
当時としては新しかったらしい。

個人的に興味深かったのは、実を言うと「源氏絵」ではなく
三十六歌仙を描いた「歌仙絵」の方だったりする。
三十六歌仙のうちの一人を、1枚に描いて掛け軸にしたものも良いが
アタシが「これいいなぁ〜」と思ったのは『三十六歌仙・和漢故事説話図屏風』。
屏風の上部には、三十六歌仙と彼らが詠んだ歌が描かれていて、
下半分には様々な故事・説話が、
上の短歌とは(おそらく)なんの脈絡もなく描かれている。
これは部屋に飾ってあったら見ていて飽きない。
この屏風が描かれた当時の人々も、この屏風を見ながら
「これはあの話のあの場面を描いたものだ」などと、あーだこーだと
話が弾んだのではないだろうか…などと妄想を膨らませていたら
なんだかちょっと楽しい気分になってきた

又兵衛以外では、又兵衛の弟子筋に当たる岩佐勝友の『源氏物語図屏風』。
「源氏物語」54帖すべての場面を一双の屏風にまとめたもので
これを右端から左に向かって鑑賞していくことで
「源氏物語」のストーリーを時系列で辿っていくことができる。
これが、17世紀に描かれたものとは思えないほど保存状態が良く
色鮮やかで美しい。

それと琳派の祖・俵屋宗達が描いたと伝えられている
『源氏物語図屏風残闕』の4枚の掛け軸。
宗達も斬新な表現で当時人気を博したわけなんだけれども
岩佐又兵衛の源氏絵と比較すると、宗達の方がより《古典的》だと思った。
岩佐又兵衛の描く人物の顔は非常に特徴的で、より表情が豊か。
この自由さが、後の浮世絵の源流であると言われる所以なのだろう。
(でも個人的にはやっぱり宗達の絵の方が上品で好きだけどもね^^;ゞ)。


自分土産はポストカード4枚。
宗達2枚、又兵衛1枚、勝友1枚。
matabeh.jpg
チラシになってる『源氏物語 野々宮図』…
少ない色彩で、すごく緻密に描かれているのだけど
鳥居と二人の人間の大きさのバランスが不可思議で
なんだか見てるとゾワゾワする(^^;。


さぁ!来週こそ『マリー・アントワネット展』へ行くぞ!。




------------------------------------
《オマケ》
『INNOVATION CLASSICS 2017』の全プレ「特製オペラグラス」が
思いのほか(あくまで見た目が)ちゃんとしたものでちょっとした嬉しい驚き。
http://billboard-cc.com/classics/innovation2017-xmasnews/
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0