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生誕300年記念 若冲展 [EXHIBITION]

アタシはいったい何を観に行ったんだろうか…(・o・)。

伊藤若冲(1716-1800)は、江戸中期の絵師。
京都は錦小路の青物問屋の倅として生まれる。
長男だったので家督を継がねばならず、その間は趣味として絵を嗜んでいたらしい。
その後40歳で隠居してから、本格的に画業に取り組み始めたらしい。

以前からかなり注目されていた『生誕300年記念 若冲展』。
先だっての24日にはNHKスペシャルで特集番組がオンエアされたり
(ナレーションは「・・・(-_-;」だったが)
他にもいろいろと特番が組まれたりと、こんなに宣伝されちゃぁ混まないわけがない。

前日に公式ツイッターで混雑状況をチェックしたところ
案の定、入室まで80分待ちだったり、70分待ちだったり、60分待ちだったり…。
まぁしょーがないやねーと思いながら、
多少は落ち着いてくると思われる15時に現地到着。

いつもの写真。
jakuchu_1.jpg

普通だったら、屋外にある細いエスカレーターを降りて館内に入るのだけど
エスカレーターの横に既に横4列の長い列が出来ている。
現在、最後尾からの入室待ち時間は50分だという…。
でも結構スイスイと列は流れていて、5分程で館内に入れた。

しかし、当然ながら館内にもまた長蛇の列。
ここから30分弱並んで、ようやく入場。
でも50分はかからなかったじゃない、ヨカッタヨカッタと思いながら
今度は音声ガイド借りるのに10分程度また並ぶ。

ようやく展示室内に入ると…

ウゲー・・・
すっっっっっごく混んでる( ̄△ ̄lll)。

展示の最初に出てくるのは鹿苑寺大書院障壁画。
襖の両面が見られるという、工夫が凝らされた展示になっている。
が、あまりに混みすぎていて全然近づけない。
人と人の間の隙間からなんとなーく眺めて次へ。

若冲の本領発揮というような、色鮮やかな花鳥画の軸物が並ぶ。
『旭日鳳凰図』『孔雀鳳凰図』『月夜白梅図』『白梅錦鶏図』など
目にも鮮やかな作品が並ぶが…近づけない。まったく近づけない(T^T)。
離れたところから、作品の上半分しか見ることが出来ない。
そうかといって、うんと離れたところから見られるのかというと
背後にも展示があり、そちらも物凄いことになっているのでそうも行かない。

はぁ〜、ダメだこりゃ、次いってみよう!と長さんよろしく次のセクションへ。
打って変わって今度はモノクロームの墨絵の世界。
このあたりは、若干人集りも少なく、少しはマシ。
(でも立ち止まって見ている余裕はない)。
若冲お得意の筋目描きを駆使した『樹下雄鶏図』『虻に双鶏図』『鳳凰之図』など。
先程の精緻で極彩色の花鳥画とは対照的な大胆なタッチ。
岡田美術館蔵の『月に叭々鳥図』もあった。

…そうなのだ。岡田美術館蔵の若冲が結構来ているのだ。
さっき上半分しか見られなかった『孔雀鳳凰図』も岡田美術館のものだ。
アタシは決めた。
9月から始まる岡田美術館での『若冲と蕪村』をゆっくり観に行こうと。

巻物(?)の『乗興舟』に至っては、
ガラスケースにビッチリと人が貼り付いていて、
もう!まるで!まったく!少しも!観ることが出来なかった。
まぁこれはいっか…と思ったので敢えて並ばなかったのだけれども。

「あ、これちょっと面白い」と思ったのは
花鳥版画の6枚からなるシリーズもの。
黒い背景に、鸚哥や鸚鵡など異国情緒溢れる鳥たちが色鮮やかに摺られている。
なんだか江戸時代のものとは思えないモダンさだった。

ロビー階から1階に移動すると、今回の大目玉『釈迦三尊像』と『動植綵絵』が
楕円形の展示室にズラーーーーーーーッ!と並んでいる。

おぉーっ!これは壮観!!!

と、言いたいところだが、ここも人・人・人で
やっぱりなかなか作品に近づけない(T^T)。
それでもどうにかこうにか近づけたのは『老松白鳳図』『老松鸚鵡図』くらい。
『老松鸚鵡図』は2012年に名古屋で観た
《ボストン美術館 日本美術の至宝展》に出展されていた
『鸚鵡図』を思い出させてくれた。
思えばあの鸚鵡図が、アタシにとって、若冲の超絶技巧との出会いだったかも。

なんだかもう、かなり辟易した気分で2階に移動。
この最後の展示室が、混み具合としては一番マシだったかも(^^;。
ここでは『石灯籠図屏風』が個人的に興味をひいた。
点描の石灯籠…なんだかスーラみたいで面白かった。
(スーラの方が生まれたの全然後なんだけどね^o^;)。

あとはやっぱり『象と鯨図屏風』かな。
去年サントリー美術館で開催された《若冲と蕪村》に行かなかったので
初めて観たのだけど、このなんともぐにゃぐにゃしたゾウさんが可愛すぎる(*^^*)。
このゾウさんのぬいぐるみがあったらいいのに(笑)。



展示を観終わると、待っているのがショップである。
残念ながらほとんどの作品を上半分しか観られなかったので
図録は買って行こうと思った。
あとはポストカードだけど…なんだか種類が少ないなぁ(-“-?。
もしかして人気作品のカードは既に品切れとか?!。
他のグッズを観ても「あっ!これ欲しい!」というものは見当たらない。
(もう自分のテンションがかなり低下していたこともある)。

そんなところに、売り場の係の方の声が響き渡る…

「大変申し訳ないのですがー、ショップが大変混雑しておりましてー、
 レジまで1時間待ちとなっておりますー」

なななな、なんですとぉーーーー( ̄口 ̄;)。
入場するまでの待ち時間よりも長いじゃないのさ。
いらんいらん、もうグッズなんて何もいらん。図録だけ買えればよし。

ということで、中庭に設置された特設ショップで
図録(¥3,000)だけ買って帰ってきたが、これが重っっっ。
jakuchu_2.jpg
でも見応えは十分。
(けどやっぱり本物と印刷物は違うんだよね〜)。



なんだかいったい何を観に行ったのかわからない、
近年稀に見るストレス溜まりまくりの展覧会で、
残念ながら、殆ど心に残るものがなかった。
(その割に長々とレポを書いてはいるが…^o^;)。
音声ガイドの、中谷美紀さんの落ち着いたナレーションが
せめてもの救いだった。

昨年の鳥獣人物戯画展や琳派展も混んではいたが、ここまで酷くはなかった。
というか、帰りの電車の中で考えていたのだけど
たとえ外での待ち時間が長くなろうとも、
展示室内で「それなりに作品が鑑賞出来る空間」が確保できるように
もうちょっと展示室に入れる人数を少なくしても良いのでは?と思う。
その方が、外でいくら待たされたとしても納得出来る(アタシはね)。

明日、出光美術館で気分をリセットしてこよーっと。
(ここまで混んではいないと思うので)。
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おーちゃん

ま、マジっすか!待ち時間の覚悟はしてましたが、館内の激混みは想定以上のようですね・・・。梅屋さん、お疲れさまでした・・・。
土日祝日の混雑は推して知るべし、私、観に行けるのかしら???

明日は伴大納言絵巻をご覧になるのですね。なんでも上中下巻を三期にわけて展示するっていうじゃないですか。う~ん、商売上手!
見たいものがたくさんあって嬉しいけど、私も困ってしまいます(^^;)
by おーちゃん (2016-04-27 23:43) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
マジっす〜。平日の夕方なのに激混みでエラい目に遭いました。
あれはとても絵を鑑賞する環境ではありません(-_-;。
可能ならば20時までやっている金曜の夜に行くのがいいかも知れません。

明日は出光で伴大納言絵巻です。
こちらも一ヶ月ずつの開催ですが
なんとか時間を工面して、三部すべて観に行こうと思っています。

by 梅屋千年堂 (2016-04-28 01:07) 

ハッカ飴

ご無沙汰しております。
東京まで片道5時間の地方に住む私にとって都市遠征(笑)のもう一つの楽しみが美術館巡り。
昨年春のNHKホールの際、鳥獣戯画展並んだ並んだ、それより大変なんて、想像がつきません。
若冲は3年前盛岡にプライスコレクションが来たとき往復5時間かけて見に行きました~。(いやマジでどんな田舎に住んでるやら)
今度の夏イベ、どこの美術館に行こうかそろそろ研究しなきゃですが、こちらの記事をいつも参考にさせて頂いております。(で、鳥獣戯画に並んだ私は変態⁉)
あわただしい日常とは存じますが、アルフィーさんと梅屋さんに病原菌が近づかない様、お祈りしますね☆

by ハッカ飴 (2016-04-28 20:36) 

梅屋千年堂

>ハッカ飴さん
お久しぶりですね(^_^)。
『若冲展』、並ぶ時間は『鳥獣人物戯画』よりも短いですが
問題は中に入ってからです。
殆どの作品の前に3重4重の人集りが出来ていて作品に近づくことすらままならない。
『鳥獣人物戯画』の時は3時間待ったとしても、ちゃんと間近で観られたので
満足度も高かったのですが、この展覧会は…。
1ヶ月の間に、少しずつでも改善されると良いのですが。

なんだか暖かくなったな〜と油断していると、
今日みたいに急に肌寒くなりますね。
ハッカ飴さんも体調など崩されませんようご自愛くださいね。

by 梅屋千年堂 (2016-04-28 22:00) 

おーちゃん

昨日、意を決して行って参りました。梅屋さんのお考えと同じく、私も金曜日の夜なら、祝日といえども多少はマシであろうと。

6時前に着きまして、20分ほどで館内に入れたんですが、ああ~やはり会場は混んでおりました。でも多分、梅屋さんが遭遇された状況ほどはひどくなかったと思われます。さすがに動植綵絵は近づけないものもあって、消化不良なんですけど。1枚1枚、全体をじーっくり観たかった・・・。
空いてきたかな、と閉館30分前にもう一度最初から巡り始めて、乗興舟も菜蟲譜もなんとか覗き込み。ですがですが、動植綵絵は最後まで混んでおりました・・・。(関係ないんですが、”どうしょくさいえ”を一発で変換してくれるワタクシのパソコン、若冲ブームはここまで波及してるの?)

鳥獣花木図屏風も近づけない、上しか見えない状態が続いており、いいもん、10年前にプライスコレクションで観てるから、と自分に言い聞かせて断念です(><)

なんだかんだで2時間近く観ておりまして、やはり若冲は変人だなあと(笑)感心しました。ありきたりですが、よくもまあそこまで凝りに凝って絵を描いたものだと。
技法が解明されてきて、そのオタクぶりにますます恐ろしさを感じます。お得意のニワトリのリアルさと数の多さに、尾羽でバサバサしばかれる夢を見そうです(^^;)

そんな中、私がおや?と惹かれたのは漫画のような三十六歌仙図屏風と、かわいらしい野菜たちが並ぶ菜蟲譜。気合入りまくりの作品の中で、なんかほっとする感じがよかった。

いやはや、私も疲れました。決定版と銘打つだけあってとってもよい展覧会なんですけど、1ヶ月しかできないなら、毎日12時間は開館して、ゆったり見られるようにしてほしいですね。もったいない!
by おーちゃん (2016-04-30 23:19) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
お疲れ様でした!。
金曜の夜でも混んでいましたか…。
考えることはみな同じ、ということですね(^^;。
GW期間中の混雑具合も想像しただけで恐ろしいですが
5月18日のシルバーデーは一体どうなってしまうのでしょうか。

>>尾羽でバサバサしばかれる夢を見そうです(^^;)
アタシはあれです、「南天雄鶏図」。
あれに描かれた雄鶏のトサカの部分のつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶ…
ギャァーーーーッ!!!キモチワルイ!!!∫(TOT)∫
…まさに鳥肌モンです(笑)。

三十六歌仙図、いいですよね〜。
あれ岡田美術館でゆ〜っくり(しかもほとんど独り占め!)観たのですが
なんだか和みますよね、お笑いマンガ道場みたいなユルさが(笑)。
アタシ、若冲は極彩色のものよりも墨絵の方が好きかも。

>>ゆったり見られるようにしてほしいですね。
いつぞやのボッティチェリ展の時のように
高い金出してでもいいから夜間にゆっくり観させてくれ…
と思っているのはアタシだけではないはず…。
ゆっくり観られるなら1万円くらい出してもいいです、いやマジで。

by 梅屋千年堂 (2016-04-30 23:38) 

こたろう

梅屋さん、おひさしぶりです!
山梨のライブから1週間…やっと自分的にも落ち着いてコメントできます。

若沖展、すごいことになっているんですね。
梅屋さんのレポ読みながら、阿修羅展を思い出しました。
あの時も阿修羅を何重にも人の波が囲み、とんでもないことになっていましたが、それ以上にひどいかもしれませんね。。
実は6日に宿でも取ってゆっくり見ようかと思っていましたが、他の方のコメントを見て、行く前から気持ちが折れてます。

でもなぁ~~~。次回はいつ見られるかわからないから、見ておかないととも思ってます。
気持が揺れ動きます、はい。

by こたろう (2016-05-01 22:18) 

梅屋千年堂

>こたろうさん
客を詰め込み過ぎなんだよ〜とか
動植綵絵の展示室は段差を付けてくれていれば良かったのに〜とか
夜間特別内覧会やってくれ〜とか
素人目線で「もっとこうしてくれればいいのに」
なんてことばかりが浮かんでくる展覧会でした。

でも帰ってきた直後は「もうこりごり」なんて思ってましたが
やはりあまりにも観られなかったことが悔しくて
もう一回頑張って行ってみようか…みたいな気持ちが湧いてきています。
(でも多分行かないと思いますが^^;)。

動植綵絵は、もうあのようにいっぺんにまとめて観られる機会は
この先ないかも知れませんね。
それでもいずれ相国寺に行ってみたい、と思うアタシなのでした。

by 梅屋千年堂 (2016-05-01 22:46) 

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