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俺たちの国芳 わたしの国貞 [EXHIBITION]

『ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞』
@Bunkamura ザ・ミュージアム。

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最近はもっぱらスマートフォン画面表示のオンラインチケットを利用。
大抵の美術館は、紙チケットと引き換えてくれるので
「行った証し」もちゃんと手元に残るのが嬉しい。

てなわけで、紙チケットを受け取り、ロッカーに荷物を預けて
いざ、展示室の中へ…!

うわ、混んでる…_| ̄|◯。

作品1点1点の大きさが小さい(概ねA4サイズ)上に
版画とは思えないほどの細密描写なので
みんな壁に貼り付くようにして鑑賞している。
そうなんだよねぇ…錦絵の展覧会ってこうなちゃうんだよねぇ(^^;。

歌川国芳(1797-1861)、歌川国貞(1786-1865)は
ともに歌川一門の兄弟弟子でありながらライバル同士で作風も対照的だ。

今回の展覧会は、ボストン美術館が所蔵する14,000枚を超える
国芳・国貞コレクションの中から厳選された名品を紹介するというもの。

とはいえ、今までどこかの展覧会で観たことのあるものも少なくない。
『相馬の古内裏』
『通俗水滸伝豪傑百八人之一人』シリーズ
『鬼若丸と大緋鯉』
『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』
…などなど。

けれども(多分)初めて観る作品も多く、しかもどれも状態がとても良い。
欧米の美術館や個人が所蔵している日本画のコレクションを観るたびに
いつも思う…「悔しいほどに状態が良い」と。
そして「大事にしてくれてありがとう」とも思う。


そんな色鮮やかな作品たちの中で、今回「イイな」と思ったのは…

国貞『里見八犬伝』の登場人物を4段(8枚)に描いた大作
   (こんな大作の浮世絵、初めて観た)
国貞『天竺徳兵衛実は義仲一子大日丸』(巨大なカエルがかわいい)
国芳『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』(鰐鮫の鱗がスゴイ)
国芳『木曾街道六十九次之内 妻籠 安倍保名 葛葉狐』
  (向こう側が透けて見えてる人物=幽霊?の描き方がスゴイ)
国芳『観世音霊験一ツ家の旧事』(悪いおばあさんが怖すぎる)
国貞『七代目市川團十郎の海野小太郎行氏、弐代目岩井粂三郎、
   三代目坂東三津五郎の鷲尾三郎』
  (シックな色合いがめちゃめちゃシブい)
国芳『三代目尾上菊五郎の名古屋山三、六代目岩井半四郎、
   五代目市川海老蔵の不和伴左衛門』
   (和歌用に作られた料紙のような背景が美しい)
国貞『「市川三升」七代目市川團十郎』
  『「岩井杜若」五代目岩井半四郎』
  『「板東秀佳」三代目坂東三津五郎』
  『「瀬川路考」五代目瀬川菊之丞』
  『「関歌山」二代目関三十郎』
  (黒い、しかし全て柄違いの着物に身を包んだ役者たちが粋)
国貞『白旗世界樹仝鏡』(役者の顔がいっぱい。でもちゃんと描き分けてる)
国芳『八代目市川團十郎死絵』
  (死絵だけども美しい。特に版画とは思えないくらい細字で書かれた和歌に驚嘆)
国貞『御誂三段ぼかし』(背景のデザインと三色のぼかしが新しい)
国貞『あつまのわか手五人男』(着物の柄が粋)
国芳『狸のあみ打ち』『狸のおふらい』(タヌキの八畳敷きの世界…^^;)
国貞『縞揃女辨慶』(さまざまなチェック柄の着物を着た女性たち。
   同じチェックなのに個性が満載)
国貞(歌川広重合作)『田子のうら風景』(富士山がまさに広重)
国貞『吾妻橋夕涼景』(橋の上の人々のシルエットがいい)
国貞『松葉屋内 粧い わかな とめき』
  『中万字や内 八ツ橋 わかば やよひ』
  『扇屋内 花扇 よしの たつた』
  『姿海老屋内 七人 つるじ かめじ』
  『弥玉内 顔町 まつの こなつ』
  (ベロ藍の濃淡で描かれた遊女たち。唇だけ紅く塗られていて洒落ている)

って、作品のタイトルを打っているだけで、かなり疲れるが
展示数も170点と多く、どれも細かいので
ある程度流して観たつもりではあったが、観終わった後はグッタリだった。

とにかくアタシは江戸時代の役者絵や美人画に関しては
その着物の柄のデザインを観るのが大好きで、
こんなに混んでいなければ、単眼鏡を取りだして
着物の柄をじっっっくりと観察したいところだった。
当時の流行というかモードというか、
江戸の庶民の粋な暮らしぶりが感じられるのがイイ。

そしてその細密な着物の柄を、版画で表現できてしまう当時の技術も素晴らしい。
木版で、いったいどうやってこんなに細かい線が描けるのだろうと感動してしまう。


今までアタシは国芳派だったのだけど
こうしてまとまって作品を観てみると国貞もすっごくイイ。
今、太田記念美術館でも『歌川国芳〜和のくらし、和のきこなし』という
展覧会が開催されているのだけど、こっちの展覧会も行きたくなってしまった…
…と思ったら24日までだった。もうダメじゃん_| ̄|◯。


そういえば、この展覧会のイメージソングをB’zの松本氏が作曲しており
その楽曲を音声ガイドで聴くことが出来る。
展覧会のちょうど中ほどで「ここらでちょっとひと休み」という感じで
「曲をお聴きになりたい方は音声ガイドの80番を押して下さい」と
音声ガイドのナビゲーター・中村七之助が案内する。
「どれどれ?」と80番を押してみると、
いきなり始まるハードロック!!!(☆▽☆)。

おおおおおーーー!歪んだギターの音がシビレるーーー!(≧▽≦)。
しかもそのロックな楽曲を聴きながら、作品を鑑賞していても違和感がない。
(意見には個人差があります)。
ハードロックと江戸の錦絵がこれほどまでにマッチするとは!。
ビックリしたなぁもぉ!。

だがしかし、自分が結構な音量で聴いていることにフと気付く。
慌てて音量を下げたけど、静かな展示室内で
かなり音漏れしてたんじゃないか?(^o^;(^o^;(^o^;。
「シャカシャカシャカシャカうるさいんですよ!」と
永六輔知らないおじさんに怒られなくてヨカッタ…。


グッズも充実。
既に品切れの商品も続出。

そんな中でアタシが買ってきたのは…

『国芳もやう正札附現金男』と『当世三十弐相 よくうれ相』のポストカード。
それと、特製ツバメノート。
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最近、ツバメノートはいろんな展覧会とコラボしているような気がする。
買わなかったけど去年の『スターウォーズ展』にも出ていたっけ。
中は普通のノートなんだけれども、表紙はよーく見ると国芳・国貞。
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ツバメノートの、このレトロ感のある表紙っていいよね〜。
話は逸れるけど、アタシは薬局でもらう「お薬手帳」のデザインがどうにもイヤで
自分でA6サイズのツバメノートを買ってきて、それをお薬手帳として使っている。

そうそう、ポストカードもなかなか凝っていて
裏面にもうっすらと国芳・国貞それぞれの作品が印刷されている。
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よっ、粋だねぇ〜。

あとは、使うかどうかわからない(笑)『荷宝蔵壁のむだ書』の湯呑み。
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本当はマスキングテープも欲しかったんだけど
5種類もあったのに、全て売り切れ( ̄口 ̄;)。びっくりぽんや!。
展覧会は6月までだから、きっと再販するよね〜。
(まぁわざわざ買いには行かないと思うけど)。
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コメント 4

おーちゃん

日本画の人気はもう何年も続いてますね。今回もお世話になります、ボストン美術館(笑)

美術業界?も、次々と新しいスター候補生を売り出してますね。国芳人気はすっかり定着した感があるし、今まではツウしか知らなかったような画家やその作品をいろいろ見られるようになったのは、嬉しいですね。
私はここ何年かでいろいろ目にするようになったシロウトですけど(^^;)、見れば見るほど日本画っていいな~と思います。

今週末から若冲展が始まりますが、当然梅屋さんは行かれますよね。
あちこちのテレビ番組で特集され始めてるので、「やめて~混むから~!」と叫んでます。会期が1ヶ月しかないんだもん・・・(><)
by おーちゃん (2016-04-24 17:27) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
アタシもここ数年のブームに乗っかって
日本画好きになったミーハーな輩の一人です(^^;ゞ。
20代30代の頃はどこがどういいのかサッパリ理解できませんでしたが
良さがわかるようになったのは、やはり年齢のせいもあるのかも知れません。

若冲展、明日行ってきます!。
が、公式ツイッターでの混雑状況を見て、既にウンザリしています(-_-;。
(まぁ一昨年の鳥獣人物戯画とは比べものにはなりませんが…)。

明後日は出光美術館に「伴大納言絵巻」を行こうかな〜と思ってます。

その他、根津の「燕子花図屏風」、畠山記念館の「光琳とその後継者達」、
サントリー美術館と太田記念美術館の「広重」、
そごう美術館の「あそぶ浮世絵ねこづくし」など
観に行きたい展覧会がわんさとあって、困っています(^o^;。

by 梅屋千年堂 (2016-04-27 00:19) 

おーちゃん

NHKホール初日の前に、国芳・国貞展に行ってきました。混んでました~。
なんか、いつも行くような美術展とは客層が違う・・・若いカップルの比率が高い。渋谷だから?というより、この国芳・国貞展は、アプローチの仕方がポップすぎます、漢字のフリガナが無茶すぎます(笑)
「髑髏」が「スカル」、いいですね~。上野の美術館じゃ、きっとできない(^^;)

ヒーローものなどもよかったんですけど、私は国貞の役者絵が面白かったです。ちゃんと役者の顔が描き分けられていて、初代河原崎権十郎がかっこいいな~と思ったら、他の絵でも「権十郎さんだ!」とわかるようになってる。きっとホントに男前だったんだろうな~と(*^^*)

それにしても濃いものがあまりに多くて、しかも全体の数もすごいし、見終わった頃にはぐったりしてしまいました・・・。
特に国芳は、3年くらい見なくても大丈夫かも(笑)

NHKホールは2日目も行きます!梅屋さんも行かれるんですよね。楽しみですね!
by おーちゃん (2016-05-29 00:47) 

梅屋千年堂

>おーちゃんさん
>>漢字のフリガナが無茶すぎます(笑)
アタシもそれ思いました。
各章ごとの説明文も、やたらと横文字使ってて
若干「狙いすぎ」の感は否めませんでした。
でもこういった展示方法で若い層を日本画の世界に取り込むのは
なかなかいい作戦かも知れませんね(展覧会が混むのはイヤだけど^o^;)。

サントリー美術館の「広重ビビッド」もそうなんですが
錦絵モノの展覧会は展示の点数が多いのと、
1点1点が細かく描かれているため、ついついじっくり見てしまい
観終わった頃にはホント、ぐったりですよね(^^;。

NHKホール、既にとっくに終わってしまいましたが
楽しかったですね〜。3階席後方でしたがいろいろ堪能できました。

by 梅屋千年堂 (2016-06-02 22:40) 

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