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ウフィツィ美術館展 [EXHIBITION]

木曜の夜に家にいるのが久しぶりな気がする…(・o・)。

と言っても、昨日の夜はまたまた出掛けていたので
もう5週連続で、休みの夜に遊び歩いてたことになるワケなんだけども(^^;。

昨日行ってきたのは、東京都美術館で開催中の
『ウフィツィ美術館展 プレミアム内覧会』である。
「プレミアム内覧会」とは、入場者数を300名に限定した夜間鑑賞会。
金額は¥5,000だが、音声ガイド、図録その他のグッズがセットになって
限られた人数でゆったり鑑賞出来る、というもの。

入館は18時からスタート。
こんな時間に上野公園を歩いたことなんてないけれど、
結構暗いんじゃないだろうか?と、ちょっとドキドキしながら
公園内に入っていったところ、やっぱり暗い(>_<)。
それでもまだ歩いてる人がいるからいいけど、こりゃ帰りはちょっと怖いかも?。

美術館が近づいてくると、ちょっと明るくなったので一安心。
美術館のゲートのところで、係の人がチケットをチェック。
その後、館内に入ってここで正式にチケットチェック。

300人限定とはいえ、一時に300人が入場口に集まっちゃったら
結構混雑するんじゃない?と心配したけれど、入場は意外にスムーズ。
音声ガイドを受け取って、いざ中へ。


今回の展覧会の正式名は
『ウフィツィ美術館展
  黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンズィーノまで』。

えっ?そうなの?と思ったのだけど
この展覧会は日本で初めての本格的なウフィツィ美術館展なのだそう。
15〜16世紀にかけてのフィレンツェ美術の流れを観ていく展覧会で
ウフィツィ美術館の他、アカデミア美術館、パラティーナ美術館、
捨て子養育院美術館などからも作品が集められている。

目玉はなんと言ってもボッティチェリ。
日本にいながらにしてボッティチェリの作品が鑑賞出来るのは嬉しい。

展覧会は4つのカテゴリーに分かれている。
第1章 大工房時代のフィレンツェ
第2章 激動のフィレンツェ、美術の黄金期の到来
第3章 「マニエラ・モデルナ(新時代様式)」の誕生
第4章 フィレンツェ美術とメディチ家

冒頭でいきなり「おぉっ!」と圧倒されるのが
ドメニコ・ギルランダイオ『聖ヤコブス、聖ステファノス、聖ペテロ』。
3人の聖人が並んだ、大きな祭壇画。
とても500年以上前の作品とは思えない色鮮やかさ。
この作品に限らず、多くの作品がガラスケースに入れられることなく
《直》に空気に触れた状態で展示されてるのが凄い(@o@)。
ペルジーノの『悲しみの聖母』という作品は
ガラスケースの中に展示されていたが、これも物凄く状態が良くて
1500年頃に描かれた作品だとは信じられないほどだった。

フィレンツェの画家の中でも、フィリッポ・リッピという人が
アタシは結構好きなんだけれども、その画家の作品もやってきている。
『受胎告知のマリア、大修道院長聖アントニウス』
『大天使ガブリエル、洗礼者ヨハネ』
という細長くて小さくて地味な作品なんだけど(^^;
目の前にあるのがフィリッポ・リッピの作品がというだけで、
なんだかちょっとワクワクしてしまう。

しばらくすると、いよいよボッティチェリの作品が登場。
まずは初期の作品である『聖母子と天使』。
当初はフィリッポ・リッピ(あるいはリッピ派)の作品されていたが
後世になって、ボッティチェリの作品として位置づけられるようになったそうだ。
フィリッポ・リッピに、これとよく似た構図の作品があるので
アタシも一瞬「あれ?リッピ?」と思ってしまった。

『聖母子(海の聖母)』も、
一応「ボッティチェリに帰属」といことになってる素敵な作品。
あどけなさの残る聖母の表情になんだか引き込まれてしまう。

『聖母子と天使』も『聖母子(海の聖母)』も
いかにもボッティチェリという感じではないけれども、
今は一応ボッティチェリの作品、ということになっている。

それに対して『聖母子、洗礼者ヨハネ、大天使ミカエルとガブリエル』は
パッと見、いかにもボッティチェリなんだけれども
こちらは「ボッティチェリの工房、ないしその周辺」で描かれたとされている。
う、うーん…難しいなぁ(^^;。

第2章に登場する3作品の中でも、今回の展覧会の一番の目玉は
ポスターやチラシにもなっている『パラスとケンタウロス』。
お馴染みの『ヴィーナスの誕生』や『春(プリマヴェーラ)』のような
華やかさはないけれど、これはいかにもボッティチェリ。

パラスとは知恵と学問の女神ミネルヴァの異名。
このミネルヴァが、人間の本能を表すケンタウロスの髪を引っ掴んでいることから
「色欲に対する貞節の勝利」を表現しているのだという。
なんだかこの絵を観ていると…
ミネルヴァ「オラオラ、もう悪いことすんじゃないよ」
ケンタウロス「ごめんなさいごめんなさいっっっ」
こんな声が聞こえてきそうな気がするのはアタシだけだろうか(笑)。
 

第3章では、アンドレア・デル・サルト、ポントルモ、
ロッソ・フィオレンティーノらのマニエリスムの画家の作品が集結。
ロッソ・フィオレンティーノと言えば!『奏楽天使』。
が、この『奏楽天使』が来ているワケはなく(^^;
彼が手掛けた肖像画が2枚、展示されている。
そのうちの1枚『男性の肖像』は、どこか謎めいた感じに妙に惹きつけられた。



プレミアム内覧会の制限時間は20時まで。
2時間あればお釣りがくるでしょ、と思っていたけど
やっぱり適度な混み具合(空き具合)の中で、じっくり観ていると
あっと言う間に時間が経過してしまう。
第4章の展示室に入ったあたりで、フと時計を見たら
もう19時半を回っていた(◎_◎)。

限定300人って、どれくらいの混み具合になるんだろう?と思っていたけど
なんというか、殆どストレスを感じることなく、
それでいてガラガラの空き空きというワケでもない、
実に絶妙な人数設定だと感じた。いや〜、さすがだ。

¥5,000の料金の中に、観覧料¥1,600(前売りだと¥1,300)、
図録¥2,400、音声ガイド¥520、ポストカード1枚、グッズのキャンディ缶
それと「ゆっくり鑑賞出来ます料」が含まれているとしたら
これはかなりおトクなんではないかと思う。
夜の上野公園は暗くてちょっと怖いけど(^^;
これは!と思う展覧会で、同様の企画があったらまた利用しようかな、と思う。




最後に、今回のお土産。
下の2枚のポストカードとマグネットは自分で買ってきたもの。
上の図録とポストカード、キャンディ缶はプレミアム内覧会のセットもの。
uffizi.jpg
重いし置き場所もないから滅多に図録って買わないけど
やっぱり詳しい解説を読んでみるのってかなり勉強になるなぁ(今更何を…^^;)。
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かりりん

こんばんは。

プレミアム内覧会…確かにお得感満載の企画ですね。
こういうのは東京が多いですよねぇ。関西ではあまり聞いたことがありません(私が知らないだけカモ…)

ウフィツィ美術館展…関西に来るのかしら?調べなくては…

神戸では先日梅屋さんが行かれた「メトロポリタン美術館展」が来ています。
梅屋さんの記事を読んでいて思い出したのですが、私ってメトロポリタン美術館に行ってる…f^_^;)それも1998年のニューヨークライブの時に…

とても広大な美術館で、もちろん1日で回れるはずもなく、あまりどんなものがあったのかも記憶の彼方なのですが、今回日本に来ているエジプトの発掘品はたくさんあったと記憶しています。

覚えているのは文字や模様が彫られた大きな石が吹き抜けのような高い天井の展示室にゴロゴロ置かれていて、そしてその周りにはロープも何も張られてなくて、近づき放題だったことです。
何も注意書きもないのでそっと手で触れてみたら、その場に立ってた警備員さんと目が合っちゃいました(笑)
怒られるかな?と思ったら、大きく頷いてニッコリ微笑んで大丈夫、のジェスチャーをしてくれてビックリ!
美術館で展示品に触れていいなんて、日本では考えられな〜い!!それも数千年前のエジプトの石碑だよ…と一緒にいた友人共々ホントに驚きました。

今ではどんな石碑だったか思い出せないですが、あの頃の気持ちに戻って、今回のメイン展示、ハトシェプスト女王に会いに行って来ようと思います。

その前に明日はALFEEに会いに行かなくっちゃ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


by かりりん (2014-10-31 19:41) 

梅屋千年堂

>かりりんさん
最初、5千円か〜高いなぁ〜と思ったのですけど
内訳を考えるとかなりおトクな内覧会なのでした。
11月5日に第2回があるからまた行っちゃおうか…
いやいや美術検定の勉強しないと。
しかも、普通にもう1度行こうと思って、もう1枚前売り買ってあるんでした(^o^;。

海外の美術館はスケールが違いますよね〜。
アタシはベルリンでペルガモン博物館や、絵画館に行きましたが
もぉ〜…くたびれました_| ̄|◯。
そしてペルガモン博物館では、展示物に(それとは知らずに^^;)よりかかって
警備員のおじさんに注意されたアタシです。

ウフィツィ美術館展は、残念ながら東京のみのようですね。
しかも12/14までなので、武道館の頃には終わっている…。
こうなったらかりりんさん、大宮かカナケンに来るしかないです!(笑)。

アタシも怒濤のライブ月間が一段落したところで
・輝ける金と銀 -琳派から加山又造まで- (〜11/16 山種美術館)
・ジョルジュ・デ・キリコ展(〜12/26 パナソニック汐留ミュージアム)
・北大路魯山人展(〜12/21 世田谷美術館)
・チューリヒ美術館展(〜12/15 国立新美術館)
・フェルディナンド・ホドラー展(〜1/12 国立西洋美術館)
・日本国宝展(〜12/7 東京国立博物館平成館)
このあたりも観に行きたいのですがー…うぅ、キビシイです。

by 梅屋千年堂 (2014-10-31 22:40) 

だりるれろ

こんばんは。
今日のロックばんで、ウフィツィ美術館の事を語られています。
起きていたら、お聴きのがしの無いように~。

by だりるれろ (2014-11-03 00:11) 

梅屋千年堂

>だりるれろさん
お久しぶりです(^_^)。
今、まさに聴いてますロックばん。
TBS主催ということもあって、めっちゃ宣伝してますね(笑)。
でも、確かに素晴らしい展覧会です。
アタシ、前売りもう1枚買っちゃってるんでリピします。

by 梅屋千年堂 (2014-11-03 00:57) 

みかちん

こんにちは。
私は ずいぶん昔?イタリアに行った時に ウフィツィ美術館で 『受胎告知』等 宗教絵画を鑑賞し亊。そして 色々と説明を受けたことで聖書の内容を知っていると もっと理解出来たなぁ~って思いましたが・・・未だ何もせずが・・・f^_^;
で ここで かの有名な『春』と 『ビィーナス誕生』観たのですが・・・解説なんか 要らない 何か躍動感といったら 良いのか 凄く感じるものがって 教科書で見た 写真とは大違いじゃないかと・・・本物は違うなぁ~と感じた自分を梅屋さんレポを読んで思い出しました。

by みかちん (2014-11-09 16:33) 

梅屋千年堂

>みかちんさん
フィレンツェにおいでになったことがあるのですね!。羨ましいです。
アタシも10年以上前に、計画したことがあったのですが
とある事情により、出発1週間前に泣く泣くキャンセル。
生きてるうちに絶対行くぞ!と思ってますが、いつになることやら(^^;。

いくらハイテク技術が進んでテレビなどで
超高解像度のリアルな映像が観られるようになっても、
やっぱり本物の持つパワーにはかないませんね。
もしも本物の『春(プリマヴェーラ)』なんて観たら
アタシ、思わず泣いちゃいそうな気がします(笑)。
(ロッソ・フィオレンティーノの『奏楽天使』でも泣いちゃうかも)。

by 梅屋千年堂 (2014-11-10 21:05) 

みかちん

変な時間に目覚めて お邪魔してます。

コメ ありがとうございます。

『ビィーナス誕生』より『春』の方・・・色々と感じて 本物凄さを知りました。
あと まだ修繕始まって無かったから・・・多分 観れた 『最後の晩餐会』も凄い・・・その場所に入る前にも他の方描いた壁画があって ダ・ヴィンチを真似て 遠近感を表現しようと・・・したらしいのですが思わず笑ってしまった。
是非 イタリアへ行っく事が実現できますように(^人^)
私も そうとな キリギスですよ(゜▽゜)

海外旅行(ヨーロッパ好きです。)先で 美術館に行く事が多く・・・あまり知識が無い事が残念ですが・・・『モナリザ』・・・日本で観たのを含めると 4回も ご対面してる(*_*)
私は モネの『睡蓮』が観たいですが 一度チャンスがあったけど・・・友達のリクエストに応えてルーブル美術館へ行ったばっかりに その後訪れるも改修工事中・・・(T_T)私はパリでこれを観ることが夢です。
by みかちん (2014-11-11 04:52) 

みかちん

あっ 間違えた 『最後の晩餐会』じゃないですよね 『最後の晩餐』(ノ><)ノ m(__)m
by みかちん (2014-11-11 05:06) 

梅屋千年堂

>みかちんさん
宗教や神話・歴史的事件を題材にした作品などは
そのバックグラウンドを知っておくと、感動が増すかも知れませんね。
でもそんなのは抜きにして、直感的に何かを感じるってのもアリだと思います。
現代アートなどはそんな観方の方がむしろ楽しいかな、と思います。

ヨーロッパ、いいですね。
行ってみたいところがたくさんあります。
テレビで旅番組やアート番組を観ては「いぃーなぁー」と
指をくわえている毎日です(^^;ゞ。

ハマのキリギリスは、明日もまた美術館をハシゴしに出掛けます。
そして明後日も、ちょっと無謀な行動に出る予定です(^o^;。

by 梅屋千年堂 (2014-11-11 23:53) 

dezire

こんにちは。
私もウフィツィ美術館をみてきましたので、ご丁寧なご説明、ご感想を興味深く読ませていただきました。
一部の作品を除くと普段はお蔵入りして後悔していない作品がほとんどだそうですが、それだけでもこれだけの充実した美術展になるウフィツィ美術館の所蔵品のレベルの高さは驚くばかりです。数々の珍しい作品に眼を奪われました。
イタリアのルネサンス絵画はなかなか見る機会がないので、多くの作品が見れて良かったです。特にボッティチェリはめったに見る機会のない初期の作品からから晩年までの作品を見ることができたのが大きな収穫でした。

私もこの美術展でボッティチェリの初期から晩年までの作品を見て、画風の変遷と彼の作品の魅力を整理してみました。ご興味がありましたら読んでいただけると嬉しいです。ブログにご感想などコメントをいただけると感謝致します。

by dezire (2014-12-05 20:58) 

梅屋千年堂

>dezireさん
初めまして、ようこそいらっしゃいました。
アタシのレビューなんて、dezireさんのものに比べたら
もうお恥ずかしいやら情けないやら(^^;ゞ。
直感的に感じたことをつらつら書いているだけなので。
dezireさんのブログは大変勉強になります。

日本にいながらにしてボッティチェリの作品が観られるというのは
本当に悦ばしいことですね。先日2回目も観に行ってしまいました。

来年もまたいろいろと素敵な展覧会があるようですね。
予定を立てながらワクワクしています。

by 梅屋千年堂 (2014-12-05 21:30) 

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