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だまし絵II 進化するだまし絵 [EXHIBITION]

Bunkamura ザ・ミュージアムでの『だまし絵展』第2弾。

この展覧会も、当初は「まぁ行けなければ行かなくてもいっか」くらいに
考えていたのだけど、先日『ぶらぶら美術・博物館』で特集されているのを観て
やっぱり行きたくなってしまった(^^;ゞ。

第1弾は、今から5年前の2009年。
つい最近だったような気がしていたけど、あれからもう5年も経っていたのか。

damashie_1.jpg
Bunkamura ザ・ミュージアムもちょっと久しぶり。
本当は4〜5月にやっていた
「ミラノ ポルティ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」にも
行くつもりだったのだけど、なんだかんだで行きそびれた。


チケットを買って中に入ったら、音声ガイドを借りる。
この音声ガイドがね〜…今まではどんな展覧会でも殆ど¥500でラクだったのだけど
消費税が8%になってからというもの、
¥520だったり¥550だったりと結構面倒臭い(-_-;。
ワンコインの方が便利なんだけどなぁ。
お釣りを用意する方も結構面倒なんではないかと思う。
いっそのこと¥600にしちゃえば?と思うけど、
それだとやっぱり便乗値上げとか言われちゃうのかな(^^;。

展覧会は5つのカテゴリーに分かれていて、
最初の《プロローグ》では16〜18世紀の古典的な作品が展示されている。
展覧会のポスターにもなっているジュセッペ・アルチンボルドの『司書』、
作品を真横から観ると、描かれているものが見えてくる
『アダムとエヴァ』(作者不詳:イタリアの画家)、
そのままだと何がなんだかわからない丸い抽象画のように見えるけど
絵の中心に筒状の鏡を置くと肖像画が現れる
ゲルト・ディットマース『円筒アナモルフォーズ デンマーク王フレデリク3世と
王妃ゾフィー・アマリエの肖像』などなど。


2つめのカテゴリーでは20〜21世紀という新しい時代の『トロンプルイユ』。
まるで本物かと見紛うようなリアリティで描かれた作品の数々。
キャビネットに貼られたチラシとテープが、実は描かれたものだったり、
本物そっくりの浴室の写真が、実は段ボールで作られたものだったり。
思わず「えぇーっ?」と思ってしまうのが
カズ・オオシロの『フェンダー・デラックス・リヴァーブ・アンプ2』。
どこから観てもフェンダーのアンプなんだけど
実は立体的に貼り合わせたキャンバスに、
本物の質感そっくりに描かれているだけで、作品の裏側に回ると
確かにそれがキャンバスであることがわかるのだけど
そのように種明かしされても、やっぱり本物のアンプの筐体にしか見えない。

あとこのカテゴリーで面白かったのは
ジオラマを撮影しているのに本物のホッキョクグマを撮影したとしか思えない、
杉本博司の『Polar bear』。
それと、一見パロディのように見えるけど、
実は「著作権」を皮肉った福田美蘭の『Copyright 原画』。
果たしてこれもだまし絵と呼ぶのか?と思ったけれど
著作権にうるさい(笑)ディズニーのキャラクターを、
それだと判別がつくかつかないかというギリギリのラインで描いてあって
思わず「プッ( ̄m ̄)」と笑ってしまう。

一番ウケたのは、田中偉一郎の『ストリート・デストロイヤー』シリーズ。
元々割れている地面や、ブロック塀、凹んでいる車体に
パンチを加えているようなポーズを取った写真を撮影して、
あたかもその人が地面を割ったり
車を凹ませたりしているように見えるという作品で
そこそこの演技力があれば、誰にでも作れそうなウソ写真(笑)。
そのアイデアがたまらなくオカシイ(^m^)。
ホントに、ちょっと自分もやってみたくなる。



3つめのカテゴリーは『シャドウ、シルエット&ミラー・イメージ』。
鏡や影を利用しただまし絵や、立体作品の数々。
先述の福田美蘭の父である、福田繁雄の『アンダーグランド・ピアノ』が凄い。
ぐちゃぐちゃに置かれた黒い物体の集まりにしか見えない
(でも鍵盤らしきものがあることから楽器であることはわかる)んだけど
ある一定の角度から、その物体が鏡に映った姿を観ると
立派なグランド・ピアノに見えるという立体作品。

そしてそれと似た手法を取っている
マルクス・レーツ『姿見 II』、ラリー・ケイガン『蚊 II』および『トカゲ』。
このテの作品は、作っている時も楽しいだろうなぁと思う(大変だろうけど)。

高松次郎の『赤ん坊の影 No.122』は
一見白いスクリーンに赤ちゃんの影が映っているだけのように見えるけど
実は白地のキャンバスにグレーの絵の具でシルエットが描かれているだけ。
どこか自分の背後に、シルエットを投影する仕掛けが存在してるんじゃ?と
思わず後ろを振り返ってしまうくらい、リアルな「影」が描かれている。

そして、この展覧会の人気作品のひとつである
ダニエル・ローズィンの『木の鏡』。
7cm角の木片を28枚×28枚(計784枚)並べたものの前に立つと、アラ不思議!。
「木」の集合体であるにもかかわらず、
そこにモザイク状の自分の姿が映し出される。
作品の中にカメラが仕組んであって、そのカメラが読み取ったデータを元に
木片が微妙に角度を変えて影を作ることによって、
そこにカメラが捉えたものが映し出されているように見える、という
実はものすごくハイテクな仕組みの鏡なのだ。…家にあったら楽しそう。


家に飾りたい!と言えば、
4つめのカテゴリー『オプ・イリュージョン』で展示されていた
ヤーコブ・アガムの一連の作品。
レンチキュラーレンズを用いた作品で、観る角度によって
作品の見え方が4通りにも5通りにも変化して見える。
色合いもカラフルで、観ているだけでワクワクしてくる。
こんな作品だったら、ずーっと部屋に飾っていても飽きないかも。

そして、ジーッと観ているとなんだかクラクラしてくるのがこの2作品。
パトリック・ヒューズ『広重とヒューズ』
アニッシュ・カプーア『白い闇 IX』。

パトリック・ヒューズは'09年の『だまし絵展』にも登場した、
リバースペクティブを用いた不思議作品。
そのトリックを理解していても、やっぱり騙されてしまう(^^;。
(どんな作品なのかは、ヒューズ氏のサイトでどうぞ)。
これも自分の部屋に欲しいねぇ〜(と、5年前も言っていたアタシ笑)。

アニッシュ・カプーアの『白い闇 IX』は、
観ているとその中に吸い込まれそうになる、気持ちがいいような悪いような作品。
なんかこう…青空をずっと観ていると、どこを観ているのかわからなくなって
目の奥や頭の中がジーーーーンとしてくるような、あの感覚が味わえる。


最後のカテゴリーは《アナモルフォーズ/メタモルフォーズ》。
ここではエッシャー、マグリット、ダリなど、お馴染みの巨匠が登場。
やっぱりアタシはダリとかマグリットと言った
シュールレアリスムが好きだなぁと再確認。

メレット・オッペンハイムの『栗鼠』という作品もここで展示されている。
ガラス瓶とリスの尻尾のような毛の塊を並べただけのこの作品…
「なんかこの作品、どこかで観たことがあるなぁ…」と、デジャ・ヴ感。
タイトルパネルを見直してみたら「横浜美術館蔵」と書いてあった。
…納得。おそらく3年前のヨコハマ・トリエンナーレで観たのだろう。

そして最後の最後に「えっ?!これもだまし絵なの?」と訝りながらも
懐かしさのあまり立ち止まって見入ってしまうのが
スティーブ・バロン『a-ha「テイク・オン・ミー」ミュージックビデオ』。
うわ〜、a-haだよ〜。
当時は「面白いビデオだな〜」くらいの感覚で何気なく観ていたけれど
まだCGなんてなかった時代のものだと考えると
かなり画期的で凝った映像作品だったんだなーと、今更ながら感心した(^^;ゞ。



今回の自分土産のポストカードは、
思わず笑ってしまう福田美蘭と田中偉一郎。
damashie_2.jpg
自室に飾りたいヤーコブ・アガムの作品のポストカードもあったけど
レンチキュラーじゃなくちゃ意味ないじゃん、ということでこちらは買わず。




と、いうわけで《アート鑑賞月間》はこれにて一段落。
来月は《怒濤のライブ月間》なのダ!。
我ながらコワイ…コワ過ぎる(^o^;(^o^;(^o^;
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あ~こ


たくさんの美術展のご紹介、興味深く読ませていただきました。
まったく知識のない私ですが、梅屋さんのわかりやすい解説に、ふむふむ…実際に見てみたいなぁ…と美術に対する意識が少しですが高まった気がします。

いよいよ、10月ですね。
季節の変わり目なので、体調にお気をつけて《怒濤のライブ月間》を楽しんでくださいね(≧∇≦)b
楽しいライブレポートも、お待ちしています<(_ _)>



by あ~こ (2014-09-25 08:01) 

梅屋千年堂

>あ〜こさん
あーだった、こーだった、好きだ、好きじゃない、イイ!…
そんなことしか書いていませんが
そんな拙い感想文を読んでいただき、ありがとうございます。
美術検定も迫ってますので、そのトレーニングにもなれば…と
ブログにもアート鑑賞感想文を上げてるわけなんですが、
「こんなんじゃ今年も不合格だろうなぁ…(^^;」という気がしています。

来週からいよいよ怒濤のライブ月間です。
アルフィー4本、小田さん1本、それに加えてライブではないけど
ウフィッツィ美術館展プレミアム内覧会と、
休日におそろしく予定が詰まっております。
インフルエンザの予防接種も受けておかなければ!。

この時期、すぐそこいらに転がってうたた寝して、挙げ句風邪をひく…
というパターンに陥りやすいので気を付けたいと思います。

あ〜こさんもご自愛くださいね。

by 梅屋千年堂 (2014-09-25 14:59) 

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