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ホキ美術館 [EXHIBITION]

一度行ってみたかった美術館シリーズ第二弾。
ホキ美術館、それはおそるべき写実の世界…。

写実絵画専門の美術館として2010年にオープンしたホキ美術館。
何かの折にテレビでその存在を知った時、
あー、いつか行ってみたいなと場所を調べてみたところ
外房線の土気駅からバスで5分と書いてあった。
土気がどこにあるのかもよくわからず、外房線と聞いただけで
「こりゃ遠いな(^^;」と思って、その時は断念。

そして毎年恒例2月の3連休。
職場の都合で毎年この時期3連休が取れることになっていて
ここ数年、ちょっとした旅に出ていたのだけど
今年は何かとお金がかかりそうなので(^^;、泊まりがけはやめて
その代わり、今まで行こう行こうと思いつつ
なかなか行かれなかった美術館に日帰りで行こう!と決めた。

箱根ガラスの森美術館もいいな、と思ったんだけど
あれだけの大雪の後だしめちゃめちゃ寒そうな気もしたので
ホキ美術館へ行くことに。

改めて行き方を検索してみると、
外房線とはいえライブで行き慣れた千葉駅のちょっと先。
しかも、本数は少ないが横浜から土気まで
乗り換えなしで行ける外房線直通の横須賀線・総武線快速があるではないか。
とは言っても乗車時間は横浜から約1時間40分。
ここは普通車グリーン券を購入しプチ贅沢。
朝8時20分くらいに自宅を出て、10時49分に土気駅に到着した。

土気駅からはバスで5分ということなのだけど
美術館方面行きのバスが来るまでに20分くらいある…。
実は徒歩でも20分くらいで行かれるということなので
ぼちぼちと歩いて行ってみることにした。

駅から美術館までは、見事なまでにずーーっと閑静な住宅街。
iPhoneに付属の地図アプリで予め徒歩ルートを検索して
それに従って歩いたから無事に辿り着けたけど
もしこれがなかったら迷子になっていたかも(^^;。


到着〜!。
01_entrance.jpg
ホキ美術館の背後には《昭和の森》という大きな公園が広がっているのだけど
ここに来るまではホントに住宅街だった。


館内入り口へ向かうアプローチ。
02_museum.jpg
なんか近代的でカッチョエェ〜。


取り敢えず入口を通り過ぎて、建物の反対側へ。
ここがこの美術館の、建築としての特徴的な部分。
03_museum.jpg

突き出してる部分の下には柱などはなく、ただ突き出しているだけ。
04_museum.jpg

再び館内入り口へ向かって、スロープを上がって行く。
05_museum.jpg

ここが入口。
06_entrance.jpg
ちなみに入館料は一般¥1,800(…た、高い^^;)。
WEBサイト上のどこかに割引券か何かないかなーと探したけど、ナカッタ。

入口入って左手がミュージアムショップ、右手がレストラン。
あと10分程でレストランがオープンするので、それを待ってまずは腹拵え。
「はなう」というイタリアンレストランなのだけど、
これについての詳しいことはまた別記事で。


昼食を終えて、荷物をロッカーに預けたらいよいよ絵画鑑賞。
足元のガラス窓から光が差し込むGallely1では
《ホキ美術館大賞》の入選作が50点。
もちろん全てが写実絵画。どれもこれもすっごいなぁ〜と思わずタメイキ。
まるで写真そのものというものもあれば、絵画らしさの残るもの、
絵はすっごく巧いのに、作品の中に登場する文字(風景の中の看板文字)などが
今ひとつで、逆にそこが「味」になっているもの、
ものの質感を描くのは物凄く巧いのに微妙にデッサンが破綻しているものなど、
同じ写実作品でも、作家の個性が出ているのが面白い。

絵画だと分かっていても、これ写真でしょ?!と
作品に近寄ったり、単眼鏡で拡大してよく観てみると
「あ、やっぱり絵だわ…(^^;」と。

賞を取った作品の、どこが素晴らしいのかは
アタシにはよくわからんけども、それ以外の作品も相当にスゴかった。

Gallely2〜4および6〜8は、日本を代表する写実画家の作品を展示。
(Gallely5は何故かここだけ陶芸作品)。
風景画、人物画、静物画といろんなジャンルがひしめくけれど
どれもこれも、もう!まさに超絶技巧。
気が遠くなるほど細部まで描き込まれていて
いったいこの人達の眼と手と頭の中はどーなってんだ?という感じ。


だけども、写真というものが存在する現代における
写実絵画の意義ってなんなんだろう?。
ホンモノそっくりに描くだけだったら、写真でいーじゃんと思う。
その方が速いし。

でも、この美術館でたくさんの写実作品を観ているうちに
写真では表現出来ないもの、絵画でなければ表現できないものが
確かにあると感じた。

だから、個人的なことを言うと
筆致(筆の跡)がこれっぽっちもなく、
あたかも写真のように描かれた作品を観て
「あーうまいねー」とは思うけど、感動には達しない。
一見写真のようではあるけれど、
これはやはり正真正銘の絵画であると感じさせるものの方がいい。
よぉーーーく観ると筆の跡が残っていたり、
拡大して観るとものとものの間の輪郭がハッキリしてなくて、
実は小さな面の集まりでしかなかったり、
さっきの「文字がうまくない」とか「デッサンが微妙に破綻してる」みたいに、
どこかに絵画らしさが残っていた方が良い。
写真みたいな絵だったら、それこそ「写真」で良いわけで。

ワタシはこんなにも「ものの質感」を描き分けられます!みたいに
テクニックを誇示するばかりのものも、なんだかいやらしくて面白くない。

要するに、絵でも彫刻でも音楽でも、
テクニックだけでは人の心は動かないんじゃないかと。
「あー、うまいねー、よくできてるねー」ってだけでオシマイ。
それを越える何かを感じさせてくれる作品がイイナ、と感じる。
アートの世界のみならず、実生活の中でも、
そういうことって結構あるんじゃないかなと思う。

そんな中で、アタシは五味文彦氏という作家の作品にかなり引き込まれた。

入館料¥1,800は高いけど、見応えたっぷりだし
じっくり観ていたらあっと言う間に3時間くらい経ってしまって
最後にさっきのレストランとは別のカフェで軽くお茶して
今日のところは退散。う〜ん、満足満足大満足(*^^*)。


映画や展覧会を観終わって外に出ると、
それまで何気なく見ていた景色がそれまでと違って見えてきたりする。
ものに当たっている光の色や影の色が妙に気になったり
この部分は実はこんな色とこんな色で構成されているなとか
人はどうやって透明なものを透明なものとして認識するんだろうか?とか。
今日はその感覚が特に強かったかも。

中学での美術部時代に、同じ静物を何日も何日もかけて描いたことや
(そのうちその静物=野菜が傷んできてしまったり^^;)
ずーっと同じ石膏像に向かって一生懸命デッサンしていたことを思い出して
また何か描いてみようかなぁなんて気持ちになった。
いや思っただけでやらないけどさ(^o^;。



…余談だが、来館者の中に
TAKAMIYベアチャームをぶらさてる人がいて思わず二度見(^^;。
えっ?まさか?ともう一度擦れ違いざまに横目でチラ見…
やっぱり間違いなくあの(微妙な)クマだった(笑)。



で、本日のお買い物。
17_souvenir.jpg
五味文彦氏の静物画、
島村信之氏の『幻想ロブスター』『ロブスター(戦闘形態)』
山本大貴氏の『静寂の声』
以上ポストカードを7枚購入。
『静寂の声』は、現代にフェルメールが生きていたら
こんなモチーフで作品を描いていたかもね〜ってのが楽しくてお気に入り。

ホキ美術館、楽しかったなー。
気軽に行かれるとこじゃないけど(^^;
作品が入れ替わったらまた行ってみたいな。
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かりりん

おはようございます。

この美術館も噂には聞いたことがありました。写真のような絵画専門の美術館があるって。

なかなか遠方なので訪れる機会も今のところないのですが、かなり斬新な近代建築ですね。そちらにも興味がわきました。

私は実物を見ていないので梅屋さんの感想を読んでの感想なんですが(笑)、これは匠の技、職人の世界に近いのかなぁ、と思いました。

似せるために、本物に近づけるために技術を高める。
芸術は梅屋さんのおっしゃるようにそこに個性が加わるものと思うので、個性をも排した美しさというのでしたら、それはもう職人の技そのものなのかな、と思いました。
いずれにしても本物を見てませんので確かなことは言えません(^_^;)いつか千葉まで足を延ばして行ってみたいものです。

そして昨日の真央ちゃんのフリー!!よかった~!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノここ数年の演技の中で一番よかったと思います。
本人も満足そうにしてた表情を見て、こちらもホッとして眠りにつきました。

メダルは取れなかったかもしれませんが、日本選手の、力を出し切った演技の後の最高の笑顔に金メダルを贈りたいですね。
by かりりん (2014-02-21 09:16) 

梅屋千年堂

>かりりんさん
個性を排した美しさ=職人の技。う〜ん、なるほど。深いですね。
だけども芸術家(artist)と職人(artisan)、
その線引きもまた難しいものがありますね。
建築家と建築士との違いとも似て非なるような…。
今では巨匠と呼ばれるような画家でも、
依頼主からの受注を請け負って製作をしていたという観点から
その時代での扱いは職人だったという話もよく聞きますし
考え出すと、眠れなくなっちゃいそうです(いえ、ウソです笑)。

ホキ美術館、見応え十分で楽しめますよ。
かりりんさんのお家からだと、ホントに遠いですけど(^^;
機会がありましたら是非とも一度足を運んでみていただきたいです。

真央ちゃん、神懸かってましたね。
もう終盤のステップシークエンスあたりからウルウルしちゃてました(^^;ゞ。
あのSPがあったからこそ、あのフリーの演技に繋がったのかも知れませんが
なんだかもう「人生って〜〜〜!!!(T^T)」という感じで
演技が終わった後は、一緒になって泣いてました。

個人的にはコストナー選手のことも応援していたので
メダルが取れて良かったなぁ〜と思いました。
キム・ヨナも、ロシアの17歳も15歳も、
他の人もみんなホントに素敵でした。

by 梅屋千年堂 (2014-02-21 21:58) 

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