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生誕100年 ジャクソン・ポロック展 [EXHIBITION]

東京国立近代美術館で開催中のジャクソン・ポロック展へ行ってきた。

恥ずかしながら美術検定の勉強を始めるまで、
アタシはこの画家のことを全く知らなかった。

試験問題に、レギュラーのように毎回出題される
ジャクソン・ポロックという名前とポーリングという技法。
勉強しているうちに、イヤでも頭に入ってくる(^^;。

そのジャクソン・ポロックの作品が、
彼の生誕100年を記念して、これまでにない規模で展示されるという。
『ぶらぶら美術博物館』や『日曜美術館』でも取り上げられ
その破天荒な人物像にも興味が湧いた。

サイトからプリントアウトしていった割引券を手に
竹橋の東京国立近代美術館へ。
01_jackson_pollock.jpg
ここへ来たのは約1年ぶり。
去年の震災の少し後、岡本太郎展を観に来て以来だ。
そういえば、あの岡本太郎展も、太郎の生誕100年を記念してのものだった。
てことは、ポロックと太郎は1歳違いということか。

それはさておき…

すべての抽象画家がそうであるように
ポロックも初期の初期には普通の、つまり分かりやすい絵を描いていた。
アルコール依存症と鬱病に苛まれながら、その作風は抽象化。
それはピカソ風だったり、ミロ風だったり、
アタシから見るとこれは岡本太郎風だなぁとか
パウル・クレー風だなぁと思うものもあり、
なんかこの人、ひたすらオリジナリティを求めて
悩んで迷って苦悩しまくりだったんじゃないじゃなかろうか。

ところが、ポーリングという技法に出会ってからは
「オレはこれだ!」と思ったのか
水を得た魚のように、作品が徐々にいきいきと輝いてくのが面白い。
絵はそのものは分かりにくいけど(^^;、
その絵から読み取れるポロックの精神状態は分かりやすい。

代表作である『インディアンレッドの地の壁画』や
『ナンバー7, 1950』、『ナンバー11, 1949』など
キャンバスに向かって、絵の具を投げつけただけのように
パッと見はぐちゃぐちゃ。

でもぐちゃぐちゃなのに不快ではない。
気持ち悪くも気色悪くも感じ悪くもない。
岡本太郎が
「きれいと美しいは違う。芸術はきれいであってはいけない」
と言っていたのは、もしかしたらこういうことなのかも知れない。
なんだかずっと眺めていたいような不思議な絵。
部屋に飾って飽きないのは、実はこういう絵なのかも知れない。

個人的にもっとも印象に残ったのは、1950年の『無題』という作品。
白地に黒1色で描かれた、日本の書道みたいな作品。
これは和室に飾っても違和感ないな、なんて思いながら
結構長い間眺めていた。


このあたりの作品で、すっかり完成された感のあったポロックだけど
その作風はまた変化する。
多分自分でも「突き詰めた感」を感じ始めていたのかも知れない。
ハタから見ると、「もうちょっと今の作風を続けてた方が売れるのに」
って感じだと思うのだけど、そうは行かないのがゲイジュツカ。

ブラック・ポーリングと呼ばれるものに変化するのだけど
(これがアタシには棟方志功風に見えて仕方がない^^;)
この新しい作風は殆ど認められず 、ポロックは再び酒浸りの日々に。
そうこうしているうちに、ある日突然交通事故で44年の短い生涯を終える。

な〜んか、この人の人生っていわゆる《いい時期》が短くて、
なんだか苦悩しっぱなしの人生だったんだなと思うけど
生きているうちに一度でも作品が認められて、
時代の寵児とまで言われるくらいになったのだから
それはそれで良かったのかも。



展覧会の出口のところには、
ポロックのアトリエを再現したコーナーがあり、ここは撮影OK。
02_atelier.jpg

ポロックが使っていた画材(のレプリカ)も。
04_atelier.jpg

05_atelier.jpg

床は、ポロックのアトリエの床を写真に撮って
それを現像して実際のアトリエの床と同じように貼り合わせたもの。
03_atelier.jpg
なんだか床そのものが、既に作品と化している。



ポロック展の混み具合も作品数も程良い感じで
そんなにくたびれなかったので、ついでに常設展も観ていくことにした。

ポロックとほぼ同時代の日本人画家が
どんな仕事をしていたのかという比較ができるのが面白い。

今まで教科書やテレビの美術番組でしか観たことがなかった
有名な作品が目白押しで、
「この美術館って、こんなにたくさんの《いわゆる名作》を
 所蔵してたんだ〜(@o@)」
と、目からウロコ。
靉光、萩原守衛、梅村龍三郎、安井曾太郎、藤島武、岸田劉生などなど
美術検定のレギュラーが勢揃い(笑)。
日本画にしても、横山大観、速水御舟、村上華岳などなど
『開運!なんでも鑑定団』でよく耳にする名前が目白押し。

国立西洋博物館や、トーハクのもそうだったけど
常設展ってイイなぁ(…何を今更^^;)。
特別展よりも空いてるし、
こんな休憩コーナーもあったりして
05_chairs.jpg
道行く人や車をぼんやり眺められたりもして
06_kitanomaru.jpg
ちょっとホッとしたい時には常設展鑑賞がイイかも。


07_chirashi.jpg
今回は、図録もグッズも買わなかったけど
家に帰ったら、父がいつの間にか買っていた
『芸術新潮』があったから、まぁいいや(^o^;。

芸術新潮 2012年 03月号 [雑誌]

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/02/25
  • メディア: 雑誌

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きゅう

この展覧会は昨年12月のTHE ALFEE名古屋ライブの時に同じ建物内の県美術館で開催されていましたね。
私は全くポロックを知らずポスターの横を素通りでした。年明けにふと思い出して「どんな絵かな?」と調べてみたのですが「よくわからんなぁ」だった事を覚えています。

しかし東京よりも名古屋で先に開催するってのは珍しい気がします。
(むしろ全国開催でもとばされるくらいなのに)
by きゅう (2012-03-18 02:09) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
そうです、その展覧会です。
ホントに「よくわからんなぁ」ですよね。
よくわからないのだけど、何故か「嫌いじゃないなぁ」と思いました。
(若い頃の作品は、ドロドロしててあまり好きではないですが…)。

>>むしろ全国開催でもとばされる
いわゆる名古屋飛ばしってヤツですか(^^;。
でも名古屋って、大阪にも東京にもそこそこ近いというイメージで
なんだか便利そうだなぁと、アタシは思いますよ。

by 梅屋千年堂 (2012-03-18 22:07) 

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