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生誕125年記念 速水御舟 [EXHIBITION]

ずっと前から観たかったある作品を観るために
約1年ぶりに山種美術館へ。

正式な展覧会名は
『山種美術館 広尾開館10周年記念特別展 生誕125年記念 速水御舟』。

速水御舟の一大コレクションで知られる山種美術館。
その120点すべてを前期後期に分けて公開するという大・御舟展。

…と言っても前期は7/7で終わってしまったんだけどね(^^;ゞ。

しかし、アタシのお目当てはただ一つ!。
ずーっと前から「観てみたいな〜」と思っていた『炎舞』である。
幸いなことに『炎舞』は全期展示。
開催中であればいつ行っても観られるのである。

山種美術館に到着したのは11時頃。
少し早いけれど〈Cafe椿〉があまり混まないうちに…と
いきなり腹拵え(^^;ゞ。

メインは昨年と同じ「豆乳そうめん」。
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そしてデザートとして『炎舞』をモチーフにした和菓子《ほの穂》を
京都スマート珈琲のアイスコーヒーとともに。
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黒い紙の上に金で蛾のスタンプをあしらうという
凝った盛りつけがなんだか嬉しい。

炎を表す外側のオレンジの部分はきんとん。
中は黒糖風味の大島あん。
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う〜ん、美味〜( ̄▽ ̄)。
そしてスマート珈琲は相変わらず和菓子ととっても相性がいい。


それにしても、食事をしながらチケット売場を眺めていると
次から次へとひっきりなしに人がやってくる。
なんだか結構混んでいそうな予感…。
『炎舞』はちゃんと観られるのだろうか…。

一抹の不安を抱えつつチケットを購入し、展示室へ。
あ、恐れていたほど混んでないや(ホッ)。


速水御舟は1894(明治27)年、東京は浅草の生まれ。
号を「御舟」としたのは1914年のことで、
その名は俵屋宗達の『源氏物語澪標関屋図屏風』の描かれた
「御舟(貴人の乗る舟)」に由来する。
ここからも分かるように、御舟は琳派の影響も受けている。
アタシが御舟の作品に惹かれるのも、このあたりの理由から。

御舟は1935年に40歳の若さで急逝するまでに
約700点の作品を残したと言われているが、その多くが個人蔵だったため
一般に公開されることが少なく「幻の画家」と呼ばれていた。
1976年に旧安宅産業コレクションだった御舟作品105点を
山種美術館の創設者・山崎種二が一括購入したことで
現在の山種美術館の御舟コレクションが成立したのだそうだ。


展示はほぼほぼ時系列。
20代の頃の初期作品の中では『比叡山』という墨画淡彩の作品が良かった。

で、やっぱり凄いのは30代になってからの作品。
代表作の『炎舞』もそうなのだけど、
『桃花』
『柿』
『昆虫二題』(「葉隠魔手」「粧蛾舞戯」)
『日光戦場ヶ原(写生)』
『道成寺入相桜(写生5)』
『紅梅・白梅』
このあたりはホントにカッコ良くてステキ。

そうそう、ここでは唯一写真撮影OKな作品があったんだっけ。
御舟の代表作の一つである『翠苔緑芝』(山種美術館蔵)。

こちらが右隻。
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こちらが左隻。
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左隻の紫陽花のクローズアップ。
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花びらのヒビ割れた表現は、火を用いて急激に乾燥させたとも
薬品を用いたとも言われている。


1930年にヨーロッパやエジプトに渡り
そこで見てきたものを描いた作品は、アタシ的にはチョット…(^^;。
古代ローマ遺跡の神殿の柱を描いたものが掛け軸になっている
『オリンピアス神殿遺址』は面白いと思ったけれど
その他はいまひとつ心に響くものはなかった。

だがしかし、またまた凄いのが1934年
つまり亡くなる前年に描かれたいくつかの作品。
例えば『あけぼの・春の宵』という二幅対の掛け軸。
「あけぼの」は明け方、柳の木にとまる鴉を描き
「春の宵」は月明かりに浮かび上がる夜桜が描かれている。
掛け軸なので画自体は小さいのだけど、ものっすごく細密(◎_◎)。

あとは第二展示室で展示されていた
『桔梗』『牡丹』『白芙蓉』『秋茄子』といった作品。
琳派の絵師たちが用いてきた「たらしこみ」技法で
植物の葉や花びらを描いているのだけど
水墨のモノクロの世界と彩色の世界が同じ画面に同居していて
不思議な雰囲気を醸し出している。
…こういうの、好きだ〜。

そして、これら晩年の作品と一緒に
31歳の時に描いた『炎舞』が展示されている。
かなり照明を落とした薄暗い展示室で、
薄らぼんやりと浮かび上がるような展示方法がとても効果的。
写実的に描かれた蛾に対して、炎は様式化されているけれど
パチパチと炎が立ちのぼる音が聞こえてくるかのようだ。

蛾や炎もさることながら、背景の「闇」の部分も印象的で
「もう一度描けと言われても、二度とは出せない色」
と、御舟自身も語っている。

…いや〜、以前からずーっと観てみたくて仕方なかった作品と
ようやく対面できてなんだか感動してしまった。

生憎『名樹散椿』の展示は終了してしまっていたけれど
これは前にも観たことがあるし、まぁいっかと。

ポストカードも、最近は「1展につき4枚まで!」と決めていたのだけど
ついつい7枚も買ってしまった。
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最後は、展覧会のポスターに書かれている御舟のことば。
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ひとつの作風に固執することなく
様々なチャレンジを繰り返した御舟らしいことば。
くぁ〜っ!、かっちょえぇ〜!!。
コメント(4) 

コメント 4

おかん

梅屋さんのレポでこの展覧会に行ってみたくなりました。
ポスターの御舟のことば、すごいっすね!

オレンジ色のきんとん、炎舞に繋がりますね~。アイスコーヒーが色が薄く感じますが和菓子に合うように工夫されてるのでしょうね。
by おかん (2019-07-28 05:06) 

梅屋千年堂

>おかんさん
御舟の作品がこれだけまとまって観られる機会は
なかなかないと思います。オススメですよ。

>>アイスコーヒーが色が薄く
んん?…コーヒーって写真に写っていたっけ?と
画像を確認してみましたが…
ひょっとしてそうめんの左に置いてあるグラスのことでしょうか。
こ…これは「めんつゆ」でございます(^^;ゞ。
スミマセン、そうめん画像と次に繋がる文章がくっつきすぎて
めんつゆがコーヒーに思えてしまいますよね。
紛らわしい書き方をしてゴメンナサイm(_ _)m。

コーヒーはしっかり濃いめ、
酸味が少なくブラックでも抵抗なく飲めるアタシ好みです(*^^*)。
ご来館の際には是非ともカフェにも寄ってみてくださいませ〜。

by 梅屋千年堂 (2019-07-28 22:36) 

おかん

こちらこそごめんなさい。すっかり珈琲と思い込んでしまいました(苦笑)

by おかん (2019-07-30 13:32) 

梅屋千年堂

>おかんさん
いえいえ、そんなそんな。ご丁寧にありがとうございます。

by 梅屋千年堂 (2019-07-31 21:27) 

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