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ル・コルビュジエ展【1】 [EXHIBITION]

国立西洋美術館で開催中の
『ル・コルビュジエ 絵画から建築へ−ピュリスムの時代』。

随分前に前売券を買っておいた展覧会に、ようやく行ってきた。

国立西美術館に到着したのは10時半前。
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中に入ったら〈カフェすいれん〉に一直線。
今日のランチは展覧会限定メニュー《ル・コルビュジエ ゆかりの地巡り》
これにしよう!と決めていたから。

このメニューは1日20食限定。
去年の8月『ミケランジェロと理想の人体』の時
あと少しで自分の順番という時に、限定メニューが売り切れになったという
残念な経験を踏まえて早めの時間に行ったのだけど
食事は11時からということもあってか、カフェはガラガラ(^^;。
気合い入れすぎた(笑)。

中に入って、コーヒーをすすりながら11時になるのをひたすら待つ。
天気は生憎の雨模様だけれども、中庭の新緑が目に鮮やか。
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ホントに11時ぴったりに、まずサラダが運ばれてきた。
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そしてこちらがメインディッシュ《ル・コルビュジエ ゆかりの地巡り》。
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ル・コルビュジエゆかりの地であるスイス・ギリシャ・フランスの
郷土料理をプレートに盛りつけたもの。
スイス:カルピオーネ(洋風南蛮漬け)
ギリシャ:ムサカ(ナス・ミート・ポテトの重ね焼き)
フランス:チキンのコンフィ(オイル煮)
いずれも美味〜(*^^*)。

デザートはパンケーキ。
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白いのはアイスクリームかと思ったら、サワークリーム。
アイスクリームだと思い込んで口に入れたら違ったので
ちょっとビックリした(^o^;。



さて、ここからが本題。

カフェを出て、なんの迷いもなく企画展示室がある地下への階段を目指したら
あれ?ロープが貼ってあって中に入れない(・o・)。

あ、そっか。
コルビュジエの作品をコルビュジエが設計した建物の中で鑑賞するってのが
この展覧会の主旨なんだから、普段常設展をやってる入口から入るんだ(^o^;。

入口で音声ガイドを借りて中に入っていくと
そこは〈19世紀ホール〉と呼ばれるエリア。
今回の展覧会ではこのエリアのみ撮影OK。

吹き抜けの広い空間の天井には、三角形のトップライト。
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北向きの三角窓から自然光が差し込んでくる。

普段ここにはロダンの彫刻が展示されているのだけど
この展覧会ではコルビュジエが手掛けた
あるいは構想した建築の模型が展示されている。
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「ヴォワゾン計画」模型。


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「イムーヴル=ヴィラ」1/100模型。

ル・コルビュジエは、
フランク・ロイド・ライドやミース・ファン・デル・ローエと共に
「近代建築の三大巨匠」と呼ばれるほどの人物で、
この建物=国立西洋美術館を設計した人。

「ル・コルビュジエの建築作品−近代建築運動への顕著な貢献−」として
7カ国にまたがる他のコルビュジエ建築と共に
国立西洋美術館は2016年にユネスコ世界文化遺産に登録された。

正直なところ、アタシはこれまで
「この四角くて地味な建物のどこがそんなに素晴らしいわけ?」と思っていた。
今回この展覧会を観ればその一端が少しは理解できるかも?
そんなことを期待している。


ル・コルビュジエ(1887-1965)はスイスの生まれ。
もうここからして「へぇ〜!」である。
てっきりフランス生まれだと思っていた(^o^;。
更にル・コルビュジエというのは彼の先祖に由来するペンネーム。
本名はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレという。

この展覧会は、1918年からの約10年間に
コルビュジエと友人であるアメデ・オザンファンが推進した
「ピュリスム(純粋主義)」に焦点をあてたもの。
建築模型や建築に関する資料よりも、
絵画や出版物が数多く展示されているのが面白い。

コルビュジエが絵も描いていたことを初めて知ったのは
2016年の《ポンピドゥーセンター傑作展》@東京都美術館。
『静物』というタイトルの、キュビスムっぽい抽象的な作品で
「へぇ〜!こんな絵を描いてたんだ!」と意外に思った。
しかもそれはキュビスムではなくピュリスムだという。
「ピュリスム」という言葉も、この時初めて知った。

ピュリスムは、シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(コルビュジエ)と
画家アメデ・オザンファンが唱えた芸術活動。
「ありふれた現実の題材から、構築的な秩序のある芸術をつくる」
これがピュリスムの理念だそう(わかるようなわからないような…^^;)。

素人からすると、作品を観た感じ「キュビスム」も「ピュリスム」も大差なく、
いずれも描く対象を複数の視点から観たものとして一旦バラバラにして、
それを画面上に再構成したもの…という感じ。
でもオザンファンやジャンヌレに言わせると
キュビスムは「混乱した時代の混乱した芸術」であって、
「近代生活を支える科学が法則に基づくのと同様に、
 芸術にも普遍的な規則がなくてはならない」。
「比例と幾何学によって、明快な構成を創りあげる」のが
オザンファンとジャンヌレが追求したピュリスムなのだとか。

展覧会では、ジャンヌレとオザンファンの作品の他に
ピカソやブラック、レジェといったキュビスムの作家の作品も展示されていて
それらと比べると、なるほどジャンヌレとオザンファンの作品には
規則性とか秩序とかリズム感みたいなものが感じられる。
「あぁ、そういうことなのかな」と、ぼんやり理解。

また、同じピュリスムでもオザンファンは平面的で、ジャンヌレは立体的。
ジャンヌレ(コルビュジエ)の建築家らしさが出ている。


まっ、ややこしいことはわかんないんだけど(^o^;
オザンファンの『和音』
ジャンヌレの『積み重ねた皿のある静物』
『多数のオブジェのある静物』『エスプリ・ヌーヴォー館の静物』などは
「あ、なんかこれ好きだねぇ」と思える作品だった。

ピュリスムの二人が好んで描いたのは、
グラス、瓶、皿という日用品や、ギター、ヴァイオリンといった楽器など。
これは「日用品とは長い時を経て用途に即した無駄のない形に完成したもの」であり
「楽器も同様」で、時代を超えた美しさがあるからなのだとか。

で、仲良くやってたオザンファンとジャンヌレだったのだけど
だんだん関係が微妙になり、1925年に二人は決裂。
ピュリスムが目指していた「構築と統合」に
キュビスムが既に到達していることを理解して、
当初は批判的だったキュビスムに対しても
その業績を認めるようになったらしい。


ピュリスム時代を経たコルビュジエは
1920年代後半から近代建築家としての名声を高めていく。
ここで登場するのが、かの有名な「サヴォア邸」に関する資料。
コルビュジエが提唱した「近代建築の5つの要点」
・ピロティ
・屋上庭園
・自由な間取り(平面)
・横長の窓(水平に連続する窓)
・自由な立面(ファサード)
が全て体現された作品だ。

サヴォア邸もアタシからすると「四角い建物」なんだけど(^^;
音声ガイドで説明を聴いていると、いろんな工夫がこらされていて
ただの四角い建物ではないことがわかる。(当たり前^o^;)。

建築家としての名声を不動のものとした後も
コルビュジエは絵を描くことを続けていて
署名も「シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ」から
「ル・コルビュジエ」になり、作風も変化。
『灯台のそばの昼食』や『レア』という作品などは
なんだかずいぶんぐにゃぐにゃなっちゃって、
ピュリスムやキュビスムに加えて
シュルレアリスムまで入ってきちゃったような印象を受けた。

音声ガイドでは、ボーナストラックとしてコルビュジエが設計した
国立西洋美術館に関する説明もあるので本当に盛り沢山。
全部観終わるのにたっぷり2時間かかってしまった(・o・)。



…にもかかわらず、
このあと15時からの「特別建築ツアー」にも参加するのだ。
なんだかワクワクする〜。



《TO BE CONTINUED...つづく》
コメント(4) 

コメント 4

おかん

桐生のために仕事休み希望にしておきましたが落選だったので上野に行こうかな~と思っていたら名古屋の弟(次男)家族の帰省があり・・行けなくなりました。建築は全くわからないのですが梅屋さんのレポはなんども読みたくなり行ってみたくなります!
スイス・ギリシャ・フランスのお料理なんて素敵ですね!(^^)!

by おかん (2019-05-01 08:21) 

梅屋千年堂

>おかんさん
いや〜GW期間中は激混みでしょうから
行かなくて正解だったと思いますよー(^^;。

アタシも建築のことなんてちっともわかりません。
でも社寺仏閣や城郭のような古いものから近現代の建築まで
「建物」を見たり、なぜそういう風に設計されたのかを
知ることには興味があります。
そんなわけで、いつか江戸東京たてもの園に
行ってみたいと(ずっと前から)思っています。

by 梅屋千年堂 (2019-05-02 00:04) 

おかん

江戸東京たてもの園、、検索してみました。画面の雰囲気をみただけですが
(超・・小声)DVDパンフレットの題材になりそうな気がしたのは私だけですか?

by おかん (2019-05-06 05:49) 

梅屋千年堂

>おかんさん
江戸たてもの園、実際いろんなロケに使用されているようですね。
DVDパンフのみならず、通常のツアーパンフのロケにも
使えそうですね(旧古河庭園のように…)。

by 梅屋千年堂 (2019-05-06 22:06) 

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