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ル・コルビュジエ展【2】 [EXHIBITION]

前記事のつづき。

「建築ツアー」の巻。

国立西洋美術館の建築ツアーは、ル・コルビュジエ展の期間中でなくても
毎週日曜日と第2・第4水曜日に行われている。
が、ル・コルビュジエ展の期間中は通常と少し内容の異なる
「特別建築ツアー」を開催しているらしい。

せっかく水曜日にやってくれているんだから、これに参加しない手はない。
参加するには事前申込が必要で、実施日の2週間前の午前10時から
インターネットで受け付けている。

ホントは第2水曜日の4月10日にするつもりだった。
しかし4月10日の2週間前である3月27日、
アタシはMIHO MUSEUMにいた。
10時頃は曜変天目のことしか頭になく、
12時くらいになって「あっ!建築ツアー!」と思い出し、
国立西洋美術館のサイトにアクセスするも時既に遅し。
とっくに定員に達していて申込できなかった_| ̄|◯。

満を持しての4月10日。
2週間後の4月24日の建築ツアーを申し込むべく
午前10時にパソコンの前にスタンバイ。
ライブのチケット予約みたいに繋がりにくくなったりするのだろうか?と
ドキドキしながら臨んだが、意外なほどにあっさり申込完了。
晴れて4月24日の特別建築ツアーの参加権を手に入れた。


話は展覧会に戻る。

メインのル・コルビュジエ展をかなりじっくりと鑑賞したが
建築ツアーの集合時間まではまだだいぶある。
なので、新館のコレクション展をぶらぶら。
ここでは殆どの作品が撮影可。
なんとなく気になった作品の写真を撮っておく。

09_biridesofdeath.jpg
レオナルド・ビストルフィ『死の花嫁たち』


10_petrifieldforest.jpg
マックス・エルンスト『石化した森』


14_akaitoriaoisora.jpg
フェルナン・レジェ『赤い鶏と青い空』


11_cow.jpg
ジャン・デュビュッフェ『美しい尾の牝牛』


『死の花嫁たち』その他の彫刻が置いてあるコーナーからは
さっきお昼ごはんを食べたカフェすいれんが見える。
12_suiren.jpg


コレクション展示を観た後は、コルビュジエ展のグッズを買って
本館地下の休憩コーナーで少し休んでから特別建築ツアーの集合場所へ。

カウンターで名前を告げると、名簿の一番上にアタシの名前。
どうやら申込一番乗りだったらしい(^o^;。

建築ツアーの定員は20名。
10名ずつの2グループに分かれて、館内や前庭を移動しながら
ボランティアガイドの方の説明を聴いていく。

まずは外に出てみましょうということで前庭へ。

当初、コルビュジエは上野に総合的な文化センターを作ることを考えていて
敷地の中に美術館と企画展示パビリオンと音楽ホールを立てるという
構想を思い描いていた。

この構想は実現こそしなかったのだけど、国立西洋美術館の向かいには
コンサートホールを備えた東京文化会館が建っている。
東京文化会館はコルビュジエの弟子だった前川國男の設計で
その高さは西洋美術館とほぼ同じ。
美術館の前庭の敷石の幅と東京文化会館の窓枠の幅も一緒で
いずれもあみだくじのような配置になっていて
前川國男のコルビュジエに対するリスペクトになっているという。

美術館の正面の外壁は、よく見ると緑色の小石が
無数に埋め込まれたパネルになっている。
この小石は高知県の桂浜から持ってきたものだったらしいのだけど
時間が経つにつれて小石が剥落するという事態が起きたため
現在の外壁は後日改修したもの。石も桂浜のものではなく
フィリピンかどこかから持ってきたものらしい。
しかも、石が落下しないように一つ一つ留めてあるんだとか!。

1階部分は、コルビュジエお得意のピロティになっていて
建設当時は今の入口よりも奥の部分まで「外」だったそうで
その名残として、当時のシャッターの跡が天井と床に残っている。

そして、いよいよ展示室の中へ入っていく。
まずは19世紀ホールと呼ばれる、吹き抜けの広い空間(前記事の画像参照)。
美術館の核となる中心部分。
大きな三角形のトップライトと、コンクリートの柱が目を引く。
ヨーロッパの古代建築のザラザラゴツゴツした柱と違って
なめらかですべすべした感じなのは
姫小松という樹木の板を貼り合わせた型枠に
コンクリートを流し込んで作ったから。

19世紀ホールは、自分が立っている位置によって見え方が変化するのも特徴。
2階に上がっていくための通り道は階段ではなくスロープ状。
19世紀ホールの方を眺めながらスロープを上がっていくと
そのたびに景色が変化して面白い。
スロープなので、よそ見をして歩いていても蹴躓くことはない(笑)。

2階展示室は19世紀ホールをぐるりと取り囲むような配置。
バルコニーが設けられていて、そこからも19世紀ホールを臨むことが出来る。
19世紀ホールには普段ロダンの彫刻が置かれているのだけど
巨匠の彫刻を上から見下ろすという体験もできるという仕掛け。

2階展示室は天井の高い部分と低い部分があって
低い部分の上は中3階になっている。
中3階は、バルコニー状の小ぶりな展示空間か
あるいは「照明ギャラリー」と呼ばれる回廊になっている。

照明ギャラリーは、自然光を屋上から採り入れるための施設。
…なんだけど、やっぱり作品に日光が当たるのはマズいだろうってんで
窓は遮光塗料で塗りつぶされて、回廊の中は蛍光灯がズラッと並んでいるそうだ。

こうした天井の高さや柱と柱の間の長さなど、
国立西洋美術館の寸法の殆どは
コルビュジエが考案した「モデュロール」という尺度に基づいている。

「モデュロール」とは、module(寸法)とSection d'or(黄金分割)を
合体させた、コルビュジエによる造語。
身長183cmの人のへその位置や、手を挙げた時の指先までの高さを
黄金比で(1.618:1)で割り込んで行くという尺度で
これに従って設計することで建築に統一感やリズムが生まれる…
というものらしい。

うーむ…わかるような、わかんないような(^^;。

アタシが「いいねぇ〜!」と思ったのは「無限成長美術館」という考え方。
コレクションの増加に対応するために、
まず館の核となる部屋を作り、そこを中心にして
螺旋状に展示室を増築していくという
まさに「無限」に「成長」していく美術館。

国立西洋美術館もこの「無限成長美術館」の原理に基づいて設計されている。
柱と床板で建物の荷重を支えるメゾン・ドミノという構造が基本になっていて
外壁や間仕切りの取り外しや移動を比較的容易に行えるようになっている。

残念ながら、土地の制約もあって
コルビュジエが考えたような増築は叶わなかったけれど、
2階の北東側にある横長の窓は、そこから螺旋状に増築していこうという
計画の痕跡なのだそうだ。


そしていよいよこの特別建築ツアーの目玉中の目玉、
普段は非公開の旧館長室の見学へ。
スタッフ以外立入禁止のアクリルガラスの扉を開けて
階段を上がっていくと、カーブした黒い壁。
この壁の向こう側は男子トイレなのだけど
このカーブした壁が、コルビュジエ建築の特徴でもあるらしい。

旧館長室にはV字型のデスクや、大理石の丸テーブル、
アイボリーの合皮が貼られた椅子が備え付けられている。
当時からのものと当時の資料を元に再現したものが混在しているそうで
合皮張りの椅子はレプリカなのだけど、
当時の資料としてはモノクロ写真が残っているだけで
椅子のシート部分の色がどんな色なのかがわからなかったのだそうだ。
そこで、現存している棚の木材と椅子のシートの素材をモノクロ撮影して、
新しい写真と当時の古い写真を見比べながら、
シート部分に使う合皮の色を割り出したのだとか(◎_◎)。

給湯室も当時のままで、それを示すものとして
ところどころにマイナスネジが使われていることが挙げられる。
あ〜そう言われてみればそうかね…という感じだが
現在ではそういうところにマイナスネジを使用することは
殆どないそうだ。

他にもいろいろ説明していただいたのだが
なにしろ情報量が多すぎて、覚えきれなかった。
所要時間は50分と聞いていたが、終わってみるとかなり超過(^^;。
実質80分くらいかかったのではないだろうか。
ガイドの方の説明もとても分かり易くて面白かった。

コルビュジエが来日した際に、
飛行機での移動中に上空から見た富士山にとても感動したことや、
新橋の鶏繁(だったかな?)に連れていかれた時に
やきとりがいたく気に入って
「自分は日本に来てから小鳥を見ていないけれど
 もしかしてみんなやきとりにされてしまったからなのか?」
などという冗談を飛ばしたらしい…
…なんてエピソードも話してくれた。

ちなみに旧館長室がどこにあるのかというと、ココ。
13_kanchoshitsu.jpg
この窓の向こうが旧館長室。


美術館の壁を完全防火壁にしたことで、
モデュロールで計算された壁と柱の間が詰まってしまったり
自然光を取り入れるための照明ギャラリーも
全部蛍光灯に差し替えられてしまったり
増築された新館もコルビュジエの「無限成長」とは異なるものだ。

現実の中には様々な問題があって、
理想をそのまま形にするのはなにかと難しいということを
考えずにはいられなかった。

けれども今まで「四角くて地味な建物」だと思っていた
国立西洋美術館が、いかに文化的価値の高い建造物であるかが
よ〜く理解できた建築ツアーであった。



…なんだか憶えてきたことを書き連ねてたら
だらだらと異様に長い記事になってしまったけど、
最後はお約束の展覧会グッズ紹介〜(笑)。

02_goods.jpg
「グラシン5ミリ方眼紙」と「三角スケール」、それとポストカード。


そして、見た目のかわいさと容器につられて買った
西荻窪のマカロン専門店MACAON ET CHOCOLATとのコラボ商品
「マカロンボーロ」。
01_macalonbolo.jpg

一応、ゆず、ピスタチオ、ショコラ、いちご…などと
色に応じて味も違うようなのだけど…
アタシには味の違いは微妙すぎてよくわからなかった(^o^;。
が、「シアワセを感じる味」ではあった。



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《オマケ》
おおお?!
30日の『今日は一日“THE ALFEE三昧”』に
小田さんがコメント出演だってヽ(^。^)丿。

「45年もやってるなんて、おまえら絶対おかしい」的な
小田さん節炸裂コメントと予想(笑)。
コメント(4) 

コメント 4

うさぼん

こんばんは。三昧聴いてます!
小田さんコメント、梅屋さんの言うとおりでしたね。(笑)
by うさぼん (2019-04-30 18:54) 

梅屋千年堂

>うさぼんさん
ついに小田さんも「THE ALFEEの3人は仲が良い」ということを
お認めになりました(笑)。

by 梅屋千年堂 (2019-04-30 22:17) 

おかん

ツアー申込み一番乗りですか~?!読ませてもらっているだけでも内容盛りだくさんでお得感を感じます。建物も知ると面白いのですね!(^^)!

小田さんの話題が出ましたが今朝NHKを付けたら小田さん!!
「アンコール」インタビューを短くしてありました。再放送が4日にあるのの番宣でしたね。
by おかん (2019-05-01 08:26) 

梅屋千年堂

>おかんさん
建築ツアーは参加無料なので、相当なお得感がありますよ。
コルビュジエ展開催中以外でもやってますので
(旧館長室には入れませんが)機会があれば是非。

今朝の「ここから」。
小田さんの公式サイトで知って、ちゃんと予約録画しておいたのですが
朝、まだ寝ているというのに母が部屋に入ってきて
「小田さんやってるよ!」と勝手にアタシの部屋のテレビを点けて
そのまま出ていきました(^^;。

by 梅屋千年堂 (2019-05-02 00:10) 

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