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リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝展 [EXHIBITION]

油断してたらもう会期終了間際!( ̄口 ̄;)。

リヒテンシュタイン侯国はスイスとオーストリアの間にある小さな国。
この国の国家元首であるリヒテンシュタイン家が
500年以上にわたり代々収集してきたコレクションを
139点も観ることが出来るという展覧会である。

ルネサンスからバロック、新古典主義までの知られざる名画…
作家で言うならラファエロ、クラナハ、レンブラント、ルーベンス、
ヴァンダイクなどの知られざる名画が目白押し。
そして絵画作品のみならず、優れた工芸品も数多く来日している。

展覧会が始まった当初、実は個人的にはあんまり注目しておらず
「まぁ別に行かなくてもいいかな」なんて思っていた。
が、いろんなところで「スゴイらしい」という話を聞いて
「こりゃやっぱり行っとかんと!」と思い直した。

閉幕1週間を切っているので、さぞや混んでいるのでは?と心配したけど
思ったほどではなく、イイ感じの混み具合だった。

会場の中に入っていくと、いきなりバロック・サロンと呼ばれる空間が広がる。
ウィーン郊外にある《夏の離宮》という宮殿を再現したコーナーで、
超豪華な調度品や絵画作品がずらっと展示されている。
これらの作品には解説がついておらず
観客は入り口で配布されているモノクロ写真付きの目録を手に
それぞれの作品を観ることになる。

ここでの一番の見どころは、楕円形の天井画。
現在では現地においても壁に飾られてるという作品を
天井に張り付けた本来の姿で観ることが出来るというのがスゴイ点。
そもそも天井に飾って仰ぎ見られることを前提に描かれているので
まるでだまし絵のように、天井に穴が空いていて
そこに絵の中の人物が存在しているかのように見える。
多分この絵を壁に掛かった状態で観てみても、
このような感覚は決して得られないのではないかと思う。

バロック・サロンを抜け、
リヒテンシュタイン家の肖像画や宮殿の絵が展示されたコーナーを過ぎると、
ルネサンスおよびイタリア・バロックの名画ギャラリー。
ここで印象に残ったのは
・「聖エウスタキウス」ルーカス・クラナハ(父)
・「ホロフェルネスの首を持つユディト」クリストファーノ・アッローリ
・「ゴリアテの首を持つダヴィデ」ジロラモ・フォラボスコ
・「井戸端のキリストとサマリアの女」チーロ・フェッリ

「井戸端のキリスト〜」は、キリストの頭上に光輪が描かれていないので
もし作品の横にタイトルが添えられていなかったら、
単に井戸端で語り合う男女の絵にしか見えないとこがおもろい(^^;。


そして次のコーナーは、リヒテンシュタイン家が特に力を入れて収集したという
ルーベンスの作品を十数点を一同に集めた「ルーベンス・ルーム」。

大仰な絵を描かせたら右に出るものはいないってくらい
ドラマチックな大作が多いルーベンスなのだけど
実はこうした大作は、ルーベンス監修のもと、
工房の弟子達に描かせているものが殆どなのだとのこと。

こうした「いかにもルーベンス」な作品ももちろん素晴らしいのだけど
アタシはむしろ、2点の肖像画にグッと来た。
「ひげのある男」、そして「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」。
特に今回の展覧会のポスターにもなっている
「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」がとてもいい。

クララ・セレーナ・ルーベンスは、その名前でもわかるように
ルーベンスの愛娘。この作品はその子が5歳の時の肖像画。
なんというか、その利発そうな眼差しに
自分の娘を愛らしくそして賢そうに描きたいという
父・ルーベンスの愛をヒシヒシと感じるんだよね〜。
しかもその筆遣いの丁寧さがハンパない。
そしてこの子が、その数年後わずか12歳で夭折してしまうという
悲しいエピソードが涙を誘わずにはいられない。


ルーベンスの後には、「クンストカンマー」と呼ばれる
豪華で精緻な工芸品を集めたコーナー。
中には趣味がいいのか悪いのかよくわからない作品も…(^^;。
その代表格が象牙で出来た「豪華なジョッキ」。
象牙のジョッキの全面に、古代ローマの《サビニ女の略奪》の場面を
題材にした、それはそれは細かな彫刻が施されているのだけど
この彫刻が実にくどい!しつこい!!でもスゴイ!!!(笑)。

そういやこのコーナーじゃなくて、先述のバロック・サロンに
展示されていたものだけれど、マイセンのティーポットも
その悪趣味具合が良かったなぁ(笑)。


再び名画ギャラリー。
今度は17世紀フランドルおよびオランダ絵画、
ここで印象に残ったのは
・「若きトビアスのいる風景」ヤン・ブリューゲル
・「死の勝利」ヤン・ブリューゲル2世
・「マリア・デ・タシスの肖像」アンソニー・ヴァン・ダイク
・「キューピッドとしゃぼん玉」レンブラント・ファン・レイン
・「男の肖像」フランス・ハルス
・「ハールレムのマルクト広場、市庁舎のある眺め」
   ヘリット・アドリアーンスゾーン・ベルクヘイデ

特に、その絵の前でハッとしたのが「ハールレムのマルクト広場〜」。
なんてことはない、人々が散策している広場を描いた風景画なんだけど
そこ絵の中の陽射しの暖かさがポカポカと伝わってくるような気がした。
アタシはこの度ここで、この画家の名前を初めて知ったのだけど
実は有名な人なんだろうか???。

そして最後は18世紀の新古典主義とビーダーマイヤー。
ここでは
・「虹の女神イリスとしてのカロリーネ・リヒテンシュタイン侯爵夫人」
   ヴィジェ=ルブラン
・「マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像」
   フリードリヒ・フォン・アメリング

なんと言ってもここはマリー・フランツィスカちゃん!。かわいすぎる〜。
ルーベンスさんちのクララちゃんと違って、
描いたのはお父ちゃんじゃないけれど、この絵にも愛を感じる(*^^*)。

あんまりかわいくて、ポストカードまで買っちゃったっての(笑)。
postcard.jpg

この絵に描かれているのは寝顔なので、
本来ならこういう向きだと思うのだけど
MarieFranziska.jpg
そうしないで、敢えて立てた状態で描いてるってのが
また可愛さを増長させているような気がする。

この作品に限らず、描き手の愛情が感じられる肖像画ってのはイイ。
大体観ていてわかるよね。
「あ、この画家はこのモデルの人物に好意的だな」とか
「これ描いた画家、絶対コイツのこと嫌いやろ」とか(^^;。

この展覧会に展示されている肖像画は好意的なものが多くて
観ていてちっともイヤな感じがしなかった。


いやー、思った以上に素晴らしい展覧会だった。




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『リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝』は、
国立新美術館にて、12/23(日・祝)まで開催。
公式サイトはコチラ
東京展のあとは、高知と京都にも巡回する。
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