金銀の系譜 〜宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界〜 [EXHIBITION]
まだまだあるある琳派の展覧会。
2〜3週間くらい前だったか、
iPhoneに入れている「チラシミュージアム」というアプリで
めぼしい展覧会がないだろうかとチェックしていたら
静嘉堂文庫美術館で『金銀の系譜 〜宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界〜』
という展覧会が行われていることを発見した。
なんでも俵屋宗達(生没年不詳)の国宝『源氏物語関屋・澪標図屏風』が
3年に及ぶ修理を終え、10年ぶりに公開されているらしい。
その他、光琳や抱一・其一の作品の展示もあるという。
…行かねば。
ところで静嘉堂文庫って以前から聞いたことはあったけど、どこにあるんだろ?。
調べてみたら、二子玉川駅(以下:二子玉)からバスで8〜10分という。
更に調べてみると、徒歩でも行かれないことはなく大体20〜25分くらいとのこと。
なんだ、それなら楽勝じゃないか。
最近ちょっと運動不足気味だし、歩こうじゃないか。
ということで、地図アプリを開いたiPhone片手に二子玉から歩いてみる。
iPhoneを持つようになってから、初めての場所でも
ホントにアタシは迷子にならなくなった。
(とはいえ、新宿では未だに迷子になるけれども^^;)。
とーちゃくー!。
しかし、ここから先が実は一番キツかったりして。
静嘉堂文庫のサイトに載っている地図に「ゆるやかな上り坂です」と書かれた
敷地内の道は、まぁ確かに急坂ではないが
はやる気持ちを抑えきれずに早歩きでせっせと上っていったら
情けないことに息が上がってしまった_| ̄|◯。
静嘉堂文庫美術館の入館料は¥1,000。
チケットを買ったら「展覧会のご案内です」と結構立派なリーフレットを頂いたのだが
このリーフレットは実はミュージアムショップで¥150で販売されているものなので
実質の入館料は¥850というところか。そう考えると安い。
展示室に入る前の「広間」というスペースには
静嘉堂文庫が所有する『曜変天目茶碗(稲葉天目)』と
『油滴天目茶碗』が展示されている。
『曜変天目茶碗(稲葉天目)』は、国宝に指定されている3つの曜変天目のうちの一つで
その中でも最高のものとされている。
曜変天目と言えば、今年の9月にサントリー美術館で
藤田美術館所蔵の『曜変天目茶碗』を観たけれど、
それとはまた異なる美しさで、曜変の斑点がかなりくっきり鮮明に浮き上がっている。
藤田美術館のものが《宇宙》や《銀河》ならば
静嘉堂のものは《海底》、そんな感じがした。
これで3つの国宝・曜変天目のうち、2つを観たことになるのか。
あとひとつは京都の大徳寺龍光院が所蔵しているそうなのだけど
これは滅多に外に出ることはないらしい。
生きてる間に観る機会はあるだろうかねぇ(^^;。
さて、それはさておき本題の展覧会。
静嘉堂文庫美術館の展示室はワンフロアでさほど広くなく、
展示作品の数も40点弱というところ。
小規模ではあるが、展示作品は粒揃い。
目玉はもちろん宗達の『源氏物語関屋・澪標図屏風』。
いかにも宗達らしい大胆さと自由さが画面いっぱいに広がっている。
あ、そういえば今回アタシはこの作品を観たことで
国宝に指定されている3つの宗達作品を全部観たことになる(・_・)。
…正直言って、国宝とそうじゃないものの違いはよくわからない(^^;。
(個人的には何故「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が国宝じゃないんだ?!」と思う)。
けども、「あれも観た」「これも観た」って
パズルのピースを埋めていくみたいに、観たものが増えていくのってちょっと嬉しい。
この宗達の『源氏物語関屋・澪標図屏風』も素敵だったのだけど
個人的にツボにはまったのは
・本阿弥光悦(1558-1637)『草木摺絵新古今和歌巻』
光悦の書く和歌はやっぱり美しい〜。
余談だが最近iPhoneに入れた変体仮名学習アプリのお陰で
解読できる文字が増えてきたのが嬉しい(漢字は相変わらずわからないけど)。
・尾形光琳(1658-1716)『住之江蒔絵硯箱』
光悦作の硯箱を模して制作したとされる、蓋が大きく盛り上がった硯箱。
藤原敏行の「すみの江の岸による浪よるさへや夢のかよひち人目もよくらむ」
という和歌が部分的に、蓋、蓋の裏、本体内部に散らされていて洒落ている。
・酒井抱一(1761-1828)『波図屏風』
抱一にもこんなにもダイナミックな屏風絵があるとは知らなかった!。
これも光琳の『波図屏風』にインスパイアされて描いたらしいのだけど
金地の光琳に対して、抱一は銀地で渋い仕上がり。
・酒井抱一『麦穂菜花図』
いかにも抱一!な繊細な花鳥図。
・鈴木其一(1796-1858)『雨中桜花紅楓図』
実はこの展覧会で一番「コレ素敵!」と思った作品。
サーッサーッと薄い墨で表現された雨が
其一の鋭いタッチに柔らかみを与えている…(なーんてね^o^;)。
・酒井抱一『絵手鏡』
これも素敵だった〜!(*^^*)。
抱一が色紙くらいの大きさの画帖に描いた72図のうちの一部が
展示されているのだけど、抱一が実は光琳だけではなく
狩野派・土佐派・円山四条派・唐絵なども修得していたことがわかるし
題材も花鳥画から風景画、人物と多岐にわたっていて、観ていて楽しい。
この他、工芸品では原羊遊斎(1769-1845)の
『秋草虫蒔絵象嵌印籠』(これは下絵が酒井抱一)や
『雪華蒔絵印籠』(雪の結晶のデザインがなにやら現代風)が良かった。
いや〜、実に素敵な展覧会だった。
展示点数も多すぎず少なすぎず、ちょうどいい感じ。
最後はお約束のミュージアムショップ。
いつになくポストカードを多数購入。
(現在展示されていないもののカードまで買ってしまった^o^;)。
あとは酒井抱一の『絵手鏡』をもっと観られる画集みたいなものはないのかな?と
物色していたら、この『絵手鏡』に描かれた作品を
モザイク状に並べたクリアファイルがあったので
クリアファイルとしてというよりも、資料として購入。
帰りは川崎大師に寄って、だるまさんを納めてきたのだけど
正月の喧噪がウソのように静かだった(^o^;。
2〜3週間くらい前だったか、
iPhoneに入れている「チラシミュージアム」というアプリで
めぼしい展覧会がないだろうかとチェックしていたら
静嘉堂文庫美術館で『金銀の系譜 〜宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界〜』
という展覧会が行われていることを発見した。
なんでも俵屋宗達(生没年不詳)の国宝『源氏物語関屋・澪標図屏風』が
3年に及ぶ修理を終え、10年ぶりに公開されているらしい。
その他、光琳や抱一・其一の作品の展示もあるという。
…行かねば。
ところで静嘉堂文庫って以前から聞いたことはあったけど、どこにあるんだろ?。
調べてみたら、二子玉川駅(以下:二子玉)からバスで8〜10分という。
更に調べてみると、徒歩でも行かれないことはなく大体20〜25分くらいとのこと。
なんだ、それなら楽勝じゃないか。
最近ちょっと運動不足気味だし、歩こうじゃないか。
ということで、地図アプリを開いたiPhone片手に二子玉から歩いてみる。
iPhoneを持つようになってから、初めての場所でも
ホントにアタシは迷子にならなくなった。
(とはいえ、新宿では未だに迷子になるけれども^^;)。
とーちゃくー!。
しかし、ここから先が実は一番キツかったりして。
静嘉堂文庫のサイトに載っている地図に「ゆるやかな上り坂です」と書かれた
敷地内の道は、まぁ確かに急坂ではないが
はやる気持ちを抑えきれずに早歩きでせっせと上っていったら
情けないことに息が上がってしまった_| ̄|◯。
静嘉堂文庫美術館の入館料は¥1,000。
チケットを買ったら「展覧会のご案内です」と結構立派なリーフレットを頂いたのだが
このリーフレットは実はミュージアムショップで¥150で販売されているものなので
実質の入館料は¥850というところか。そう考えると安い。
展示室に入る前の「広間」というスペースには
静嘉堂文庫が所有する『曜変天目茶碗(稲葉天目)』と
『油滴天目茶碗』が展示されている。
『曜変天目茶碗(稲葉天目)』は、国宝に指定されている3つの曜変天目のうちの一つで
その中でも最高のものとされている。
曜変天目と言えば、今年の9月にサントリー美術館で
藤田美術館所蔵の『曜変天目茶碗』を観たけれど、
それとはまた異なる美しさで、曜変の斑点がかなりくっきり鮮明に浮き上がっている。
藤田美術館のものが《宇宙》や《銀河》ならば
静嘉堂のものは《海底》、そんな感じがした。
これで3つの国宝・曜変天目のうち、2つを観たことになるのか。
あとひとつは京都の大徳寺龍光院が所蔵しているそうなのだけど
これは滅多に外に出ることはないらしい。
生きてる間に観る機会はあるだろうかねぇ(^^;。
さて、それはさておき本題の展覧会。
静嘉堂文庫美術館の展示室はワンフロアでさほど広くなく、
展示作品の数も40点弱というところ。
小規模ではあるが、展示作品は粒揃い。
目玉はもちろん宗達の『源氏物語関屋・澪標図屏風』。
いかにも宗達らしい大胆さと自由さが画面いっぱいに広がっている。
あ、そういえば今回アタシはこの作品を観たことで
国宝に指定されている3つの宗達作品を全部観たことになる(・_・)。
…正直言って、国宝とそうじゃないものの違いはよくわからない(^^;。
(個人的には何故「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が国宝じゃないんだ?!」と思う)。
けども、「あれも観た」「これも観た」って
パズルのピースを埋めていくみたいに、観たものが増えていくのってちょっと嬉しい。
この宗達の『源氏物語関屋・澪標図屏風』も素敵だったのだけど
個人的にツボにはまったのは
・本阿弥光悦(1558-1637)『草木摺絵新古今和歌巻』
光悦の書く和歌はやっぱり美しい〜。
余談だが最近iPhoneに入れた変体仮名学習アプリのお陰で
解読できる文字が増えてきたのが嬉しい(漢字は相変わらずわからないけど)。
・尾形光琳(1658-1716)『住之江蒔絵硯箱』
光悦作の硯箱を模して制作したとされる、蓋が大きく盛り上がった硯箱。
藤原敏行の「すみの江の岸による浪よるさへや夢のかよひち人目もよくらむ」
という和歌が部分的に、蓋、蓋の裏、本体内部に散らされていて洒落ている。
・酒井抱一(1761-1828)『波図屏風』
抱一にもこんなにもダイナミックな屏風絵があるとは知らなかった!。
これも光琳の『波図屏風』にインスパイアされて描いたらしいのだけど
金地の光琳に対して、抱一は銀地で渋い仕上がり。
・酒井抱一『麦穂菜花図』
いかにも抱一!な繊細な花鳥図。
・鈴木其一(1796-1858)『雨中桜花紅楓図』
実はこの展覧会で一番「コレ素敵!」と思った作品。
サーッサーッと薄い墨で表現された雨が
其一の鋭いタッチに柔らかみを与えている…(なーんてね^o^;)。
・酒井抱一『絵手鏡』
これも素敵だった〜!(*^^*)。
抱一が色紙くらいの大きさの画帖に描いた72図のうちの一部が
展示されているのだけど、抱一が実は光琳だけではなく
狩野派・土佐派・円山四条派・唐絵なども修得していたことがわかるし
題材も花鳥画から風景画、人物と多岐にわたっていて、観ていて楽しい。
この他、工芸品では原羊遊斎(1769-1845)の
『秋草虫蒔絵象嵌印籠』(これは下絵が酒井抱一)や
『雪華蒔絵印籠』(雪の結晶のデザインがなにやら現代風)が良かった。
いや〜、実に素敵な展覧会だった。
展示点数も多すぎず少なすぎず、ちょうどいい感じ。
最後はお約束のミュージアムショップ。
いつになくポストカードを多数購入。
(現在展示されていないもののカードまで買ってしまった^o^;)。
あとは酒井抱一の『絵手鏡』をもっと観られる画集みたいなものはないのかな?と
物色していたら、この『絵手鏡』に描かれた作品を
モザイク状に並べたクリアファイルがあったので
クリアファイルとしてというよりも、資料として購入。
帰りは川崎大師に寄って、だるまさんを納めてきたのだけど
正月の喧噪がウソのように静かだった(^o^;。
2015-12-02 22:57
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コメント(5)
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先週の日曜日、たまたまNHKの『日曜美術館』を観ていたら、静嘉堂文庫美術館を紹介していて“行かねば”と私も思っていました(^.^)
梅屋さんのブログを拝見し始めてから、和洋関係なくいろいろな展覧会に足を運ぶようになりました。
こちらに遊びに来られる方達も絵画に造詣が深い方が多く、梅屋さんやみなさんのコメント一つ一つが勉強になります(^.^)
これからも勉強させていただきます(^.^)
by ナッキー (2015-12-03 10:04)
こんにちは。
>>パスルのピースを埋めていくみたいに....
ここにとてもシンパシーを感じましてまた出てきました。
私の場合は、そうです、ライブで初めて聴く曲が増えるときと、お三方のトークで自分が若い頃から好きだったフォークや洋楽の知識が増えるときに感じることなんです。読んだ瞬間、そうそうこんな気持ちだわって思いました。
美術方面には全く疎い私ですが、梅屋さんが美術館巡りを楽しんでいらっしゃるようすを、文章から伺って楽しんでおります。
by マベパール (2015-12-03 15:38)
>ナッキーさん
『日曜美術館』は、いつも録画しておいて後で観ているのですが
先日「アートシーン」の部分だけ先に観たら
そう、この展覧会が取り上げられているではないですか。
「混んじゃうからヤメテー∫(TOT)∫」と思ってしまった心の狭いアタシです(笑)。
…実際、テレビの効果かどうかはわかりませんが結構混んでました(・_・)。
アタシの展覧会レポは、自分用の記録として
ただただ自分の感想を書いているだけなので
大して…いや、全く勉強にはならないと思いますが(^^;ゞ
同じ展覧会を観た方が「自分はこれが良かった」というような
感想を寄せて下さるのがとても興味深いです(ライブレポもしかり)。
今後は、年内中に
・坂崎幸之助 書写真展
・スターウォーズ展@そごう美術館
・コレクション展「物語をえがく」@根津美術館
に行かれるといいな〜と思っています。
>マベパールさん
パズルのピースが埋まっていく感覚は
アタシもいまだにアルフィーのライブでも感じます。
ライブで初めて聴く曲…というのはさすがに減ってきましたが(^^;
そのツアーで「まだ聴けてなかった曲」が聴けた時はヤッタ!と思います。
(現行の秋ツアーではついに“エルドラド”は聴けませんでしたが…^o^;)。
「館巡り」には、作品を観るだけではなく
展示方法(照明やレイアウトなど)や建築や庭園、
ミュージアムショップやカフェ・レストランなんかにも楽しみを見出しています。
空いてる美術館は居心地が良くて大好きです。
(美術館にとってはそれじゃ困るんでしょうけども笑)。
by 梅屋千年堂 (2015-12-03 23:28)
梅屋さん、いつもステキでわかりやすいレポありがとうございます。
実はこの展覧会は、画鬼暁斎展でチラシを見て知ってはいたのですが
、場所がどこ~?って感じで、田舎もんには辿りつけんだろうと思うほどです。
「曜変天目茶碗」、宇宙や海底を感じられる「蒼色」ってステキ!
海底の蒼、見てみたいなぁ。
こちらにもぜひ行ってみたいのですが
坂崎さんの書写真展が「光」をテーマにしているのでぜひ行きたいと思っていますし、ワイン展も行きたい。
でも、年末に大阪に行くので、やることはやらねばならず。と悩んでいます。
by こたろう (2015-12-04 23:02)
>こたろうさん
ホント、場所どこ〜?な静嘉堂文庫です。
でも駅からバスも出てますからそれに乗ってしまえばラクチンかも。
(但し1時間に3本しか出ていないので、結構混んでいるようでした)。
今度の幸ちゃんの書写真展、良さそう&ヤバそうですね〜(^^;。
ステージの写真に弱いアタシ…
ボーナスも出たことだし思わず財布の紐が緩みそう…
おっといけない、MacBook Proとそれに付随する諸々の購入で
金欠なのを忘れてました=====ヘ( ;^^)ノ。
by 梅屋千年堂 (2015-12-05 22:27)