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ワニがまわって歌枕 [EXHIBITION]

先週観てきた2つの展覧会。

まずは国立新美術館で開催中の『ワニがまわる タムラサトル展』。
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同じ国立新美術館で『ルートヴィヒ美術館展』もやっているけど
こちらは9月までやっているので、後日また改めてじっくりと。


『ワニがまわる タムラサトル展』は入場無料。
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この展覧会を知ったのは、おそらく美術館のSNSでだと思う。
何故だかよくわからないけど、どこか惹かれるものがあり
「これは観なければ!」と思ったのであった。


入口を入って最初に目に飛び込んでくるのは
左側にある全長約12mの緑色の巨大なワニ!。
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このワニが、腹部に設置されたモーターにより
反時計回りにゆっくりと回転している。


この画像でデカさが伝わるだろうか。
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右側に目を向けると、中型〜小型の色とりどりのワニが
これまたくるくると回転している。
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なんだか丸焼きにされてる風のワニも…(^^;。
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緑のワニがブルーのワニを背に乗せて、口から赤いワニを出している…
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…みたいな感じて撮ってみた(笑)。


作者のタムラサトル氏曰く
「ワニがまわる理由は聞かないでほしい」。

基本的に、こういう意味の分からない現代アートが好きなので
別に特定の理由や意味なんてなくたって全然構わないと思う。
メッセージ性が皆無だっていいと思う。

会場で配布されているリーフレットに掲載されている
作者のインタビューが面白い。

『僕の作品は、基本的にナンセンスなテイストをはらんでいると思うのですが。
 ナンセンスな割に歯車が1個でもないと動かないんですよ。
 理屈が通らないと動かないという物理的な面白さがあって、
 わけのわからいないことをやっているくせに、
 パーツが1個でも足りないと動かないという矛盾が好きなんですよね。』

なんだか妙に共感してしまった。

このリーフレットに漫画家の吉田戦車氏との対談も載っていて
これも読み物としてかなり面白かった。

結局現代アートって、自分が好きか嫌いか、
あるいは面白いと感じるか感じないか、それでいいんじゃない?と思う。
逆にいろいろ説明されるとつまらない。
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まわるワニを観たあとは、サントリー美術館に移動。
こちらでやっているのが『歌枕 あなたの知らない心の風景』。

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『歌枕』とは「和歌によって特定のイメージが結びつけられた土地」のこと。
そうした歌枕の世界を、日本美術を通して紹介する展覧会。
描かれた事物に意味がありまくり
それが判って初めてその作品の意図を読み解くことができるという、
さっきのワニとは真逆の展覧会。
我ながらこのギャップがたまらない(笑)。

桜といえば吉野、楓と流水といえば龍田川、
橋・柳・水車なら宇治、芒(ススキ)と月は武蔵野…。

西洋絵画の宗教画や神話画のように
これが描かれていればこういう場面、
これが描かれていればこれは誰々…という
〈お約束〉みたいなものなのかな?というイメージを持ちつつ鑑賞。

そういう組み合わせを知った上で鑑賞すると理解が深まるし
知ってる自分がちょっとカッコイイみたいな気分になれる(笑)。


まぁ細かいことはおいといて、素敵だなと思った作品を羅列。
『春秋花鳥図屏風』(土佐光起)
『大和名所図画帖』(狩野栄信・狩野養信)
『天橋立・須麻・明石図』(狩野養信)
『萩の玉川図』(葛飾北斎)
『百人一首之内 中納言行平』『百人一首之内 権中納言定頼』(歌川国芳)
『長柄橋蒔絵硯箱』『長柄文台』
『源氏物語抜書』(伝 伏見天皇)
『吸坂焼武蔵野皿』(肥前・有田)

古典的な大和絵はもちろん素敵なんだけど
個人的には北斎や国芳といった浮世絵師が描いた作品が興味深かった。


こちらは唯一撮影OKの『小倉山蒔絵硯箱』。
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キャプションによれば、
「洛西の歌枕・小倉山を描く」としつつも
「小倉山の景物である鹿がおらず、木々が嵐に吹かれる様子から
 嵐山とする説もある」…とのこと。

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見込には紅葉と筏で名高い大堰川。
「この川を挟む二つの山のどちらが主題か、
 見る者の教養が試される作品」とのこと。
と、言われても…う〜ん、教養がないのでよくわからない(^^;ゞ。



それにしてもこの手の展覧会に行くといつも思う。
「くずし字が読めるようになりたいなぁ」と。
そう思うたびに、ちょこっと勉強してはすぐ挫折するのだが(^^;。
コメント(3) 

コメント 3

おかん

まわるワニ、面白いですね~。色がきれいで楽しそうです。

歌枕はガラッと変わって、和歌、古典、。。
しっかし硯箱、豪華ですね~
8/28までですか、観に行きたいなぁ。見たらため息が出そう。

by おかん (2022-07-19 17:50) 

きゅう

14日の毎日新聞の夕刊の文化面で歌枕を掲載していて、そのあとここをみたら「おおっ!これか」でした。こういう見方で特集ができるんだと感心しました。8月3日からの「武蔵野図屏風」も綺麗ですね(全体もいいけれど、各部を近くで観てみたいですね)
by きゅう (2022-07-19 22:44) 

梅屋千年堂

>おかんさん
『ワニがまわる』は「だから何?」な展示ではありますが
よくわからないけど楽しい展示でもあります。
なにも考えずにこういう空間に身を置いて
ボーッとするのも良いものです。




>きゅうさん
サントリー美術館は、自分のところの所蔵品+αで
いろんな切り口の展覧会を企画するアイデアが
面白いなといつも思います。
秋に予定されている『京都・智積院の名宝』が
今はとても楽しみです。

『武蔵野図屏風』は、同じような図様の作品が
トーハクや東京富士美術館にもあるのですよね。
琳派の香りぷんぷんの素敵な作品なのに、
いずれも作者不詳というのが謎めいていて惹かれます。
来月ルートヴィヒ展を観に行くついでに
観てこようと企んでおります。

by 梅屋千年堂 (2022-07-20 01:10) 

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