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聖徳太子 日出づる処の天子 [EXHIBITION]

雪の日に行ってきた展覧会。

行ってから既に1週間近くが経過し、
自分の中での鮮度が落ち始めているけれど
印象に残ったことをとりとめもなくざっくり備忘録。

展覧会の正式名は
「サントリー美術館 開館60周年記念展
 千四百年御聖忌記念特別展『聖徳太子 日出づる処の天子』」
である。
shotokutaishi.jpg

2021年は聖徳太子の1400年遠忌にあたるとして
東京国立博物館(トーハク)でも昨年夏に
『特別展 聖徳太子と法隆寺』が開催された。
(こちらは行きそびれちゃったけど)。

トーハクではフィーチャリング法隆寺だったけれども
こちらの展示はフィーチャリング四天王寺。
大阪の四天王寺に伝わる太子ゆかりの品々を中心に紹介する展覧会だ。

まずは第1章として聖徳太子の生涯を追う。
各地に伝わる『聖徳太子絵伝』を繋いで
聖徳太子ストーリーを時系列的に見ていくのだけど
史実と伝説が入り交じって、伝説の部分はなんだか
キリストやお釈迦様並に超人的で面白い。

・太子の母后が、夢で金色の僧を見て太子を懐妊
・2歳の時に、東に向かって合掌し「南無仏」と唱えた
・11歳で、童子たちと遊び卓越した能力を見せる
・15歳で父・用明天皇の天寿の短さを予言
・四天王寺建立のための木材を探して京都を訪れた時に
 沐浴をしようと首に掛けていた懸守を木にぶらさげたところ
 その懸守が動かなくなったことから、そこに六角堂を建てた
・愛馬の黒駒に乗って富士山登頂
 (…というか馬で空を飛んで富士山に降り立った?)

…などなど(^^;。

この絵伝が、他の章でもしつこく(笑)登場し
聖徳太子の生涯がいやが上にも刷り込まれる。
そんな聖徳太子絵伝で語られている中で
個人的にちょっとツボにハマってしまったのが以下のエピソード。

 小野妹子を隋に派遣して、ある経典を持ち帰ってくるように命じるが
 小野妹子が持ち帰った経典は、太子が望んだのとは違うものだった。
 そこで太子は夢殿に籠もり、自らの魂を隋に飛ばして経典を手に入れる…。

まさかの展開。
伝説とはいえ、はるばる隋まで行った小野妹子の立場は一体…(^^;。
だったら最初からそうしなよ、と(笑)。


展示品の中には、太子が身に付けていたとする前述の懸守(国宝)や
太子の佩刀であったとされる七星剣(国宝)などもあり
なんだか時空を越えたロマンを感じる。
太子のお像も様々な年代を通して存在するが
いずれも共通して切れ長で釣り上がった目をしていて
聖徳太子ってこういう顔だったんだな、というのがイメージしやすい。

イメージしやすいといえば、年末に大阪に行った際
四天王寺に立ち寄ったことも、今回の展示を観る上での助けになった。

飛鳥時代、崇仏派の蘇我氏と排仏派の物部氏が争っている時に
蘇我氏についた太子が戦勝祈願のために四天王像を自ら彫り、
この争いに勝利した暁には四天王をお祀りするお寺を建立すると
誓いを立てたことが四天王寺の始まり。

その四天王寺の境内が描かれた絵伝などを見ると
自分がつい先日観てきた五重塔や金堂、鳥居などが確認できて
(いずれも後の時代に再建されたものではあるけれど)
とてもイメージしやすかった。


展示の最終章では近代以降の太子のイメージとして
聖徳太子像が採用された、懐かしの日本銀行券(要するにお札)も展示。
そういえば、つい最近職場の若い同僚に、
その昔聖徳太子がお札の顔だったことを話したら
「あ〜そう言われればそのお札、
 子供の頃になんとなく見たことがあるような…」
なんて言われて、ちょっとした衝撃だった(笑)。

あとは漫画家の山岸凉子先生の『日出処の天子』の原画。
今回の展示品の中では異色の存在ではあるが
その美しさに思わず見入ってしまった。


ホントだったら鑑賞後に美術館併設の不室屋カフェで
軽くお茶でもしてから帰りたかったのだけど
なんだか雪がじゃんじゃん降ってきたし
オミクロン株も広がりつつある昨今なので
後ろ髪を引かれつつ帰途についた。



今月中で終了してしまう展覧会で、
観ておきたいものも多々あるのだけど
やらなきゃいけないこともいろいろだし、
新型コロナ感染もまた広がってるし、大相撲中継も観たいし
『Come on ! ALFEE!!』のアーカイブも観たいしで
ちょ〜っと時間が取れそうにないかなぁ…(残念)。
コメント(6) 

コメント 6

JUNKO

梅屋千年堂さん、はじめまして。
私も「日出づる処の天子展」を見に行ったので親近感を覚え、初コメントしてしまいました。私は雪予報にびびり、梅屋千年堂さんの前日に行きました。
確かに、小野妹子のところは私もウケました。妹子の苦労はいったい…。
梅屋千年堂さんは色々な美術館に行かれているので、そのレポや配信弁当など楽しく記事を読ませていただいていました。
機会がありましたら、またコメントさせていただきますので、これからもよろしくお願いします!
by JUNKO (2022-01-12 09:39) 

梅屋千年堂

>JUNKOさん
初めまして。ようこそいらっしゃいました♪。

>>小野妹子
もしアタシが妹子だったら「ハァ?(▼▼メ)」だと思いますが
きっと妹子は人間ができているでしょうから
「私が至らなかったせいで太子にご負担をお掛けしてしまった」などと
自責の念にかられているのだろうな…などと妄想しました(笑)。

今年もライブや美術展のしょーもないレビューを
展開していくことと思いますが
どうぞまた気軽にいつでもコメントしにいらしてくださいね。

by 梅屋千年堂 (2022-01-12 18:33) 

k-子

もし機会があれば 
四天王寺の絵堂も拝観してみて下さい。
期間限定なので
なかなかタイミングが難しいとは思いますが
聖徳太子の生涯が分かりやすく
描かれていて面白いですよ。
簡単な記念品も頂いた記憶が…??
気になる 探そ
by k-子 (2022-01-12 19:50) 

梅屋千年堂

>k-子さん
絵堂、4月に特別拝観があるようですね。
さすがに行かれないけどオンライン絵解き説法なるものが
4月17日から1週間実施されるとか。
リアルタイム配信のみのようですが、
仕事が休みの日に時間が合ったら覗いてみようと思います。

by 梅屋千年堂 (2022-01-13 00:07) 

YAYOI

私がこれは…と思ったのは、絵伝の構成はだいたい下から上に向かって描かれてるのに、その隣にある解説は絵の構成を無視して上から下に時代順に書かれてたことです。
見にくいったらなかったです(-_-メ)

小野妹子の下りは、漫画を読んでた自分は(あ~妹子に花を持たせようとしたのに、自分で取りに行っちゃったのね)って思いました。
何故なら山岸凉子先生の漫画では、聖徳太子は超能力者として描かれていたからです(笑)
だから、さっさと自分で取りに行けば妹子も苦労しなくて済んだのにって思っちゃいました(笑)
by YAYOI (2022-01-13 21:22) 

梅屋千年堂

>YAYOIさん
同意!激しく同意!。
絵伝の解説、読みづらかったです〜(-_-;。
解説も下から上でよいのにーと思いました。

>>さっさと自分で取りに行けば
ですよねー。

漫画ではハナから超能力者前提なんですね(^^;。
だったら馬で空を飛んで富士山へ、とか未来の予知もお手の物ですね。
でも2歳で「南無仏」のエピソードは
それ赤ちゃんがなんとなく「にゃむにゃむ」言ったのが
そう聞こえただけやろ?と心の中でツッコミを入れたアタシです。

by 梅屋千年堂 (2022-01-14 21:19) 

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