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ミルトンの『失楽園』 [READING]

読み終わるのに物凄く時間がかかったけど、
実はもう何日か前に、やっ・・・と!読み終えたのだった。

一体全体いつ読み始めたんだろう???。
この本を読むぞ!と思ったのは『ライラの冒険』シリーズの原作本を
全て読み終えてからなのだが、それが去年の6月の話。
その日のうちにAmazonで購入して、すぐに読み始めたのだけど
なにしろ上巻の1/4、下巻の1/3が訳注というくらい
「*」印満載の本であるからして、「*」印が出てくるたびに
巻末の訳注ページに飛び、そしてまた本文に戻るということの繰り返し。
ただでさえ、読書スピードが遅いアタシなのに
もう普段の倍くらいかかってしまったような気がする(^^;。

しかも、読み終えないうちに『ハリー・ポッターと死の秘宝』が
発売されてしまったので、『失楽園』は一時中断。
『死の秘宝』を読み終えて、さぁ再開!と思ったが
今度は『坂崎幸之助とJ-POPフレンズ』が発売。
これはまぁ数日で一気に読み終えてしまったけど
そうこうしてるうちに、『源氏物語』がマイブーム(笑)。
現代語訳を読むのはキツイので、マンガの『あさきゆめみし』の文庫版を
全巻買って読んじゃったりなんかして。
とか言ってるうちに、『J-POPフレンズ』の2が出たりなんかして・・・。
(3は買ってないのだ・・・^o^;)。

もぉーいい加減に読み終えるぞ!と、
今年に入ってから気合いを入れてまた続きを読んでいたワケなんだけど
仕事を終えて帰宅して、ベッドに潜って読み始めても
数行読んで「ZZZzzz・・・」と夢の中。

そんなこんなで3月のアタマにやっ・・・と、読み終わった。

しかしこれまでの経験だと、このような注釈だらけの本は
途中で挫折してしまうのが常だったのだが、
今回は取り敢えず完読したということだけでも、自分を褒めてあげたい(笑)。


タイトルの通り、これはアダムとイヴが禁断の果実を口にして
楽園を追われるまでの経緯を描いた物語、というか叙事詩。

神に背いた天使が、戦いの末に地獄に堕とされサタンとなるが
凝りもせずに神に復讐してやろうと地獄から這い上がって
神が新しく作った“人間”(アダムとイヴ)が暮らす楽園にやってくる。
で、この神に愛されてる人間どもを苦しめてやろうってんで
サタンは蛇に化けてイヴをうまいこと唆して、
ついに禁断の果実つまり知識の実を食べさせてしまう。
で、アダムもイヴになんだかんだと唆されて
やっぱり同じように禁断の果実を食べてしまう。

お陰様で(笑)、その後彼らの子孫にはいろんな災難が降りかかることになり
最後は天使のミカエルが
「アンタ達が神様の言いつけに背いて木の実を食べちゃったから、
 この先こんな大変なことが起こるよ」
ってことを散々アダムに見せつけて、二人を楽園から追っ払うところで物語はオシマイ。

この楽園追放の場面を描いた西洋絵画なんかを見ると
剣を振り回す天使に追われながら
「ヒーン(T^T)」という面持ちで楽園を去っていくものが殆どだ。
でも『失楽園』を読む限りは、
確かに名残惜しく涙を流しながらではあるんだけど
「食べちゃったんだから仕方ないね。
 でも自分たちの末裔が救世主となって全人類を救ってくれるって
 神様が約束してくれたら、ここを出て二人で頑張って生きようね」
といった希望みたいなものが感じられて
なんだか今まで見てきた絵画のイメージとはちょっと違うな〜と思った。

で、『ライラの冒険』シリーズを読んだ後に、この『失楽園』を読むと
神に対して反逆の刃を向けたルシファーも、必ずしも《悪》ではないな、と思えてくる。

神が言ったりやったりすることは絶対で、
みんな素直に神の言われた通りの仕事をしている天国の天使達。
でも
「なんで万物の創造主だからってだけで、
 オレたちが神サマに支配されてなきゃいけないわけ?。
 それってな〜んか納得いかねーな(-"-?」
ってな感じで立ち上がった反逆天使は、
言ってみれば自由な精神の持ち主であり、革命家。
現代社会においては、共感出来る人も多いんじゃなかろうか。
(最終的にはコテンパンにやっつけられてしまったけど^^;)。

神に守られつつ、ポヤ〜ンとしたシアワセに包まれながら
楽園で暮らしていたアダムとイヴも、
蛇に唆されて禁断の果実を食べたせいで目が開かれて、
ある意味本当の自由を手に入れたんじゃ?なんて気もしてくる。

それに、自分に刃向かう天使を生み出しちゃったり
蛇の誘惑に呆気なく乗っちゃうような弱い人間を作っちゃうあたり
神様のやることだって完璧とは言えないよね〜なんて思ったり。

無宗教なアタシが、この『失楽園』を一種の物語(小説)として
上っ面だけを読むとそんな風に感じられるのだった。


それはさておき、『失楽園』。
読み進めながら、
「なんだかこれは高見沢王子の楽曲“Kaléidoscope”の世界じゃないか?」
と思った。
この歌に出てくる「恋人達」ってのはアダムとイヴのことだったのかと。
(もしかしてこれって「今更ナニ言ってんの?」的なこと???^^;)。

堕天使(=サタン)がイヴの耳元で囁くのが「誘惑の小夜曲(セレナーデ)」だったり、
「焰(炎)の剣」を振りかざして天使が天からやってきたり、
楽園の東側に、もう誰も近づけないようにと「見張り」の天使を遣わせたり、
なんだか「おや、これは?」と思うようなキーワードが幾つか登場する。

そう考えると突如出てくる「バビロニア」って言葉も納得出来るし
「運命を抗え」ってフレーズも
禁断の果実を口にした為に定められてしまった人類の運命に負けるな!
というメッセージのように思えてくる。

まぁ、勝手なこじつけと言われてしまえばそうなんだけど(^^;
『失楽園』を読みながら、そんな風に思った次第。


これまた余談だが、『ハリー・ポッターと死の秘宝』で
ハリーの両親の墓に刻まれた銘
「最後(いやはて)の敵なる死もまた亡ぼされん」
は聖書の『コリント前書』の中の一節であることも
『失楽園』を読んで分かったことだった。
ちょうど、『死の秘宝』を読んだ直後だったから
たまたま憶えていたのだけど、なんだかちょっと目からウロコ状態だった。



さてさて、そんなこんなで『失楽園』をやっと読み終えて
今はこれをボチボチと。

天使と悪魔 (上) (角川文庫)

天使と悪魔 (上) (角川文庫)

  • 作者: ダン・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/06/08
  • メディア: 文庫



そして未だ上巻の途中にもかかわらず、これ買っちまったんだけど・・・(^^;ゞ。

桜の実の熟する時 (新潮文庫)

桜の実の熟する時 (新潮文庫)

  • 作者: 島崎 藤村
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1955/05
  • メディア: 文庫


自慢じゃないが、今までの人生に於いて
こうした純文学ってのも完読した記憶がナイ・・・。
5月発売のTHE ALFEEの新曲がこの小説と同タイトルなので
安易極まりない動機で買ってみたが、果たして完読できるのか???。

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コメント 7

はぴまる

書店へ行くとやはり天使と悪魔の本が目につきました(どんな内容か?)
源氏物語は不良少年のラブハンター小説
失楽園は日本の男性作家の書かれた方は昔読みましたが^^そちらも又読み応えがありそうですね。ギリシャ神話のようですか?
さて、桜の実の熟する時。タイトルからするとアコーステックな響きですが、どのような曲か本を読みながら想像するのも楽しいですね。
、、とその前に仏教が 阿修羅〜おう阿修羅〜。






by はぴまる (2009-03-26 07:40) 

えの

英語英文学科卒なので、文学史の知識としてはあるものの
重い腰がなかなか上がらず読んだことがありませんでした。
授業で少しだけ扱ったものをちゃんと読んでみようかな、と思って早数年。
今年こそは実家にあるペーパーバックを読んでみようかと思っています。

私の名前は『源氏物語』からとられた()ので興味津々なのですが、
やはり現代語訳にあたるのはきついので、『あさきゆめみし』派です。

by えの (2009-03-26 13:28) 

梅屋千年堂

>はぴまるさん
『天使と悪魔』まだまだ読み始めたばかりですが
全裸死体の殺人事件、そこに残された記号、突然現場に呼び出される主人公・・・
「なんだかやけにシチュエーションが『ダ・ヴィンチ〜』に似てないか?」
と思いながら読んでいます。
まぁきっとそう思わせておいて、これからどんどん変化していくのでしょう。

“桜の実の熟する時”・・・アタシは意外と“春の嵐”風かなぁ?なんて想像しました。
タイアップがタイアップですから、THE ALFEE大得意の(笑)
なんかこう・・・大仰でドラマチックな、そんな感じを期待しています。

そうこうしてるうちに、阿修羅展も間もなく開催ですね。
いつ行こうかなぁ・・・と思案中です。



>えのさん
この手の本はよほどのきっかけがないと「読もう!」って気は起きませんよね(^^;。
ミルトンの『失楽園』も、随分前に王子が推薦図書?として挙げていた
何冊のうちかの一つなんですが、他の作品は殆ど読んだのにもかかわらず
これだけはずーっと後回しになっていました(^o^;。

えのさんのお名前は源氏物語に由来しているのですね。
もしかして、生まれながらにしてイイ匂いがするんでしょうか(笑)。
ステキです。
by 梅屋千年堂 (2009-03-26 15:40) 

えの

元々は光輝かせてみようと思ったらしいのですが、
父の友人の子供にその名を奪われたらしく、
この名前にしたらしいです。なんとも間抜けな理由です^m^
by えの (2009-03-27 16:13) 

梅屋千年堂

>えのさん
ほほぅ、そんな経緯があったのですね。
でもどちらのお名前でも素敵です。一文字の名前っていいですよね。
ちょっと憧れてしまいます。
けど、どちらも男性ですよねぇ?。
(そうかと言ってまさか藤壺だの夕顔だの紫だのって名前は
 つけづらいでしょうが・・・^^;)。
by 梅屋千年堂 (2009-03-27 20:35) 

まあち

梅屋さんが綴って下さった『失楽園』のストーリーを読みつつ
私の頭の中で徐々に流れてきた歌は、『Kaléidoscope』でした。
この本の存在は知らなかったのですが、
もし読むとしたらメロディーが流れっぱなしになりそうです(^^;)

読書の時間って、今は意識して設けることができないので
どうしてもちょこちょこ読みとか寝る前読みになってしまって、
一日に1ページが精一杯だったりします…
【積ん読】状態の本がどんどん増えていってますし(汗)
それに、Amazonのほしい物リストもどんどん増えています(大汗)
一日が24時間以上あったらいいのにな、なんて
(いや、私の時間の使い方が下手なのかもしれません(^^;))。
by まあち (2009-03-29 19:04) 

梅屋千年堂

>まあちさん
アタシも今、積ん読状態で大変なことになっています。
Amazonの欲しい物リストも同様に増えまくっています。
そしてAmazonで何か買い物をする際、合計金額が1500円に満たないときに
欲しい物リストから何か選んで1500円以上にして買うのですが
その時に「今は読まないけどいつか読みたい本」を買ったりするので
もう大変です(^^;。

読書時間もなかなか確保できませんね〜。
寝る前は本当に数ページしか読めないし、通勤電車は立ち読みすると酔うし
座ってしまえば睡眠時間の確保に当ててしまうし・・・。
結局休日にまとめ読みってことが多いです。
アタシも1日36時間くらい欲しいですよ〜。

話は変わりますが、『失楽園』の最後の方で
「愛の律法(おきて)が云々・・・」というフレーズが出てきて
その時は思わず“裏切りへの前奏曲”が思い浮かんでしまいました。
by 梅屋千年堂 (2009-03-30 01:01) 

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