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明治錦絵 × 大正新版画 −世界が愛した近代の木版画− [EXHIBITION]

今週は近場の博物館で。

年に1〜2度受診しているヨコケン(神奈川県民ホール)近くの
歯科へ行ったついでに、神奈川県立歴史博物館へ行くことにした。

歯科から博物館へは徒歩15分弱。
暑いけれども少しだけ山下公園をぶらぶらしてみた。

波は穏やか。
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日なたのベンチには誰もいない(^^;。
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でも木陰に入ると少し空気がひんやりして、
あ、秋かな…と感じさせてくれる。


とはいえ、ベイブリッジの向こうに見える入道雲は夏そのもの(-_-;。
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神奈川県立歴史博物館に到着。
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この外観、大好き。


ちょっといつもとは違うアングルから撮ってみる。
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いつもこちら側から入館してしまうのだけど、実は正面入口は裏側にある。
(だからホントはこちらが裏側?)。


たまにはちゃんと正面入口から入ってみることにした。
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ただいま開催中の展示。
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《明治錦絵 × 大正新版画 −世界が愛した近代の木版画−》。

閉館2時間前であまり時間もないのだけど
ちょっとクールダウンしたくて館内の喫茶室〈ともしび〉に入る。

クリームあんみつ〜♪ヽ(^。^)丿。
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旗…(^^;。

ここのメニューはどれも昭和レトロっぽくていいんだよね〜。



一息ついて落ち着いたところで展示室へ。


《明治錦絵 × 大正新版画 −世界が愛した近代の木版画−》
明治〜大正にかけて版元として活動した
大倉孫兵衛と土井貞一に焦点を当てた展覧会。

展示の前半は、製陶業の経営者だった大倉孫兵衛の錦絵版元としての業績。
版元としての大倉の活動はあまり知られていなかったそうなのだけど
2018年に7冊の画帖が公開されたことで、
版元としての活動が注目され始めたとのこと。

海外輸出向けに製作された木版画であることや
これまで殆ど日の目を浴びることなく保存状態が良好なこともあり
これらの画帖は、なんだかもう目がチラチラするほど色鮮やか。
最初、なんでこんなに目がチラチラチカチカする理由がわからなかったけど
どういうわけか、赤と緑の使い方がハンパない。
クリスマスじゃあるまいし、なんでこんなに赤と緑ばかり使うのだ?と
首を傾げたくなるくらい赤と緑を多用している。
しかも殆ど空間がなくビッチリ描き込まれている。

「情緒」という言葉とは程遠いけれど、ガイコクジンのみなさんからは
こういうド派手な感じのがウケたのかも知れない。

こうした画帖が7冊分、部分的にではあるがダーッと展示されている。

どちらかというとアタシが観たかったのは後半の展示。
大正新版画の方。川瀬巴水の作品が観たかったのだ。

川瀬巴水(1883〜1957)は新版画を代表する作家。
1920年に風景版画家としてデビューし、
当初から海外の愛好者が多かったそう。

この川瀬巴水の風景版画、特に夜の風景を描いた版画がとっても美しい。
『冬の月(戸山ケ原)』
『暮るる雪(江戸川)』
『東京十二景 馬込の月』
月明かりや雪明かりの表現が物凄く巧い。

展覧会では、巴水の作品そのものだけでなく
版元によって夜の闇の部分の扱いが違うということにも着目している。
渡邉庄三郎の渡邉版画店では闇の色がより濃く、
土井貞一の土井版画店では闇の色を薄めに仕上げて
全体の色調に統一感をもたせているのだそうだ。

この時代の新版画といえば川瀬巴水と吉田博…という感じなのだけど
今回川瀬巴水の作品とともに多くの作品が展示されていたのが
土屋光逸という作家の作品。…今回の展覧会で初めて知った。
まぁただ単にアタシが知らなかったというだけなのだけど(^^;ゞ。
作風は川瀬巴水や吉田博とも近いのだけれど、
なんというか…もっと…昨今のアニメの背景画のような感じ。

雪の中、番傘をさして歩く和服の女性の足音だったり
夕暮れ時、置屋の引き戸を開け閉めする音だったり
絵(版画)から音が聞こえてくるような気がする

『東京風景 高輪泉岳寺』
『東京風景 根津神社』
『奈良 猿沢の池』
『天橋立』
『横浜三渓園』…
どれもこれもステキで、すっかりファンになってしまった。

もうひとり、仏語教師として来日していたノエル・ヌエットの版画も多数。
ヌエットが万年筆で描いた東京の風景画が版画に適していたのか
土井貞一がヌエットに木版画の出版を勧めたそう。

巴水や光逸の作品と比べると繊細さはやや劣るけれども
その分、どこか親しみやすい雰囲気を湛えている。


いやー…こぢんまりとした展示だけれど見所十分。
気付いたら1時間半くらいどっぷり浸ってた。

巴水と光逸とヌエット…。
この3人の作品をたっぷり観られただけでも大いに眼福(*^^*)。
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