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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展【1】 [EXHIBITION]

最後に観た展覧会は3月末の
「アール・ヌーヴォー&アール・デコ ランプ展」だった。
最後に東京に行ったのは2月半ばのTakamiyソロ@中野サンプラザだった。

そんなわけで約3ヶ月ぶりの展覧会、約4ヶ月ぶりの東京。
国立西洋美術館で6月18日から始まった
『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』は、
日時指定券や入場整理券を導入し入館人数を制限しての開催。

既に前売券は購入済みだったので、7月1日の日時指定券を手配。
時間区分は9時30分から30分きざみで、17時が最終入場。
(金・土の夜間開館日は20時30分が最終)。
ホントは朝一番に乗り込みたいところだけれど
あんまり早いと行くまでの電車で通勤ラッシュに遭いそうなので
11時〜11時30分の回にした。

京急の上り電車に乗るのも京浜東北線に乗るのも久々で
ちょっとドキドキしたけれど、どちらの列車も意外なほどに空いていた。

11時ちょっと前に上野に到着。
公園口の改札の場所が変わっていて「えっ?!」。
改札を出たら改札の前の道路もなくなっていて更に「えっ?えっ?!」。
でも駅と公園が直結でなんだかイイ感じ。

お〜…久々の国立西洋美術館(*^^*)。
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館内に入るとサーモグラフィーによる体温チェック。
発熱はないはずだが、呼び止められたらどうしようなんて思いながら通過。
その後スマチケで日時指定券を提示し、案内された入場列に
前後の人と間隔を取りながら並び、今度は入場券を提示して順次展示室内へ。

1回につき何人分の日時指定券を発行しているのかわからないけれど
並んでいた人は思っていたよりもずっと少なかった。

階段を降りたところにあるフォトスポット。
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展示室内に入る前に、音声ガイドを借りる。
音声ガイドのナビゲーターは俳優の古川雄大さん。
ん?…どこかで見たお顔とお名前…
ハッ!
朝ドラ『エール』の御手洗ミュージックティーチャーではないか!。
と言っても、語り口はもちろんミュージックティーチャーではなく
いたって普通(笑)。



音声ガイドを聴きながら、いざ入場。
当たり前だけど…わぁ〜空いてる(◎0◎)。

フェルメール、ゴッホ、ゴヤ、ベラスケス、レンブラント…
名だたる巨匠の作品を含む61点が全て日本初公開。
コロナ禍憎しではあるが、
本来だったらめちゃくちゃ混んでいるはずの展覧会を
こんなにゆったりとストレスなく観られるのは嬉しい。

展覧会は7部構成。
ほぼ時系列でおおまかな西洋美術史の流れを辿りながら
イギリスという国がどのように他のヨーロッパの国々の美術を受容し、
良質なコレクションを構築していったのかを知ることができる。


いつものように、章ごとに印象に残った作品を羅列していくと…

《Chapter I. イタリア・ルネサンス絵画の収集》
●パオロ・ウッチェロ『製ゲオルギウスと竜』
 絵本の挿絵のような空気感。
 英雄の竜退治という場面だが静けさが漂って不思議な雰囲気。

●カルロ・クリヴェッリ『聖エミディウスを伴う受胎告知』
 なにやら線遠近法がスゴイ。
 隅々まで観察するとヘンなところや不思議なところが盛り沢山。

●ドメニコ・ギルランダイオ『聖母子』
 いかにも初期ルネサンス的聖母子。こういうの好き。
 聖母マリアが纏うブルーのマントの色がとても綺麗。

●ジョバンニ・ジローラモ・サヴォルト『マグダラのマリア』
 この画家のことは殆ど知らなかったのだけど
 今回の展覧会で強烈に印象に残る作品の一つ。
 マグダラのマリアが身に付けたシルバーのマントの質感がスゴイ。
 その質感は図録からもある程度伝わるけれど、やっぱり実物は違う。
 鑑賞者に視線を送るマリアの眼差しにもなんだかゾクゾク。

●ヤコボ・ティントレット『天の川の起源』
 左側にいる裸体の女性から物凄い勢いでピューッと吹き出す母乳に
 思わず笑いがこぼれてしまいそうになるが、これは神話の一場面。
 ユピテルが人間の女性であるアクルメネとの間にもうけた子、
 即ちヘラクレスに永遠の命を与えるために
 妻であり神々の女王であるユノの母乳を飲ませようと
 彼女の寝込みを襲ったところ(^^;。
 空に散った母乳はMilky Way=天の川になったとさ、というお話。
 ちなみに下に向かって大地に降り注いだ乳は百合の花になったそうな。

実はこのセクションにはかのボッティチェリの作品も展示されているのだけれど
1500年頃のすっかり精彩を欠いていた時代のもののためか、
音声ガイドなどで触れられることもなく、多くの人がすーっとスルーしていく。
他の作品がボッティチェリを凌駕しちゃうあたりも
この展覧会の凄さのひとつかも。


《Chapter II. オランダ絵画の黄金時代》
●レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン『34歳の自画像』
 数あるレンブラントの自画像の中で「一番カッコイイやつ」。
 画家の絶頂期の自画像なのでドヤ顔なのだけど、嫌味のないドヤ顔。
 身に付けている衣装や帽子、ポーズから
 自分はデューラーやラファエロに並ぶ画家であることをアピールしているという。
 また添えられたサインが「レンブラント」とファーストネームのみなのも
 ラファエロ、ミケランジェロ、ティツィアーノなど
 ファーストネームで呼ばれる先人達を意識しているらしい。
 やるね〜レンブラント。

●フランス・ハルス『扇を持つ女性』
 フランス・ハルスの描く肖像画は、モデルの人となりや性格が
 よく現れていて面白い。
 もしタイムマシンがあったら自分の肖像画を描いてもらいたい画家のひとり。

●ヨハネス・フェルメール『ヴァージナルの前に座る若い女性』
 フェルメールの作品にしては珍しく、左の窓の外からの光はない。
 どこか夜の室内を思わせる。
 今回の展覧会に並ぶ61点は全て日本初公開…ということは
 このフェルメールも日本初公開。
 日本にいながらにして、アタシは結構フェルメールを観ている気がする。
 ありがたいことである。



《Chapter III. ヴァン・ダイクとイギリス肖像画》
「ヴァン・ダイクと…」というタイトルなのだけど
印象に残ったのはヴァン・ダイクではなく…

●ジョシュア・レノルズ『レディ・コバーンと3人の息子』
 美人のお母さんとかわいい3人の息子を古代風に描いて
 「慈愛」の擬人像風にした肖像画。
 ヴァン・ダイクの『慈愛』から着想を得たと言われる。

●トマス・ゲインズバラ『シドンズ夫人』
 凛々しい顔立ちは緻密に描き込まれているけれど
 衣服や背景のタッチは粗い。でも不自然さや違和感は微塵もない。
 同時代のトマス・ローレンスもそんな感じだし
 こういうのが当時の肖像画のトレンドだったのかな。


《Chapter IV. グランドツアー》
グランドツアーとは、18世紀に裕福な家柄の若者が数ヶ月から数年間、
ヨーロッパ中を旅する、今で言う卒業旅行みたいなものだそう。
旅の記念にその土地の風景画を、絵ハガキ的なノリで買い漁ったらしい。

●カナレット(本名:ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)
 『ヴェネツィア大運河のレガッタ』
 ヴェネツィアの年中行事レガッタレースを描いたもの。
 も〜その緻密さと言ったら焦点深度の深い広角レンズで撮影した写真のよう。
 ただしそこからは見えない筈のリアルト橋がチラ見えしてるのは絵画ならでは。
 図録の小さな図版では到底気付かないが、ところどころハイライトのように
 配された白がとっても効いている。これは実物を観ないと判らない。



なんだか久々のアート鑑賞が嬉しすぎたせいか
長くなりそうなので続きはまた後日…。



《TO BE CONTINUED...つづく》
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