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カラヴァッジョ展 [EXHIBITION]

2019年内に上げられなかった記事《其の二》。

カラヴァッジョ展@あべのハルカス美術館
「わざわざ大阪で観てきたぞ備忘録」。

カラヴァッジョの展覧会と言えば、
割と最近国立西洋美術館でやったなーという印象だったけれど
あれっていつだっけ?と調べてみたら2016年3月。
もう4年近くも前のことだった。

その時に観た作品ばかりだったら
別にわざわざ大阪で観なくてもいいかなと思ったけれど
日本初公開の作品もいくつか来るという。
当初予定されていた『ホロフェルネスの首を斬るユディト』や
『瞑想するアッシジの聖フランチェスコ』が手続き上の問題で
展示されないことになったのは残念だけれども
それでも観ておく価値は十分にありそうだ。

展覧会はこれまで札幌と名古屋を巡回。
札幌では『病めるバッカス』、名古屋では『ゴリアテの首を持つダヴィデ』が
それぞれの会場限定で展示されていたそうだ(観てみたかったなー)。

展覧会入口。
01_entrance.jpg
これは観終わって出てきた時の写真。
開館時間である10時15分前にはここに入場待ちの列ができていた。
中に入るとそこそこ混んではいるが、作品が見えないといったストレスはない。

4年前のカラヴァッジョ展もそうだったけれど
「カラヴァッジョ展」と言いつつ、40点近い展示作品のうち
カラヴァッジョの作品は帰属も含めて10点ほど。

その中で特に印象に残ったのはこのあたり。

●『リュート弾き』(日本初公開)
カラヴァッジョにしては激しさ、不穏さ、いかがわしさのない穏やかな作品。
花、花瓶、楽器、楽譜などの静物が物凄く緻密に描かれている。
人物=リュート弾きまでもがまるで「静物」のように見えてしまう(・_・)。
展示室では、作品の手前にテーブルに描かれているのと同じ花や楽器が置いてあって
そのテーブルにあるボタンを押すと、画中の楽譜を演奏した音声を聴くことができる…
という、趣向を凝らした展示になっている。

●『悲嘆に暮れるマグダラのマリア』(日本初公開)
大阪展のみの展示。
近年発見されたものだそう。
この作品だけ「はいどうぞ」と見せられても
多分マグダラのマリアだとはわからない(少なくともアタシはね^o^;)。
ルーヴル美術館に『聖母の死』という大きな作品があるのだけど
右下にこれと同じポーズのマグダラのマリアが描かれているので
この大作の習作ではないかと言われている。
完成度が高いのでこれが習作?!と思ってしまうけど
よくよく観察してみると背中の肌の質感とか、
白い袖の明るい部分のタッチなんかは確かにまぁ…粗いか。

●『執筆する聖ヒエロニムス』
こちらも大阪展のみ。
老人の肌や毛髪の質感がリアル!。

●『聖セバスティアヌス』(日本初公開)
通常複数の矢が体に刺さった状態で
天を仰ぎ見ている姿が描かれることが多い聖人だけど
カラヴァッジョは敢えて左脇腹に1本だけ。
苦痛に顔を歪めて腹に刺さった矢を見つめるセバスティアヌス。
なんかこう、傷みがじわじわと体を蝕んでいく感じが伝わってきて
観ているこっちはいつの間にかカラヴァッジョの思うツボ。

●『法悦のマグダラのマリア』
4年前のカラヴァッジョ展で世界初公開された作品。
一度観たら絶対に忘れられない、それくらい印象の強いマグダラのマリア。

●『洗礼者ヨハネ』
すっごく有名なやつ。
カラヴァッジョらしく、どこかいかがわしい洗礼者ヨハネ。
そんな目で見られるとドキドキするのだが(^^;。



カラヴァッジョ以外では、彼と同時代の画家や
カラヴァジェスキと呼ばれる彼の様式を引き継いだ画家たちの作品が
数多く展示されている。
そうした中で印象に残っているのはこのあたり。

●グイド・レーニ『ルクレティア』
金色のリボンがとても綺麗。

●バッティステッロ・カラッチョロ『キリストの洗礼』
深い闇の中に浮かび上がるキリストと洗礼者ヨハネ、それと鳩。
洗礼者ヨハネの腕の筋肉の描写に釘付け。

●フィリッポ・ヴィターレ『ホロフェルネスの首を斬るユディト』
ホロフェルネスが掴んだ赤い布と、ユディトのドレスの生地の質感がスゴイ。

●ジュゼペ・デ・リベーラ『洗礼者ヨハネの首』
皿に載せられた洗礼者ヨハネの首。
額や目の周りの皺の描写があまりにリアルで
目を背けたくなるような恐ろしい絵なのに、ついつい見入ってしまう。

●ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ『聖アンデレ』
通称:グエルチーノ。2015年に国立西洋美術館で大きな展覧会があったっけ。
その時も感じたけれど、強烈な個性やクセはないんだけど
とくかく巧い宗教画だねぇ〜!そんな印象は今回も変わらず。



作品の点数もほどよく、ライブ前に観るにはちょうどいいボリュームだった。
やっぱり『ホロフェルネスの首を斬るユディト』は観たかったねーと思うけど
まぁまたいつかきっと日本にやってくる機会はあるかも知れない。
(てかホントはアタシがイタリアに行きたいよ)。

これは入り口前に設置されていたフォトスポット。
02_photospot.jpg
カラヴァッジョの『歯を抜く人』の一員になってしまおう、というフレーム(^m^)。

恒例のミュージアムショップでは
わざわざ大阪で観た記念に何か…といろいろ物色したんだけど
どぉーーーもいまひとつ…というわけで、手ぶらで退散。
でも、これでいいのだ。
2020年は展覧会グッズを買いすぎないようにしよう!と考えているので。
(「買わない」じゃなくて「買いすぎない」なところが自分に甘い…^^;)。
コメント(2) 

コメント 2

きゅう

私は名古屋に行きました。
「ゴリアテの首を持つダヴィデ」は見入ってしまいましたね。
名古屋にはフォトスポットはありませんでした(タブン)。入り口に大きな看板は有ってみんな写真を撮っていましたが。
グッズは「メデューサの盾」が目について…買いませんでした。と言いながら田辺画伯のクリアファイルのみ買いましたが…←この時点で既に買いすぎに走っていく。
by きゅう (2020-01-17 01:53) 

梅屋千年堂

>きゅうさん
『ゴリアテの首を持つダヴィデ』は名古屋限定だったのですよね。
観たかったですー(-_-;。
『メドゥーサの首』の盾は2016年のカラヴァッジョ展で観ました。
(まったく同じものかどうかはわかりませんが)。
観てるだけでホントに石にされそうで怖かったのを憶えています。

田辺画伯のユルいカラヴァッジョ、かわいいなとは思いましたが
個人的にいまひとつ決め手に欠けました(^^;ゞ。

by 梅屋千年堂 (2020-01-17 21:03) 

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