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ウィーン・モダン [EXHIBITION]

『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』
@国立新美術館。

(7/12 23:23 レイアウトがおかしかった後半部分を修正しました)

会期が長いから〜と油断していたら、もう残り1ヶ月切っている。
デメルのショコラーデントルテ付前売券を買っているので
なんとしても絶対に行かなければならないのだ(^^;。

国立新美術館に到着したのは11時。
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同時開催中の『クリスチャン・ボルタンスキー』もいずれ観にくる予定…。


まずは地下1階のカフェテリア カレで腹拵え。
ホントは3階のブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼで
ウィーン・モダン展ランチコースと行きたいところなのだけど
¥4,800はちょっと…(^^;ということで、
カフェテリア カレのウィーン・モダン展特別メニューである
《ウィーン風牛肉と野菜のシチュー“グーラッシュ” バターライス添え》。
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グーラッシュとは、
ハンガリーを起源とし、ウィーンに定着したパプリカ風味のビーフシチュー。
お肉がめちゃめちゃ柔らかくて美味〜( ̄▽ ̄)。


お腹が満足したところで、展示室へ。

18世紀末から19世紀に開花したウィーン独自の絵画・デザイン・建築などの
「世紀末芸術」を紹介する展覧会。

…と言いつつ、スタート地点は18世紀。
マリア・テレジアやその息子・皇帝ヨーゼフ2世の肖像画から始まる。
《第1章 啓蒙主義時代のウィーン −近代社会への序章》では
モーツァルトも入会していたという
フリーメイソンのロッジの様子を描いた作品や
当時のウィーンの様子を伝える銅版画などが展示されいる。


《第2章 ビーダーマイアー時代のウィーン −ウィーン世紀末芸術のモデル》
「ビーダーマイアー」とは、元々は当時の風刺小説に出てくる人物の名前で
言ってみれば「小市民」という意味合い。
あらゆる著作物に対して検閲が行われる中、
人々の関心は身の回りの家具や食器といったものに向けられる。

その当時の富裕層が使用していた家具(椅子)や
食器が展示されているのだけど、華美な装飾を排して洗練された
そのデザインは驚くほどモダン。
この時代からこんな素敵なモノを作っていたなんて
当時のウィーンはなんて進んでいたんだろう!。

画家たちが描く題材も長閑で親しみやすいものが中心で
風景画や風俗画が多い。
ひときわ目を引くのは、
フリードリヒ・フォン・アメリング『3つの最も嬉しいもの』。
3つの嬉しいものとは、酒・音楽・女。
酒の入ったグラスを手に、女性を口説いていると思われる男性。
この男のニヤけた表情と、女性のちょっとこわばった表情が対照的で
なんだかこの男がアホに見えてくる(^^;。

もうひとつ興味深いのが、シューベルトが実際に使っていたというメガネ。
隣にはシューベルトの肖像画が展示されていて
絵の中のシューベルトはそれとメガネを掛けている。
割れてはいるが、レンズもちゃんと填まっている。
う〜む…ド近眼ではなさそうだけど、裸眼視力は0.1くらいかな…
などとレンズを見ながら想像したりなんかして。


《第3章 リンク通りとウィーン −新たな芸術パトロンの登場》
時代は皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の治世。
ウィーンでは爆発的に人口が増加。
それまで待ちを取り囲んでいた城壁を取り壊し、
リンク通り(リンクシュトラーゼ)という環状道路を整備。
その沿道に市庁舎や劇場など様々な建築が建設された。

フランツ・ヨーゼフ1世とエリーザベトの
銀婚式を祝うパレードの総演出を任され
「画家のプリンス」なんて呼ばれていたハンス・マカルトの作品が並ぶ。
顔は写実的に描き、その他の部分は粗い筆致を残す描き方が印象的。

この頃ウィーン万博も開催され、多くの日本文化がウィーンにたらされた。


《第4章 1900年 世紀末のウィーン −近代都市ウィーンの誕生》
ここがこの展覧会のメイン展示と言っても良い。

まずは建築家オットー・ヴァーグナーの仕事から。
彼が提案・設計した都市デザインや建築の模型が展示されている。
面白いのは、ヴァーグナーがウィーン市長カール・ルエーガーの
60歳の誕生日を記念してデザインした椅子。
ローズウッドの材に真珠母貝の象嵌細工がリベット状に施されていたり
誕生日を祝う文言(?)も同様の象嵌で書かれていたりして
なんか…スゴイ(^^;。
豪華なんだけどいやらしさはなくて、むしろちょっとカワイイ。

そしてここでグスタフ・クリムトの初期作品が登場。
まだあまり「クリムトっぽくない」。
『6月(ユノ)(『アレゴリー:新連作』のための原画No.53)』などは
どちらかというとミュシャっぽい。
(そういえば東美のクリムト展でもミュシャっぽいのがあったなぁ)。

『愛(『アレゴリー:新連作』のための原画No.46)』は
3分割された画面の両脇が金箔が施されているようになっていて
その上部にのみ薔薇の花が描かれている。
東美のクリムト展で観た『17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像』も
同じように金の縁取りの中に花が描かれて、
どこか日本的な雰囲気を漂わせていたっけ。

次のセクションの、ウィーン分離派時代の作品になると
〈ザ・クリムト〉な作品が登場。
『パラス・アテナ』は新しい分離派会館の開館に際して描いた作品。
正方形の画面に、金の甲冑を纏い槍を構えたアテナの姿。
その左端には鏡を持ったちっちゃい人は「裸の真実」。
これも東美のクリムト展で観た『ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)』
で単独で描かれていた女性である。

素描も結構展示されているのだけど、
エロティックなポーズの裸の女性の絵ばかりで
こ…これをこんな風にあからさまに展示しても大丈夫なんだろうか(^^;
と、余計な心配したりなんかして。

クリムト以外ではマクシミリアン・レンツの
『シルク=エッケ(リンク通りとケルントナー通りの角)』の
モダンな画風が印象的。



ところで、途中の休憩コーナーには
文化服装学院の学生さんが制作したドレスが展示されている。
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こちらは『エミーリエ・フレーゲの肖像』で
エミーリエが着ていたドレスを再現したもの。
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すっごく良く出来ててステキ〜(*^^*)。

もう一つのドレスは、クリムトがエミーリエのためにデザインしたドレスに
インスピレーションを受けて制作したというドレス。
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随所にクリムトっぽい幾何学模様が施されている。


で、この後いよいよ今回の展覧会の目玉作品とも言える
『エミーリエ・フレーゲの肖像』が登場するのだが…

聞こえてくるシャッター音…えっ?!写真撮っていいの?!(◎_◎)。

いいんだって!。
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(腰に手を添えるこのポーズを見て、
 ちょっとクスッ( ̄m ̄)となったことはナイショだ笑)。

なかなか素敵な肖像画だけど、
エミーリエ本人はあまり気に入ってなかったらしい(^^;。

この一角は《エミーリエ・フレーゲとグスタフ・クリムト》というテーマで
エミーリエがデザインしたドレスや、エミーリエが姉と経営していた
ファッションサロンの内装なども紹介されている。
まだコルセットでウエストを締めたドレスが主流だった時代に
「改良服」と呼ばれるゆったりしたドレスを制作していたらしいが
残念ながら新しすぎてあんまり売れなかったのだそうだ(^^;。

ここで「ウワ〜オ!」なのが、クリムトが実際に着用していたというスモック。
レプリカではなく、なんと実物。
さっきのシューベルトのメガネといい、クリムトのスモックといい、
こういう「本人が使ってたもの」の展示ってスキ!。

クリムト、意外にデカい…綺麗なブルーだなー…などと
ガラスケースに貼り付くように凝視していたところ、
目の前のキャプションがふと目に付いた。
「古斬塔夫 克林姆特」
…中国語でグスタフ・クリムトってこう書くらしい(^m^)。


第4章では、「ウィーン分離派のグラフィック」や「ウィーン工房の応用芸術」
「ウィーン工房のグラフィック」というテーマの展示もあり、
当時のポスターや家具、食器、アクセサリーなどの日用品も展示されている。
これがもうどれもこれもモダンでオシャレ。
アクセサリーなどは、ちょっとルネ・ラリックも彷彿とさせる。

特に個人的に注目したのがポスターなどのレタリング。
レトロな雰囲気を醸しつつも、デザイン性に優れていて
現代のパソコンのフォントにはない味があって
「手書き文字」好きにはたまらない。


終盤はエゴン・シーレやオスカー・ココシュカなど
表現主義の作家に焦点を当てた展示。

…なんだけど、実はシーレはちょっと苦手。
いろんな展覧会を観に行くけれど、
どうしても生理的に受け付けない作家ってのがいくつかあって
エゴン・シーレもそのうちの一人。
なのでシーレのコーナーは、サラッと流し見。
それでも『ひまわり』などはちょっと「おっ」と感じるものがあったので
以前は苦手だったクリムトを今は良いと思えるようになったように
もしかしたらいつかシーレも「イイ」と思う時が来るかも知れない。
(来ないかも知れない^^;)。


というわけで、かなり内容の濃い展覧会だった。
気付いたら、観始めてから観終わるまで3時間(◎_◎)。
当初は時間があったらサントリー美術館もハシゴしようなんて
思っていたけどとんでもなかった。


最後は特設ショップ。
今回もまぁクリムトのスモックをモチーフにしたTシャツや
ウィーン世紀末のポスターから抜き出したアルファベットの
マグカップやマスキングテープなど、魅力的なグッズが満載。

だけども今回もグッと堪えてミニ図録のみ。
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それと、前売券に付いていたデメルのショコラーデントルテも引き換え。

デメルのショコラーデントルテは
普通にグッズのひとつとして販売されていたのだけど、
数量限定だったため、6月20日に完売。
絶対にこのお菓子が欲しかったわけでもなく
なのな〜くこのショコラーデントルテ付前売券を買ったのだけど
そんなに人気があったのかと思ったら、なんだかちょっと得したキブン。

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美味しい(*^^*)。
2日に分けて食べたのだけど、
2日目の方がしっとり感が増して美味しかった気がする。


今後も夏に向けて面白そうな展覧会が目白押し。
どれだけ行かれるかわからないけど、いろいろ楽しみだ。
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